読み聞かせをしなくても大丈夫?|科学で見る「言葉と想像力の関係」
第4話では、「我が家は絵本の読み聞かせをしなかったけれど、それでも3人とも本好きで国語が得意に育った」というお話をしました。
▼前回、第4話は こちら
今現在、小さなお子さんを育てているパパやママ。
もしくは、これからパパやママになるという方。
きっと一度は耳にしたことがあると思います。
「絵本の読み聞かせっていいらしいよ」
私自身も、出産祝いや誕生日プレゼントで、たくさんの絵本をいただきました。
きっとみなさん、
「絵本は子育てに良い」
と信じて、贈ってくださったのだと思います。
まずは、ここでひとこと謝らせてください。
我が子たちに絵本をくださった皆さま。
本当に申し訳ありません……m(__)m
実は私、ほとんど読んでいませんでした。
とはいえ、絵本たちはムダにはなりませんでした。
子どもどうしで読み合ってくれたおかげで、我が家ではしっかりと活躍してくれました。
(ありがとうございます!)
では、そもそも「絵本の読み聞かせって、なぜいい」と言われているのでしょうか?
どんな効果があるのか?
そして、親が読まなくても、本好き&国語力が高い子が育つ理由とは?
気になりますよね。
そこで今回は、研究データをもとに、
「絵本の読み聞かせの効果」を少し科学的に見ていこうと思います。
絵本の読み聞かせはなぜ推奨されるのか?
絵本の読み聞かせには、昔から
「語彙が増える」
「集中力がつく」
といった良い効果があると言われてきました。
最近では、それが科学的にも少しずつ解明されてきているんです。
語彙の広がりを育てる
NTTコミュニケーション科学基礎研究所の調査では、
絵本100冊分の語彙数は、日常会話のおよそ1.7倍にものぼることがわかりました。

『絵本検索システム『ぴたりえ』~子どもにぴったりの絵本を見つけます~』
つまり、絵本を通して子どもは、普段の会話では出てこない言葉に自然に触れているのです。
たとえば、
「しとしと」「ぽとぽと」「きらきら」「そよそよ」
こうした擬音語や情景表現は、会話よりも絵本の中に多く登場します。
だから、絵本は“語彙の宝箱”のような存在です。
たくさん読むことで、自然に「言葉の引き出し」が増えていくんです。
対話があると「心の読み取る力」が伸びる
東京大学とポプラ社の共同研究(2024)によると、
読み聞かせの「量」よりも「質」が、子どもの発達に大きく影響することがわかっています。

『こどもと絵本・本に関する研究』
特に、親が子どもと会話しながら読む「対話的読み聞かせ」をしたグループでは、他人の気持ちを理解する情動理解力が有意に高かったそうです。
つまり、ただ読むだけでなく、
「この子、どう思ってるんだろうね?」
「もし自分だったら、どうする?」
といった会話のキャッチボールが、子どもの“心の想像力”を育ててくれるんです。
開始時期より「継続」がカギ
この研究では、「いつ読み始めたか」はあまり関係がないこともわかりました。
早く始めたからといって、後から始めた子に大きな差がつくわけではありません。
むしろ大切なのは、どれだけ継続できたか。
週に何日、どのくらい続けたかが、「かな文字の読み」や「言葉の理解力」に直結していたのです。
つまり、「毎日読む」よりも、
「楽しく続けられるペースで読む」
ことが、何より大切なんですね。
無理せず、親も子も心地よく続けられる
それが一番のコツなのかもしれません。
我が家で起きていた“読み聞かせと同じ効果”
研究データをいろいろ見ていくうちに、私はあることに気づきました。
「これ……うちで起きてたことと、同じじゃない?」
そう、我が家には「読み聞かせ」という習慣こそなかったけれど、結果的に同じような効果を生む時間が、たくさんあったんです。
創作物語=オーダーメイドの言葉時間
たとえば、寝る前の「創作物語ごっこ」。
子どもたちに「お母さん、今日もお話して!」とせがまれて、その日あった出来事や子どもの反応をもとに、即興で話を作って聞かせていました。
もちろん、台本なんてありません。
登場人物も、舞台も、オチも、その場のノリです(笑)
でも、今振り返るとこれが立派な「言葉の学びの時間」だったような気がします。
子どもに合わせて言葉を選び、テンポを変え、リアクションを見ながら物語を続ける。
それってまさに、「対話的読み聞かせ」と同じ構造だったんです。
日常の会話=ことばのキャッチボール
もうひとつ大きかったのは、日常の会話。
我が家は3人きょうだい。
誰かがいつも「お母さん、聞いて!」と話しかけてきて、私はただ「へぇ〜!」「すごいね!」「それでどうなったの?」と、相づちを返すだけ。
でも、そのやりとりこそが、子どもにとって“生きた言葉のシャワー”になっていたのだと思います。
研究でいう「対話的読み聞かせ」の“対話”の部分が、我が家では日常生活の中に自然にあったんです。
言葉を覚えるきっかけって、案外こうした“何気ない会話”の積み重ねなのかもしれません。
姉弟どうしの読み聞かせ=社会性と表現力のレッスン
そして、忘れてはいけないのが「姉弟どうしの読み聞かせ」。
我が家は長女・次女・長男の構成。
歳が近いって、大変!
当時、私はお世話と家事でバタバタしていて、正直、絵本を読んであげる余裕がありませんでした。
そこで、長女にお願いしたんです。
「長女は絵本を読むのが上手だから、妹に読んであげてくれる?」
すると、これが想像以上に良かった!
読む方の長女は、ゆっくり・ていねいに言葉を選ぶ練習になり、聞く方の次女は、姉の声を通して言葉を楽しむ。
2人の間に“ことばの橋”ができた瞬間でした。
このことばの橋は、次女から長男へ、時には、長男から長女や次女へと、さまざまな方向にかかっていきました。
★ことばの橋をかけるのにおすすめの絵本★
『はらぺこあおむし』
エリック=カール (著)/もり ひさし (訳)
これは王道中の王道ですね。
なぜこの本がおすすめかというと、歌があるからです!
★はらぺこあおむしの歌も収録されています★
『CD エリック・カール絵本うた』
「そ~し~て~ げつようび げつようび♪」
「りんごをひとつたべました♪」
…というように、絵本の言葉に音楽がついています。
絵本を読んでいるはずが、いつの間にかみんなで歌のコンサートに!
こんなに楽しく盛り上がれる絵本、なかなかありません。
こうして振り返ると、
我が家には「読み聞かせ」という形はなかったけれど、「言葉を交わす時間」が、確かに存在していました。
それが、絵本の効果と同じように、子どもたちの語彙や国語力、そして“言葉を楽しむ心”を育てていたのだと思います。
絵本の本質は「読むこと」ではなく「言葉を交わすこと」
ここまで調べてみて、改めて思いました。
絵本の読み聞かせの本質は、「読む」ことそのものではないんです。
本を読むかどうか、声の抑揚がうまいかどうか。
そんな表面的なことよりも、もっと大切なのは……
「親子が言葉を交わす時間があるかどうか」
なんですよね。
言葉のキャッチボールが“心”を育てる
絵本のページをめくりながら、
「どう思う?」
「おもしろいね」
「かわいそうだね」
と話す。
あるいは、寝る前の会話で、
「今日、どんなことが楽しかった?」
「明日は何が楽しみ?」
と聞く。
そのたびに、子どもは言葉を通して“自分の気持ち”を形にしていく。
そして、親の反応を通して“自分の言葉が誰かに届く”ことを実感する。
それが、子どもの心の土台になっていくのだと思います。
「読み聞かせできなかった」ママ・パパへ
もし今、「ちゃんと絵本を読んであげられなかった」と心のどこかで気にしているママやパパがいたら。
どうか、安心してください。
日常の中で、あなたが「話しかけた言葉」や「聞いてあげた時間」こそ、それがすでに“読み聞かせの本質”なんです。
「読む」ことだけが愛情じゃない。
むしろ、「聞く」「話す」「笑う」という小さな積み重ねが、いちばんあたたかい“言葉の贈り物”になります。
そして、これから
私は今でも、寝る前に子どもたちとちょっとした会話をします。
「今日、何が楽しかった?」
「明日、何があるんだっけ?」
「今日も、よくがんばっているよね!」
ほんの数分の時間でも、そのやりとりの中に、確かに“言葉の力”が息づいている気がします。
絵本を読むでも、創作話をするでも、ただ話を聞くでもいい。
言葉を通して心をつなぐこと。
それが、親子の絆を育てる“まこ式の読み聞かせ”です。
余裕があって、
「絵本を読んであげたいな」
と心から思うなら、読んであげてOKです。
でも、
「読み聞かせをしなきゃ」
と義務的に焦る必要はないと思っています。
あなたの言葉が、すでに“物語”になっています。
※あと1回、絵本の話題が続きます。
この記事は「自己肯定感を伸ばす子育て学|まこ式10の法則」シリーズ 番外編⑤でした。
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