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スーパースターに依存せず、複数の医療機関・多職種が連携し地域全体で支える蜘蛛の巣状システムの構築が必要である

昨年、美郷町で開催された「みさと地域医療塾」では、パネリストとなった国民健康保健高千穂病院の黑木琢也先生が、ご自身の経歴を通じた地域医療への考えを述べました。

大変勉強になるので、ハベレオ通信でご紹介させていただきます。

黒木先生は、自治医科大学卒業後、県立宮崎病院での初期研修、宮崎大学救命救急センターでの研修を経て、美郷町や高千穂町で地域医療に従事しています。

これまでの経験の中で、コロナ禍におけるクラスター対応、救急医療体制の構築(ドクターカーの運用、神楽プロジェクト)などの具体的取り組みを紹介されていました。

そして、人材不足や困難に言及しつつ、特定の「スーパースター」に依存せず、複数の医療機関・多職種が連携し地域全体で支える「蜘蛛の巣状」システムの構築を提唱されていたのが、大変印象に残っています。

1. 講師の経歴と地域医療への関わり

- 国民健康保険高千穂病院の黒木先生。医師9年目、今年34歳。

- 宮崎市出身。自治医科大学を卒業。自治医大は学生サポートが手厚く、ストレートで卒業することができた、と言っておりました。

- 医師として、県立宮崎病院で2年間初期研修後、宮崎大学救命救急センターで1年間研修し、その後地域へ派遣。

- 最初の赴任地は美郷町の西郷病院で、3年間勤務しました。

- その後、宮崎大学と県立病院での研修を挟み、現在は高千穂病院での勤務2年目。

- 美郷町での勤務はコロナ禍初期から始まり、地域施設でのクラスター対応に従事しました。

このときは、みさと地域医療塾の主催者である金丸総院長へ相談しつつ対応をしたそうです。

2. 地域医療の定義と実践


地域医療とは

- チャットGPTの定義:「地域の住民がその地域で安心して暮らせるように提供される医療」。

- 具体例:診療所・中小病院、救急、在宅、介護福祉連携など。

- これらは中山間地域に限らず、大学病院でも退院支援等で同様の連携が必要。

地域医療は「地域のニーズに応える医療」だと考える。

美郷町での救急医療への取り組み


- 大学救急部での経験を活かし、救急・急性期医療に注力。

- 当時、西郷町の日本救急システムは、公的消防機関同様の活動が困難で、それを補完するため病院外へ出動する体制を構築。

- 灰色の車で出動し、ドクターカーやドクターヘリと連携。林業作業中の事故現場などにも赴く。

高千穂町での「神楽プロジェクト」

- 西臼杵医療センター発足に伴い、寺尾センター長と西臼杵の医療提供体制を再設計。

- 「神楽プロジェクト」と命名し、病院内外で救急医療体制を構築。

- 西臼杵の消防救急隊が日中に病院で研修し、救急要請時には現場へ出動。必要に応じて医師が同乗し、ドクターカー的活動や医療行為を実施。

- 勉強会や県立延岡病院DMATとの災害連携も進める。

3. 地域医療の課題と未来への提言


地域医療が直面する課題

- 人材・物資の不足、スタッフのモチベーション維持の難しさ。

- コロナ禍でのスタートにより、住民との直接的な交流機会が少なかったことを反省点として挙げる。

- 自治医大出身者のみでは支え切れない厳しい状況、特にへき地勤務の困難。


 未来の地域医療システムの提案


- 「レジェンド」や「スーパースター」への依存ではなく、普通の多人数の医師で地域を支える仕組みが必要。

- 県北地域を例に、県立延岡病院をハブに地域医療機関がグループとして連携する「蜘蛛の巣状」ネットワークを提案。

- 市街地病院とへき地病院のシャトル勤務を繰り返すことで、研修・休暇などを目的に人材が流動的に往来。

- 連携は医師に限らず、看護師・技師など多職種で実現可能。医療従事者同士が支え合う体制が重要。

- 「オール宮崎」の視点を持ち、若い世代の地域医療参画を期待。

以下は、黒木先生のリアルな発言です。

一言お話しさせてもらいます。

キャリアにかかる僕の個人的な考えです。

救急を専攻してはいますが、救急としての専門性を深めていくというところに、そこまで自分自身、今はフォーカスしていません。

これまでのキャリアがそうさせているのかもしれませんけど、そこに重きを置いていません。

もしかしたらスタートライン的に違う部分もあるのかな、とちょっと思ったところです。

今、高千穂病院に、熊本大学からの研修医の先生が来ていています。

これはかなり特殊な例だと思うんですけれど、その先生は開業医の息子さんで、いずれその開業を継ぐと、そのために地域医療を学びたいということで高千穂病院を選んだそうです。

もちろん研修が終わったら大学病院に帰って専門研修を積むことになっています。

彼はその専門性を高めるということよりも、地域や地元に帰って、地元で働くというところにキャリアの重きを置いている、というところがあるのです。

高千穂病院にいる僕らが、その研修の先生に提供できている教育だったりとか、症例だったりとか、そういうところをコミットしているんだろうと思います。

彼自身も高千穂病院に来て、また考えが変わったと言っていました。

改めて、先ほどの椎葉先生の話にあった「恐怖領域」に飛び出していくこと、それは本当にそうだなと思いました。

地域医療の「当事者」になることが、とても大事だと思います。

僕も自治医大出身の医師ですけれど、正直、地域医療のイメージ全然湧かなくて、実際美郷町に来て改めて学んだことが多いです。

学生さんとか研修医の1ヶ月くらいの短期間の研修では、全くイメージしないまま、多分終えるんだろうと思います。

2ヶ月3ヶ月と長く勤務してくる学生や研修医が出てくれば、彼らは多分全く考え方が大きく変わるんじゃないかなと。

高千穂病院で働く研修医の先生を見て、僕を気づかせてもらったというのが最近ありましたので、紹介しました。

そういうこともありますので、またそういう選択肢もありですし、宮崎大学の地域枠の先生方はちょっとわかりませんけど、専門を決めるまえに地域医療を学ぶ、そういうのも寛容にしていただけるといいと思います。

皆さんの中では、みんなが地域医療に従事するわけではないですが、その中の一人でも二人でもへき地医療に従事したいと思う人が生まれると、その一人二人が次の年は3人、4人になって、5人、6人になるっていく。

そうすると、5年後、10年後には変わっていくのかなと、最近そう思っています

すみません。長くなりました。

宮崎県地域医療支援機構の専任医師の金丸先生からコメントがありました。

今のご意見ですけれども、地域枠の医師は、専門医を目指すキャリア形成プログラムに入らないといけないのですが、黑木先生が言ってくれたような自由度がないので、私はですね、キャリア形成「待機プログラム」っていうのを別に設けてもらいたいと思いました。

専門を決める前に、地域医療を経験することは大事です。

そういう待機プログラムについて、検討してみたいと思いました。



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