見出し画像

糖尿病治療の目標は、糖尿病のない人と変わらない寿命を目指し、「しめじ」と「えのき」の発症・進展を阻止することである

高鍋保健所で行われた平和台病院の糖尿病専門医の天野一志先生の講演を聞きました。

最新の糖尿病の治療について、学ぶことができました!!

1. 糖尿病管理の重要性:認知症予防とリスク

認知症予防と糖尿病

認知症の4割は生活習慣改善などで予防可能とされ、日本人では特に運動不足と糖尿病対策が重要である。

九州大学の久山町研究では、糖尿病管理など10項目の予防策への強力な介入により、認知症の有病率が実際に低下したことが示されている。

国内では2050年に認知症患者が約580万人に増加すると予測されており、早期対策が急務である。

肥満と心血管疾患リスク

久山町研究によると、BMIが23を超えると、糖尿病患者の心血管疾患(心筋梗塞、脳梗塞など)のリスクが非糖尿病患者に比べ有意に増加する。

糖尿病性腎症のリスク

腎症が進行すると心血管イベントによる死亡リスクが深刻化し、尿中アルブミンが多いほどリスクが高まる。腎症予防は生命予後の改善に直結する。

2. 糖尿病治療の基本と目標

治療の基本:食事療法と運動療法

治療の基本は食事・運動療法であり、薬物療法はその上に成り立つ。治療効果の比率は、食事療法:運動療法:薬物療法=5:3:2のイメージ。

食事では「3食の摂取時間」「内容とバランス」「間食」の把握が重要。夕食が遅い、食後すぐに寝るといった習慣は血糖コントロールに悪影響を及ぼす。

運動はスクワットやウォーキングなど、2〜3分からでも継続することが重要。YouTubeなどの活用も有効。

治療の目標

糖尿病のない人と変わらない寿命を目指し、合併症(しめじ:神経・目・腎臓、えのき:壊疽・脳卒中・虚血性心疾患)の発症・進展を阻止する。

一般的な血糖コントロール目標はHbA1c 7.0%未満だが、高齢者や使用薬剤によっては個別化される(例:7.5%未満、8.0%未満)。

血糖値の変動を可視化する持続血糖モニターの指標「Time In Range (TIR)」(目標範囲内の時間の割合)も重要で、70%以上が目標とされる。

3. 最新の糖尿病治療法

持続血糖モニター(CGM/FGM)

フリースタイルリブレを用い血糖変動を「見える化」することで、患者の行動変容を促す。

症例(50代男性): リブレ装着で血糖変動を自覚し、自発的に間食を中止。薬剤変更なしでHbA1cが8%台から6.7%に改善し、インスリン離脱に至った。

1型糖尿病の治療

緩徐進行1型糖尿病は、2型と誤診されやすいため、GAD抗体などの測定による鑑別が重要。

持続血糖測定機能付きインスリンポンプ(SAP)、特にミニメド780Gシステムは、血糖値を常時監視しインスリン量を自動調整するため、血糖コントロールを劇的に改善し、低血糖リスクを低減する。

症例(緩徐進行1型): 780Gシステム導入後、HbA1cは7.8%から6.1%に改善し、TIRも55%から85%に向上。患者の精神的負担も軽減された。

2型糖尿病の治療アルゴリズム

第一選択薬: 肥満の有無で選択。非肥満ではDPP-4阻害薬など、肥満ではGLP-1受容体作動薬などを考慮。

薬剤選択の要点: 安全性(低血糖、腎機能)に加え、心血管疾患・腎症・心不全があれば、臓器保護効果(アディショナルベネフィット)を持つSGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬を積極的に選択する。単に血糖値を下げるだけでなく、「どの薬剤で、どの目的で下げるか」が重要。

週1回投与のインスリン製剤

自己注射が困難な高齢者や注射を忘れがちな患者に有用。

症例(60代男性・施設入所中): 週1回製剤への変更で、安定した血糖管理と本人・スタッフの負担軽減を両立できた。

4. 主要な糖尿病治療薬の特性と使い分け

SGLT2阻害薬(ジャディアンスなど)

心血管イベントや心不全による入院を有意に改善する。

腎保護効果があり、糖尿病性腎症の進行を抑制する。糖尿病の有無にかかわらずCKD治療に使用が推奨される。

GLP-1受容体作動薬

強力な血糖降下作用と体重減少効果を持つ。脳に作用し食欲を抑制する。

腎臓、肝臓、心血管系への臓器保護作用もある。

使い分け(私見を含む):

リベルサス(経口薬): インスリン未使用の患者に導入しやすい。

トルリシティ: 副作用が比較的少なく、非肥満の患者に適する。

オゼンピック: 治療抵抗性の高い患者や中等度肥満(BMI 25〜)に適応。

マンジャロ: 高度肥満(BMI 30前後)やオゼンピックで効果不十分な場合に有効。

非ステロイド性MRA(ケレンディア)
腎臓の炎症や線維化を抑制し、SGLT2阻害薬などと並ぶ腎症治療の柱の一つ。

5. 多職種連携による重症化予防

平和台病院の体制

糖尿病専門医8名を含む多職種(歯科医師、薬剤師、看護師、管理栄養士など)が連携し、約4,300人の糖尿病患者を診療。日本糖尿病療養指導士(CDEJ)などの有資格者が活躍。

糖尿病性腎症対策(CKDパス入院)

約9日間の教育入院プログラム。食事療法(腎臓病食の体験)、運動療法(InBodyに基づく個別指導)、フットケアなどを集中的に行い、自己管理能力を高める。退院後も定期的な栄養指導でフォローアップする。

メタボ対策

「メタボチーム」が入院・外来患者に対し、InBodyによる内臓脂肪測定、運動・栄養指導を実施。

フットケア

神経伝導検査でリスク評価を行い、専門看護師が定期的なケアを実施。足病変による入院患者が著しく減少した。

包括的アプローチの重要性

眼科、歯科、フットケアなど他分野と連携し、患者の身体を総合的に守る必要がある。患者や家族を巻き込み、長期的な視点で治療のモチベーションを維持させることが重要。

天野先生の話を聞いて、糖尿病治療の進歩を感じました。

特に、血糖値の見える化を実現させるリプレを導入してインスリン離脱を達成したという例には驚きました。

西米良村は、国民健康保険のデータヘルス事業で、リプレを導入して予防活動を始めていると保健師さんが言っておりました。

血糖値の可視化は、予防にも治療にも有用です。

近い将来は、リプレを付けて、血糖値を見ながら外食する光景が普通になるかもしれません。

会社の同僚に「もう一軒行こう」と誘われても、「ごめん、血糖値が上限を越えそう」と断る理由になる。

もしくは、AIに聞いて「だめです」と答えてくれる。

糖尿病の予防も治療もAIを使うことが普通になりそうです。

最後に、恐縮です。

表紙の河野知事の写真など、宮崎のきのこの写真は、記事の内容とはいっさい関係はありませんので念のため申し添えます。

しめじとえのきが糖尿病の合併症の原因でもありませんので、これも念のため申し添えまする。


いいなと思ったら応援しよう!