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ハーバリウムの楽しみ方

はじめに

細長いガラス瓶の横へ、淡い色の花を並べる。

一番下へ小さな紫陽花を入れ、その上に細い茎の花を重ねる。透明なオイルを瓶の内側へ沿わせるようにゆっくり注ぐと、乾いて軽かった花材が少しずつ色を深め、光の中へ浮かんでいきます。

ハーバリウムは、本来は植物標本を表す言葉です。現在のクラフトでは、ドライフラワーやプリザーブドフラワーなどを透明な瓶へ入れ、専用オイルに浸して鑑賞するインテリア作品を指すことが多くなっています。

「オイルを扱うなら難しいのでは」「花を瓶の中へきれいに置けるのだろうか」と感じるかもしれません。けれど、初めは高さ15センチほどの小さな瓶と、二、三種類の乾燥花材を使えば、自宅の机でも一作品を完成させられます。

花を入れたあとにオイルを注ぐという工程はシンプルですが、花材の量、色の重なり、光が通る余白によって、仕上がりは大きく変わります。花をぎっしり詰めるのではなく、透明な部分まで一つの景色として残すことが、ハーバリウムらしい見え方につながります。

この記事では、自宅で月2回ほどハーバリウムを作る場合を中心に、基本情報、費用、おすすめする理由、瓶と花材の選び方、必要な道具、制作の流れ、花が浮くときの工夫、飾り方、安全なオイルの扱い、続けるほど変わる楽しさを紹介します。


ハーバリウムの基本情報

主な楽しみ方 乾燥させた花や葉を透明な瓶へ配置し、専用オイルを注いで室内用の植物装飾に仕立てる

おすすめの頻度 月2回前後

一度に楽しむ時間 約60〜110分

短時間で取り組む場合 約35分から

準備と片付けを含む時間 約90〜130分

最初に作りやすいもの 容量100〜150mlほどの細長い瓶を使った一色または二色の作品

主な材料 ハーバリウム専用オイル、密閉できるガラス瓶、ドライフラワー、プリザーブドフラワー

主な道具 長いピンセット、はさみ、オイルを注ぐノズル、作業面を覆うシート、拭き取り用の紙

主な制作場所 平らで安定し、火気や食品から離れた自宅の机

始めやすさ 少ない道具で一作品を作れるが、瓶と花材を十分に乾かし、オイルをこぼさず扱う必要がある

天候の影響 室内で制作できるため少ない。ただし、湿度の高い場所で保管していた花材は、乾燥状態をよく確認する

難しく感じやすいところ 細い瓶の中で花の向きを整えること、花材の浮き上がりを抑えること、光を通す余白を残すこと

基本のハーバリウムでは、瓶の中へ水を入れません。生花にも水分が多く含まれているため、切り花をそのままオイルへ入れることも避けます。

使用するのは、十分に乾燥したドライフラワーや、保存加工されたプリザーブドフラワーなどです。瓶や花材に水分が残ると、作品の濁りやカビ、花材の傷みにつながるため、見た目が乾いているだけで判断せず、使用する材料の説明を確認します。

ハーバリウムにかかる費用

ハーバリウムは、材料付きキットを使えば2,000〜3,500円ほどから試せます。現在販売されているキットには、150mlの専用オイル、ガラス瓶、紫陽花やかすみ草などの花材、装飾材、ピンセットが含まれ、税込2,016円の商品があります。

一作品分のキットから試す場合 約2,000〜3,500円

瓶、オイル、花材を個別にそろえる場合 約3,000〜6,000円

長いピンセットや収納用品までそろえる場合 約4,000〜8,000円

複数の瓶や花材の色をそろえる場合 約8,000〜15,000円

容量100〜150mlほどの一作品 約700〜1,800円

花材を多く使う大きな一作品 約1,500〜3,500円

月2回、小さな作品を中心に続ける場合 年間約20,000〜50,000円

費用の中心になるのは専用オイルと花材です。500ml入りのミネラルオイルには税込2,178円の販売例があり、200mlのガラス瓶は300円台の例があります。瓶二、三本分をまとめて作ると、オイルを一度に使いやすくなります。

ただし、初回から大容量のオイルを購入する必要はありません。自分が制作を続けたいか確かめる段階では、一作品分のオイルと花材がそろったキットのほうが、余りや買い忘れを減らせます。

材料を個別に選ぶ場合は、花材を多く買いすぎないことが大切です。小さな袋に入った紫陽花やかすみ草でも、細かく分ければ複数の作品へ使えます。

瓶の形を増やすことでも費用は上がります。円柱、四角、六角、電球形、丸い瓶などがありますが、初めは底が平らで倒れにくく、口から長いピンセットを入れやすい瓶を一種類だけ選びます。

金色の飾り、ガラス片、ビーズ、ラメなどは、作品の方向が決まってから追加できます。最初は花材とオイルが見せる透明感を確かめ、必要を感じた装飾だけを買い足すほうが、材料を無駄にしません。

ハーバリウムをおすすめする3つの理由

1.透明な空間の中に、花の位置を決められる

ハーバリウムでは、花を机の上へ並べるだけでなく、瓶の底から上まで続く細長い空間へ配置します。下に重い花材を置くのか、細い花を斜めへ伸ばすのか、上側を空けて光を残すのかによって、同じ材料でも違う景色になります。

花材を瓶へ入れる前に、瓶の横へ完成形を並べてみると、色と高さを考えやすくなります。下から入れる順番も見えてくるため、途中で何度も花を引き出して傷めることを減らせます。

瓶の中では、正面からきれいに見えても、横から見ると花が重なっていることがあります。瓶を少しずつ回し、どの方向からも花材が一か所へ集まりすぎていないかを確認します。

透明なオイルを注ぐと、乾いて白っぽく見えていた花が色を深め、輪郭も少し違って見えます。完成前と完成後の変化を想像しながら配置するところに、ハーバリウムならではの面白さがあります。

2.花だけでなく、光と余白を材料にできる

ハーバリウムは、瓶の中を花で満たすほど美しくなるとは限りません。花材を詰め込みすぎると光が通りにくくなり、透明なオイルの存在も分かりにくくなります。

花と花の間へ細い光の道を残す。瓶の上側へ何もない部分を作る。淡い花の後ろへ、少しだけ濃い色を置く。その余白があることで、一輪ずつの形が見えやすくなります。

窓から離れた明るい棚、白い壁の前、照明がやわらかく当たる机など、飾る場所によって光の見え方も変わります。直射日光を避けながら、横や後ろから入る室内の光を楽しめます。

濃い色の作品と淡い色の作品を並べると、オイルを通る光にも違いが出ます。一作品の中で色を増やすだけでなく、瓶ごとに配色を分けて、小さな組み合わせを作ることもできます。

3.季節の花を、小さな瓶の中へまとめられる

春は淡い桃色、夏は青と白、秋は実や深い赤、冬は緑と銀色というように、季節を色で表せます。実際の花の種類へ厳密に合わせるだけでなく、その時期に感じた空気や景色を配色へ置き換えられます。

旅行先や記念日の花を自分で乾燥させて使いたくなることもあります。ただし、思い出の花だからといって、十分に乾いていない状態で入れることはできません。まずは花の一部を適切に乾燥させ、色落ちやオイルとの相性を小さく試します。

花だけでなく、細い葉、穂、木の実、果実の薄片などを使える場合もあります。どの素材も水分が残っていないことと、使用する専用オイルへ適していることが前提です。

季節が過ぎても作品として残るため、数か月ごとに並べ替える楽しみもあります。以前作った瓶と新しい瓶を比べると、自分が選びやすい色や、余白の取り方も見えてきます。

オイルは専用品を選ぶ

ハーバリウムには、主にミネラルオイルやシリコーンオイルを使った専用品が販売されています。粘度や比重、引火点などの性質が製品ごとに異なるため、名称が似ていても同じ扱いができるとは限りません。

粘度が低いオイルでは、瓶を動かしたときに花材も動きやすくなります。粘度が高いものでは、花の動きがゆっくりになりますが、瓶へ注ぐときに容器へ残りやすくなる場合があります。自分で成分を推測せず、ハーバリウム用として販売され、取扱説明や安全データを確認できる製品を選びます。

複数のオイルを一つの瓶へ混ぜることも避けます。ミネラルオイルとシリコーンオイルなど、異なる種類を混ぜると白く濁る場合があります。

食用油、化粧用オイル、洗濯のりなどを、透明だからという理由だけで代用しません。酸化、におい、粘度、安全性、花材との相性が異なり、長く飾る作品には向かないことがあります。

香りを加えるフレグランス用のオイルは、一般的な観賞用ハーバリウムオイルとは性質や引火点が異なる場合があります。香りのない観賞作品を作るなら、まず一般的なハーバリウム専用オイルから始めます。

最初の瓶は、細すぎない小さなものを選ぶ

初めてなら、容量100〜150mlほどで、高さ12〜17センチ前後の瓶が扱いやすくなります。小さな瓶なら必要なオイルと花材が少なく、作品全体を一度に見渡せます。

口が極端に細い瓶は、入れられる花材が限られ、位置を直すことも難しくなります。長いピンセットを無理なく入れられ、花を押しつぶさず通せる口径を選びます。

四角い瓶は机へ置いたときに転がりにくく、正面を決めて配置できます。円柱形はどの方向からも眺めやすく、瓶を回したときの見え方を楽しめます。

球形や電球形の瓶は印象的ですが、曲面によって光が集まる可能性があります。瓶の形にかかわらず直射日光を避け、とくに丸みの強い容器は窓辺へ置かないようにします。

蓋は、オイルを入れることを前提にした、密閉性のあるものを選びます。食品の空き瓶を再利用する場合は、におい、油分、水分を完全に取り除けるか、蓋が劣化していないかを確認します。

最初は専用ボトルを使うほうが安心です。見た目のかわいらしさだけでなく、底の安定、口の広さ、蓋の閉まり方を比べます。

花材は「乾いていること」を最優先にする

ドライフラワー

ドライフラワーは、乾燥によって水分を抜いた花材です。かすみ草、スターチス、細い穂などは、瓶の中へ線と細かな色を加えやすく、初めての作品にも使いやすくなります。

花びらや茎は乾燥して壊れやすいため、瓶の口へ無理に押し込みません。大きな花は小分けにし、自然に通る幅へ整えます。

自分で乾燥させた花は、茎や花の中心に水分が残っていないかを確認します。花の表面が乾いて見えても、厚い部分の乾燥には時間がかかります。

プリザーブドフラワー

プリザーブドフラワーは、生花へ保存加工を施した花材です。紫陽花やかすみ草などは、鮮やかな色を作品へ取り入れやすくなります。

加工時に使われた染料が、オイルへ少しずつ溶け出す場合があります。とくに濃い色を淡い花材と組み合わせるときは、少量のオイルと花材で試してから本番へ使います。

大きなバラなどは、瓶の口を通らなかったり、花びらが重なって気泡を抱えたりします。初回は、小分けにできる紫陽花や、小さな花を中心にすると扱いやすくなります。

生花は入れない

切りたての花、葉、果物には水分が含まれています。見た目がきれいでも、そのままオイルへ入れると、短期間で傷みや腐敗につながる可能性があります。

生花を残したい場合は、ハーバリウムとは別にドライフラワーや押し花へ加工し、十分に乾燥してから使えるかを判断します。

花以外の材料

貝殻、ガラス片、ビーズ、リボン、人工素材などを加える方法もあります。ただし、着色、接着剤、表面加工がオイルによって変化する場合があるため、使用できると表示された材料を選びます。

水分を含む苔、砂浜で拾ったままの貝殻、乾燥状態の分からない木の実などを、洗っただけで瓶へ入れないようにします。自然素材は、汚れだけでなく内部の水分も確認する必要があります。

初めてなら、二色の縦長ハーバリウムを作る

最初の作品には、細長い瓶へ二色の花材を縦に配置する形が向いています。多くの種類を使わないため、色と余白の関係を確認しやすくなります。

たとえば、白いかすみ草と淡い青の紫陽花を使います。瓶の下側へ紫陽花を少量置き、その上へかすみ草を斜めに伸ばせば、二種類でも高さのある構成になります。

必要な材料は、次の程度です。

 容量100〜150mlほどの密閉できるガラス瓶

専用オイル 瓶へ注いだあと、上部に少し空間を残せる量

花材 紫陽花などのまとまりを作る花と、かすみ草などの細い花を一種類ずつ

道具 20センチ以上の長いピンセット、はさみ、注ぎ口、作業用シート、拭き取り用の紙

作品のテーマを先に難しく考える必要はありません。「青と白」「桃色の濃淡」「緑と生成り」というように、二色だけ決めます。

花材の量は、瓶の半分から三分の二ほどに見える程度から始めます。オイルを入れると花びらの色が濃く見え、透明だった部分にも花の輪郭が広がるため、乾いた状態で少し物足りないくらいでもかまいません。

最初に用意したい材料と道具

最低限必要なもの

ハーバリウム専用オイル 使用方法と安全情報を確認できるもの

専用または密閉できるガラス瓶 洗浄後、内部まで完全に乾いているもの

乾燥した花材 ドライフラワーまたはプリザーブドフラワー

長いピンセット 瓶の底まで届き、花の向きを整えられるもの

はさみ 乾いた花の茎を切るもの

注ぎ口または細いノズル 瓶の内側へ沿わせてオイルを入れるもの

作業用シート こぼれたオイルから机を守るもの

ティッシュや古布 少量のオイルをすぐ拭き取るもの

瓶を洗った場合は、口を下へ向けただけでは内部へ水滴が残ることがあります。時間を置いて乾かし、底や蓋の裏まで水分がないことを確かめます。

あると便利なもの

花材を仮置きする白い紙があると、瓶へ入れる順番を決めやすくなります。細かな花を色別に分ける浅いトレーも便利です。

瓶の外側に付いたオイルを拭くため、油分を拭き取りやすい紙や布を用意します。完成後に貼るラベルや細いリボンは、瓶の中を仕上げてから選びます。

複数本を作るなら、小さな計量容器や漏斗も役立ちます。ただし、一度オイルへ使ったものを食品用へ戻さず、工作専用として分けます。

最初は買わなくてよいもの

多種類の瓶、大容量のオイル、何十色もの花材、専用ライト、香料、着色したオイルは、最初から必要ありません。

底へ入れるガラス片や飾りも、花の配置に慣れてから加えられます。最初の一作では、透明なオイルと二種類の花だけでも十分に変化を楽しめます。

長い瓶を何本もまとめ買いすると、収納中の破損にも気を使います。まず一、二本を完成させ、作りやすかった高さと口の広さを確認してから増やします。

一つのハーバリウムが完成するまで

瓶を洗い、完全に乾燥させる

新品の瓶でも、ほこりや製造時の汚れが付いていることがあります。製品の説明に従って洗浄し、内部と蓋を十分に乾燥させます。

水滴が一つでも残っている状態ではオイルを注ぎません。急いで作るより、瓶を乾かす日と花を入れる日を分けるほうが確実です。

乾いた瓶は、花を入れる直前まで蓋や清潔な紙で覆い、ほこりと水分が入らないようにします。

花材を瓶の横へ並べる

花材を入れる前に、瓶を横へ置き、その長さに合わせて花を並べます。下側に置く花、中央を通る花、上側へ見せる花を決めます。

長すぎる茎は切りますが、最初から短くしすぎません。瓶の中へ入れたあとに位置を調整できるよう、少し長さを残します。

花材を多く用意しても、すべて入れる必要はありません。色と形が重なりすぎるものは、次の作品へ残します。

下から順に花を入れる

瓶の底へ置く花材から、ピンセットで静かに入れます。花びらをつかむのではなく、できるだけ茎や丈夫な部分を持ちます。

一度入れた花を何度も引き出すと、細かな花びらが落ちたり、形が崩れたりします。位置を直すときは、瓶の中で少し回すか、別の花材を支えとして加えます。

細長い花材は、瓶の壁へ沿わせるように入れると高さを出せます。すべてを垂直に立てず、一本だけ斜めへ流すと、空間に動きが生まれます。

花材の量と余白を確認する

花を入れ終えたら、オイルを注ぐ前に瓶を一周させて見ます。底だけが重くなっていないか、上側へ花が集まりすぎていないかを確認します。

花材を詰め込みすぎると光が通らず、少なすぎるとオイルを注いだあとに大きく浮くことがあります。ふんわりと重なりながら、瓶の向こう側が見える程度を目安にします。

花を追加したくなったときは、同じ種類を増やす前に、瓶を少し離して眺めます。透明な部分が不自然な空白なのか、花を見せる余白なのかを考えます。

オイルをゆっくり注ぐ

瓶を平らで安定した場所へ置き、オイルを瓶の内側へ沿わせるように注ぎます。花へ勢いよく直接当てると、せっかく決めた位置が変わったり、気泡が増えたりします。

途中で花が動いた場合は、一度注ぐ手を止めます。ピンセットを静かに入れ、花の茎や丈夫な部分を押して位置を整えます。

瓶の口いっぱいまでオイルを入れません。オイルは温度が上がると体積が増えることがあるため、蓋の下に少し空気の層を残します。

気泡が落ち着くのを待つ

花材の隙間には空気が含まれているため、オイルを注いだ直後は小さな気泡が出ます。すぐに蓋を閉めず、瓶を動かさずに置きます。

気泡が上がっている間に花の向きが変わることもあります。大きく崩れていなければ、何度も触らず、オイルの動きが落ち着くまで待ちます。

気泡が完全になくなるとは限りません。細かな泡まで無理に取り除こうとして花材を傷めるより、時間を置いて変化を確認します。

蓋を閉め、瓶の外側を拭く

気泡が落ち着いたら、瓶と蓋のねじ部分へ花材が挟まっていないかを確認します。蓋をまっすぐに締め、傾きや緩みがないようにします。

蓋を強力な接着剤で完全に固めることは、分別や処分が難しくなるため、製品側から指定されていない限り避けます。

瓶の外側へ付いたオイルを拭き取り、底も確認します。完成直後は、紙やトレーの上へしばらく置き、蓋や底から漏れがないかを見ます。

花材が浮くときの整え方

オイルを注ぐと、軽い花材が上へ移動することがあります。これは失敗とは限りませんが、下側へ置いた花がすべて浮くと、作品の構成が変わってしまいます。

浮きやすい花材だけを単独で入れず、細い茎や枝へ軽く絡ませると位置を保ちやすくなります。紫陽花の房を小さく分け、別の花材の間へ置く方法もあります。

瓶の幅より少し長い茎を斜めへ入れ、瓶の内側で軽く支えにする方法もあります。ただし、花材を強く曲げ、瓶の壁へ押し付けて固定することは避けます。

花が浮くからといって、瓶の中を大量の材料で詰めると透明感が失われます。少量が動くことも、オイルの中に浮かぶ作品の表情として受け止められます。

完成後すぐに配置を決め直すのではなく、一晩ほど安定した場所へ置いてから眺めます。気泡が抜け、花材が落ち着くと、制作直後とは少し違うバランスに見えることがあります。

安全に楽しむために大切なこと

火気と高温から離す

ハーバリウムオイルは、製品によって引火点が異なります。引火点が比較的高い専用品でも、火の近くで使ったり飾ったりしてよいという意味ではありません。

制作中も完成後も、コンロ、ストーブ、ろうそく、線香、暖炉、熱を持つ照明器具から離します。キャンドルと並べる場合は、火をともさない装飾として分けます。

直射日光が当たる窓辺や、夏の車内など高温になる場所も避けます。オイルの膨張、液漏れ、花材の退色、瓶への負担につながります。

飲食物や化粧品と分ける

ハーバリウムオイルは飲用できません。無色透明で飲料のように見えるものもあるため、飲み物の容器へ移し替えず、元の表示が分かる状態で保管します。

制作中は食事や飲み物を同じ机へ置きません。計量容器、漏斗、ピンセット、はさみも工作専用とし、食品用へ使い回さないようにします。

小さな子どもやペットが瓶を倒したり、オイルを口へ入れたりしない場所で作業と保管を行います。

こぼれたオイルをそのままにしない

作業前に机へ防水性のあるシートを敷き、拭き取り用の紙や古布を手元へ置きます。こぼれた場合は広げず、吸い取るように拭きます。

床へ付くと滑りやすくなるため、机だけでなく足元も確認します。衣服、壁紙、木製家具などへ付着すると、染みや変色が残る場合があります。

目や皮膚へ付いた場合の対応は、使用する製品の表示や安全データに従います。強い違和感がある場合は作業を続けません。

瓶の破損と転倒を防ぐ

ガラス瓶は、ひび、欠け、蓋の変形がないことを確認してから使います。傷んだ瓶へオイルを入れず、完成品も机や棚の端へ置きません。

瓶の高さに対して底が細いものは、倒れやすくなります。人が頻繁に通る場所や、扉を開閉したときに揺れる棚を避けます。

複数本を並べる場合は、瓶同士が触れないよう少し間隔を空けます。地震や振動への備えとして、転倒を減らす棚や固定方法も検討します。

オイルを流しへ捨てない

残ったオイルや古くなった作品のオイルは、台所や洗面所の流しへ捨てません。製品の案内では、紙や古布などへ吸収させて処分する方法が示される例がありますが、実際の分別は自治体によって異なります。製品表示と住んでいる地域の廃棄方法を確認します。

瓶を処分するときは、オイル、花材、蓋、ガラスを可能な範囲で分けます。蓋を強力な接着剤で固めないことは、後で分別しやすくする意味でも大切です。

完成した作品の飾り方と変化

ハーバリウムは、直射日光の当たらない、安定した室内へ飾ります。窓辺は光がきれいに見えますが、紫外線によって花材の退色が早まり、高温にもなりやすいため適していません。

白い壁の前へ置くと花の色が見えやすく、濃い色の棚では透明な部分が際立ちます。照明のすぐ下へ置くのではなく、少し横から室内光が通る位置を探します。

長く飾るうちに、花材の色が薄くなったり、オイルへ色がにじんだりすることがあります。専用オイルへ入れれば、制作日の色が永久に保たれるわけではありません。

花の変化も含めて作品の時間として楽しめますが、オイルが濁る、異臭がする、蓋から漏れる、瓶にひびが入るといった異常があれば、そのまま飾り続けません。

瓶の外側のほこりは、乾いた柔らかな布で拭きます。蓋を頻繁に開けて花材を動かすと、ほこりや水分が入りやすくなるため、完成後は必要以上に開閉しません。

人へ贈るとき、販売するときに確認したいこと

ハーバリウムを贈る場合は、ガラス瓶と液体を使った作品であることを意識します。花の色だけでなく、持ち運び、液漏れ、置き場所、処分方法まで伝えます。

取扱説明には、次のような内容を簡潔に添えます。

飲用できないこと。

火気と高温を避けること。

直射日光の当たらない安定した場所へ置くこと。

子どもやペットの手が届かない場所で保管すること。

オイルを流しへ捨てないこと。

瓶を横倒しにせず、立てた状態で持ち運ぶこと。

贈る前には、蓋を閉めてからしばらく立てて置き、液漏れがないかを確認します。瓶の周囲へ袋を掛けるだけでなく、倒れない内箱と緩衝材を使います。

宅配便で送る場合は、オイルの種類によって配送条件が異なることがあります。航空輸送を利用できない製品もあるため、使用したオイルの安全データと配送事業者の最新ルールを確認します。

販売する場合は、オイルの商品名、種類、花材、瓶の容量、制作日を記録します。見た目が同じでも、使用するオイルを途中で別の製品へ替えた場合は、性質や配送条件も改めて確認します。

市販のキットや他者のデザインを参考にする場合は、完成品の販売が認められているかを確認します。趣味として作ることと、同じ作品を商品として複製することは分けて考えます。

続けるほど変わる五つの楽しみ方

ハーバリウムを続けると、最初は瓶へ花を入れることに集中していた時間が、光、余白、色、瓶の形、飾る場所を考える時間へ変わっていきます。

ここで紹介する五つは、技術の優劣や、必ず順番に進む階級ではありません。小さな瓶へ二色だけ入れる基本へ戻りながら、その時に作りたい景色を探せます。

第1段階 二種類の花を一本の瓶へ収める

最初は、紫陽花とかすみ草など、形の違う花材を二種類使います。瓶の横へ一度並べ、下から順に入れ、専用オイルをゆっくり注ぎます。

花が少し動いても、気泡が残っても、一作品を安全に完成させることで全体の流れが分かります。完成後にどこへ飾ると光がきれいに通るかを探すところまでが、最初の楽しみです。

第2段階 花材の量と浮き方を調整する

同じくらいの瓶をもう一度使うと、前回との違いに気づきます。花材が多すぎると暗くなり、少なすぎると上へ集まりやすいことが分かります。

茎を斜めへ使う、紫陽花を小さく分ける、花同士を軽く絡ませるなど、透明感を残しながら位置を整える工夫が増えていきます。

使った花材と瓶、オイルの種類を記録すると、仕上がりの違いを比べやすくなります。

第3段階 瓶の形と配色を自分で選ぶ

基本の制作に慣れたら、円柱、四角、低く広い瓶など、飾る場所に合う形を選びます。細長い瓶では縦の流れを、幅のある瓶では横の重なりを楽しめます。

色も、見本通りではなく自分で組み合わせます。同系色で静かにまとめる、一色だけ濃くする、透明な部分を大きく残すなど、選択が作品の雰囲気になります。

装飾を増やす前に、花と光だけでどこまで表現できるかを試すと、自分が好む余白も見えてきます。

第4段階 季節や景色を複数の瓶へ広げる

一作品の中へすべてを入れるのではなく、複数の瓶を一組として考えます。春の淡い色、雨の日の青、秋の実、冬の緑というように、瓶ごとに季節を分けられます。

同じ花材を使いながら、一本は花を下へ集め、もう一本は上へ伸ばすなど、構成を変える方法もあります。二本並べたときの間隔や高さまで、作品の一部になります。

以前作ったものと新しいものを並べると、色の選び方や花の量の変化が分かります。作品の記録が、そのまま自分の好みの記録になります。

第5段階 作品を安全な形で人へ届ける

安定して作れるようになったら、家族や友人へ贈る、展示する、販売する、作り方を伝えるといった道へ広げられます。人へ渡す場合は、配色だけでなく、液漏れ、火気、誤飲、配送、処分まで説明できることが大切です。

教える場合は、花材を入れる技術だけではなく、瓶を完全に乾かすことや、オイルを流しへ捨てないことも伝えます。制作の楽しさと安全な扱いを一緒に共有します。

販売や指導を目指さなくても、自宅の棚へ季節ごとの一本を増やしていくことは、十分に深い続け方です。光が入る時間に瓶を眺め、以前とは違う色を一つ選ぶ。それだけでも次の作品へつながります。

あわせて楽しみたい関連する趣味

ドライフラワー

ドライフラワーは、生花から水分を抜き、乾燥によって変わる色や形を楽しむ趣味です。ハーバリウムへ入れる花材を自分で作ってみたい人にとって、花の選び方と乾燥状態を学べる自然な入口になります。

乾燥させた花をすべてオイルへ入れるのではなく、形のよいものは花束として飾り、小さく折れた花や短い茎を瓶へ生かすこともできます。


プリザーブドフラワー

プリザーブドフラワーは、生花へ保存加工を施し、やわらかな風合いと鮮やかな色を楽しむ花材です。器へ立体的に配置する作品と、オイルの中へ浮かべるハーバリウムでは、同じ花材でも見え方が変わります。

ハーバリウムに使う場合は、花が瓶の口を通る大きさか、染料がオイルへ溶け出さないかを小さく試します。余った紫陽花や小花を、別の作品へ使い分ける楽しさもあります。

フラワーアレンジメント

フラワーアレンジメントでは、生花の向き、高さ、色、余白を考えながら、器の中へ植物を配置します。花の正面を探し、主役と脇役を分ける視点は、瓶の中へ花材を置くときにもつながります。

生花では数日間の変化を眺め、状態のよい花を適切に乾かして次のクラフトへ残すこともできます。


透明な瓶の中へ、花と光の間を残していく

ハーバリウム作りでは、花をどれだけ多く入れたかより、どこに花を置き、どこを透明なまま残したかが作品の表情を決めます。

瓶の底へ小さな花を置き、細い茎を一本だけ斜めへ伸ばす。オイルを注いだあと、花が少し動いたなら、その位置で光がどう通るかを眺めてみる。すべてを思い通りに固定しないことも、透明な液体の中で作る面白さです。

初めてなら、容量100〜150mlほどの瓶と、白と好きな色の花材を一種類ずつ選んでみてください。花を瓶の横へ並べ、少し物足りないくらいの余白を残してから、専用オイルをゆっくり注ぎます。

乾いた花の色が深まり、瓶の中に小さな気泡が上がっていく。その変化を待つ時間まで含めて、最初の一本が完成します。


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