かご編みの楽しみ方
はじめに
細長いひもを縦と横へ交差させ、机の上に小さな格子を作る。
交互にくぐらせたひもを指先で寄せると、離れていた線が隙間の少ない底面へまとまります。周囲のひもを立ち上げ、同じ動きを一段ずつ重ねていけば、平らだった格子に壁が生まれ、少しずつ物を入れられる形へ変わっていきます。
かご編みは、細長い材料を組む、編む、巻く、差し込むといった動きによって、入れ物やバッグを作る手仕事です。籐や竹、あけび、柳などを使う伝統的なかごもあれば、家庭で扱いやすい紙バンドや樹脂製のバンドを使う方法もあります。
「材料を均等な幅へ割るところから始めるのではないか」「複雑な編み目を覚えなければ完成しないのでは」と感じるかもしれません。けれど、初めてなら、必要な長さへ切り分けた紙バンドを使い、底が四角い小さな収納かごから始められます。
紙バンドは、細い紙ひもを何本か横へ並べて接着した手芸材料です。はさみで切り、必要な幅へ裂き、木工用接着剤で固定できるため、大きな設備を使わず自宅の机で扱えます。
この記事では、自宅で月2回ほどかご編みを楽しむ場合を中心に、基本情報、費用、おすすめする理由、材料の違い、最初に作りやすいかご、必要な道具、編み方の流れ、形を整える工夫、安全な扱い方、続けるほど変わる楽しみ方を紹介します。
かご編みの基本情報
主な楽しみ方 紙バンドや籐などを交差させ、小物入れ、収納かご、トレー、バッグなどを作る
おすすめの頻度 月2回前後
一度に楽しむ時間 約90〜120分
短時間で取り組む場合 約35分から
準備と片付けを含む時間 約120〜140分
最初に作りやすいもの 底が四角い小物入れ、浅いトレー、持ち手のない収納かご
初心者に扱いやすい材料 紙バンド、クラフトバンド、加工済みの籐
主な道具 はさみ、定規、メジャー、鉛筆、木工用接着剤、洗濯ばさみ、目打ち
主な制作場所 バンドを長く伸ばせる自宅の机や床の作業スペース
始めやすさ 紙バンドなら少ない道具で始められるが、材料の長さを正確に測り、編み目を詰めながら形を保つ必要がある
天候の影響 室内で制作できるため少ない。ただし、紙の材料は湿気と水分を避けて保管する
難しく感じやすいところ 底を平らに組むこと、四隅を同じ高さへ立ち上げること、編む力を一定に保つこと
かご編みは、材料によって準備と作り方が変わります。紙バンドは乾いたまま切って接着できますが、天然の籐や柳は、折れずに曲げられる状態へ戻すため、水へ浸したり湿らせたりして使うことがあります。
初めての一作では材料を混ぜず、選んだキットや作り方に指定されたものを使います。紙バンドの手順をそのまま籐へ当てはめたり、天然素材を自己流で長時間水へ浸したりせず、それぞれの扱い方に従います。
かご編みにかかる費用
紙バンドを使うかご編みは、材料付きの手芸キットなら1,000〜3,000円ほどから試せます。道具も家庭にあるはさみや定規を活用できるため、初回から1万円分をそろえる必要はありません。
小さなかごの手芸キット 約1,000〜3,000円
紙バンドと基本道具を個別にそろえる場合 約2,000〜5,000円
数色の材料や参考書まで用意する場合 約4,000〜8,000円
バッグや大きな収納かごへ広げる場合 約5,000〜15,000円
小さなかご一作品の材料費 約500〜1,500円
持ち手付きのかごやバッグ一作品 約1,500〜4,000円
月2回、小型作品を中心に続ける場合 年間約15,000〜40,000円
紙バンドは、幅約15ミリの中に複数の細い紙ひもが並んだ状態で販売されています。短い5メートル巻きなら一色を試しやすく、必要な本数へ裂くことで、細い編みひもとしても使えます。
大きな作品では長い材料が必要になるため、30メートル以上の巻きを使うと途中の継ぎ目を減らせます。ただし、初回から何色も長巻きで購入すると、使い切れない材料と保管場所が増えてしまいます。
最初は土台と側面に使うベージュや茶系を一色、模様や縁へ使う色を一色ほど選びます。同じ材料でも、細く裂く、向きを変える、編み方を一段だけ変えることで、色数を増やさず表情を付けられます。
キットを購入するときは、紙バンドだけでなく、作り方、必要な長さ、完成サイズが明記されているものを選びます。接着剤、洗濯ばさみ、目打ちまで含まれるとは限らないため、自宅で用意する物も確認しておきます。
費用を抑えたい場合も、初めから梱包用の紙バンドを手芸用と同じように使えるとは考えないほうが安心です。硬さ、幅、接着状態、色落ちなどに違いがあるため、最初は作品作りを前提に販売されている材料を選びます。
かご編みをおすすめする3つの理由
1.平らな格子が、編むほど立体へ変わっていく
かごの制作は、底を作るところから始まります。縦と横へ材料を組み、隙間を詰めている間は、まだ平らな一枚にしか見えません。
周囲の縦ひもを上へ折り、横方向の編みひもを交互に通し始めると、平面に壁が生まれます。一段、二段と重ねるたびに高さが増し、机の上の材料が入れ物へ変わっていきます。
同じ材料を繰り返し交差させる作業ですが、一段ごとに完成へ近づいていることが目で分かります。短い時間に一周だけ編んでも、前回より少し高くなった形が残るため、途中で区切りながら続けられます。
編み目の間隔や材料を引く強さも、そのままかごの輪郭へ現れます。きつく引きすぎると口が狭くなり、緩いと外へ広がるため、手の動きと立体の変化を見比べながら整える面白さがあります。
2.素材の色と編み目を組み合わせられる
紙バンドには、木や籐を思わせる自然な色だけでなく、白、青、緑、赤、くすんだ色など、多くの選択肢があります。収納する部屋や、入れたい物から配色を考えられます。
底と側面を一色で作り、縁だけを濃くする。数段ごとに色を替える。持ち手の中央だけ別の色にする。基本の編み方が同じでも、色の置き方によって印象は大きく変わります。
材料の幅も表情へ影響します。幅を広く残せば、編み目が大きく、形も早く立ち上がります。細く裂けば、繊細な模様や曲線を作りやすくなりますが、その分だけ編む回数は増えます。
最初は複雑な模様へ進まず、広い材料で基本の形を作ると、かごの構造を理解しやすくなります。その後で細いひもや色の切り替えを加えれば、同じ形を少しずつ自分の作品へ変えていけます。
3.完成したかごを、収納や持ち運びに使える
かごは、完成後に暮らしの中で使える作品です。机の文房具、手芸用品、郵便物、ハンカチなど、置き場所が決まっていなかった小物へ定位置を作れます。
使う場所が決まっていると、作品の寸法にも意味が生まれます。棚へ入れるなら幅と高さを測り、机へ置くなら中身を取り出しやすい深さにする。作りたい形だけでなく、使う動作から大きさを考えられます。
実際に使うと、口が狭い、底が少し小さい、持ち手が高すぎるといった点にも気づきます。その感覚を二作目へ反映できるため、制作と日常が自然につながります。
紙バンドのかごは、籐や竹と同じ強度や耐水性を持つわけではありません。それでも、軽い室内小物を入れる用途から始めれば、自分で作った収納を暮らしへ無理なく取り入れられます。
かご編みに使われる主な材料
紙バンド・クラフトバンド
紙バンドは、紙製の細いひもを何本か並べ、帯状へ接着した材料です。はさみで切り、細く裂き、木工用接着剤で留められるため、家庭で始める入口に向いています。
軽く、色が豊富で、材料の幅を調整しやすいことも特徴です。小物入れ、収納かご、バッグ、季節飾りなど、さまざまな作品へ使えます。
一方で紙製なので、水濡れや高い湿度には強くありません。洗濯物、濡れた傘、食品を直接入れる用途は避け、基本的には乾いた室内で使います。
「エコクラフト」は特定メーカーの商品名で、紙バンドやクラフトバンドは、同じような構造を持つ材料を広く表すときにも使われます。作品の説明に商品名が指定されている場合は、幅や本数が合うものを選びます。
籐
籐は、熱帯や亜熱帯に育つつる性植物を加工した材料です。細くしなやかなものは編み材に、太いものは骨組みや持ち手に使われます。
乾燥したまま強く曲げると折れることがあるため、作り方に従って水へ浸したり湿らせたりします。紙バンドとは準備や力加減が異なり、編み始める前に材料の状態を整える必要があります。
天然素材らしい色と曲線を楽しめますが、初回から材料を自分で割り、厚みをそろえる必要はありません。長さと太さがそろった初心者向けの材料やキットを選びます。
竹、あけび、柳など
竹のひご、あけびのつる、柳の枝なども、地域や用途に応じてかごへ使われてきました。材料の採取、乾燥、割り、面取り、曲げといった準備にも技術があり、完成品にはその土地の暮らしや植物との関係が表れます。
家庭で加工済み材料を組むことと、素材を選び出して伝統的な生活道具を作る仕事は同じではありません。工芸品を鑑賞したり、職人や講師の教室へ参加したりすることで、材料の背景まで学べます。
自然のつるや枝を見つけても、採取できる場所か、材料として安全に使える植物か分からないまま持ち帰らないようにします。私有地や公園、保護区域では、落ちている物も自由に採取できるとは限りません。
樹脂製バンド
樹脂製のバンドや梱包用のPPバンドを編む方法もあります。水へ比較的強く、色が豊富な一方、紙バンドより硬く、切り口が鋭くなることがあります。
手芸向けに販売されている材料と、荷造り用では幅や硬さが異なります。初めて扱う場合は、作品制作を前提にしたキットを選び、切断面と固定方法を確認します。
初めてなら、四角い小物かごを作る
最初の作品には、底が12〜15センチ四方、高さが6〜8センチほどの小さな四角いかごが向いています。丸いかごより角の位置を確認しやすく、持ち手を付けなければ工程も増えません。
収納する物は、文房具、毛糸、布小物など、軽く乾いた物を想定します。重い瓶や割れ物を入れる前提にはせず、まずは形と編み方を覚える作品として作ります。
初心者向けのキットには、必要な長さへ近い状態で材料が入っているものもあります。すべてを一から測る場合でも、作品ごとに長さが示された作り方を使い、目分量で切り始めないことが大切です。
色は一色か二色へ絞ります。土台と側面を自然な色で作り、縁だけを別の色にすると、材料の切り替えが少なく、完成後にも変化が見えます。
持ち手、ふた、複雑な飾り編みは二作目以降に加えられます。最初の一作では、底を作る、ひもを立ち上げる、側面を編む、縁を始末するという基本を最後まで経験します。
最初に用意したい材料と道具
最低限必要なもの
紙バンド 作品に必要な長さと色。初回は一色または二色
手芸用のはさみ 紙バンドをつぶしすぎずに切れるもの
定規またはメジャー 長さを測る
鉛筆 切る位置と中心を薄く記す
木工用接着剤 紙へ使え、乾燥後に透明または目立ちにくくなるもの
洗濯ばさみやクリップ 接着部分を乾くまで押さえる
目打ち 編み目を広げ、材料の端を差し込む
紙バンドを裂く道具 幅を細く分ける作品で使う
作業用マット 机を接着剤や刃物から守る
浅い容器 切った材料と短い端を分ける
紙バンドを裂く道具がなくても、短い材料なら手で分けられる場合があります。ただし、長く均一な幅へ裂きたいときは、専用の道具を使うほうが途中で曲がりにくくなります。
目打ちは、材料を刺すためではなく、編み目の隙間を少し広げるために使います。先端を手へ向けず、机へ置くときは決まった場所へ戻します。
続けるなら用意したいもの
作品を繰り返すようになったら、方眼入りの作業マット、複数のクリップ、細かな位置を調整する平やっとこ、型崩れを防ぐ箱や容器が役立ちます。
四角いかごでは、作りたい内寸に近い箱を型として中へ入れ、側面を沿わせながら編む方法があります。丸いかごでは、円筒形の容器を補助に使える場合もあります。
バッグへ進むなら、持ち手、留め具、内布なども必要になります。ただし、持ち手を付ければすぐ日常の重い荷物を運べるとは限りません。材料と編み方に合った用途を考えます。
最初は買わなくてよいもの
多色の長巻き材料
大型の裁断機
何種類もの持ち手
金具や留め具一式
高価な編み台
業務用の接着剤
多数の専門書
かごの形を決めるのは、道具の多さではありません。必要な長さへ正確に切り、底を平らに組み、同じ力で側面を編む基本が先になります。
小さな四角いかごが完成するまで
完成サイズと材料の長さを確認する
作り方を読み、底の幅、奥行き、高さ、縦ひもと編みひもの本数を確認します。似た長さの材料が複数ある場合は、切ったあとに用途を書いた紙と一緒へまとめます。
紙バンドには、幅を構成する細いひもの本数があります。「6本幅」「12本幅」などの指定を見落とすと、同じ長さでも作品の寸法が変わります。
切断前に二度測り、鉛筆で小さく印を付けます。最初からすべてを細く裂かず、必要な部分だけを指定された幅へ分けます。
底の縦ひもを並べる
底の中心になる縦ひもを平行に並べ、間隔をそろえます。机へ軽く仮止めすると、横ひもを通すときに動きにくくなります。
端の位置だけを見るのではなく、中央の線も合わせます。左右の長さが大きく違うと、立ち上げたときの高さや縁の処理へ影響します。
横ひもを交互に通す
縦ひもの上、下、上、下と交互に横ひもを通します。次の段では上下を反対にし、格子を作ります。
一本通すたびに編み目を中央へ寄せ、隙間を整えます。後ですべてをまとめて詰めようとすると、材料が動き、底の形が崩れやすくなります。
四角い底では、縦と横が直角に交わっているかを定規や方眼で確認します。平行四辺形のように傾いている場合は、接着前に直します。
底を接着して安定させる
作り方で指定された重なりや交点へ、少量の接着剤を付けます。表面へ大きくはみ出さないよう、細いへらやつまようじを使います。
接着部分はクリップなどで押さえ、表示された時間を待ちます。完全に乾く前に強く折り曲げると、底の位置がずれることがあります。
すべての交点を接着するか、一部だけ固定するかは作り方によって異なります。自己流で全面を固めず、編むために動かす部分を残します。
縦ひもを立ち上げる
底から伸びている縦ひもを、かごの壁になる方向へ折り上げます。四隅の位置を先に決め、一本ずつ同じ角度へ立てます。
折り目を強くつぶしすぎると、紙の表面が割れたり、角だけが弱くなったりします。定規の角などを使い、必要な位置へ落ち着いて折ります。
中へ箱や容器を入れて型にする場合は、底面と大きさが合うことを確認します。縦ひもを輪ゴムやクリップで軽くまとめると、編み始めるまで倒れにくくなります。
側面を一段ずつ編む
横方向の編みひもを、立ち上げた縦ひもの前後へ交互に通します。一周したら材料の位置を整え、次の段へ進みます。
編みひもを強く引きすぎると、四隅が内側へ寄り、口が底より狭くなります。緩すぎると側面が外へ広がるため、数段ごとに上から見て形を確認します。
一周ごとに編み目を下へ寄せると、段の間へ大きな隙間が残りません。指だけで入りにくい場所は、目打ちで少し隙間を作ってから整えます。
編みひもを継ぐ
材料が足りなくなったら、目立ちにくい縦ひもの裏側で新しいひもへ継ぎます。端を少し重ね、作り方で指定された方法で接着します。
継ぎ目を同じ場所へ重ねると、その部分だけ厚くなります。段ごとに少し位置を変え、正面や角を避けます。
接着剤が乾くまでは、洗濯ばさみで押さえます。短すぎる端を無理に隙間へ押し込まず、必要な重なりを残します。
高さと形を確認する
予定の高さへ近づいたら、四辺を測ります。一方だけ高い場合は、編み目が十分に詰まっていない段や、縦ひもが傾いている場所を探します。
側面を強く押して形を直すより、上から見て編みひもの張りを少しずつ調整します。箱を型にしている場合も、ときどき抜けることを確認し、きつく編み付けすぎないようにします。
縁を始末する
必要な高さまで編んだら、縦ひもの余分な長さを処理します。内側へ折り込み、編み目へ差し込む方法や、別の帯を巻いて縁を作る方法があります。
縁は、かごを持つときに手へ触れる部分です。切り口や短い端が外へ出ないよう、一周を確認しながら整えます。
接着した部分はクリップで固定し、十分に乾かします。縁が完成するまでは、かごへ物を入れて形を広げません。
底のゆがみや側面の広がりを減らす工夫
かごが傾く原因は、側面を編む力だけではありません。底の格子が斜めになっている、縦ひもの中心がずれている、四隅の折り位置が違うことも影響します。
底を作る段階で、完成サイズと直角を確認することが大切です。少しのずれでも、壁を立ち上げると高さの違いとして見えやすくなります。
側面では、一段を編み終えるごとに、口の幅と奥行きを測ります。予定より狭くなっていたら、次の段を緩くするだけでなく、直前の段の張りを少し戻します。
編み目を詰めるときも、一か所だけを強く下げません。四辺を順番に回り、段全体を少しずつ底へ寄せます。
角が丸くなりすぎる場合は、縦ひもの折り位置を見直します。角だけを強くつまんで形を付けるより、底からまっすぐ立ち上がっているかを確認します。
完成直前に材料が足りなくなった場合は、予定より低いかごへ変更できることもあります。短い材料を無理につなぎ、縁を不安定にするより、使いやすい高さで安全に仕上げます。
編み方を少しずつ増やす
基本の交互編み
縦ひもの前後へ、編みひもを交互に通す最も基本的な編み方です。平編みや素編みなどと呼ばれることもあります。
構造が分かりやすく、初めの底や側面に向いています。同じ編み方でも、材料の幅と色を替えることで表情を変えられます。
追いかけるように編む方法
二本以上の編みひもを少しずらして使い、前後を交互に進める方法があります。丸いかごや、側面へ連続した流れを作るときに使われます。
編みひも同士の位置を見失いやすいため、基本の交互編みで形を保てるようになってから試します。
ねじるように編む方法
二本のひもを縦ひもの間で交差させながら進む編み方は、底の立ち上がりや縁にアクセントを付けられます。編み目が締まりやすく、模様としても見えます。
力を入れすぎると口が狭くなるため、数本ごとに形を確認します。
飾り編み
材料を斜めへ交差させる、輪を作る、別の色を差し込むなど、さまざまな飾り編みがあります。作品の全面へ使うだけでなく、中央の数段や縁へ少し取り入れられます。
最初から多くの技法を一作品へ入れるより、基本の編み方へ一種類だけ加えると、どこで形が変わったのかを理解しやすくなります。
安全に楽しむために気をつけたいこと
紙バンドのかご編みでは大きな機械は使いませんが、はさみ、目打ち、硬い材料の切り口を扱います。机を片付け、道具を使う場所と材料を並べる場所を分けます。
はさみは、長い材料を手で持ち上げたまま切らず、机へ置いて印の位置を確認します。細く裂いた材料の端は意外に硬く、指へ当たることがあるため、切り口を手のひらへ強く滑らせません。
目打ちは、編み目を開く方向へゆっくり差し込みます。刃先の先へ反対の手を置かず、使わないときはキャップを付けるか道具入れへ戻します。
接着剤は紙や木工へ対応するものを使い、製品表示に従います。制作中は飲食を避け、食品用の皿や容器を接着剤の受け皿へ使い回しません。
天然の籐を水へ浸す場合は、使用する材料の説明に沿った時間と方法を守ります。湿った材料や完成品は、カビを防ぐため十分に乾かしてから保管します。
長い材料は、椅子や足元へ垂れると引っ掛かります。必要な分だけ机へ出し、残りは巻いた状態でまとめます。
同じ姿勢で編み続けると、指、手首、肩へ力が入りやすくなります。一周または数段ごとに手を離し、作品を少し離れて眺める時間を入れます。
完成したかごの使い方と手入れ
紙バンドのかごは、乾いた室内で軽い小物を収納する用途に向いています。文房具、布、手芸用品、郵便物など、かごの大きさと強さに合う物を入れます。
水分を含む物、濡れた洗濯物、土の付いた野菜、液体の入った容器を直接入れるのは避けます。鉢カバーに使う場合も、鉢や受け皿から水が漏れないよう、かごとは別に防水を考えます。
ほこりが付いた場合は、乾いた柔らかなブラシや布で払います。水洗いやつけ置きはせず、ぬれた場合は形を整え、風通しのよい日陰で乾かします。
強い直射日光が続く場所では、色あせや接着部分の劣化が起こることがあります。窓辺や高温多湿の場所を避け、安定した室内で使います。
持ち手付きの作品は、接着部分や編み目が緩んでいないか定期的に確認します。見た目がバッグでも、作り方で想定されていない重い物を入れないようにします。
季節外の作品を保管するときは、上へ重い物を載せません。かごの中へ薄い紙を軽く詰めると、側面がつぶれるのを防ぎやすくなります。
人へ贈るとき、販売するときに考えたいこと
かごを人へ贈る場合は、何を入れるための作品か、どこで使えるかを伝えます。室内用、水洗い不可、重い物には使わないといった扱い方が分かれば、無理な用途を避けてもらえます。
縁、持ち手、材料の継ぎ目、接着部分を確認し、短い端や硬い切り口が出ていない状態へ整えます。底へぐらつきがある場合は、物を入れる前に直します。
販売する場合は、使用した材料、接着剤、完成寸法、重さ、耐水性の有無を記録します。同じ作り方でも、編む力によって寸法に多少の違いが出ることも伝えます。
市販のキットや書籍の作り方を使った作品は、完成品の販売が認められているとは限りません。趣味として作ることと、同じ作品を商品として複製することを分け、利用条件を確認します。
伝統的な籐や竹の工芸を参考にする場合も、紙バンドで作った家庭作品と、地域で継承される工芸品を同じものとして紹介しません。材料と制作方法を正確に伝えることが大切です。
続けるほど変わる五つの楽しみ方
かご編みを続けると、最初は材料を交互に通すことへ集中していた時間が、形、編み目、色、用途、素材の背景を考える時間へ変わっていきます。
ここで紹介する五つは、技術の優劣を分けるものではありません。小さな四角いかごへ戻る日も、材料を切りそろえるだけの日も含め、自分のペースで楽しめます。
第1段階 基本の編み方で小さなかごを完成させる
最初は、加工しやすい紙バンドを使い、底を組み、側面を立ち上げ、縁を始末します。少し傾いていても、物を入れられる形まで完成させることで、制作全体の流れが分かります。
実際に机や棚で使うと、次に変えたい幅や高さも見つかります。
第2段階 底と側面の形を安定させる
同じくらいの大きさの作品を繰り返すと、底の直角、編み目の間隔、材料を引く力の違いに気づきます。
一段ごとに寸法を確かめ、編み目を均等に詰められるようになると、口の広がりや傾きを抑えやすくなります。四角、丸、楕円という底の違いも少しずつ試せます。
第3段階 色と編み方を自分で組み合わせる
基本の形が安定したら、縁だけ色を変える、中央へ飾り編みを入れる、材料の幅を変えるなど、自分の選択を加えます。
同じ設計でも、自然な色でまとめれば収納用品に、明るい色を加えれば子ども部屋や季節飾りに似合う作品になります。
第4段階 使う場所に合わせて設計する
棚、机、玄関などの寸法を測り、置きたい物に合うかごを考えます。既存の作り方をそのまま拡大せず、底の本数、材料の長さ、側面の強さを計算します。
同じ色と編み目で大小のかごを作れば、部屋の収納にもまとまりが生まれます。持ち手やふた、内布を加え、使い方を広げることもできます。
第5段階 素材と工芸の背景へ目を向ける
紙バンドで編む基本を覚えたあと、籐、竹、あけび、柳などのかごにも関心が広がります。工房や教室を訪ね、素材の準備、地域ごとの編み方、生活道具としての形を学べます。
作品を贈る、展示する、販売する、作り方を伝えることも選べますが、毎年一つずつ自宅に必要なかごを作ることも十分に深い続け方です。以前の作品と並べると、編み目だけでなく、選ぶ色や形にも自分らしさが育っていることが分かります。
あわせて楽しみたい関連する趣味
編み物
編み物は、毛糸をかぎ針や棒針へ掛け、編み目を連ねて小物、バッグ、衣類などを作る趣味です。かご編みとは材料も道具も異なりますが、一定の動きを繰り返しながら、平らな状態から立体を作る感覚がつながっています。
かごの内側に入れる布袋や、持ち手へ巻く飾りを編めば、二つの手仕事を一作品へ組み合わせられます。
和紙工芸
和紙工芸では、和紙を切る、貼る、重ねることで、小箱、照明、飾りなどを作ります。紙バンドと同じ紙の素材を使いながら、編むのではなく、面と模様を生かす表現へ広げられます。
完成したかごの内側へ和紙を貼る、小さなタグや飾りを添えるなど、紙の違う表情を一緒に楽しめます。
ペーパークイリング
ペーパークイリングは、細い紙を巻き、花びらや葉などの形へ整えて組み合わせる紙工芸です。紙バンドを交差させて構造を作るかご編みに対し、細い紙の曲線と渦を生かした装飾を作れます。
かごの正面へ小さな花飾りを加えるほか、余った紙バンドや近い色の紙を使って、配色をつなげることもできます。
一本のひもを重ね、暮らしに合う形を編んでいく
かご編みは、複雑な模様を覚えるところから始まる趣味ではありません。
縦の材料を並べ、その上と下へ横の材料を一本通す。次の一本は順番を反対にし、編み目を指先でそっと寄せる。その単純な繰り返しが、やがて底になり、壁になり、物を入れられる形へ育っていきます。
最初から大きなバッグや、伝統的な天然素材のかごを目指さなくてもかまいません。手のひらより少し大きい四角いかごを作り、机の上で散らばっていた小物を入れてみるだけでも、編んだ形が暮らしの中で役立つ感覚を味わえます。
次の休日には、一作品分の紙バンドと作り方がそろった小さなキットを選んでみてください。接着する前にすべての材料を並べ、一本目を縦と横へ交差させるところから始めます。
編み終えたかごを棚へ置いたとき、そこには材料だった紙のひもではなく、自分の手で作った小さな居場所が一つ増えています。
休日のよりみち帖では、気軽に試せるものから、少しずつ時間をかけて深めていくものまで、さまざまな趣味やレジャーを紹介しています。「次の休日は何をしよう」と迷ったとき、新しい楽しみを見つける小さなきっかけになれたらうれしいです。これからも思わず試してみたくなる趣味を丁寧に紹介していきますので、ぜひフォローして、次の記事も覗いてみてください。
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