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印象的な漫画たち〜「違国日記」、もちぎさんのエッセイ漫画

私は本の感想を書くのがとても苦手。

このところ、すばらしい漫画に出会ったのでお伝えしたいけれど、うまく伝えるすべもなくて、とりあえずタイトルとわずかな感想を。

どちらも2020年前後に賞に選ばれたり、社会的に話題になったものなので今更感があるのだけど、よいものとの出会いに時差はない。

1、違国日記(いこくにっき/ヤマシタトモコ/祥伝社/2019)

両親を車の事故で同時に亡くした15歳の朝(あさ)と、朝を引き取った、叔母であり小説家の高代槙生(こうだいまきお)との数年にわたる共同生活が描かれたもの。

ことしはじめに、アニメ化もされた。
アニメは観ていないけれど、心象を文字や抽象的な絵に表されたあの漫画をどのようにアニメにしたのか、気にはなる。

まっすぐで不器用で、家事や暗黙の了解が苦手で、人との関係がうまく築けない槙生と(でも素敵な友達がいる)、「自分」「自分の気持ち」がおぼろげで、砂漠のなかにひとりでいるようにいつも思う朝。

槙生の、「難しい言葉」に自分の気持ちを乗せながら語る「人間像」が興味深くて、朝と一緒になって聞き入ってしまう。

朝は一見、地に足が着かずフワフワしているようだけれど「自分にはなにもない」ことを悩んでもいて、その朝が、やはりそれぞれ悩みや困難にぶつかる高校の友達や、槙生の周囲の人々〜恋愛も結婚もしたいと思わない人、ゲイでもある作家仲間、前の恋人、人の気持ちがあまり分からない弁護士など〜とのかかわりを通じて、徐々に「自分」を見いだしていく。

朝や槙生自身が「私は誰か」について考えているとき、読者も一緒になって考えて、背中を押されたり、過去の自分を肯定してもらったりするような気になる。

朝にとって、亡くなった父親との関係だったり、槙生と確執のあった姉妹や母親との関係だったり。

いま大人になった多くの人がが抱えてきただろう、もしくは今も抱えているだろう人生のターニングポイントや重荷、足かせ、苦しみ、出会い。

15〜18歳の朝の悩みや心の変化、出会いの数々が、読んでいる自分の人生にも跳ね返ってくる。

最後は朝も槙生も、もしかしたら読者にも、おぼろげながら希望が見えてくるような漫画だった。


2、「ゲイ風俗のもちぎさん セクシュアリティは人生だ。」(もちぎ/KADOKAWA/2019)
「ゲイバーのもちぎさん」(もちぎ/講談社/2020)

この絵見たことあるな、くらいの気持ちで試し読みをしてみたら、どはまりして、全巻購入し、さらに続きの「ゲイバーのもちぎさん」も購入してしまったというエッセイ漫画。

子どもに対して、学校など行かなくていいからお金を家に入れろと言う母親、家族との関係、セクシュアリティ、生、社会、生きづらさ、病気、地方と都会、父親の自死、、

テーマはひろいけれど、幼いときから世界を自分で切り拓かなければならなかったもちぎさんの言葉が、まっすぐ入ってくる。

そして、困っている人の話を聞き、励まして、前だけを見て歩くもちぎさんを、だれよりも理解してしあわせになってほしいと願うネコーハイ君の存在に、読んでいるほうも涙がこぼれる。

私はいつも、性(セクシュアリティ)の問題に同じくらいの歳の女性より前のめりになっているかもしれない。と言うほど深くもないのだけど。

誰しも人に見せないだけで、性は身近なのだろうか。それとも一般的にはそうでもないのだろうか。

まじめにそんなことを話す友人がいるわけでもないからわからない。

「性は生」という記事をいつか書いたことがあるけれど、性は生そのものであって、それは、他者から踏みにじられたり、軽く扱われてはいけないのだ、絶対に。

そして誰しもが、性も生も大事にされなければならない(この場合の「大事」は、身体を売るのと矛盾はしない)。

もちぎさんの背景は、第三者として見たら過酷だ。胸が苦しくなる場面も多い。
その中にあって、ユーモアと人への優しさ(とひと言で言えない、包み込む感じ)を持ち続けるもちぎさんに、力づけられる。

もちぎさんは誰かを刃のように切る言葉であっても、誰の言葉も、否定しないでまず受け入れる。そして自分の思いを伝えていく。

ゲイバーで勤めた時、「自分の優しさは本当の愛じゃない、自分のための偽善だから」というもちぎさんに対して、ママが「偽善でもやらないよりやるのが大事。傷を受けた痛みを知っている、それだけで立派なのよ」と言う(「ゲイバーのもちぎさん」)。

このママがまたね、すごい人だった。

もちぎさんは文字だけのエッセイや自己啓発本、小説なども書いているということなので、また機会をみて読んでみたい。


私は昔から漫画が好きで、いろいろと読んできたけども、大人になっても、というか大人だからこそ素敵な漫画に出会うことがあって、ありがたいなぁと思う。

プロ・アマ問わずすべての作家の皆様、どうかお体に気をつけてお仕事してくださいませ。

そうそう、以前感想を書いた「ひらやすみ」(真造圭伍/小学館)の10巻が4月末に出てました。

今回もまた、良かった!
ついにヒロトが、動き出す。
なつみを励ます言葉も良かったな。

私の記事はこちら↓


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