ノルディックウォーキングの楽しみ方
いつもの遊歩道へ、二本のポールを持って立つ。
右足を前へ出すと、左手のポールが地面に触れる。腕を後ろへ送りながら地面を押すと、次の一歩が少しだけ前へ伸びます。
歩いている道も、履いている靴も普段と大きく変わりません。それでも、足だけで進んでいた散歩に腕の動きが加わると、身体の中へ新しいリズムが生まれます。
「ポールは杖のように前へ突けばよいのかな」
「普通のウォーキングと、どこが違うのだろう」
「歩き方を覚えるために、教室へ通う必要があるのかな」
ノルディックウォーキングは、左右二本の専用ポールを使って歩く運動です。もともとはクロスカントリースキー選手の夏季トレーニングとして行われ、1997年にフィンランドで、専用ポールを使う健康運動として紹介されたとされています。
ポールへ体重を預けて歩くことが中心ではなく、腕を自然に振り、地面を後ろへ押しながら前へ進むのが基本です。足だけで歩くときとは違うリズムが加わり、近所の公園や遊歩道でも、いつもの散歩とは少し違う時間を楽しめます。
ノルディックウォーキングの基本情報
一回の標準実施時間 約115分
短く楽しむ場合 約40分
準備や移動を含む総所要時間 約135分
想定頻度 月1回程度
主な場所 公園、遊歩道、河川沿い、広い歩道、自然散策路
一人での実施 基本動作を覚えたあとは一人でも続けやすい
複数人での実施 体験会や歩こう会へ参加しやすい
初心者の始めやすさ レンタルポールのある体験会から試せる
施設への依存 低く、歩行が認められた安全な道があれば行える
天候の影響 雨、強風、暑さ、路面状況によって予定変更が必要
115分あれば、準備運動を行い、平坦な道を歩き、途中で休憩を取りながらポールの動きを確かめられます。最初から長い距離を目指さず、前半は姿勢と腕の振りを確認し、後半に景色を楽しみながら歩くくらいが落ち着きます。
40分ほどの日は、近所の公園を一周するだけでも構いません。準備運動に十分ほど、歩行に二十分ほど、最後に呼吸を整える時間を取れば、短い休日にも取り入れられます。
ノルディックウォーキングの費用
初期費用 0円〜約36,000円
標準的な初期費用 約6,000円
一回の費用 0円〜約1,500円
標準的な一回の費用 約200円
年間費用 約4,400円
年間費用は、足に合う運動靴や動きやすい服をすでに持ち、近所の無料で歩ける場所へ月1回出かける想定です。ポールの購入費を複数年に分け、飲み物や先端パッドなどの小さな消耗品を加えた目安で、遠方までの交通費や有料イベントへの参加費は含めていません。
現在の初心者向け体験会には、参加費1,000円にレンタルポールと保険が含まれる例や、参加費1,000円にポールレンタル500円が加わる例があります。地域の公園や協会によって料金は異なりますが、道具を買う前に一度教わる入口は見つけやすいでしょう。
初期費用の中心は専用ポールです。価格を抑えた入門用から、軽量素材、折りたたみ式、細かな長さ調節ができるものまで幅があります。最初から高価なモデルを選ばず、体験会のレンタルで長さやグリップの感触を確かめてから購入すると、使いにくい道具を残しにくくなります。
一回ごとの費用は、近所なら飲み物程度です。季節の公園や観光地へ出かける場合は、交通費、駐車料金、入園料、昼食代を別に考えます。
3つのおすすめ
1.地面を押すたびに、歩くリズムが整っていく
ノルディックウォーキングでは、右足と左腕、左足と右腕を交互に動かします。最初はポールをいつ突けばよいのか迷いますが、普通に腕を振って歩き、ポールの先を自然に地面へ触れさせると、少しずつ左右の動きがつながります。
ポールが地面へ触れたあと、腕を後ろへ送るように押すと、身体が次の一歩へ進みます。前へ強く突くのではなく、歩く動きの中で地面を後ろへ送り出す感覚です。
歩調とポールの音がそろってくると、「足を動かさなければ」と考え続けなくても、身体全体が一つのリズムで進みます。速さや距離を競わなくても、数十歩だけ滑らかにつながったときに、小さな手応えが残ります。
2.同じ道でも、腕や背中の動きに気づける
普段の散歩では、足元や行き先へ意識が向き、腕がどのように動いているかを考えることは少ないものです。ポールを持つと、肩が上がっている、片方の腕だけ小さい、身体が前へ傾いているといった癖へ気づきやすくなります。
専用ポールを使って上下肢を動かすことは、通常のウォーキングより上半身も参加しやすい全身運動として紹介されています。ただし、強く押すほどよいわけではなく、肩や肘へ力を入れすぎず、無理のない姿勢で歩くことが基本です。
同じ公園を一周しても、腕が自然に後ろへ伸びた日と、肩へ力が入っていた日では、歩いたあとの感覚が違います。身体の小さな変化を見つけながら、次の一周で少し調整できるところに面白さがあります。
3.身近な道から、季節を歩く趣味へ広がる
ノルディックウォーキングは、特別な競技場へ通わなくても楽しめます。近所の公園から始め、慣れてきたら河川沿い、海辺、森林公園、花の咲く遊歩道へと場所を変えられます。
同じ道でも、春には花が増え、夏は木陰がありがたくなり、秋には落ち葉の感触が変わります。歩くことが中心なので、景色を眺める余裕も残しやすく、季節の変化を目的に出かける楽しみへつながります。
今日は距離を歩く日、次は写真を撮りながら進む日、別の日は体験会で仲間と歩く日。同じ二本のポールでも、休日に合わせて過ごし方を変えられます。
最初のコースでは、広さと人の流れを確認する
最初は、平坦で見通しがよく、道幅に余裕のある公園や遊歩道を選びます。腕を後ろへ振るため、狭い歩道、人通りの多い場所、自転車と歩行者が頻繁に交差する道は練習に向きません。
一周500メートルから1キロほどの周回路なら、疲れたときに途中で戻りやすく、ポールの動きだけを練習できます。急な坂、砂利、ぬかるみ、木の根が多い道は、基本のリズムが安定してからにします。
公園や施設によっては、ポールの使用場所や先端保護について決まりがあります。舗装路や木道では、先端へゴム製のパッドを装着し、音や傷を抑えます。混雑している場所ではポールを使わず、二本を身体の近くでまとめて持ちます。
景色のよい遠方コースより、トイレ、休憩場所、水分を補給できる場所が分かる近所の道のほうが、最初の練習には向いています。
最初のポールは、軽さより長さと手への収まりで選ぶ
ノルディックウォーキングでは、左右二本の専用ポールを使います。一般的な杖や登山用ポールとは、グリップやストラップ、地面を押す動作を想定した形が異なるため、用途を確認して選びます。
長さは、身長だけで機械的に決めず、実際に握ったときの肘の角度、歩き方、体力に合わせます。公式案内でも、専用ポールを適正な長さへ調整することが基本とされているため、初回はインストラクターに見てもらうと安心です。
固定式は構造が単純で軽く、長さ調節式は家族との共用や持ち運びに便利です。折りたたみ式は収納しやすい一方、組み立てや固定方法を毎回確認する必要があります。
グリップは強く握り続けず、手を開いたときにもポールが離れにくいストラップやグローブ部分のフィット感を確かめます。左右が決まっている製品もあるため、最初に装着方法を確認します。
初めての一日は、短い直線を往復する
最初に靴ひも、服装、ポールの長さを整え、肩、腕、足首を軽く動かします。日本ノルディックウォーキング協会も、運動前後のストレッチと、こまめな水分補給を基本として案内しています。
すぐにポールを突かず、まずは二本を持ったまま普通に歩きます。腕を自然に前後へ振り、ポールの先が後ろへ流れる感覚を確かめます。
次に、右足と左腕、左足と右腕が一緒に前へ出るように歩きます。短い直線を往復し、ポールが足へ当たらないか、肩へ力が入りすぎていないかを見ます。
動きがつながってきたら、ポールを地面へ触れさせ、腕を後ろへ送ります。強く押して歩幅を広げるのではなく、自然な歩幅を保ったままリズムをそろえます。
初回は二十分から三十分ほど歩き、疲れる前に終えます。最後にポールを外し、腕や肩を動かして呼吸を整えます。距離ではなく、左右の動きが数十歩つながったことを最初の目標にします。
最初に必要なもの
最低限必要なもの
ノルディックウォーキング用ポール、足に合う運動靴、動きやすい服、飲み物が基本です。初回はレンタルポールを利用できる体験会を選べば、新しく購入するものを減らせます。
あると便利なもの
帽子、タオル、日焼け止め、薄手の雨具、小型リュック、スマートフォンがあると、季節や距離の変化へ対応しやすくなります。両手でポールを持つため、荷物は手提げではなく背負える形にします。
続けるなら用意したいもの
自分の身長と歩き方に合う専用ポール、交換用の先端パッド、吸汗性のあるウェア、夜間や薄暗い時間に歩く場合の反射材やライトです。ポールは先端の摩耗や固定部分の緩みも定期的に確認します。
後回しにできるもの
高価なスポーツ時計、専用ウェア一式、長距離用の補給用品、複数種類のポールは、歩く頻度や好みが分かってからで間に合います。
安全に楽しむために
歩き始める前に、体調、天候、路面を確認します。雨で滑りやすい日、強風の日、雷が近づく可能性がある日は、予定を短くするか別の日へ変更します。
ポールの先は、自分の足や周囲の人へ向けません。立ち止まって話すときや横断歩道を渡るときは、腕を大きく振らず、二本を身体の近くへ寄せます。スマートフォンを見ながらの歩行も避けます。
肩、肘、手首へ力を入れすぎると、歩いたあとに違和感が残ることがあります。ポールを強く握らず、歩幅を無理に広げません。膝、腰、肩などに痛みがある人や治療中の人は、始める前に医師や専門家へ相談します。
暑い日は気温だけでなく、湿度や日差しを含む暑さ指数も確認します。環境省の運動指針では、WBGTが28以上で激しい運動を避け、31以上では運動を原則中止するとされています。朝や夕方へ時間を移し、木陰のある短いコースを選びます。
めまい、吐き気、強い息切れ、ふらつき、普段とは違う痛みが出た場合は、その場で中止します。症状が続く場合は、医療機関などへ相談してください。
続けるほど変わる五つの楽しみ方
1.体験会で基本の動きを知る
ポールを借り、長さの調整、持ち方、腕の振り方を教わります。一度に長く歩くより、正しいリズムを短く経験することが最初の一歩です。
2.近所の道で動きを再現する
体験会で習った動きを、公園の短い周回路で試します。肩へ力が入っていないか、左右が同じように動いているかを確かめます。
3.距離と歩く速さを選ぶ
体調に合わせて、一周だけの日、少し速く歩く日、休憩を多く取る日を分けます。記録より、その日に心地よく終えられる組み立てを覚えます。
4.季節や道の違いを楽しむ
河川沿い、森林公園、海辺などへ場所を広げます。路面や坂、風、景色の違いに合わせて、ポールの使い方と歩く速さを調整します。
5.地域の歩こう会や季節行事へつなげる
体験会やイベントへ参加し、同じ趣味を持つ人と歩きます。大会や長距離を目指さず、毎年花の季節に同じ公園を訪れることも、長く続く楽しみ方です。
五つは上達の順位ではありません。近所の短い道へ戻る、体験会で歩き方を見直す、暑い季節は休むなど、その時期に合う形を選べます。
あわせて楽しみたい関連する趣味
ウォーキング
ウォーキングは、特別な道具を使わず、身近な道を自分の速さで歩く趣味です。まず歩く時間を生活へ取り入れたい人や、ポールを使う日と使わない日を分けて楽しみたい人に向いています。
ハイキング
ハイキングは、自然歩道や低山、公園などを歩き、景色や休憩も含めて一日を楽しむ活動です。ノルディックウォーキングで歩く習慣ができ、もう少し長い自然の道へ出かけたくなったときにつながります。
ネイチャーウォーク
ネイチャーウォークは、植物、鳥の声、雲、地形などへ目を向けながら自然の中を歩く趣味です。速度や運動量だけでなく、立ち止まって季節の変化を見つけたい日に組み合わせられます。
二本のポールが、いつもの道へ新しい拍子を加える
最初は、右足と左手を同時に動かすだけでも考え込んでしまうかもしれません。
ポールが足へ当たったり、片方だけ音が大きくなったりする日もあります。それでも何度か歩くうちに、腕と足が自然に交互へ動き、地面を押した力が次の一歩へつながります。
最初の休日は、長いコースを探す必要はありません。
レンタルポールのある体験会へ参加するか、広い公園の短い直線で、二本のポールと一緒に十歩だけ進んでみる。その十歩にいつもとは違うリズムが生まれたら、次はもう少し先の木まで歩いてみたくなります。
休日のよりみち帖では、気軽に試せるものから、少しずつ時間をかけて深めていくものまで、さまざまな趣味やレジャーを紹介しています。「次の休日は何をしよう」と迷ったとき、新しい楽しみを見つける小さなきっかけになれたらうれしいです。これからも、思わず試してみたくなる趣味を一つずつ丁寧に紹介していきますので、ぜひフォローして、次の記事も覗いてみてください。
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