ドラムの楽しみ方
右手のスティックで、ハイハットを一定の間隔で刻む。
「チッ、チッ、チッ、チッ」と音が続く中へ、右足の低い一打と、左手の乾いた一打を加えます。ばらばらだった三つの動きが一度だけ重なると、数秒前まで単なる練習音だったものが、急に曲を前へ運ぶリズムへ変わります。
ドラムには、大きな音が出る、広い場所が必要、手足を別々に動かすのが難しいという印象があります。自宅では練習できず、最初から大きなセットを購入しなければ始められないと思う人もいるかもしれません。
けれど、最初の入口は一つではありません。スティックと練習パッドだけで手の動きを覚える方法もあれば、ヘッドホンをつないだ電子ドラムで手足を合わせる方法もあります。教室や練習スタジオで生のドラムセットを借り、自宅では静かな基礎練習だけを続ける形も選べます。
初日から速いフレーズや派手な演奏を目指す必要もありません。一、二、三、四と数えながら、同じ場所を同じ強さでたたく。その中へ一つずつ音を加えていくと、身体の動きから音楽の時間を作る面白さが見えてきます。
今回は、自宅を中心にドラムを始めたい人に向けて、ドラムセットの仕組み、現実的な費用、必要な道具、最初の練習、騒音と振動への配慮、安全面までまとめます。
ドラムは、複数の音を一人で組み合わせる楽器
一般的なドラムセットは、音の異なる太鼓とシンバルを、椅子へ座った一人の演奏者が手足で扱えるように並べた楽器です。
中央に置かれるスネアドラムは、裏側に張られた金属線によって、歯切れのよい音を鳴らします。足でペダルを踏むバスドラムは、低い音でリズムの土台を作ります。
左足で開閉し、右手などで刻むハイハットは、曲の細かな時間を示す役割を持ちます。タムは音の高さが異なる太鼓で、曲の節目や盛り上がりに使われます。クラッシュやライドなどのシンバルは、場面を大きく切り替えたり、広がりのあるリズムを作ったりします。
初心者がよく練習する「8ビート」では、ハイハットを八分音符で刻みながら、バスドラムとスネアドラムを決まった位置へ加えます。音の数は多くなくても、手足の役割が重なることで、ロックやポップスで耳にするリズムになります。
ドラムは、決められた順番を正しくたたくだけの楽器ではありません。同じリズムでも、音量、音の長さ、スティックを当てる場所、わずかな間の取り方によって、軽くも重くも聞こえます。
自宅での始め方は三つあります
住まいの広さや音の条件によって、適した入口は変わります。最初からドラムセットを購入する前に、どこまで自宅で練習したいかを考えます。
練習パッドから始める
練習パッドは、ゴムやウレタンの打面をスティックでたたき、手の動きや跳ね返りを確認する道具です。ドラムセットよりはるかに小さく、机の上へ置けるものや、専用スタンドへ取り付けるものがあります。
左右を交互にたたく、一定の音量を保つ、アクセントを一か所だけ強くするといった基礎練習に向いています。足の動きやセット内の移動は練習できませんが、少ない費用と場所から始められます。
ただし、「消音」と書かれた製品でも、スティックが当たる打撃音は出ます。机や床へ振動が伝わるため、置く場所と時間帯への配慮は必要です。
電子ドラムを自宅へ置く
電子ドラムは、ゴムやメッシュ素材のパッドをたたき、その信号を音源へ送ってドラムの音を鳴らします。ヘッドホンを使えば、増幅されたドラム音を部屋へ大きく出さずに練習できます。
スネア、タム、シンバル、バスドラム、ハイハットを実際のセットに近い位置へ並べられるため、手足を組み合わせた練習に向いています。メトロノーム、録音、採点やコーチ機能を備えた入門機もあります。
一方で、電子ドラムは完全な無音ではありません。パッドをたたく音に加え、バスドラムやハイハットのペダルを踏む振動が床へ伝わります。集合住宅では、製品の静かさだけでなく、建物の構造、設置位置、練習時間を含めて考えます。
生ドラムは教室やスタジオでたたく
アコースティックドラムは、太鼓の膜や金属製シンバルそのものを振動させるため、豊かな音量と身体へ返ってくる感触があります。その反面、一般的な住居で周囲を気にせず演奏することは難しくなります。
自宅では練習パッドを使い、週末だけ音楽スタジオで生ドラムをたたく方法なら、住まいへ大きなセットを置かずに続けられます。教室で基本を習い、空いている時間に個人練習へ入る形も現実的です。
スタジオでは、セット本体を借りられることが一般的ですが、スティックは持参する施設が多くなります。シンバルやペダルの追加料金、個人練習の予約条件、利用可能な時間帯を確認します。
初めての人向けの基本情報
主な楽しみ方 自宅でリズムと手足の動きを練習し、教室やスタジオで曲に合わせてドラムセットを演奏する
おすすめの頻度 週2〜3回を基本に、短い基礎練習を間へ挟む
普段の練習時間 1回20〜45分ほど
じっくり取り組む休日 休憩を含めて60〜100分ほど
短時間で楽しむ場合 5〜15分の練習パッドから
主な場所 自宅、音楽教室、練習スタジオ、楽器演奏が認められた音楽室
必要な人数 一人から。慣れたらバンド、セッション、合奏へ広げられる
天候の影響 室内中心のため受けにくいが、大きな機材を運ぶ日は雨や湿気へ配慮する
一回100分ほど使える日でも、同じ動作を休まず続ける必要はありません。手の基礎、足の練習、曲に合わせる時間を分け、途中でスティックを置いて身体を休ませます。
ドラム譜では、五線の位置や記号によって、たたく太鼓やシンバルを示します。音程を読むピアノ譜とは少し異なり、最初はハイハット、スネア、バスドラムの三つだけを覚えれば、基本的な8ビートを追えます。
ドラムにかかる費用
自宅練習を始めるだけなら、最初から30万円ほどのドラムセットを購入する必要はありません。練習パッドから始める場合と、電子ドラムを置く場合では、初期費用が大きく変わります。
「一回300円」と固定して考えるより、最初の道具、教室やスタジオを使う回数、スティックやヘッドの交換に分けると、現実的な予算を立てられます。
体験レッスンは、無料から3,000円ほど
音楽教室には、無料または2,000円前後の体験レッスンがあります。ドラムセットと椅子を教室側で用意しているため、楽器を持っていない段階でも参加できます。
体験では、スティックの握り方、椅子の高さ、バスドラムの踏み方を教わり、簡単な8ビートへ触れることが一般的です。上手に曲を演奏することより、音量や身体への振動を実際に感じる機会として利用します。
申し込み前に、スティックを借りられるか、個人かグループか、体験後に入会を求められる内容かを確認します。
練習パッドなら、合計8,000〜2万円ほど
入門用の練習パッドは、5,000〜1万2,000円ほどから選べます。スタンド付きの製品や、複数の硬さを持つものは少し高くなります。
スティックを1,000〜2,000円ほど、必要に応じてスタンドや防振用のマットを加えると、最初の予算は8,000〜2万円ほどです。自宅で手の練習をするだけなら、この構成でも長く使えます。
スティックは太さ、長さ、重さが異なります。初心者向けとしてよく使われる標準的な太さから試し、教室へ通う場合は先生が勧めるものを確認します。
電子ドラムは、合計8万〜18万円ほどから
入門向けの電子ドラム本体は、7万円前後から見つかります。上位の入門機や、パッドの感触、シンバル数、音源機能が充実したモデルでは、15万円前後になります。
製品によっては、ドラム用の椅子、スティック、ヘッドホン、マットが本体へ含まれません。これらを一からそろえると、本体価格に2万〜5万円ほど加わることがあります。
最初の予算は、次のように分けて考えます。
・電子ドラム本体 7万〜15万円ほど
・ドラムスローン 8,000〜2万円ほど
・スティック 1,000〜2,000円ほど
・ヘッドホン 3,000〜1万5,000円ほど
・マットや防振用品 5,000円ほどから
・必要に応じてモニタースピーカー 1万5,000円ほどから
ヘッドホン練習だけなら、最初からスピーカーを購入する必要はありません。反対に、家族へ演奏を聞かせたい場合や、ヘッドホンを使わずに確認したい場合は、電子ドラムに対応したモニターを検討します。
生ドラム一式は、14万〜30万円以上
初心者向けのアコースティックドラムには、太鼓、スタンド、シンバル、椅子、ペダルまで含む14万円台のフルセットがあります。シェルだけ、シンバルなし、椅子なしなど、同じ「セット」でも内容は異なります。
小型のドラムシェルと基本金具が6万〜8万円ほどで販売されることもありますが、シンバル、ハイハット、椅子、追加スタンドをそろえると総額は上がります。
本体代以上に大きな問題となるのが、演奏環境です。生ドラムを一般住宅へ置く場合は、近隣への音、床への振動、設置面積、防音室、空調まで考える必要があります。購入できる価格だからといって、自宅で演奏できるとは限りません。
初めの段階では、スタジオや教室のセットを借り、自分が欲しいサイズや音が分かってから検討する方が無理を減らせます。
スタジオ練習は、一回ごとに料金がかかる
音楽スタジオの個人練習は、地域や時間帯によって料金が異なります。平日昼間は利用しやすく、夜間や休日は高くなる傾向があります。
一人で一時間利用する場合は、1,000〜2,000円台から探せます。入会金、会員料金、前日や当日の予約制限、シンバルやツインペダルの追加料金が設けられることもあります。
月2回、一回一時間ほど利用するなら、年間で3万〜6万円ほどが目安になります。自宅へ電子ドラムを置く費用と比べ、どちらが生活に合うかを考えます。
教室へ通うなら、月1万〜1万5,000円前後から
大手音楽教室のドラムコースでは、月3回、グループで一回60分のレッスンが月額1万1,000円前後から設定されています。個人レッスンや土日のクラスは、少し高くなることがあります。
月謝のほかに、入会金、施設費、教材費が必要な教室もあります。発表会や追加レッスンは、通常の月謝と分けて確認します。
ドラムは自宅で生のセットを使いにくいため、教室で毎月確実にセットへ触れられることには大きな意味があります。独学を基本にしながら、最初の数か月だけ姿勢と基本リズムを習う方法もあります。
継続費は、スティックやヘッドを交換する時期に発生する
練習パッドや電子ドラムでは、毎回消耗品費がかかるわけではありません。スティックの先が欠ける、表面がささくれる、電子ドラムのパッドやケーブルに不具合が出るといった時期に交換します。
生ドラムでは、太鼓の膜であるドラムヘッドが消耗します。演奏時間やたたく強さによって交換時期は変わり、すべてを一度に替えるとは限りません。
最初から大量の予備用品を買わず、スティックを一組追加で持つところから始めれば十分です。
ドラムをおすすめする3つの理由
1.手足の動きが重なり、一つのリズムになります
ドラムでは、右手で一定の音を刻みながら、左手と右足を別の場所へ加えます。最初は、どれか一つを動かすとほかの手足まで同じ動きになりやすく、簡単なリズムでも思うようにつながりません。
それでも、右手だけ、右手と左手、最後に右足というように重ねると、一度だけ四拍が続く瞬間があります。身体の別々の動きが、耳には一つのリズムとして返ってくるところに、ドラムならではの手応えがあります。
慣れるほど、手足を完全に別々に動かすというより、複数の動きを一つのまとまりとして感じられるようになります。身体の内側にあった拍を、目に見える動きへ変えられる楽器です。
2.一打の位置で、曲の進み方が変わります
ドラムは、音の高さでメロディーを作ることより、「いつ音を置くか」を中心に表現します。スネアを少し強く鳴らせば曲の輪郭がはっきりし、バスドラムの位置を変えると前へ進む感覚が変わります。
一小節の最後に短いフィルインを入れると、次のサビや場面へ自然に橋をかけられます。反対に、あえて何もたたかない一拍を作ることで、次の音を大きく感じさせることもできます。
派手に多くの音を入れるだけが上達ではありません。曲に必要な一打を選び、音を置かない時間まで整えるほど、演奏は深くなります。
3.誰かと合わせた瞬間、役割がはっきりします
自宅では、曲やメトロノームに合わせて練習します。そこからベースやギター、歌と実際に合わせると、自分が作るリズムへほかの人の音が乗る感覚を味わえます。
テンポが少し速くなると全体も急ぎ、音量が大きすぎると歌が聞こえにくくなります。反対に、ベースとバスドラムが同じ位置で重なった瞬間には、別々の音が一つの大きなうねりになります。
ドラムは後ろで支える楽器に見えますが、曲の始まり、速度、区切り、終わりを示す役割も持っています。相手の音を聞きながら全体を動かすことが、合奏の大きな楽しさになります。
最初の道具は、住まいと練習目的から選ぶ
自宅で手の基礎だけを続けたいなら、練習パッドとスティックから始められます。教室やスタジオへ定期的に通えるなら、自宅に電子ドラムがなくても上達できます。
好きな曲へ毎週合わせたい、手足の動きを自宅で練習したい場合は、電子ドラムが候補になります。購入前には、音色や機能だけでなく、設置面積、ペダルの構造、打撃音を確かめます。
電子ドラムを店頭で試すときは、次の点を確認します。
・椅子を含めて自宅のスペースへ収まる
・パッドを自分の腕や脚に合う位置へ調整できる
・スネアの打面が小さすぎず、無理なく中央をたたける
・弱くたたいた音と強くたたいた音に違いがある
・ハイハットの開閉やバスドラムが自然に反応する
・パッド自体の打撃音が気になりすぎない
・ヘッドホン端子と外部音源の接続方法が使いやすい
・椅子、ペダル、スティック、ヘッドホンの付属状況が分かる
・将来パッドやシンバルを追加できるか
・保証と修理窓口を確認できる
本体をコンパクトに畳める機種でも、毎回完全に片付けるにはケーブルや高さを調整する手間がかかります。普段から置いておける場所を確保できるかも考えます。
中古の電子ドラムは費用を抑えられますが、センサーの反応、ケーブル、ペダル、ゴム部品、音源の端子などに消耗がある場合があります。すべてのパッドを弱く、強くたたき、反応しない場所がないか確認します。
最初にそろえたい道具
練習パッドから始める場合
・自宅環境に合う練習パッド
・標準的な太さのドラムスティック
・パッドを適切な高さへ置くスタンドや安定した台
・床や机への振動を和らげるマット
・メトロノーム、または対応するアプリ
・初心者向けの教材
スティックは、左右で同じ種類を使います。先端が割れたものや、大きく曲がったものを使い続けると、跳ね返りや音量がそろいにくくなります。
机へ直接パッドを置くと高さが低くなり、前かがみになりやすくなります。椅子へ座ったときに前腕が無理なく下がる位置へ打面を整えます。
電子ドラムを始める場合
・電子ドラム本体
・高さを安定して調整できるドラムスローン
・ドラムスティック
・有線ヘッドホン
・ドラムマットまたは防振用品
・電源と音源接続に必要なケーブル
・必要に応じて譜面台や端末スタンド
ドラムスローンは、一般的な椅子で代用すると、演奏中に高さが変わったり、ペダルを踏むたびに動いたりすることがあります。両足を使っても身体を安定させられるものを選びます。
ヘッドホンは、動いたときに外れにくく、長時間でも耳や頭が痛くなりにくいものを選びます。無線式は音の遅れが生じる場合があるため、演奏練習では有線が扱いやすくなります。
最初は買わなくてよいもの
・複数の追加シンバル
・ツインペダル
・高出力のモニタースピーカー
・録音専用の高価な機材
・大量のスティック
・上級者向けの複雑な教本
・用途の決まっていない交換パッド
・生ドラム用の専門的なチューニング用品
ツインペダルや追加シンバルは、弾きたい曲に必要だと分かってからでも遅くありません。最初は、ハイハット、スネア、バスドラムの三つを安定して使えることを優先します。
初めての35分は、一定の四拍を作る
初日は、一曲を通して演奏することより、椅子へ安定して座り、スティックの跳ね返りを感じながら四拍を続けるところまで進めます。
1.椅子の高さとペダルの位置を整える
ドラムスローンへ座り、足裏を無理なくペダルへ置きます。膝が極端に高くならず、太ももが床とほぼ平行か少し下がる程度から調整します。
電子ドラムでは、身体を基準にスネアの位置を決め、その周りへハイハットやタムを置きます。遠いパッドへ届くために肩や腰を大きく動かさずに済む位置を探します。
2.スティックを強く握り込まない
スティックは、親指と人差し指付近を支点にし、残りの指で包むように持ちます。手のひらへ強く押しつけず、たたいたあとに少し跳ね返る余裕を残します。
飛ばさないよう力を入れすぎると、手首や前腕が固くなります。最初は低い位置から軽く落とし、自然に戻ってくる動きを見ます。
3.左右交互に八回たたく
練習パッドやスネアを、右、左、右、左と交互にたたきます。「一と二と三と四と」と声に出し、一小節に八回の音を置きます。
速さより、左右の音量と間隔をそろえることを優先します。利き手だけが大きくなる場合は、弱い方へ合わせて全体を小さくします。
4.右手でハイハットを刻む
電子ドラムやセットがある場合は、右手でハイハットを八回たたきます。左手と右足はまだ動かさず、一定の速さを保ちます。
練習パッドしかない場合も、右手だけで八回たたき、ハイハットを刻んでいるつもりで音を短くそろえます。
5.二拍目と四拍目へ左手を加える
右手の八回を続けながら、「二」と「四」の位置で左手のスネアを加えます。難しければ右手を四回に減らし、両手が同時になる場所だけを確かめます。
音が止まっても、最初から何度もやり直す必要はありません。動きが崩れた一拍の手前へ戻り、二拍だけを繰り返します。
6.右足のバスドラムを加える
最後に、一拍目と三拍目へ右足を加えます。手と足をすべて一度に動かそうとせず、右手と右足、右手と左手という二つの組み合わせから確認します。
四拍が一度つながれば、初日は十分です。速くするより、同じ速さでもう一度再現できるかを試します。
7.好きな曲へ数小節だけ合わせる
ゆっくりした曲を選び、まずは右手のハイハットだけを合わせます。次にスネア、余裕があればバスドラムを加えます。
原曲の演奏をすべて再現しようとせず、簡単な8ビートで曲から外れずに進むことを目標にします。サビの四小節だけでも、自分のリズムが曲へ重なる感覚を味わえます。
週2〜3回の練習を続ける組み立て方
ドラムは、同じ動きを長時間続けるより、短い内容を集中して繰り返す方が変化を確認しやすくなります。週2〜3回を基本にしながら、時間がない日は五分だけ左右交互にたたきます。
30分練習する日は、次のように分けられます。
・3分 椅子とパッドの位置を整える
・5分 左右交互にゆっくりたたく
・5分 アクセントや音量をそろえる
・7分 手と足を二つずつ組み合わせる
・7分 曲の短い部分へ合わせる
・3分 録音を聞き、道具を片付ける
メトロノームを使うときは、最初から速いテンポへ合わせません。余裕を持って動ける速さを選び、八小節ほど続けられたら少しだけ上げます。
毎回テンポを速くする必要もありません。同じ速さで音量をそろえる、強くする場所を決める、余分な音を減らすといった練習にも価値があります。
曲を練習するときは、最初から最後まで何度も通すだけでなく、イントロ、Aメロ、サビなどに分けます。つまずく場所は一小節よりさらに小さくし、手だけ、足だけ、組み合わせという順に戻ります。
スマートフォンで短く録音すると、演奏中には気づきにくいテンポの揺れや音量差が分かります。映像も残せば、肩が上がる場所や、スティックの軌道が左右で異なるところを確認できます。
独学とレッスンを組み合わせる
ドラムは、動画や教本を使って基本リズムを独学できます。電子ドラムのコーチ機能や練習アプリも、一定の拍を確認する助けになります。
一方で、スティックの握り方、椅子の高さ、足の使い方、力の抜き方は、自分から見えにくい部分です。音は出ていても、手首や脚へ負担の大きな動きを続けている場合があります。
最初の数回だけでも先生に見てもらうと、自宅練習の基準を作れます。生ドラムの音量や反発を体験できることも、教室へ通う利点です。
教室を選ぶときは、次の点を確認します。
・大人の初心者を基礎から教えている
・スティックの持ち方と姿勢から確認してくれる
・好きな曲や目標を相談できる
・自宅が練習パッドだけでも進められる
・レッスンで生ドラムを使える
・月謝、施設費、教材費が明確
・振替や休会の条件を確認できる
・発表会への参加が任意か分かる
グループレッスンでは、ほかの人のリズムを聞く機会があります。個人レッスンでは、自分の姿勢や好きな曲へ時間を使いやすくなります。料金だけでなく、どちらの進め方が落ち着いて練習できるかで選びます。
電子ドラムでも、打撃音と床の振動は残ります
電子ドラムをヘッドホンで使うと、スピーカーから出るドラム音は抑えられます。それでも、スティックがパッドへ当たる音、ペダルが戻る音、足を踏み込む振動はなくなりません。
特にバスドラムは、足を使って床方向へ力を加えます。室内で聞く音が小さくても、固体を伝わる振動が階下へ届くことがあります。
設置するときは、次の点を整えます。
・壁や隣室へ接する場所を避ける
・厚みと安定性のあるマットを敷く
・必要に応じて防振用品を組み合わせる
・ラックやペダルの脚が床へ直接当たらないようにする
・椅子やペダルが動かない平らな場所を選ぶ
・早朝や深夜を避ける
・管理規約や同居する人の生活時間を確認する
マットを敷けば必ず演奏できるわけではありません。建物によって振動の伝わり方は異なるため、別の部屋や階下から音を確認してもらうと実態が分かります。
音を出せない時間には、譜面を読む、曲を聞きながら膝の上で手順を確認する、足を踏み込まずに動きだけを覚えるといった練習へ切り替えます。
耳と身体を守りながら演奏する
生ドラムとシンバルは、大きな音を出します。スタジオやライブで長時間演奏する場合は、音楽用耳栓や遮音性のある聴覚保護具を使います。
耳を守るために大切なのは、音量だけでなく、その音を聞く時間です。大きな音ほど安全に聞ける時間は短くなるため、休憩を挟み、耳鳴りや聞こえにくさを感じる前に音から離れます。
電子ドラムのヘッドホンも、周囲へ音が漏れないから安全とは限りません。曲に負けないよう音量を上げ続けず、小さな音から調節します。
耳鳴り、耳が詰まった感覚、聞こえ方の変化が残る場合は練習を止めます。繰り返す場合や回復しない場合は、医療機関へ相談します。
身体面では、スティックを強く握り続けないことが大切です。大きな音を出そうとして腕だけでたたくと、手首、肘、肩へ負担が集まります。スティックの跳ね返りを使い、必要以上に高く振り上げません。
バスドラムを踏むときは、椅子へ浅く座りすぎず、上半身が左右へ大きく揺れない位置を探します。腰、膝、足首に痛みが出た場合は続けず、椅子とペダルの位置を見直します。
20〜30分ほど練習したら、スティックを置いて手を開き、肩と腕を下ろします。鋭い痛み、しびれ、関節の違和感は、上達のために我慢するものではありません。
練習後の片付けと手入れ
練習後は、スティックの先端や側面に割れやささくれがないか確認します。傷んだスティックは、電子ドラムのメッシュヘッドを傷つけたり、演奏中に折れたりすることがあります。
電子ドラムのパッドや音源は、乾いた柔らかな布でほこりを拭きます。家庭用洗剤やアルコールを自己判断で使わず、取扱説明書に沿って手入れします。
ケーブルは強く引っ張らず、プラグ部分を持って抜きます。ラックへ巻き付けて強く曲げたままにせず、足や椅子へ引っかからないよう整理します。
練習パッドや電子ドラムは、直射日光、暖房器具、湿気の多い場所を避けます。スティックを床へ置きっぱなしにすると踏んで転ぶことがあるため、ケースや決めた場所へ戻します。
電子ドラムで、特定のパッドだけ音が出ない、弱くたたくと反応しない、音が二重に鳴るといった変化があれば、まずケーブルと設定を確認します。無理に分解せず、改善しない場合は販売店やメーカーの窓口へ相談します。
生ドラムでは、演奏後にスティックの木くずや金属部の緩みを確認します。チューニングは少しずつ行い、一か所だけを極端に締めません。
続けるほど変わる五つの楽しみ方
第1段階 同じ間隔で四拍を刻む
最初は、練習パッドを左右交互にたたきます。音の大きさがそろわなくても、途中で止まらず四拍を数えるところから始めます。
電子ドラムや教室では、ハイハット、スネア、バスドラムを一つずつ鳴らします。音の違いと、手足へ返ってくる感触を知る段階です。
第2段階 基本の8ビートを一小節つなぐ
右手でハイハットを刻み、二拍目と四拍目へスネアを加え、バスドラムで低音を置きます。最初は一小節ごとに止まり、同じ動きを再現します。
少しずつ四小節、八小節へ伸ばし、曲へ合わせます。複雑なフレーズより、一定の速さと音量を保つことが中心になります。
第3段階 一曲の構成を支える
イントロ、Aメロ、サビを覚え、曲の始まりから終わりまで演奏します。場面が変わる場所では、短いフィルインやシンバルを使います。
間違えても完全に止まらず、次の小節から戻る力を身につけます。個々のリズムだけでなく、一曲全体の道筋を見る段階です。
第4段階 音色、強弱、間を選ぶ
同じ8ビートでも、ハイハットを閉じるか少し開くか、スネアをどの位置でたたくかによって音色が変わります。小さな音と強い音を組み合わせ、曲の盛り上がりを作ります。
音数を増やすだけでなく、歌を聞かせる場所では静かにし、次の展開前に余白を置きます。自分が目分が目立つことより、曲全体へ必要なリズムを選べるようになります。
第5段階 ほかの音を聞きながら、演奏を動かす
バンドでは、ベースの低音、ギターの刻み、歌の呼吸を聞きながらドラムを演奏します。毎回同じ形を繰り返すだけでなく、その場の音量やテンポに応じて少しずつ調整します。
ライブ、セッション、録音、動画制作、地域の演奏活動など、続け方はさまざまです。人前へ出なくても、自分で曲へドラムを付け、演奏記録を残すことで、リズムを作る楽しみを深められます。
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カホン
カホンは、木箱のような本体へ腰かけ、正面を手でたたく打楽器です。中央付近から低い音、端から乾いた高い音を出し、少ない道具で曲のリズムを支えます。
ドラムセットより構成は小さいものの、低音と高音を組み合わせる考え方にはつながりがあります。スティックを使わず、手のひらで音色を作る打楽器にも触れてみたい人へおすすめです。
ジャズ
ジャズでは、ドラムが決まったリズムを繰り返すだけでなく、ピアノやベース、管楽器の演奏へ反応しながら音を変えます。ライドシンバルの刻み、ブラシの音、短い合図にも、奏者同士のやり取りが表れます。
ドラムを始めたあとに聞くと、音数の多い演奏だけでなく、弱い一打や休符の意味にも気づきやすくなります。ベースとドラムが作る流れを追うところから楽しめます。
音楽
音楽を聞くときにドラムだけを追うと、曲の始まり、サビへ入る合図、音量が下がる場所など、これまで気づかなかった構成が見えてきます。同じ8ビートでも、曲によってバスドラムの位置やハイハットの細かさが異なります。
好きな一曲を選び、まず右手の音、次にスネア、最後に低いバスドラムを探すと、自宅練習の題材にもなります。演奏できない日にも、耳からリズムを深められる趣味です。
一つの四拍から、曲を動かす時間が始まる
最初は、右手へ意識を向けると左手が止まり、右足を踏むと両手まで同じタイミングで動くかもしれません。同じ場所をたたいているのに、左右で音量が違う日もあります。
それでも、右手の八回が途切れずに続く。二拍目と四拍目へ左手が一度だけ入る。原曲のバスドラムと自分の右足が重なる。そんな小さな一致が増えるたび、身体の動きは少しずつ音楽へ変わっていきます。
最初の休日は、スティックを一組借り、教室や楽器店で練習パッドを八回だけたたいてみるところからでも十分です。右、左と交互に動かし、四拍を声に出して数える。その短いリズムが心地よく続いたなら、ドラムを始める入口はすでに開いています。
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