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🔳ep.10 ひと皮むけたコンクール


黄金期のお話がつづく。読んでくださっている方は白けているかもしれないが、書いてる私は楽しい。くだらない自己満だと言われようとも、これは自分のための記録でもあるのだからこれでいいのだ。笑






高2のとき、夏のコンクールでそれまでの自分史上、もっともいい成績を収めることができた。そのときの本番の踊りの感覚を、今でも非常によく覚えている。 



大先生がいつも言っていた言葉に、「バレエは馬鹿には踊れない」というのがある。偏差値の話ではない。レッスンに対する考える力のことを言っている。



たとえば、昨日のレッスンで注意されたことを忘れていて、今日もまた同じ注意を受けてしまったとする。すると、極論昨日のレッスンは無駄だったということになる。



考える力のある子はそういうことにはならない。注意されたことをきちんと自分の中に落とし込み、次のレッスンで活かそうとする。それでもできなくてまた同じ注意をされることはあるが、「そもそも忘れていた子」とは雲泥の差だ。この積み重ねで実力に差が生まれる。



偉そうに書いているが、私はずっと馬鹿な子だった。顔だけ「必死でやってます!」という風にしていて、その実態はいつもおんなじ注意ばっかりされていた。今思い返しても時間の無駄だったなぁと思う。膨大な時間をおんなじ注意に費やしてきたのだ。



しかし、そのことに自分で気づいてからは上達が早かった。才能とか素質とか運動神経とか、人によっては最初からかかっているバフもあるが、上達に一番大事なのは、この「考える力」だ。私はひとつひとつのパ(動き)に対して落ち着いて考えながら踊れるようになってきたのである。「上達」とは、踊りながらいかに多くの注意を思い出し、それを実行できるようになったかということだと思う。



本番にいつも通りに踊るためには、落ち着いて集中していることが大事だ。落ち着いて集中するには、この「ひとつひとつのパを考えながら踊る」のがとても効果的だった。



大先生のいいところは、大先生が普段から怖すぎたおかげで、生徒たちが本番に緊張しないことである。見知らぬ他人でしかない審査員の見ているコンクールなんぞ、大先生の前で踊る恐怖に比べたら屁でもない。むしろ本番が一番気楽とさえ思う。笑



このときのコンクールでは、私は金平糖の精のヴァリエーションを踊った。この年の発表会で金平糖の精に抜擢されており、発表会のために踊りの精度をあげておきたくて、前もって練習していたのである。



この踊りは繊細な足さばきが必要になる踊りで、大技と呼べるものは出てこないのだが、時間が2分半〜3分と大変長い。通常、ヴァリエーションというのは1分程度のものであっても踊り終えると肩で息をするくらいにしんどいのだが、その倍以上だ。もうめちゃくちゃしんどい。



体力的にも大変だが、集中力を切らさないようにするのも大変だった。



本番の踊りでは、いつもより音がゆっくりに聴こえた。これはしっかりと集中できている証拠である。音に追われずに踊れるので、身体の隅々にまで意識を向けられる。私は踊りながら手応えを感じていた。



結果は上位入賞。上位3名までには入れなかったが、私としては大満足の順位だった。順位を報告したときの大先生からはお褒めの言葉こそなかったものの、「ふふん。まあいいんじゃない?」という満更でもない反応を貰うことができた。笑



前年のシャオ先生のアドバイスに従い、この年の1月だか3月だかに出場したコンクールではオーロラを踊った私。結果はまずまずだったが、苦手だった姫系の踊りに挑戦したことで、自分でもひと皮むけかけていることを感じていた。それが、この金平糖で確実にむけたといえるだろう。このいい流れを逃さずに、初めての大役を成功させたい。 



いよいよ発表会にむけての練習が始まった。



つづく。



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