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グランピングの楽しみ方

夕方の光がやわらかくなり始めた頃、森や湖の近くに立つドームテントへ荷物を運ぶ。扉を開けると、室内にはベッドや照明が用意され、窓の向こうには普段の部屋とは違う景色が広がっています。

少し休んだあとは、屋外のデッキで夕食の準備を始めます。食材や調理器具がそろっているプランなら、大きな荷物をほどく必要はありません。肉や野菜を焼きながら空の色が変わるのを眺め、暗くなったら焚き火や星空の時間へ移っていきます。

グランピングというと、豪華なテントへ泊まる旅行を思い浮かべる人が多いかもしれません。

けれど、実際の施設には、ドームテント、ベルテント、トレーラー、キャビン、コテージ、ヴィラなど、さまざまな宿泊スタイルがあります。冷暖房やベッドがあるだけの比較的シンプルな施設もあれば、客室内の風呂、温泉、サウナ、専用の食事スペースまで備えたところもあります。

グランピングは、「グラマラス」と「キャンピング」を組み合わせた言葉です。一般的には、キャンプ道具を一式持ち込んだり、自分でテントを設営したりせず、自然の近くで快適に滞在できる宿泊体験を指します。ただし、施設の形やサービスに全国共通の決まりがあるわけではなく、テントに近いものからリゾートヴィラに近いものまで幅があります。

そのため、グランピング選びで大切なのは、写真の雰囲気だけを見ることではありません。

どのくらい外の環境を感じたいのか。食事は自分たちで焼きたいのか、完成した料理をゆっくり味わいたいのか。トイレや風呂は客室内に欲しいのか、共用でも気にならないのか。

自分が楽しみたい時間を考えてから施設を選ぶと、同じ「グランピング」という名前でも、自分に合う滞在へ近づけられます。

今回は、自分で施設と日程を決め、初めてグランピングへ出かける場合を中心に、基本情報、費用、おすすめする理由、施設の選び方、持ち物、当日の流れ、天候と火気の注意、続けるほど変わる楽しみ方を紹介します。


グランピングの基本情報

主な楽しみ方 設備の整ったテント、トレーラー、コテージなどへ泊まり、食事や自然の時間を楽しむ

最初の頻度 まず一度体験し、気に入ったら季節ごとに年2〜4回ほど

月1回で続ける場合 近場、日帰り、平日プランなどを組み合わせると続けやすい

標準的な日程 一泊二日

現地で過ごす時間 チェックインからチェックアウトまで約18〜20時間

移動を含む総所要時間 約24〜30時間

日帰りで楽しむ場合 約4〜6時間から

主な場所 高原、森林、湖畔、海辺、農園、温泉地、観光施設など

最初に必要なもの 季節に合う服、歩きやすい靴、雨具、飲み物、身の回り品

始めやすさ テントや寝袋を購入せず始められるが、予約、移動、宿泊費が必要

施設への依存 高い。部屋、食事、風呂、火気、アクティビティの内容が施設ごとに大きく異なる

天候の影響 宿泊できても、屋外の食事、焚き火、星空観察などは雨や風に左右される

一般的な宿泊プランでは、15時頃にチェックインし、翌朝10時頃にチェックアウトします。室内で休める設備があっても、移動、食事、入浴、睡眠、朝の散策まで含めると、一泊二日の旅行として考えるのが自然です。公式施設の例でも、15時チェックイン、翌朝10時チェックアウトという設定が見られます。

入力データの一回115分という時間は、日帰りアクティビティなら考えられても、宿泊型のグランピングには当てはまりません。初回は、到着した日の夕方から翌朝までを慌ただしくせず、一つの場所でゆっくり過ごせる予定を組みましょう。

グランピングにかかる費用

グランピングでは、テント、寝袋、テーブル、ランタンなどを自分で買う必要はほとんどありません。初期費用よりも、宿泊料金、食事、交通費が費用の中心になります。

2026年7月時点の国内施設例では、早期予約のドーム型施設が1人8,500円から、別の施設では4人利用時の素泊まりが1人14,150〜15,180円から案内されています。食事を追加する場合は、夕食だけで1人6,800円や9,800円という例もあります。料金は人数、季節、曜日、部屋の種類で変わるため、表示されている最低価格の利用条件まで確認することが大切です。

日帰りグランピング 1人約8,000〜15,000円

素泊まりの宿泊料金 1人約10,000〜25,000円

一泊二食付き 1人約18,000〜40,000円

専用風呂やサウナ付きの施設 1人約30,000〜60,000円以上

交通費 1人約2,000〜15,000円

飲み物や追加食材 1人約1,000〜5,000円

アクティビティ 1人約1,000〜10,000円

一泊二日の総予算 1人約25,000〜60,000円

二人で出かける場合 合計約50,000〜120,000円

これらは全国一律の料金ではありません。都市部から近い施設、連休、夏休み、紅葉の時期、客室内に温泉やサウナがある施設では高くなりやすく、平日や閑散期、人数の多い利用では一人分が下がることがあります。

初期費用はほとんど必要ない

グランピングのために、新しくキャンプ用品を一式そろえる必要はありません。

季節に合う服や靴をすでに持っていれば、初期費用は0円に近づきます。雨具、防寒用品、虫よけ、小さなバッグなどを買い足す場合でも、3,000〜10,000円ほど見ておけば十分なことが多いでしょう。

ただし、施設名に「グランピング」と書かれていても、寝間着、歯ブラシ、タオル、食器などがすべて付いているとは限りません。客室設備やアメニティを確認し、不足するものだけを用意します。

月1回なら年間費用は大きくなる

一泊二日のグランピングへ月1回出かける場合、一回2万〜5万円としても、宿泊と食事だけで年間24万〜60万円ほどになります。さらに交通費や追加の体験費が加わります。

そのため、最初から月1回を目標にしなくてもかまいません。

春、夏、秋、冬のどこかで年2〜4回出かけ、季節による違いを楽しむ。月1回続けたい場合は、宿泊だけでなく、日帰りプラン、近場の施設、平日割引を組み合わせる。

予算に合わせて回数と内容を調整するほうが、無理なく続けられます。

安く見えるプランほど、条件を確認する

グランピングの料金には、一棟分で表示されるものと、一人分で表示されるものがあります。「1人8,500円から」と書かれていても、4人で一棟を利用した場合の価格で、二人利用では一人分が高くなることがあります。

次の項目は、予約前に確認しましょう。

表示料金は一人分か、一棟分か

最低価格は何人利用を想定しているか

夕食と朝食は含まれているか

入浴料や施設利用料は別か

子ども料金や添い寝料金はあるか

食材や飲み物を持ち込めるか

駐車料金や送迎料金は必要か

アクティビティは宿泊料に含まれるか

悪天候時と自己都合のキャンセル条件はどう違うか

施設によっては、三週間ほど前からキャンセル料が発生し、当日は全額負担になる例もあります。一方、数日前まで無料の施設もあり、条件は大きく異なります。交通や仕事の予定まで確認してから予約しましょう。

グランピングをおすすめする3つの理由

1.キャンプ道具をそろえなくても、自然の中で一晩を過ごせる

キャンプに興味があっても、最初の一歩で迷いやすいのが道具です。

テント、寝袋、マット、ランタン、テーブル、チェア、調理器具。必要なものを調べるだけでも時間がかかり、すべてを購入すると費用も保管場所も必要になります。

グランピングでは、寝る場所と家具がすでに用意されています。施設によっては、冷暖房、冷蔵庫、コンセント、Wi-Fi、食器、タオル、シャワーやトイレまで備えています。現在の施設例にも、エアコン、ベッド、専用の食事スペース、個別のシャワー・トイレを持つドームがあります。

到着してから、暗くなる前に急いでテントを張る必要はありません。寝袋へうまく入れるか、雨で荷物がぬれないか、地面が硬くて眠れないのではないかという心配も減らせます。

そのぶん、自然の中で何をしたいかへ時間を使えます。

周辺を散歩する。屋外の椅子へ座って飲み物を飲む。夕食をゆっくり準備する。暗くなったら空を眺める。

キャンプの設営や撤収も魅力の一つですが、初回は自然の中で一晩過ごす感覚だけを確かめたい人もいます。グランピングは、その入口を広くしてくれる楽しみ方です。

2.昼、夕方、夜、朝の変化を、快適さを残しながら味わえる

自然の中へ出かけても、日帰りでは夕方になる前に帰ることがあります。グランピングへ泊まると、同じ場所で昼から翌朝まで過ごせます。

到着した頃は明るかった景色が、夕方になると少しずつ色を変える。食事を終える頃には周囲が暗くなり、昼には聞こえなかった虫や風の音が近く感じられる。翌朝は、まだ人の動きが少ない時間に外へ出られます。

同じ場所なのに、時刻によって別の景色のように見えることがあります。

その変化を楽しみながらも、眠るときにはベッドがあり、寒ければ室内へ戻れます。雨が降ったときに屋根付きの食事場所や客室内で過ごせる施設なら、予定が少し崩れても、旅全体を諦めずに済みます。

ホテルでも自然の近くへ泊まれますが、グランピングでは、客室と屋外の距離が近くなります。扉を開ければすぐデッキがあり、食事や焚き火をしたあと、そのまま自分の部屋へ戻れる。

快適な宿泊と、外で過ごす時間が一つにつながっていることが、グランピングならではの魅力です。

3.施設を変えるたびに、旅のテーマも変えられる

グランピング施設には、それぞれ違う楽しみがあります。

海の近くで夕日を見る施設。森の中で焚き火を楽しむ施設。星空観察へ力を入れている施設。農園で収穫体験ができる施設。温泉、サウナ、犬と泊まれる客室、子ども向けの遊びなどが用意されたところもあります。

同じ「一泊二日」でも、選ぶ場所によって過ごし方は変わります。

今回は食事を中心にする。次は星空が見えやすい場所へ行く。秋は紅葉、冬は温泉を目的にする。

一度目で自分が好きな時間を見つけると、次の施設を選びやすくなります。豪華な設備を増やすのではなく、自分の興味に合うテーマを選べることが、繰り返し楽しめる理由です。

最初は「何があるか」より「何をしたいか」で選ぶ

施設の写真を見ていると、部屋の形やインテリアに目が向きます。もちろん、泊まってみたい空間を選ぶことも大切です。

ただし、写真だけで決めると、実際に過ごす時間との違いが出ることがあります。

大きなドームテントへ泊まりたかったけれど、トイレが離れていて夜の移動が大変だった。焚き火を楽しみにしていたのに、風が強くて実施できなかった。豪華な食事付きにしたものの、量が多く、ゆっくり外で過ごす時間が減ってしまった。

最初に、自分が一番楽しみたいものを一つ決めましょう。

自然の中で眠ってみたい

屋外でBBQを楽しみたい

焚き火を囲みたい

星空を眺めたい

温泉やサウナも楽しみたい

子どもと自然体験をしたい

犬と一緒に泊まりたい

記念日に静かに過ごしたい

目的が決まると、必要な設備も見えてきます。

星空が目的なら、周囲の明かりと天候、屋外へ出やすい立地を確認します。食事が目的なら、メニュー、量、調理方法、屋根の有無、食材の持ち込み条件を見ます。

初回は、目的を一つか二つに絞るほうが、予定を詰め込みすぎずに済みます。

宿泊スタイルによって過ごし方が変わる

ドームテントやベルテント

テントらしい外観と、自然との近さを感じやすい宿泊スタイルです。雨や風の音が室内へ伝わりやすく、扉を開けたときに屋外へ出た感覚も強くなります。

一方で、風呂やトイレが別棟の場合があります。テント内に冷暖房があっても、食事や移動は外になることがあるため、雨具や防寒着を用意します。

トレーラーやキャビン

壁と屋根がしっかりし、テントよりも室内の安心感があります。水回りや簡単なキッチンを備えた施設もあり、初めての宿泊や小さな子どもとの旅行にも選びやすいでしょう。

ただし、室内がコンパクトなことがあります。荷物が多い場合や大人数で利用する場合は、床面積とベッド配置を確認します。

コテージやヴィラ

客室内の風呂、トイレ、キッチン、サウナなどを備えたものもあり、快適さを重視する人に向いています。天候が崩れたときも室内で過ごしやすい反面、一般的なキャンプに近い感覚は薄くなることがあります。

グランピングらしさを、テントの形ではなく、自然の近くで過ごす時間として考えると、自分に合う宿泊タイプを選びやすくなります。

日帰りプラン

寝具や夜間の気温に不安がある人は、日帰りから始める方法もあります。屋外のデッキやテントを使い、BBQ、サウナ、短い自然体験などを楽しめるプランがあります。

宿泊より費用を抑えやすく、自宅のベッドへ戻れるため、アウトドアの雰囲気が自分に合うかを確かめられます。

予約前に確認しておきたいこと

グランピングは、施設によって含まれるものが大きく違います。「手ぶら」と書かれていても、本当に着替えだけでよいとは限りません。

予約ページでは、次の内容を確認しましょう。

冷暖房があるか

ベッドと寝具は人数分あるか

トイレとシャワーは客室内か、共用か

食事場所には屋根や風よけがあるか

夕食と朝食は料金に含まれるか

食材や飲み物を持ち込めるか

焚き火や花火ができるか

雨や強風時に屋外設備を使えるか

Wi-Fiと携帯電話の電波状況

子どもやペットの利用条件

パジャマ、タオル、歯ブラシなどのアメニティ

最寄り駅からの送迎

チェックインが遅れた場合の連絡方法

キャンセル料が発生する時期

食物アレルギーがある場合は、予約時に対応の可否を確認します。現地へ到着してからでは、食材やメニューを変更できないことがあります。

写真に映っていない場所も見ておきましょう。客室からトイレまでの距離、坂や段差、駐車場から部屋までの移動、夜間の照明などは、過ごしやすさへ直接関わります。

最初に用意したい持ち物

グランピングでは、一般的な旅行用品に、少しだけ屋外向けのものを加えます。

季節に合う着替え 日中と夜の気温差に対応できるもの

脱ぎ着しやすい上着 室内外を行き来するときに使う

歩きやすい靴 ぬれた地面や砂利道でも歩けるもの

雨具 傘だけでなく、両手を使えるレインウェアがあると便利

帽子と日焼け止め 日中の屋外時間に備える

虫よけ用品 使用できる場所と方法を確認する

飲み物 現地販売の時間も確認する

常用薬と小さな救急用品 いつも使っているものを優先する

モバイルバッテリー 写真や連絡で端末を使う場合

小さなライト 夜間に客室外を歩く可能性がある場合

汚れ物を入れる袋 雨や屋外活動でぬれた服を分ける

耳栓 雨音、風、虫、周囲の物音が気になる場合

昼間は暖かくても、山や高原では夜から朝に冷えることがあります。街中の予報だけでなく、施設周辺の最低気温を確認しましょう。

反対に夏は、冷房のある部屋でも、屋外での食事や活動中に暑さの影響を受けます。帽子、水分、日陰での休憩を用意し、予定を詰めすぎないことが大切です。

テント、寝袋、ランタン、調理台、大型クーラーボックスなどは、施設で用意されているなら持参する必要はありません。自分の道具を持ち込めるかどうかも施設ごとに違うため、予約前に確認します。

一泊二日は、このような流れで楽しめる

到着前に周辺で買い物を済ませる

飲み物や持ち込み食材が必要な場合は、施設へ向かう前に購入します。山間部や海辺では、近くに店がないことがあります。

冷蔵が必要な食材は保冷し、チェックインまで車内へ長時間放置しません。施設から提供される食事がある場合は、追加で買いすぎないよう内容を確認します。

15時頃にチェックインする

受付で、部屋の場所、食事の時間、火気の使い方、風呂、消灯時間、避難場所などを確認します。

部屋へ入ったら、寝具、冷暖房、鍵、照明、水回りを見ます。暗くなってから不具合へ気づくと対応しにくいため、明るいうちに分からない点を聞いておきましょう。

午後は、何もしない時間も残す

周辺を散歩する、施設のアクティビティへ参加する、部屋で飲み物を飲むなど、自分の目的に合わせて過ごします。

初回は、到着後すぐに予定を詰め込まないほうが落ち着きます。景色を見ながら座り、いつもの旅行より少しゆっくりした時間を味わうことも、グランピングの楽しさです。

夕方から食事を始める

食材付きのBBQでは、下ごしらえされた肉や野菜を、自分たちで焼く形式が多く見られます。屋外調理に慣れていない場合は、説明を先に読み、生肉用と食事用のトングを分けます。

暗くなると焼け具合を判断しにくくなるため、手元の照明を確認します。食事開始時刻が決められている施設では、余裕を持って準備しましょう。

夜は、天候に合わせて過ごす

風が穏やかで施設の規則が許せば、焚き火を楽しめることがあります。火を使えない日でも、デッキで温かい飲み物を飲んだり、室内の窓から外を眺めたりできます。

星空を楽しみにしていた日が曇ることもあります。その場合も、雨音を聞く、施設の本を読む、室内で会話を楽しむなど、その日の環境に合わせて過ごします。

翌朝は、少し早く外へ出る

朝は夜とは違う静けさがあります。無理に日の出へ合わせなくても、朝食前に少し外へ出るだけで、冷たい空気や鳥の声を感じられます。

朝食後は、忘れ物を確認し、指定された方法でごみや食器を片付けます。キャンプほど大きな撤収作業はありませんが、借りた道具や室内を元の状態へ戻すところまでが滞在の一部です。

食事付きと素泊まりは、どちらがよい?

初めてなら、夕食と朝食が付いたプランが分かりやすいでしょう。食材の量、保冷、調理器具を細かく考えずに済み、その施設らしい料理を楽しめます。

ただし、食事付きでも、完成した料理が運ばれてくるとは限りません。材料を自分たちで焼く形式、簡単な仕上げを行う形式、レストランで食べる形式などがあります。

料理を自分たちで楽しみたい人には、素泊まりや持ち込みプランもあります。

その場合は、調理器具、食器、調味料、油、保冷設備、洗い場、ごみ処理まで確認します。家庭のキッチンと同じように使えるとは限らないため、最初は焼く、温める、盛りつけるだけのメニューが安心です。

屋外調理では、食材を十分に冷やし、生肉用のトングと食事用の箸を分け、肉の中心まで加熱します。消費者庁は、一般的な食中毒予防の加熱目安として中心部75℃で1分以上を示しており、農林水産省もキャンプ場では生肉用の器具をほかの食材へ使わないよう案内しています。

天候は「宿泊できるか」だけで判断しない

グランピング施設には冷暖房や丈夫な建物があっても、自然の影響がなくなるわけではありません。

雨が降ればデッキを使えず、風が強ければ焚き火やBBQを中止することがあります。雷や大雨では、アクティビティだけでなく、移動や宿泊そのものが難しくなる場合もあります。

予約前には、悪天候時の対応を確認します。

雨でも食事できる屋根があるか。強風時はどこで過ごすのか。施設側の判断で休業した場合は返金や振替になるのか。自分の判断で取りやめる場合は、いつからキャンセル料がかかるのか。

「雨でも泊まれるから大丈夫」と考えず、自宅から施設まで安全に移動できるかも含めて判断しましょう。

当日は、施設スタッフの案内を優先します。焚き火を楽しみにしていても、風が強い日は行わない。川や海の近くで水位が上がっている場合は近づかない。

予定を小さくする判断も、自然の中で安全に過ごすための大切な準備です。

火は、施設が認めた場所と道具だけで使う

グランピングでは、焚き火やBBQを楽しめる施設が多くあります。ただし、客室のテント内や、施設が認めていない場所へ火気を持ち込んではいけません。

カセットこんろ、炭火、燃料式ランタンなどを換気の悪いテントや室内で使うと、一酸化炭素中毒や火災につながるおそれがあります。NITEは、カートリッジ式こんろや燃料式ランタンをテント内やフライシートの下で使用しないよう注意を呼びかけています。

焚き火や調理では、施設が用意した器具と場所を使い、スタッフの説明に従います。火を使っている間はその場を離れず、子どもやペットが近づかないようにします。

消えたように見える炭や薪にも熱が残ります。水をかけてよいのか、消火缶へ入れるのか、灰をどこへ捨てるのかは施設ごとに違うため、自己流で処理しません。

季節を変えると、同じ場所でも違って見える

春は、日中に外で過ごしやすく、初めてのグランピングにも向いています。ただし、朝晩は冷えるため、薄手の服だけで出かけず、上着を用意します。

夏は、緑の多い景色や水辺の遊びを楽しめます。一方で、暑さ、虫、急な雷雨への対策が必要です。冷房の有無だけでなく、食事場所の日陰や屋根も確認しましょう。

秋は、紅葉や焚き火を楽しみやすい季節です。人気の高い日程は早く予約が埋まり、夜の冷え込みも大きくなるため、早めの計画と防寒が必要になります。

冬は、空気の澄んだ景色、星空、温泉、サウナなどを組み合わせられます。ただし、すべての施設が冬季営業をしているわけではありません。暖房、雪道、凍結、車の装備を確認し、冬の自然へ対応した施設を選びます。

続けるほど変わる五つの楽しみ方

グランピングの楽しさは、高価な施設へ泊まるほど深くなるものではありません。

一度目は設備の整った場所で安心して過ごし、次は自分が好きだった時間を中心に施設を選ぶ。季節や地域を変えながら、自分らしい滞在を見つけていく。

ここで紹介する五つは、旅行の優劣を決める段階ではありません。一度だけ特別な思い出として楽しむことも、季節の行事として続けることもできます。

第1段階 設備の整った施設で、一泊を体験する

最初は、冷暖房、ベッド、トイレ、屋根付きの食事場所がそろった施設を選びます。食事付きのプランなら、持ち物と調理の不安も減らせます。

目的は、たくさんの体験をこなすことではありません。

自然の近くで夕食を食べる。夜の音を聞く。いつもとは違う場所で眠り、朝の空気を感じる。

一泊の流れを無理なく終え、「もう一度行きたいか」を確かめられれば十分です。

第2段階 自分が好きな時間を中心に計画する

一度泊まると、自分が何を楽しいと感じたのかが見えてきます。

BBQが楽しかった。星空をもっと眺めたかった。室内でゆっくり過ごす時間が心地よかった。温泉があると疲れにくかった。

次は、その時間を中心に施設を選びます。

豪華な設備をすべて求めるのではなく、自分に必要なものを絞れるようになると、費用も過ごし方も整いやすくなります。

第3段階 季節と地域の違いを比べる

海辺、高原、森林、湖畔では、見える景色も夜の音も変わります。同じ場所でも、新緑、夏、紅葉、雪の季節では過ごし方が異なります。

前回は山へ行ったから、次は海へ。夏は日帰りにして、秋に一泊する。

比較する視点が生まれると、施設の人気や新しさだけではなく、自分が過ごしたい季節と場所から選べるようになります。

第4段階 テーマのある滞在へ広げる

星空、温泉、サウナ、地元の食材、農業体験、犬との旅行、記念日など、目的を一つ決めたグランピングへ広げます。

昼間は周辺を散策し、夜は星を見る。収穫した野菜を夕食へ加える。誕生日には、移動を少なくして客室でゆっくり過ごす。

宿泊施設の中だけで完結させず、地域の自然や食文化と組み合わせると、一回の旅にその土地らしさが加わります。

第5段階 自分たちの季節の行事として育てる

毎年同じ季節に同じ場所へ行く。家族や友人と、次の一年の候補を相談する。旅の写真や費用、よかった設備を記録し、次の計画へ生かす。

繰り返すうちに、グランピングは特別な一回から、自分たちの季節の行事へ変わることがあります。

人へおすすめするときも、豪華だったという感想だけでなく、夜が冷えたこと、食事場所に屋根があったこと、移動しやすかったことまで伝えられます。

自分の経験が、誰かの初めての計画へ役立つことも、長く楽しんだ先にある喜びです。

あわせて楽しみたい関連する趣味

キャンプ

キャンプは、テントの設営、寝床作り、屋外調理、撤収までを自分たちで行い、自然の中へ生活の場所をつくる趣味です。グランピングで外に泊まる心地よさを知り、もう少し自分で準備してみたくなった人に向いています。


バーベキュー

バーベキューは、屋外で火を使い、食材を焼きながら参加者みんなで食事をつくる時間です。グランピングで楽しんだ夕食を、日帰りでより気軽に味わいたいときや、焼き方やメニューを自分たちで工夫したいときにつながります。


天体観測

天体観測は、月、星座、惑星などを探しながら夜空の変化を楽しむ趣味です。街灯の少ないグランピング施設では星が見えやすいことがあり、宿泊前にその日の月や星を調べておくと、夜の時間に小さな目的が生まれます。


快適な部屋のすぐ外に、自然の時間が待っている

グランピングは、キャンプを豪華に見せるためだけの旅行ではありません。

テントを張る手間を省き、眠る場所と食事の準備を整えてもらうことで、そのぶん自然の中で過ごす時間へ余裕を残せます。

外の椅子へ座る。

夕方の空を見る。

食事をゆっくり焼く。

暗くなったら、いつもより静かな時間を過ごす。

寒くなったら室内へ戻り、ベッドで眠る。

準備の少なさと、自然との近さが一つの滞在へまとまっていることが、グランピングの魅力です。

初めてなら、設備をすべて比較して完璧な施設を探すより、自分が一番楽しみたいことを一つ決めてみてください。

屋外で夕食を食べたい。

星空を見たい。

温泉と自然を一緒に楽しみたい。

家族と慌ただしくない一日を過ごしたい。

目的が一つ決まれば、必要な部屋やプランも選びやすくなります。

天候によって、予定していた焚き火ができない日もあります。星が見えず、雨音を聞きながら室内で過ごす夜もあります。

それでも、自然の条件へ少し予定を預け、できることを選び直す時間まで含めて、グランピングの一泊です。

次の休日は、移動しやすい場所にある施設を一つ探し、部屋の写真だけでなく、食事、トイレ、雨の日の過ごし方まで見てみてください。

安心して泊まれる条件が整ったら、あとは予定を詰め込みすぎず、外の景色が変わっていく時間を残しておきましょう。


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