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機織りの楽しみ方

はじめに

織り機へ張った何本ものたて糸を、上下に分ける。その間へよこ糸を通し、手前へ静かに打ち寄せると、離れていた糸が一段ぶんの布へ変わります。

次の段では、先ほどと反対になるようにたて糸を開き、再びよこ糸を通す。同じ動きを繰り返していくと、細い糸の集まりだったものが少しずつ面になり、色と手触りを持った一枚へ育っていきます。

機織りというと、大きな木製の織り機へ座り、足と両手を使って着物の反物を織る姿を思い浮かべるかもしれません。「自宅へ置くには場所を取りそう」「たて糸の準備が難しそう」「高価な道具がなければ始められないのでは」と、少し遠い手仕事に感じることもあります。

けれど、家庭で楽しむ手織りには、小さなコースターを作れる簡易的な織り機や、机へ置いてマフラーや布小物を織れる卓上織り機があります。最初から着物幅の布や複雑な文様へ進まず、小型の織り機で平織りを一枚完成させれば、たて糸とよこ糸から布が生まれる基本を味わえます。

機織りの魅力は、糸を横へ通す動きだけではありません。どの糸をたてに張るか、よこへどの色を入れるか、どの程度の力で打ち込むかによって、同じ材料でも布の厚みや表情が変わります。今回は、自宅で月2回ほど取り組む場合を想定し、織り機の選び方、費用、最初の作品、たて糸の準備、平織りの手順、糸の選び方、仕上げと保管まで紹介します。


機織りの基本情報

主な楽しみ方 織り機へたて糸を張り、よこ糸を交差させて、コースター、マット、マフラー、バッグ用の布などを織る

おすすめの頻度 月2回ほど。初めはたて糸の準備と織る日を分けてもよい

1回の制作時間 約60〜110分

短時間で楽しむ場合 約20〜35分から

準備と片付けを含む時間 約75〜130分

主な場所 自宅の机、ダイニングテーブル、卓上織り機を安定して置ける作業スペース

最初に必要なもの 小型または卓上の織り機、たて糸、よこ糸、シャトル、はさみ、メジャー

最初の作品 コースター、ミニマット、細いテーブルセンターなど

始めやすいところ 小さな織り機なら、少量の糸と限られた場所で平織りから試せる

難しく感じやすいところ たて糸を同じ強さで張ること、布の両端を狭めずに織ること、完成後の縮みを見込むこと

楽しさの中心 色や太さの違う糸を交差させ、自分で使える一枚の布を作ること

機織りでは、実際によこ糸を通す前の準備にも時間がかかります。短時間の日には糸を選ぶ、シャトルへ巻く、数段だけ織るというように工程を区切り、まとまった休日にたて糸を張る方法もあります。

機織りは、たて糸とよこ糸で布を作る技法

織物は、一定の方向へ張ったたて糸と、それに直角に通すよこ糸が交差することで作られます。最も基本的な平織りでは、よこ糸がたて糸の一本おきに上と下を通り、次の段では上下の関係が反対になります。

たて糸を一本ずつ手で持ち上げていては時間がかかるため、織り機には糸を上下に分ける仕組みがあります。卓上織り機では、穴と溝へ糸を通したヘドルやソウコウと呼ばれる部品を動かし、よこ糸を通すための隙間を作ります。

その隙間へ、よこ糸を巻いたシャトルを通します。通した糸は、ヘドルや筬、寄せ板などを使って手前へ寄せ、前の段と並べます。この動きを「打ち込む」と呼ぶことがあります。

たて糸を開く、シャトルを通す、よこ糸を寄せるという動きが、機織りの基本のリズムです。ただし、強く打ち込めば丈夫な布になるとは限りません。糸の太さと織り機の密度に合わせ、よこ糸が自然に並ぶ程度へ整えることが大切です。

機織りにかかる費用

入力データでは初期費用約1万円とされていますが、選ぶ織り機によって実際の金額は大きく変わります。厚紙製や小型の織り機でコースターを試す場合は数千円以内に収まりますが、40cm前後の布を織れる卓上織り機は、2万円台後半から4万円台ほどが中心です。

ミニ織り機から始める場合

小型の簡易織り機 約1,000〜3,000円前後

たて糸とよこ糸 約500〜2,000円前後

はさみやとじ針 手持ち品があれば0円

初期費用の目安 約1,500〜5,000円前後

小型の織り機では、コースター、ブローチ、壁飾りなどを作れます。織れる幅や長さは限られますが、たて糸を張り、よこ糸を交差させ、端を仕上げる流れを一作品で経験できます。

厚紙製のものは手頃ですが、繰り返し使ううちに溝や本体が傷むことがあります。長く続けることが決まってから、木製や樹脂製の丈夫なものへ替えても遅くありません。

卓上織り機を購入する場合

40cm前後の卓上織り機 約26,000〜43,000円前後

60cm前後の卓上織り機 約40,000円前後から

追加のヘドルやソウコウ 約5,000〜20,000円前後

追加のシャトル 1本または数本で約1,300〜1,800円前後

卓上織り機は、コースターだけでなく、マフラー、テーブルセンター、バッグ用の布などへ広げたい人に向いています。40cm幅でも本体は50cm前後の奥行きと幅を使うため、価格と一緒に設置場所、収納場所、重さを確認します。

織り機には、標準のヘドルやシャトルが付属していることがあります。最初から追加部品を買わず、付属品で織れる糸と作品を一つ試してから、使いたい糸の太さに合う部品を加えます。

体験講座から始める場合

短いコースター体験 約1,500〜3,000円前後

テーブルセンターなどの体験 約3,000〜5,000円前後

半日程度のマフラーや本格体験 約5,000〜10,000円以上

機織りは、織る動きだけを試す体験と、たて糸の準備から学ぶ講座で内容が大きく異なります。短時間体験では、既にたて糸が張られた織り機を使い、好きな色のよこ糸を選んで小さな布を織ることが一般的です。

自宅用の織り機を購入する前に、幅や操作の違う機種を使えることもあります。織っている時間だけでなく、糸の準備や仕上げまでどこまで含まれるかを確認します。

糸にかかる費用

小さなコースターなら、余り糸や一玉の毛糸の一部でも作れます。一作品の材料費は約200〜1,000円前後に収まることがあります。

マフラーやテーブルセンターでは、糸の素材、長さ、色数によって約2,000〜8,000円前後が目安です。絹糸、手染め糸、手紡ぎ糸などを使うと、さらに費用が上がることがあります。

たて糸は、作品の長さに加えて、織り機へ結ぶ部分や織れずに残る部分も必要です。完成寸法だけを見て購入すると不足することがあるため、使用する織り機の説明に沿って必要量を計算します。

教室で継続する場合

定期教室では、受講料、織り機の使用料、糸代が分かれていることがあります。本格的な教室では、月2〜4回、1回3時間前後をかけ、平織りだけでなく、織物の組織、デザイン、整経などを段階的に学びます。

卓上織り機の短期講座でも、複数回で数万円になる場合があります。自宅で一人で楽しみたいのか、複雑な模様や服地まで学びたいのかによって、必要な学び方を選びます。

年間費用の目安

ミニ織り機で小作品を月2回楽しむなら、年間約5,000〜15,000円前後が一つの目安です。卓上織り機を購入する年は、本体と材料を合わせて約30,000〜60,000円前後になることがあります。

翌年以降は糸と一部の道具が中心になり、年間約10,000〜30,000円前後で続けることもできます。高価な糸を使う、大きな作品を織る、教室へ通う場合は費用が増えます。

費用を抑える方法

最初は体験講座かミニ織り機で、平織りのコースターを一枚作ります。織る動きが好きか、たて糸の準備も含めて続けたいかを確かめてから卓上織り機を選びます。

糸も何十色も集めず、たて糸に一色、よこ糸に二色程度から始めます。編み物の余り糸を使う場合は、太さと伸び方を確認し、たて糸には切れにくく毛羽立ちの少ない糸を選びます。

機織りをおすすめする3つの理由

1.一本の糸が、目の前で布へ変わっていく

毛糸や綿糸は、手に取った段階では細い線です。けれど、たて糸の間へよこ糸を何度も通すと、交差した場所が隣り合い、少しずつ面になります。

十段ほど織っただけでも、指でつまめる布が現れます。さらに進めると、その面がコースターやマフラーの長さへ育っていきます。

編み物でも一本の糸から布を作れますが、機織りでは、あらかじめ張られた何本ものたて糸の間をよこ糸が進みます。一段ずつ布の幅全体が増えていくため、作業と完成部分の関係を目で追いやすいところが魅力です。

2.二方向の糸から、新しい色と質感が生まれる

青いたて糸に白いよこ糸を通すと、青一色でも白一色でもない表情が生まれます。見る距離によって細かな交差が見えたり、全体が淡い青のように見えたりします。

色だけでなく、糸の太さや質感も重なります。細い綿糸のたて糸へふっくらした毛糸を通せば、表面にやわらかな横の流れが現れます。布を細く裂いたものや、飾りのある糸をよこへ入れる方法もあります。

糸玉の状態では合わせにくいと感じた色でも、一本ずつ交差させると落ち着いて見えることがあります。糸を並べて選ぶ時間と、実際に織り上がる色の違いを味わえます。

3.織った布を、そのまま使うことも仕立てることもできる

小さな織物は、端を整えればコースターやマットとして使えます。細長く織ればマフラーやテーブルセンターになり、複数枚をつなげればバッグやクッションの表布にもなります。

織り機から外した瞬間が完成ではなく、フリンジを整える、洗って糸をなじませる、別の布と縫い合わせるなど、その後の仕立ても選べます。

一枚の布として眺めたい日も、暮らしの中で使いたい日もあります。織ることと裁縫をつなげられるため、続けるほど完成後の形も広がっていきます。

最初は体験か、小さな織り機から

卓上織り機の購入を考えている場合も、最初は短い体験に参加する方法があります。既に張られたたて糸へよこ糸を通す体験なら、織り機の動き、シャトルの持ち方、打ち込みの感覚を確かめられます。

ただし、体験で行う「織る作業」と、自宅で一作品を準備する工程は同じではありません。自宅では、作品の幅と長さを決め、必要なたて糸を測り、順番を崩さず織り機へ張る作業があります。

この準備を整経と呼びます。実際に織り始めるまで時間はかかりますが、たて糸の色と本数が布の土台になるため、機織りの大切な一部です。

小さな織り機では、枠の溝や突起へたて糸を往復させるだけで準備できるものがあります。最初はこの方法で布の構造を知り、その後、卓上織り機で長い布の整経へ進むと無理がありません。

自宅用の織り機を選ぶ

ミニ織り機やフレーム織り機

小さな枠へたて糸を張り、針やシャトルでよこ糸を通します。コースター、ブローチ、小さな壁飾りなどに向き、収納場所もあまり取りません。

たて糸を自分で一本ずつ拾うものや、簡単な寄せ板が付いたものがあります。織る速度は卓上織り機よりゆっくりですが、糸の上下関係を目で見ながら理解できます。

リジッドヘドル式の卓上織り機

ヘドルを上げ下げし、たて糸を二組に分けて平織りを行う織り機です。40cm前後の織り幅があれば、マフラー、ランチョンマット、バッグ用の布などを作れます。

比較的仕組みが分かりやすく、家庭の机へ置いて使えることから、趣味の手織りで選ばれることがあります。織れる糸の太さは、ヘドルの目の細かさによって変わります。

多綜絖の卓上織り機

複数の綜絖を使い、たて糸をさまざまな組み合わせで上下させる織り機です。綾織りなど、平織りより複雑な組織を作れます。

幅だけでなく奥行きがあり、糸を通す順序も複雑になります。初めから必要なものではなく、平織りと基本的な模様を経験したあとに検討します。

足踏み織り機

足で踏み木を操作し、両手でシャトルと打ち込みを行います。幅広い布や長い服地、複雑な織物に向きますが、本体が大きく、設置場所と床への配慮が必要です。

自宅へ置く前に教室で使い、身体の動き、音、必要な作業空間を確かめます。初心者が機織りを楽しむために、最初から足踏み織り機を所有する必要はありません。

最初に用意したい道具と材料

たて糸

たて糸は織り機へ強く張られ、織っている間にヘドルやシャトルと何度も触れます。切れにくく、伸びすぎず、表面の毛羽立ちが少ない糸が扱いやすいでしょう。

ふわふわした毛糸や節の大きな飾り糸は、ヘドルへ引っかかることがあります。初回は専用のたて糸、丈夫な綿糸、教材で指定された糸を使います。

よこ糸

よこ糸はたて糸ほど強く張られないため、毛糸、綿糸、リネン糸、裂いた布など、さまざまな素材を使えます。最初は、織った段が見やすく、太さが大きく変わらない糸が向いています。

一段の途中で糸の太さが急に変わると、布端や密度が不安定になることがあります。飾り糸を使う場合も、基本のよこ糸の間へ数段だけ加えるところから試します。

シャトル

シャトルは、よこ糸を巻いて、たて糸の隙間へ通す道具です。織る幅より少し長いもの、糸の量を多く巻けるものなどがあります。

小さな作品では、板状の簡単なシャトルで十分です。長いシャトルへ糸を多く巻きすぎると、たて糸の間を通しにくくなるため、作品の幅に合わせます。

メジャーと定規

完成幅、たて糸の長さ、織り進んだ長さを測ります。織り機の上では糸に張力がかかっているため、外したあとや洗ったあとに寸法が変わることがあります。

作品の途中でも数か所の幅を測り、左右が狭くなっていないかを確認します。目だけで判断するより、定規を近くへ置くと早く気づけます。

はさみととじ針

糸を切る小さなはさみと、太い糸を始末できるとじ針があると便利です。裂き織りをする場合は、布を裁つはさみも必要になります。

はさみは織り機の上へ置かず、決まった場所へ戻します。とじ針も糸へ刺したまま放置せず、針山やケースで管理します。

最初は買わなくてよいもの

多くの種類のヘドル、複雑な模様用のスティック、大量のシャトル、整経台、大型の糸棚は、最初には必要ありません。織り機に付属する道具と、最初の作品に使う糸だけで始めます。

糸も、色見本のように何十色も集める必要はありません。たて糸一色とよこ糸二色があれば、単色、横じま、色の切り替えを試せます。

初めてのコースターを織る流れ

1.完成する大きさを決める

最初の作品は、10〜15cm角ほどのコースターが扱いやすいでしょう。織り機から外したあとに少し縮むことを考え、実際には完成寸法より少し広く、長く織ります。

フリンジを残す場合は、その長さもたて糸へ加えます。織り機へ結ぶ部分や、最後まで織れずに残る部分もあるため、必要量は本体の長さだけではありません。

2.たて糸を張る

ミニ織り機なら、枠の溝や突起へ糸を往復させます。糸を一本ずつ強く引き締めず、全体が同じ程度の張りになるようにします。

一部分だけ強く張ると、織り進めるうちに幅がゆがみます。すべて張ったあと、指で軽く触れ、極端に緩い糸がないかを確かめます。

3.よこ糸をシャトルへ巻く

必要な量のよこ糸をシャトルへ巻きます。厚く巻きすぎると、たて糸の隙間を通りにくくなります。

色を替える予定がある場合は、使う順番に糸を並べます。何段ごとに替えるかを簡単に紙へ書いておくと、左右の色の流れをそろえやすくなります。

4.最初の数段を織る

たて糸を上下に分け、シャトルを通します。よこ糸を一直線に強く引くのではなく、少し斜めまたは弧を描くように置いてから手前へ寄せます。

一直線のまま強く引くと、たて糸が中央へ引き寄せられ、布幅が少しずつ狭くなります。よこ糸に必要な余裕を残してから打ち込みます。

5.平織りを続ける

一段ごとに、たて糸の上下を入れ替えます。同じ開き方のまま二段続けると、よこ糸が固定されず、元へ抜けることがあります。

打ち込みの強さもなるべくそろえます。数段ごとに布の長さと幅を測り、密度や両端を確認します。

6.色を替える

新しい色を始めるときは、糸端を布端に長く残すか、数本のたて糸へ重ねるなど、教材に合う方法でつなぎます。大きな結び目を作ると、その部分だけ布が盛り上がることがあります。

色の境目を一列ずつ替えれば細いしまになり、数段まとめれば太いしまになります。初回は二色程度に絞ると、糸端の始末も増えすぎません。

7.織り機から外す

必要な長さまで織ったら、作品を織り機から外します。たて糸を一度に短く切らず、仕上げに必要な長さを残します。

外すと張力がなくなり、織り目が少し動きます。強く引っ張らず、平らな場所へ置いて形を整えます。

8.糸端を仕上げる

たて糸を二本ずつ結んでフリンジにする、布の中へ通して隠す、別の糸で端をかがるなど、作品に合う方法を選びます。

よこ糸の端も、とじ針で数段の間へ通します。表から目立たない位置へ入れ、短く切りすぎないようにします。

たて糸の張り方が、織りやすさを決める

たて糸が緩すぎると、上下に分けたときの隙間が小さくなり、シャトルを通しにくくなります。反対に強く張りすぎると、糸や織り機へ負担がかかり、完成後の縮みも大きくなることがあります。

大切なのは、すべての糸を極端に強くすることではなく、張力をなるべくそろえることです。中央だけ強い、端だけ緩い状態では、織った面が波打ちやすくなります。

卓上織り機では、たて糸を巻き取る途中で紙やスティックを挟み、糸同士が食い込まないようにする方法があります。機種ごとの説明書に従い、自己流で部品を省かないようにします。

長い作品ほど、準備の小さな差が後半へ表れます。最初は短い作品を選び、たて糸を張るところから一度最後まで経験します。

布の端をまっすぐ保つコツ

初心者の織物で起こりやすいのが、織り始めより完成側の幅が狭くなることです。よこ糸を通すたびに強く引くと、左右のたて糸が中央へ寄っていきます。

よこ糸は、隙間へ通したあと、少し斜めに置くか、中央をわずかにふくらませます。その後に打ち込むと、上下するたて糸へ必要な長さを残しやすくなります。

布端では、よこ糸を緩く残しすぎても輪が飛び出します。シャトルを通したあと、端の糸がたて糸へ触れる程度に整え、強く締めない位置を探します。

数段ごとに定規で幅を測ります。狭くなり始めたら、次の段から少し余裕を増やし、早い段階で戻します。完成間際に左右へ強く引いても、織り込まれた幅は簡単には広がりません。

糸の太さと織り目の密度を合わせる

ヘドルやソウコウには、一定の幅の中へ何本のたて糸を通すかという違いがあります。目が細かいものは細い糸、目が粗いものは太い糸に向きます。

細い目へ太い毛糸を無理に通すと、上下へ動かしたときに引っかかります。粗い目へ細すぎる糸を使うと、隙間の広い布になることがあります。

よこ糸を強く詰めれば、すべての隙間を埋められるとは限りません。たて糸の本数、よこ糸の太さ、打ち込みの密度が合うことで、自然な布になります。

初めは織り機や教材が勧める糸を使います。別の糸へ替えたい場合は、短い試し織りを作り、手触り、透け具合、幅の縮みを確認します。

うまくいかないときの見直し方

布の幅が狭くなる

よこ糸を強く引いている可能性があります。次の段では糸を斜めに置き、両端へ少し余裕を残してから打ち込みます。

既に大きく狭くなった部分は、無理に広げるより、その幅を模様として生かす選択もあります。次の作品では数段ごとに測ります。

織り目が斜めになる

左右で打ち込みの強さが異なるか、たて糸の張りに差がある可能性があります。布全体を見て、どちらか一方だけ強く寄せていないかを確認します。

一段ごとに端から端まで同じ力で寄せます。織り機そのものが机へ斜めに置かれていないかも見直します。

よこ糸が飛んでいる

たて糸の上下を入れ替え忘れたり、シャトルが一部の糸を通り越したりすると、表面へ長い糸が浮きます。数段ごとに指でなぞり、飛びがないかを確認します。

気づいた位置まで戻せる場合は、よこ糸を静かに抜いて織り直します。長く進んでから無理に糸を引くと、周囲の密度も崩れます。

たて糸が切れた

切れた糸の前後を別の糸でつなぎ、同じ張力になるよう固定する方法があります。結び目の位置や補修方法は、織り機と作品に合わせます。

毛羽立ちや摩擦で何本も切れる場合は、たて糸の素材が織り機に合っていない可能性があります。そのまま続けず、ヘドルへの引っかかりや張りすぎを確認します。

打ち込みが均一にならない

最初は一段ごとの間隔に差が出ても不自然ではありません。数段まとめて強く押し込むのではなく、一段ずつ同じ動きで寄せます。

しま模様を織る場合は、同じ段数でも密度が違うと、色の幅がそろいません。段数と実際の長さを両方測ります。

平織りから広がる模様

横じまと格子

よこ糸の色を替えると横じまになります。たて糸にも複数の色を一定の順番で張れば、横じまと交差して格子模様が生まれます。

色の本数を数え、繰り返す順番を紙へ書いておくと、途中で迷いにくくなります。初めは二色の太いしまから試します。

糸の太さを変える

一部のよこ糸だけを太くすると、その段が布の表面へはっきり現れます。細い糸と太い糸を交互に使えば、触れたときにも凹凸を感じられます。

太さの差が大きいほど布端が不安定になることがあります。広い範囲で使う前に数段だけ試します。

透かし織りや模様織り

よこ糸をまとめたり、たて糸の一部を拾ったりすることで、隙間や浮き糸を模様として作れます。平織りとは違う道具や糸の扱いが必要になる場合があります。

基本の布幅と密度を安定させてから挑戦すると、意図した隙間と、張力の乱れによる隙間を見分けやすくなります。

裂き織り

古い布を細長く裂き、よこ糸として織り込む方法です。着なくなったシャツや着物地などを、新しい布へ再構成できます。

布の厚さや裂く幅によって仕上がりが変わり、縫い目や布端が表面へ現れることもあります。初めは薄手で傷みの少ない布を、同じ幅へ切って使います。

織り上がった布の仕上げ

織り機から外したばかりの布は、糸がまだ動きやすく、織り目も落ち着いていません。糸端を始末し、素材に合う方法で洗う、蒸気を当てるなどの仕上げを行うと、糸同士がなじみます。

水を通すと縮む素材もあるため、完成寸法には余裕を持たせます。綿、麻、毛、絹、化学繊維では、適した温度や洗い方が異なります。

毛糸の織物では、洗うことで繊維がふくらみ、隙間が落ち着くことがあります。強く揉むと意図せずフェルト化することもあるため、使った糸の表示と教材の手順を確認します。

フリンジは、複数のたて糸をまとめて結ぶ、撚り合わせる、短く切りそろえるなどの方法があります。バッグや小物へ仕立てる場合は、端を別布で包む方法も選べます。

仕上げ後は、平らな場所で形を整えて乾かします。完全に乾いてから幅と長さを測り、制作前の計画とどの程度変わったかを記録すると、次の作品へ生かせます。

自宅で安全に続けるために

卓上織り機は、水平でぐらつかない机へ置きます。本体が机の端からはみ出した状態や、滑りやすい布の上では使わず、必要に応じて滑り止めを使います。

ヘドル、巻き取り部分、折り畳み機構などには、指を挟む可能性があります。糸の引っかかりを直すときは動きを止め、無理に手を差し込みません。

はさみ、とじ針、ピックアップ用の道具は、織り機の上へ置かず、決まった容器へ戻します。落ちた針や折れた部品が、糸や作品の中へ残っていないことも確認します。

長時間織ると、同じ高さで腕を動かし、背中や首が前へ傾きやすくなります。織り機の高さと椅子を整え、30分から1時間ほどで手を止め、肩や手首を動かします。

大きな織り機や長い作品では、本体や巻き取った布にも重さがあります。移動や収納をするときは糸や部品を固定し、無理に一人で持ち上げないようにします。

続けるほど変わる五つの楽しみ方

第1段階 たて糸とよこ糸から、小さな一枚を織る

最初は小型の織り機で、平織りのコースターを作ります。たて糸を張り、よこ糸を一段ずつ通し、織り機から外して糸端を始末します。

布端が少し狭くなったり、打ち込みの間隔が変わったりしても、一枚を完成させることで、糸が布になる流れを経験できます。

第2段階 張力と布幅を安定させる

同じ大きさの作品をもう一枚織り、たて糸の張りと、よこ糸へ残す余裕を意識します。数段ごとに幅を測り、両端を強く引かない感覚を覚えます。

糸の太さに合う密度も少しずつ分かり、偶然できた布から、狙った幅と手触りへ近づけられるようになります。

第3段階 色、素材、模様を自分で選ぶ

平織りを安定して作れるようになったら、しま、格子、太さの違う糸、裂いた布などを取り入れます。たて糸とよこ糸の組み合わせを考え、短い試し織りで仕上がりを確かめます。

見本どおりに糸を通すだけでなく、どの色をどの幅へ置くかを自分で決める楽しさが加わります。

第4段階 織った布を作品群へ育てる

マフラー、テーブルセンター、バッグ用の布など、用途に合わせて幅と長さを設計します。同じ配色で小物を複数作ったり、季節ごとに素材を替えたりすることもできます。

草木で染めた糸や手紡ぎ糸を使えば、糸を作る工程から一枚の布までつながります。織ることが、素材選びや仕立てを含む作品づくりへ広がる段階です。

第5段階 糸と布の文化を、人や暮らしへつなぐ

さらに続けると、複雑な織物組織を学ぶ、足踏み織り機を使う、地域の伝統織物を訪ねる、展示へ参加するといった広がりが生まれます。織った布を仕立てて人へ贈る、制作記録を残す、教室で学びを伝えることもできます。

販売や指導を目標にせず、毎年一本のマフラーを織る、余り糸で小さなマットを作ることも十分に深い続け方です。この五段階は技術の優劣ではなく、糸と布への関心がどこへ広がるかを表しています。

あわせて楽しみたい関連する趣味

草木染め

草木染めは、植物から取り出した色を布や糸へ移す手仕事です。自分で染めた糸をたて糸やよこ糸へ使うと、植物の色が交差し、一つの織物として残ります。

糸玉の状態と織ったあとの色の見え方を比べられるため、染めと織りの両方をゆっくり深めたい人に向いています。


編み物

編み物は、毛糸の輪を針でつなぎ、小物や衣類を作る趣味です。同じ毛糸を使っても、編み目で作る布と、たて糸とよこ糸で作る織物では、伸び方や手触りが異なります。

余った毛糸をよこ糸として使ったり、織った布と編んだ部品を組み合わせたりすることもできます。


裁縫

裁縫では、布を測り、裁ち、手縫いやミシンで小物や衣類へ仕立てます。機織りで作った布をバッグ、ポーチ、クッションなどへ変えたいときに、縫い代や裏布、端始末の技術が役立ちます。

最初は織った小布を市販の布へ縫い付け、ポケットや飾りとして使うと、限られた織り幅でも暮らしの道具へ取り入れられます。


一本ずつ交差した糸が、一枚の布になる

織り機へたて糸を張ったばかりのとき、目の前にあるのは、同じ方向へ並んだ細い線だけです。そこへよこ糸を一段通しても、まだ布というより、糸が横切っただけに見えるかもしれません。

けれど、上下を入れ替えて二段目を通し、三段目、四段目と重ねると、指先で触れられる小さな面が現れます。その面は少しずつ長くなり、やがて織り機から外して使える一枚になります。

最初から大きな織り機や多くの糸をそろえる必要はありません。次の休日には、小さな織り機と二色の糸を用意し、コースター一枚から始めてみてください。

青いたて糸の間へ、白いよこ糸を通す。その交差した場所には、どちらか一色だけでは生まれなかった色と手触りが残ります。

一段ずつ糸を通し、その日の時間を布の長さへ変えていく。細い糸だったものが自分の手の中で一枚へ育つところから、機織りの楽しみが始まります。


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