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【バレエの楽しみ方】音楽との融合


本来バレエなんてあまり興味ない人が多いだろうにも関わらず、こんな私の自伝を読んでくださっている方に、少しずつバレエの楽しみ方をお伝えできたらと思う。楽しみ方もなにも、人それぞれ好きなように観ればいいのだが、ある程度知識があるほうが楽しめるのも事実である。



バレエは音楽との融合を楽しむ舞台演劇だ。コンクールや子どもの発表会では録音された音源で踊るが、プロの舞台ではオーケストラが入り、指揮者はその名の通り、その舞台のコンダクターとなる。カーテンコールで指揮者が舞台上に呼ばれるのはそのためだ。



かつてロイヤルバレエ団の公演で、吉田都さんを気に入っていた指揮者が、本番で「ミヤコの良さを最大限引き出したい」と曲のテンポを超ゆっくりにし、後日「あれはほんとに大変だった。笑」と都さんに言われたという逸話もある。バレエというのは本来、オーケストラありきの芸術なのだ。



バレエ作品には三大バレエと呼ばれているものがあり、これは一般的にもよく知られている「白鳥の湖」、「眠れる森の美女」、そして「くるみ割り人形」のことを指す。すべてチャイコフスキー作曲で、バレエを長年やっている人であれば、これら3作品のすべての曲が、聴いただけで踊れるくらい頭と身体に叩き込まれていることだろう。

(余談だが、ディズニー映画の眠れる森の美女に出てくる「Once Upon a Dream(いつか夢で)」は、チャイコフスキーの音楽にそのまま歌詞をつけたものである。)



バレエのどの作品が一番好き?と訊かれると答えられないが、どの作曲家が好き?と訊かれれば、私は迷わずチャイコフスキーを選ぶ。バレエという芸術を完成させるのに、チャイコフスキーの音楽ほどバレエの本質や美しさを引き立てるものはないと思うから。



以下の動画は、前回の記事に書いた、眠り3幕のオーロラ姫のヴァリエーションだ。この踊りの見どころは、まさに音楽との融合である。踊りの中盤で出てくる第一ヴァイオリンのソロ部分は聴き惚れて倒れちゃうほどに美しい。この部分の振り付けは、「お父様、お母様。私は無事にここまで成長することができました✨」という意味が込められている。



一歩一歩出した足先の美しさ、「健やかに成長した」という意味を持つ腕の優雅な動き。魔女の呪いから解き放たれ、愛する人と結婚する喜びと輝き。これらがチャイコフスキーの天才的な旋律で表現されている。


バレエは、振付家や演出家によって役の見せ方に違いがある。この動画でいうと、1人目のオーロラ姫は可憐で可愛らしい様子を全面に出し、2人目のオーロラ姫はもっと大人っぽく優雅な雰囲気になっている。指揮者は演出家の意図を汲んで指揮するため、同じバレエ団の同じ作品だったとしても、その音色に違いが生まれる。バレエの舞台は、まさに一期一会の奇跡なのだ。



この踊りは技術的には難しいことをやっているわけではない。「最後にくるくる回ってるじゃん」と思われるかもしれないが、ぶっちゃけあれはそんなに難しくない。振り付け自体は、年齢の低い子どもでも挑戦できる踊りである。



しかし、だからこそ、プロとアマチュアの差が一目瞭然となるのが、このヴァリエーションの恐ろしいところなのである。



バレエもスポーツと同じで、どんどん技術が向上しているため、プロのダンサーよりもジュニアの子たちのほうが難しいことができたりすることもある。しかし、「ピルエット10回転できるって?ふーん。それがどうした」という声がこのヴァリエーションからは聞こえる気がする。



「きちんと5番に入れなさい!」「身体を引き上げなさい!」「アンデオール(脚を外旋)しなさい!」という、子どもの頃から死ぬほど言われ続けてくるバレエの基本中の基本。その基礎力がこれでもかというほど試される振り付けである。だから、プロの踊りを見たあとに、そのへんの小さなコンクールの踊りを見ると、思わず「……もっと基礎レッスンがんばれよ」と思ってしまう。
(自分を棚に上げて!笑)



クラシックバレエは超絶技巧を競うものではなく、芸術なのだ。目の肥えたヨーロッパの観客が、このヴァリエーションのあとに「ブラボー!!」と叫ぶのは、きっとそのことをよく知っているからなのだろう。



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