サーフィンの楽しみ方
朝の海岸へ着くと、まだ人の少ない砂浜の向こうで、同じように見えた波が一本ずつ違う形で崩れていきます。
ボードを抱えて海へ入り、沖へ向かってパドルする。波が近づいたら向きを変え、少し速く手を動かす。ボードが押し出される感覚に合わせて立ち上がると、ほんの数秒でも、自分の身体が波と同じ方向へ運ばれていきます。
初めて挑戦するときには、気になることも多くあります。
泳ぎに自信がなくても始められるのか。
最初からサーフボードを買う必要があるのか。
一回で立てるようになるのか。
どの海へ行けばよいのか。
波が高い日と低い日は、どう見分けるのか。
一人で練習しても大丈夫なのか。
調べてみると、サーフィンは、ただボードの上へ立つことを目指すスポーツではありませんでした。
海へ入る前に波や風を観察する。自分の技量に合う場所を選ぶ。沖へ出るために身体を動かす。ほかのサーファーと波を譲り合う。そして、自然の条件が合った短い瞬間に、自分の動きを重ねていく。
同じ海へ通っても、まったく同じ波は二度と来ません。
だからこそ、立てたかどうかだけではなく、その日の海を読み、自分に合う一本を待つ時間まで含めて楽しめるのが、サーフィンという趣味なのだと思います。
サーフィンに必要な時間と費用、初めてのスクールの選び方、道具、当日の流れ、海で守りたいルール、安全に続けるための考え方、続けるほど変わっていく楽しみ方をまとめました。
※時間や費用は、海辺のサーフィンスクールやレンタルを利用し、月一回ほど楽しむ場合を中心にした目安です。地域、季節、交通手段、海の状態、道具の購入状況によって大きく変わります。
まず知っておきたい基本情報
一回の海上時間 約90分〜2時間
着替えや準備を含む現地滞在 約2時間30分〜3時間
移動を含む一日の所要時間 約3〜5時間
最短で体験するなら 約90分の初心者向けスクール
おすすめの始め方 道具付きの初心者スクール
一回の費用 約6,000〜12,000円
月一回続ける場合の年間費用 約80,000〜180,000円
道具を購入する場合の初期費用 約80,000〜200,000円以上
必要な人数 慣れるまでは指導者や経験者と一緒
天候への影響 とても大きい
楽しさの中心 波に乗る感覚、自然を読むこと、身体操作、少しずつできることが増える達成感
サーフィンは、海岸へ行けば無料でできるようにも見えます。
入場料のない海岸は多いものの、初心者にはスクール、レンタル、更衣場所、シャワー、交通手段が必要です。慣れるまでは海辺の施設やショップを利用し、海の選び方を覚えてから行動範囲を広げます。
サーフィンは、一本の波へ自分の動きを合わせるスポーツ
サーフィンの分かりやすい目標は、波に押されながらボードの上へ立つことです。
けれど、実際には立ち上がる前に、いくつもの動きがあります。
海へ入る。
ボードに腹ばいになる。
腕で水をかく。
波が崩れる位置を見つける。
周囲の人を確認する。
乗る波を選ぶ。
岸へ向きを変える。
波の速度に合わせてパドルする。
ボードが走り始めたら立ち上がる。
進む方向を見ながら姿勢を保つ。
最初は、浅い場所でインストラクターにボードを押してもらい、岸へ向かう白い波に乗る練習から始まることが多くあります。
この段階では、沖へ出て大きな波をつかまえる必要はありません。
腹ばいのまま波に運ばれるだけでも、ボードが急に軽くなり、砂浜へ向かって滑り始める感覚があります。その速さに慣れたあとで、手を置く位置や足の運び方を練習します。
一度立てても、次の波では立てないことがあります。毎回少し違う条件の中で、前回うまくいった感覚を探し直す。その不確かさが難しさであり、何度も海へ戻りたくなる面白さでもあります。
初めてなら、独学よりスクールから始める
サーフィンは、自分で計画して海へ行ける趣味です。
ただし、最初から一人で道具を借り、見よう見まねで海へ入ることはおすすめできません。
日本サーフィン連盟も、始めたばかりの人は一人で入らず、経験者と一緒に行動するか、公認スクールなどを利用するよう案内しています。初心者同士だけで海へ入ることも、危険を判断できる人がいないため避けたいところです。
初心者スクールでは、海へ入る前に陸上で説明を受けます。
ボードの持ち方。
リーシュコードの付け方。
腹ばいになる位置。
パドルの動き。
立ち上がる順番。
転ぶときの身体の守り方。
波に乗る人の優先ルール。
入ってよい範囲と戻る場所。
そのあと、当日の波に合わせて、足が届く場所や比較的穏やかな場所で練習します。
スクールを選ぶときは、料金だけでなく、次の点を確認します。
初心者向けの内容か。
ボードとウェットスーツが料金に含まれるか。
傷害保険が含まれるか。
シャワーや更衣場所があるか。
少人数制か。
開催を中止する基準が示されているか。
対象年齢や泳力の条件があるか。
駅からの送迎や駐車場があるか。
初心者向けプランには、指導料、ボード、ウェットスーツ、保険を含み、一人6,600〜10,000円前後で受けられる例があります。初回限定で3,300円ほどの体験プランを用意する施設もありますが、通常料金、含まれる道具、シャワー代、キャンセル条件まで見て比べることが大切です。
「一回で立てる」とうたうスクールもありますが、立つことだけを急がなくて大丈夫です。
安全に転ぶ。
ボードから離れすぎない。
周囲を見る。
海から上がる合図を守る。
最初の一日は、こうした流れを落ち着いて体験できれば十分です。
一回に必要な時間
海で練習する時間は、約90分〜2時間が一つの目安です。
ただし、現地へ着いてすぐ海へ入れるわけではありません。
受付。
着替え。
道具の説明。
陸上練習。
海までの移動。
海上練習。
シャワー。
着替え。
道具の返却。
これらを含めると、現地で約2時間30分〜3時間ほど見ておくと慌ただしくなりません。
さらに、自宅から海までの移動があります。
近くの海へ公共交通で行ける場合は半日ほどで楽しめますが、車で遠方へ向かう場合は、早朝の出発、駐車、渋滞、食事、休憩まで含めて一日の予定になります。
月一回なら、毎週海へ通うほど生活を大きく変えずに続けられます。
一方で、上達の感覚をつかみたい時期は、間隔が空きすぎると身体の動きを思い出すところから始まります。無理に回数を増やす必要はありませんが、春から秋の間だけ月二回にするなど、季節に合わせて少し続けて通う方法もあります。
大切なのは、予定した日に必ず海へ入ることではありません。
波が大きすぎる。
風が強い。
雷の可能性がある。
体調がよくない。
海が混雑している。
そのような日は、予約を変更する判断もサーフィンの一部です。
一回にかかる費用
最初の一回は、道具をすべて含むスクールを選ぶと分かりやすくなります。
初心者スクールを利用する日の目安
スクール料金 約6,600〜10,000円
シャワー・ロッカーなど 0〜1,000円
自宅から海までの交通費 約1,000〜4,000円
駐車場を使う場合 約500〜2,000円
飲み物・軽食 約500〜1,000円
合計 約8,000〜15,000円
電車で行きやすい場所を選び、道具と施設利用がすべて含まれるプランなら、費用を抑えやすくなります。
一方、車で遠方へ行く場合は、ガソリン代、高速道路料金、駐車料金が大きくなります。サーフィンそのものの料金より、海までの移動費が年間費用の中心になることもあります。
スクールを卒業してレンタルする場合
ボードのみのレンタルは一日3,000円前後、ウェットスーツは2,000〜3,000円前後、ボードとウェットスーツのセットは4,000〜5,000円前後の例があります。別に施設利用料、シャワー、駐車場が必要な場合もあります。
自分の道具を持っていない間は、海の状態や季節に合う物をショップで選んでもらえることも、レンタルのよさです。
ただし、スクールを一度受けただけで、すぐに一人のレンタルへ移る必要はありません。
波の見方やルールに不安があるなら、数回はレッスンを続ける。スクール後に同じ施設の前で短く自主練習する。経験者と一緒に入る。
少しずつ、自分で判断する範囲を広げます。
月一回続ける年間費用
月一回、レンタルまたはレッスンを利用する場合は、年間約80,000〜180,000円ほどが一つの目安です。
購入後も修理、リーシュコードの交換、ウェットスーツの買い替え、保管費などがかかるため、買えば必ず安くなるとは限りません。最初の数回は借りて、通える頻度や使いやすいボードが見えてから購入する方が無理のない選び方です。
道具を買うなら、最初の一本ほど相談して選ぶ
サーフィンの中心になる道具は、サーフボードです。
見た目だけで選びたくなりますが、初心者用のボードは身長だけでは決まりません。体重、浮力、長さ、幅、練習する海、収納や運搬の方法まで合わせて選びます。
一般に、浮力があり、幅と長さに余裕のあるボードは、波の力を受けやすく、最初のテイクオフを練習しやすくなります。柔らかい素材で覆われたソフトボードも、初心者向けスクールでよく使われます。
現在の販売例を見ると、ソフトボードは4万円前後から10万円を超える物まであり、一般的なサーフボードには8万〜10万円前後の商品も多くあります。ウェットスーツは季節や厚みにより2万〜8万円前後まで幅があります。
自分の道具をそろえる場合の目安
サーフボード 約40,000〜120,000円以上
ウェットスーツ 約20,000〜80,000円
リーシュコード 約4,000〜7,000円
フィン ボード付属または約10,000〜20,000円
ボードケース 約6,000〜15,000円
ワックス・小物 約1,000〜3,000円
合計 約80,000〜200,000円以上
季節をまたいで続けるなら、夏用と冬用で異なるウェットスーツが必要になることがあります。
海水温だけでなく、濡れた身体へ当たる風でも体温は奪われます。ウェットスーツは価格だけでなく、利用する地域と季節、身体へのフィットをショップで相談して選びます。
中古品は費用を抑えやすい一方、ボードのひびや浸水、ウェットスーツの硬化やサイズを確認します。最初の一本と一着は、練習する海を知るショップへ相談する方が安心です。
最初に必要なもの
スクールへ持っていくもの
水着
バスタオル
濡れてもよいサンダル
着替え
飲料水
日焼け止め
健康保険証または必要な本人確認書類
常備薬
小さな防水袋
ボードとウェットスーツが料金に含まれるスクールなら、最初はこれだけでも参加できます。
水着はウェットスーツの下へ着ます。脱ぎ着しやすく、金具や大きな飾りが少ない物が向いています。
続けるなら用意したいもの
自分に合うウェットスーツ
サーフボード
リーシュコード
ワックス
ボードケース
着替え用ポンチョ
防水バッグ
ポリタンクや簡易シャワー
日焼け対策用品
冬ならブーツやグローブ
車で通う場合は、防水シート、濡れた道具を入れる容器、ボードを安全に固定する積載用品も役立ちます。
サーフィンを楽しむ一日の流れ
1.前日までに海と天候を確認する
確認するのは、晴れか雨かだけではありません。
波の高さ。
波が崩れる方向。
風の強さと向き。
潮の満ち引き。
雷の可能性。
気温と海水温。
スクールからの開催連絡。
海水浴場の遊泳区域。
駐車場や交通情報。
初心者のうちは、波情報を自分だけで解釈して開催を決めず、スクールや経験者の判断に従います。
波が小さすぎれば練習しにくく、大きすぎれば危険になります。「波があるほど楽しい」という単純なものではありません。
2.睡眠と食事を整える
サーフィンでは、パドルを繰り返し、波に押され、転んだあとにまたボードへ戻ります。
平均的には中程度以上の運動ですが、海況によって負荷は大きく変わります。
前日は睡眠をとり、深酒を避けます。空腹のまま入らず、直前に重い食事を取りすぎないようにします。
日本サーフィン連盟も、体調不良時は見合わせること、睡眠をとること、前日の深酒やサーフィン前の飲酒を避けることを安全対策として挙げています。
3.到着したら、すぐ海へ入らず観察する
海へ着くと、早く準備をして入りたくなります。
それでも、最初に数分は岸から様子を見ます。
どこで波が崩れているか。
人はどこから入っているか。
どこへ流れているか。
岸へ戻りやすい場所はどこか。
岩、消波ブロック、川の流れ込みがないか。
海水浴の遊泳区域と分かれているか。
混雑していないか。
日本サーフィン連盟も、海へ着いたらすぐに入らず、波の大きさ、水の流れ、水深、ほかのサーファーの出入りを観察するよう案内しています。初めての場所では、地元のショップやサーファーから情報を得ることも大切です。
4.陸上で身体を動かす
肩、背中、腰、股関節、足首をゆっくり動かします。
陸上で何度か立ち上がる動きを確認し、リーシュコード、フィン、ボード表面、ウェットスーツの状態も見ます。
リーシュコードは、ボードを完全に失わないための大切な道具ですが、切れないことを保証する物ではありません。
劣化、ひび、接続部のゆるみがないかを毎回確認します。
5.最初は短い時間で海へ慣れる
海へ入った直後は、身体が冷たさや波の力に慣れていません。
最初から沖を目指さず、指導者の案内に従い、足の届く範囲で波を受けます。
パドルを続けて息が上がったら、ボードにつかまり、呼吸を整えます。
疲れたあとに「あと一本だけ」と続けると、岸へ戻る力まで使ってしまいます。余力を残して上がることが大切です。
6.海から上がったら身体と道具を整える
海水を流し、身体を拭き、乾いた服へ着替えます。
夏でも風が強い日は冷えます。冬は、海から上がったあとに急いで着替えられる準備が必要です。
ボード、リーシュコード、ウェットスーツは真水で洗い、砂と塩分を落とします。
傷や破れがあれば、次回まで放置しません。
帰宅後は水分と食事をとり、肩や背中に強い疲労が残っていないかを確認します。
海で守りたいルールとマナー
サーフィンでは、スポーツ施設のように線や信号が引かれているわけではありません。
同じ海面を、経験の異なる人が共有します。
そのため、技術だけでなく、周囲を見て譲り合うことが欠かせません。
一本の波に一人が基本
波が崩れ始める場所に最も近い人が優先され、すでに誰かが乗っている波へ途中から入らないことが基本です。
波へ乗る前には左右を確認します。
気づかず邪魔をしてしまったときは、そのままにせず謝ります。
日本サーフィン連盟も、「一つの波には一人」を基本原則とし、ピークに近いサーファーを優先するルールを案内しています。
沖へ向かう人も、乗っている人の進路を避ける
波に乗っている人の前を横切らないようにします。
どちらへ避ければよいか分からないときは、無理に進まず、いったん止まります。
初心者向けエリアや混雑の少ない場所を選ぶことも、事故を減らす方法です。
遊泳区域へ入らない
夏の海水浴場では、時間帯や期間によって遊泳区域が設けられ、サーフィンが禁止されることがあります。
ロープやブイを越えず、現地の案内と監視員の指示に従います。
路上駐車や騒音を避ける
海は無料で使える場所に見えても、周辺には住んでいる人がいます。
早朝の大声。
車のドアを強く閉める音。
住宅前での着替え。
路上駐車。
私有地への立ち入り。
水道の無断使用。
ごみの放置。
こうした行動が続くと、地域とサーファーの関係が悪くなります。
指定された駐車場、トイレ、シャワーを使い、持ち込んだ物は持ち帰ります。日本サーフィン連盟の指導員向け資料でも、遊泳区域へ入らないこと、ごみを捨てないこと、路上駐車や海岸への車の乗り入れを避けることが示されています。
安全に楽しむために
サーフィンは、自然の中で行うスポーツです。
波が小さく見える日でも、流れ、地形、風、混雑によって危険は変わります。
「前回できたから今日も大丈夫」ではなく、その日の条件を毎回見直します。
一人で入らない
初心者の間は、インストラクターか、海と場所をよく知る経験者と一緒に入ります。
友人も初心者なら、二人いることが安全につながるとは限りません。
どちらも流れや危険を判断できない状態だからです。
カレントへ逆らい続けない
海には、岸から沖へ向かう流れが生じることがあります。
気づかないまま同じ場所へ戻ろうとすると、体力だけを使ってしまいます。
流されていると感じたら、慌てて岸へ一直線に泳ぎ続けず、ボードを浮力体として確保し、周囲へ助けを求めます。初心者は、カレントの位置と抜け方をスクールで必ず確認します。
ボードをむやみに手放さない
サーフボードは身体を浮かせる助けになります。
一方で、波に押されたボードは、ほかの人へ当たる危険もあります。
転ぶときは、周囲を確認し、頭と顔を腕で守ります。浮上するときも、真上にボードがないか注意します。
リーシュが付いていても、切れる可能性があります。自分の泳力を超える沖へ出ないことが基本です。
雷が聞こえたら、すぐに上がる
雷鳴が聞こえるときは、落雷が差し迫っています。
海上に残らず、速やかに海から上がり、丈夫な建物や車内など安全な場所へ避難します。気象庁も、雷雲が近づく様子があるときは速やかに安全な場所へ避難するよう案内しています。
地震を感じたら、海岸から離れる
海辺で強い揺れや長い揺れを感じた場合は、道具を片付けようとせず、すぐに海から上がって海岸を離れます。
避難場所と高台への経路は、海へ入る前に確認しておきます。津波警報や注意報が解除されるまでは、海へ戻りません。
暑さと日差しを軽く見ない
水の中にいても、熱中症になる可能性があります。
ウェットスーツは熱がこもりやすく、海上では日差しを遮る場所もありません。
夏は、海へ入る前後に水分と塩分を補給し、長時間続けず、陸で休憩します。環境省の指針では、暑さ指数が28以上で激しい運動を避け、31以上では運動を原則中止する目安が示されています。
冷えにも注意する
濡れた身体へ風が当たると、思った以上に体温が奪われます。
震えが止まらない。
手が動かしにくい。
言葉が出にくい。
判断が遅くなる。
こうした変化がある前に海から上がります。
季節に合うウェットスーツを使い、乾いたタオル、着替え、温かい飲み物を準備します。
危険生物とけがへ備える
海底には岩、貝殻、アカエイなどがいることがあります。
浅い場所でも強く踏み込まず、足を引きずるように動く方がよい地域もあります。クラゲやカツオノエボシなどの情報も事前に確認します。
刺されたり強く切ったりした場合は、自己流で処置を続けず、監視員や施設スタッフへ伝えます。
サーフィンならではの楽しさ
波に押される瞬間が、身体ではっきり分かる
波へうまく乗れたときは、誰かに引かれているわけでも、機械が動かしているわけでもないのに、ボードが急に前へ走り始めます。
その瞬間も、海へ入る前の準備や何度もの失敗が、一つにつながったように感じられます。
同じ場所でも、毎回違う
同じ海岸でも、波、風、潮、人の数は毎回変わります。通うほど、景色を見るだけでは気づかなかった自然の変化が見えてきます。
上達が、小さな感覚として積み重なる
初めて立てた日だけが節目ではありません。
ボードの中央へまっすぐ乗れた。
パドルで前へ進めた。
波に押される前兆が分かった。
周囲を見る余裕ができた。
前より疲れずに沖へ戻れた。
危ない波を見送れた。
数字にしにくい小さな変化が、少しずつ増えます。
海へ行く一日そのものが楽しみになる
早朝に出発し、海を見て、身体を動かし、帰りに食事をする。サーフィンを中心にすると、移動や帰り道まで休日の一部になります。近い海で二時間だけ楽しみ、昼には帰るような過ごし方もできます。
自然に合わせて諦めることも覚えられる
楽しみにしていた日でも、海へ入れないことがあります。
以前なら「せっかく来たのに」と思った場面で、今日は見送る、別の海を探す、岸で眺めるだけにするという選択ができるようになる。
サーフィンでは、挑戦する勇気だけでなく、引き返す判断も上達の一つです。
似ている海の趣味へ広げる
波や水辺の時間が好きになったら、サーフィン以外の楽しみ方も見えてきます。
ボディボード
短いボードへ腹ばいになり、足にフィンを着けて波へ乗ります。
立ち上がらずに波の速さを感じられるため、サーフィンとは違う姿勢と操作で楽しめます。ただし、海の流れや波に関する安全知識が必要な点は同じです。
ウィンドサーフィン
ボードへ帆を付け、風の力で水上を進みます。
波だけでなく風を読み、帆を操作する面白さがあります。
道具が大きく、初心者はスクールと専用ゲレンデから始める方が安心です。
SUP
大きく安定したボードの上へ立ち、パドルで水をかいて進みます。
穏やかな海や湖、川などでも行われ、景色を見ながら移動する楽しみがあります。風で沖へ流される危険があるため、場所選びとリーシュ、浮力体などの安全装備が大切です。
カイトサーフィン
大きなカイトで風を受け、ボードに乗って水上を進みます。
風を使った速度感や跳躍が魅力ですが、広い場所、専門的な道具、風の判断、操作技術が必要です。独学ではなく、必ず専門スクールから始めたい活動です。
同じ海の趣味でも、波に乗るのか、風を受けるのか、パドルで進むのかによって、面白さは大きく変わります。
続けると変わる楽しみ方
1.波に運ばれる感覚を知る
最初はスクールで、足の届く場所から白い波へ乗ります。
腹ばいのまま進む感覚、立ち上がる動き、転んだあとの戻り方を覚えます。
目標は、長く乗ることではありません。
海の力を感じながら、安全に一回の体験を終える段階です。
2.自分で波を選び、立ち上がる
数回続けると、どの波でも同じように乗れるわけではないと分かってきます。
波が近づく方向を見て、自分でパドルを始め、ボードが走り出す瞬間に立つ。
短い距離でも、自分の判断で一本へ乗れたとき、最初とは違う達成感があります。
3.進む方向と身体の使い方を覚える
まっすぐ岸へ進むだけでなく、波の崩れる方向に合わせて横へ走る練習が始まります。
目線、肩、腰、足の重心を少し変えることで、ボードの進み方が変わります。
同時に、混雑の少ない時間、風の影響、潮位による違いなど、海を選ぶ視点も増えていきます。
4.季節と場所の違いを楽しむ
慣れてくると、いつもの海だけでなく、季節や地域による波の違いへ関心が広がります。
ただし、知らない海ほど慎重さが必要です。
ローカルルール、海底の地形、流れ、駐車場所、危険区域を調べ、地元のショップから情報を得ます。
遠くの有名な波を追うことより、自分が安全に楽しめる条件を増やす段階です。
5.海へ通う時間を、自分の年間行事にする
長く続けると、上達だけが目的ではなくなります。
春は身体を慣らす。
夏は早朝の短い時間を選ぶ。
秋は水温が残る海を楽しむ。
冬は無理をせず、装備と体調を整える。
波や天候を記録し、道具を手入れし、海岸の清掃へ参加する。初めての人を案内するときは、自分が覚えたルールや撤退の判断も伝える。
サーフィンが、一本の波へ乗る趣味から、海との付き合い方を育てる趣味へ変わっていきます。
こんな日に合いやすい
海の近くで身体を動かしたい日。
日常とは違う自然の中へ出たい日。
短い時間でも、はっきりした達成感がほしい日。
同じ場所へ通いながら、毎回違う変化を楽しみたい日。
一つの動きを、焦らず少しずつ覚えたい日。
早朝から動き、午後はゆっくり過ごしたい日。
天候に合わせて予定を変える余裕がある日。
反対に、決めた日時に必ず実施したい日や、濡れること、砂、着替え、道具の手入れを負担に感じる日には、少し合いにくいかもしれません。
サーフィンは、行けば必ず理想の波へ乗れる趣味ではありません。
その不確かさを含めて、今日の海にできることを探す趣味です。
最初の目標は、きれいに立つことより安全にまた帰ってくること
初めてサーフィンへ行くと、ボードの上へ立たなければ、体験が成功したように感じられないかもしれません。
けれど、最初の一日には、立つこと以外にも覚えることがあります。
海へ入る前に波を見る。
インストラクターの説明を聞く。
リーシュコードを確認する。
周囲の人を見る。
転んだら頭を守る。
疲れる前に休む。
上がる合図に従う。
道具を洗い、無事に帰る。
腹ばいのまま一本の波に運ばれただけでも、岸から見ていた海とは違う景色があります。
立てなかったとしても、波がボードを押し出す瞬間が一度分かったなら、次に試したい動きが残ります。
サーフィンの楽しさは、最初から格好よく乗ることではありません。
自分では作れない波を待ち、その日にできることを一つ試し、海の状態が変われば無理をせず戻ること。
そして帰宅したあと、少し疲れた肩や、まだ耳に残る波の音を感じながら、「また海へ行ってみたい」と思えること。
その気持ちが残ったなら、最初のサーフィンは、十分に次の一本へつながっています。
休日のよりみち帖では、気軽に始められるものから、少し時間をかけて楽しみたいものまで、さまざまな趣味やレジャーを紹介しています。
「次の休日は何をしよう」と迷ったときに、新しい楽しみを見つける小さなきっかけになれたらうれしいです。
これからも、次にやってみたくなる趣味を一つずつ丁寧に紹介していきますので、ぜひフォローして、次の記事も覗いてみてください。
