季節の飾り付けの楽しみ方
いつも使っている棚の上から、小さな置物を一つ下ろす。
空いた場所を布で軽く拭き、細い枝を一本、透明な瓶へ挿してみる。隣へ淡い色の紙飾りを置くと、家具も壁も昨日と同じなのに、部屋の中へ少しだけ新しい季節が入ってきます。
春の花。
梅雨の青や紫。
夏の涼しげなガラス。
秋の実や枯れ葉。
冬の灯りと常緑の枝。
季節の飾り付けは、家全体を大きく模様替えすることではありません。玄関、棚、窓辺、食卓など、小さな一角へその時期らしい色や形を加え、暮らしの景色を少しずつ入れ替えていく趣味です。
とはいえ、始めようとすると、飾りの組み合わせに自信がない、行事のたびに買っていたら物が増えそう、壁や家具を傷つけたくない、飾る場所が狭いといった迷いも出てきます。
けれど、最初から部屋全体を整える必要はありません。
花を一輪飾る。
季節の色の布を一枚敷く。
小さな置物を一つだけ替える。
手持ちの器へ木の実や貝殻を入れる。
これだけでも、いつもの場所に時間の移り変わりが見えてきます。
季節の飾り付けで大切なのは、たくさん並べることではなく、「どの場所へ、何を一つ置くか」を選ぶことです。毎月新しい用品を買わなくても、器や布を使い回し、植物、紙、小物だけを替えれば、同じ場所に違う表情を作れます。
この記事では、自宅で月に二回ほど季節の飾りを見直す場合を中心に、費用、飾る場所の決め方、年間の楽しみ方、最初の一角を整える流れ、道具、収納、安全面、続けるほど変わる五つの楽しみ方をまとめます。
季節の飾り付けの基本情報
季節の飾り付けは、自然の変化や年中行事に合わせて、室内の小物、植物、布、紙飾り、照明などを入れ替える楽しみ方です。
正月、節分、ひな祭り、七夕、十五夜、ハロウィン、クリスマスといった行事を入口にすることもできます。桜が咲く頃、雨の多い時期、暑さが和らぐ夕方、落ち葉が増える頃など、自分が感じた季節から飾りを考えても構いません。
主な楽しみ方 玄関や棚、食卓などの一角へ季節の色や小物を飾る
おすすめの頻度 月二回前後。飾る日と片付ける日を分けてもよい
一回の作業時間 約一〜二時間
短時間で楽しむ場合 置物や花を一つ替えるだけなら十五〜四十五分ほど
しっかり整える場合 掃除、制作、設置を含めて二〜三時間ほど
主な場所 玄関、棚、窓辺、食卓、壁面、リビングの一角
最初に必要なもの 飾る場所、季節を表す小物一つ、掃除用の布
天候の影響 室内なら少ない。生花、枝、屋外装飾は気温や湿度の影響を受ける
向いている住まい 広さに関係なく、一段の棚や小さなトレーがあれば始められる
始めやすい方法 家にある器、布、紙、植物を組み合わせる
飾り付けの範囲を広げるほど、準備と片付け、収納の負担も大きくなります。最初は「玄関の棚だけ」「食卓の中央だけ」というように、一か所を決めると続けやすくなります。
月二回という頻度は、毎回新しい飾りを作るという意味ではありません。月の初めに飾りを替え、後半に位置を整えたり、次の季節へ向けて片付けたりする時間も含みます。
季節の飾り付けにかかる費用
季節の飾り付けは、手持ちの器や布を使えば、ほとんど費用をかけずに始められます。一方で、行事ごとに新しい置物、リース、電飾、収納用品を購入すると、年間費用は大きくなります。
初期費用を一律に一万五千円と考える必要はありません。最初は一つの場所を整え、続けたいと思ってから収納や道具を足します。
手持ち品で始める場合
次のようなものは、季節を問わず土台として使えます。
白や生成りの布。
透明な瓶。
小さな木のトレー。
無地の花瓶。
浅いかご。
写真立て。
空き瓶や小箱。
これらへ、折り紙、庭の枝、季節の花、旅先で拾わず購入した自然素材などを組み合わせれば、初回は0〜1,500円ほどでも楽しめます。
食卓に使っていない小皿へ木の実を並べる、ガラス瓶へ一輪挿す、色紙を丸く切ってガーランドにするといった小さな飾りなら、新しい道具もほとんど必要ありません。
小さな一角を整える場合
季節の小物一〜二点 約110〜1,500円
造花や小さなリース 約220〜3,000円
生花や枝もの 約500〜2,500円
敷き布や手ぬぐい 約500〜2,000円
トレーや小型の花瓶 約500〜3,000円
フック、ひも、粘着用品 約300〜1,500円
玄関や棚の一角を初めて整える場合は、合計2,000〜6,000円ほどが現実的な範囲です。すでに器や布があるなら、季節の小物だけを買い足して費用を抑えられます。
安価な用品でも、色や素材を二〜三種類に絞ると、落ち着いたまとまりを作りやすくなります。値段の高い置物を一つ買うより、飾る場所の大きさに合うものを選ぶことのほうが大切です。
手作りを加える場合
紙、布、植物などから飾りを作る場合は、作品ごとの材料費がかかります。
紙のガーランドや切り紙 約200〜1,000円
小さな布飾り 約500〜2,000円
植物を使ったミニリース 約1,000〜3,500円
ドライフラワーのスワッグ 約1,000〜4,000円
木の実や枝を使った置物 約500〜2,500円
毎回すべてを作り替えず、土台を再利用すると費用を抑えられます。リース台、ひも、花瓶、フレーム、トレーなどを共通の土台にし、付ける素材だけを季節ごとに替える方法です。
接着剤や装飾を永久に固定せず、細いワイヤー、ひも、クリップなどで着脱できるようにすると、一つの土台を何度も使えます。
電飾を使う場合
小型のLEDライトや電池式キャンドルを加えると、夕方以降の雰囲気が変わります。
短い電池式LEDライト 約500〜2,000円
電池式キャンドル 約500〜2,500円
室内用の装飾照明 約1,000〜5,000円以上
本体価格に加えて、乾電池や電気代、交換時期も考えます。屋外用と室内用は同じではないため、使用場所と製品表示を確認します。
電飾は、布や紙の奥へ隠しすぎると発熱やコードの傷みに気づきにくくなります。光を増やすことより、無理のない配線と消し忘れを防ぐ方法を先に整えます。
年間費用の目安
手持ち品を活用する場合 年間約3,000〜10,000円
月ごとに小物や花を少し替える場合 年間約10,000〜30,000円
大きな行事飾りや電飾も購入する場合 年間約30,000〜80,000円以上
入力データの年間約一万九千五百円は、小さな材料を月二回ほど追加し、数回だけ大きな飾りを購入する場合には現実的な目安です。
ただし、毎月新しい飾りを買う必要はありません。春夏、秋、冬の三〜四組を基本にし、花や紙小物だけを替えるなら、年間費用と収納量を抑えられます。
買いすぎを防ぐ小さなルール
季節用品は、限られた時期に並ぶため、「今買わなければ」と感じやすいものです。購入前には、次の三つを確認します。
どこへ飾るのか。
何と組み合わせるのか。
季節が終わったらどこへしまうのか。
置き場所と収納場所の両方が決まらないものは、一度保留にします。飾りを増やすより、今あるものを別の組み合わせで使うほうが、その人らしい景色を作れることもあります。
季節の飾り付けをおすすめする3つの理由
1.暮らしの中に、季節の境目が見えてくる
忙しく過ごしていると、季節は気温の変化だけで通り過ぎていきます。
けれど、玄関の飾りを替えようとすると、街路樹の葉、花屋に並ぶ植物、夕方の光の色などへ自然と目が向きます。
桜の花が終わり、葉の緑が濃くなった。
雨の日が増え、青や紫の花が目立つようになった。
日が短くなり、温かい色の灯りが心地よくなった。
飾りを考えることが、外の変化へ気づく小さなきっかけになります。
季節は暦どおりに急に入れ替わるものではありません。冬の飾りを片付けた翌日に、すぐ春らしく感じられなくても構いません。自分が「そろそろ変えたい」と感じた時期を、暮らしの季節として取り入れられます。
2.同じ場所を、色と形だけで変えられる
家具を動かさなくても、敷く布、花瓶の中身、置物の高さを変えるだけで、一角の印象は変わります。
春は淡い色と細い枝。
夏は透明な器と余白。
秋は茶色や深い赤の実。
冬は常緑の葉と小さな灯り。
使っている棚やトレーは同じでも、組み合わせによって違う景色になります。
大きな模様替えでは、家具の購入や移動、処分が必要です。季節の飾り付けなら、手のひらほどの範囲から始められ、気に入らなければすぐ戻せます。
試しながら整えられることが、初心者にも続けやすい理由です。
3.買う、作る、受け継ぐを一つの場所で楽しめる
季節の飾りは、すべて新しく作る必要も、すべて購入する必要もありません。
気に入った置物は購入する。
紙飾りは自分で作る。
家族から受け継いだ人形を飾る。
旅行先で見つけた小さな工芸品を加える。
育てた花を一輪だけ使う。
異なる来歴を持つものを、一つの場所へ組み合わせられます。
毎年同じ飾りを出すと、過去の季節も一緒に思い出されます。今年作った小さな飾りが、数年後には家の定番になることもあります。
完成した空間だけでなく、飾りが少しずつ増え、使い方が変わっていく時間まで楽しめます。
最初に飾る場所は、一か所だけ選ぶ
季節の飾り付けを始めるときは、飾りそのものより先に場所を決めます。
おすすめは、毎日一度は目に入るものの、生活動線を邪魔しにくい場所です。
玄関の棚
外から帰ったときに季節を感じやすい場所です。小さな花瓶、置物、手ぬぐいなどを組み合わせられます。
ただし、鍵、郵便物、荷物を置く場所と重なると散らかりやすくなります。飾る範囲をトレー一枚分に限定すると、日用品と分けやすくなります。
リビングの棚
長く目に入り、家族と共有しやすい場所です。少し高さのある枝や、写真立て、リースも飾れます。
テレビや暖房器具の近くでは、熱、風、コードへの干渉に注意します。画面の前やリモコンの置き場所を塞がない範囲にします。
食卓の中央
食事のたびに季節を感じられます。小さな花、低い器、布、小皿に載せた飾りが向いています。
顔が隠れるほど高いもの、食器を置きにくくするもの、花粉や細かな素材が落ちるものは避けます。食事の際にトレーごと動かせるようにすると扱いやすくなります。
窓辺
光を通すガラス、薄い布、吊り飾りを楽しみやすい場所です。
直射日光による色あせ、結露、風、カーテンの開閉を考えます。窓を開けたときに飾りが飛んだり、コードやひもが挟まったりしない位置を選びます。
壁面
ガーランド、布、軽いリース、紙飾りなどを使えます。床や棚の面積が少ない住まいでも取り入れやすい方法です。
壁紙や塗装へ粘着用品を使う場合は、目立たない場所で試します。製品の耐荷重だけでなく、飾りの形、引っ張られ方、設置期間も考えます。
最初は複数の場所を同時に飾らず、一か所を完成させます。少し離れた場所から見て、物足りないと感じても、その日は一つ増やすだけにします。
一年を十二の行事で埋めなくてもよい
季節の飾り付けというと、毎月の行事へ合わせて変えなければならないように感じるかもしれません。けれど、暮らしの中で大切にしたい時期だけを選べば十分です。
冬の終わりから春
正月飾りを片付けたあと、すぐに大きな春飾りへ替えず、白や淡い緑の小物だけを置くと、冬から春への途中を表せます。
節分、ひな祭り、桜の時期には、豆を入れる小皿、小さな人形、桃や桜を思わせる色などを加えます。行事用品をすべて並べず、象徴になるものを一つ選びます。
春から初夏
新しい葉、白い花、若草色の布など、軽い印象のものが使いやすい時期です。
こどもの日には、紙や木の小さなこいのぼり、青や緑の布を取り入れられます。大きな飾りを出せない住まいでも、ガーランドやカードなら小さな範囲で楽しめます。
梅雨から夏
青、紫、透明、銀色など、涼しさを感じる色を使えます。あじさいを思わせる紙花、ガラスの器、水滴のような透明小物も似合います。
七夕では、短冊や小さな笹飾りを作れます。願い事をたくさん飾るだけでなく、一枚だけ書き、余白を残す方法もあります。
盛夏には、貝殻、青い布、風鈴、うちわ、ガラスなどを使えます。ただし、自然の海岸や保護区域から素材を持ち帰らず、市販品や自宅にあるものを利用します。
夏の終わりから秋
月、すすき、実、穂、深い緑や茶色などを取り入れます。十五夜を過ぎても、秋の植物や器として長く飾れるものを選ぶと、短期間で片付ける負担が減ります。
ハロウィンは、橙と黒を大量に使わなくても、小さなかぼちゃ一つ、紙で切った影、暗い紫の布などで雰囲気を作れます。
秋の終わりから冬
木の実、枝、常緑の葉、赤い実、白い布、金属やガラスの灯りが似合う季節です。
クリスマスは、ツリーを置く方法だけではありません。棚の上に小さな三角形を作る、リースを一つ飾る、枝へ数個だけオーナメントを下げる方法もあります。
その後は、赤や金の飾りを外し、白、木、常緑の葉を残せば、冬の室内飾りとして少し長く楽しめます。
一年の飾りを細かく分けすぎると、入替えと収納に追われます。春、夏、秋、冬の四つを基本にし、行事の前だけ小物を加える形でも十分です。
初めての一角を整える流れ
1.飾る範囲を決める
最初は、幅三十〜五十センチほどの棚や、トレー一枚分を目安にします。
広い場所全体を見て考えると、足りないものが多く感じられます。範囲を小さくすると、少ない材料でも完成させやすくなります。
2.何も置かずに掃除する
今ある小物を一度下ろし、ほこりや汚れを拭きます。季節用品を置く前に空の状態を見ると、場所の広さや背景の色が分かります。
飾り付けのたびに掃除の機会が生まれることも、この趣味のよいところです。
3.今の季節を表す言葉を三つ選ぶ
たとえば初夏なら、
雨。
青。
葉。
秋なら、
実。
影。
茶色。
というように、三つだけ選びます。この言葉に合わないものを無理に足さないようにすると、全体がまとまりやすくなります。
4.土台を一つ置く
トレー、布、かご、小さな台などを置き、飾る範囲を視覚的に区切ります。
土台は、毎回替えなくても構いません。同じ木のトレーへ、季節ごとに異なる小物を載せるだけでも、景色は変わります。
5.高さのあるものを一つ置く
花瓶、枝、細長い置物、立てたカードなどを一つ置きます。中央へ置くより、少し左右へずらすと、残りの場所へ小物を加えやすくなります。
転倒しやすいものは、生活動線や地震による落下も考え、安定する高さにします。
6.低いものを一つ添える
小皿、石ではなく購入した自然素材、小さな置物、折り紙、布飾りなどを手前へ置きます。
高さのあるものと低いものの二つだけでも、平坦にならず、まとまりが生まれます。
7.一度離れて見る
近くで作業していると、細かな向きばかり気になります。普段その場所を見る距離まで離れ、色が多すぎないか、生活用品の邪魔になっていないかを確認します。
足りないと感じても、すぐに何個も足しません。花を一本増やす、布の見える面積を少し変えるなど、一つだけ調整します。
8.写真を一枚残す
完成した一角を同じ位置から撮っておくと、次の季節に使ったものや配置を思い出せます。
毎年同じ形へ戻してもよいですし、前年と一か所だけ変えても構いません。写真は上手さを比べるためではなく、使ったものと季節の記録として役立ちます。
最初に必要な道具と材料
最初に必要なもの
掃除用の布
飾る前と片付けるときに使います。植物や細かな装飾を置く場所は、ほこりがたまりやすくなります。
はさみ
紙、ひも、薄い布などを切ります。植物用のはさみと工作用は分けると扱いやすくなります。
ひもや細いリボン
紙飾り、タグ、小さな吊り飾りへ使えます。最初は白、麻色、細い赤など、ほかの季節にも使える色を選びます。
粘着用品
弱粘着のテープ、壁面用フック、貼ってはがせる用品などです。壁や家具の素材と、製品の使用条件を確認します。
トレーまたは小さな布
飾る範囲を区切り、複数の小物を一つのまとまりとして見せられます。
あると便利なもの
メジャー
棚、壁、窓の幅を測り、長すぎるガーランドや大きすぎるリースの購入を防ぎます。
小型の収納箱
季節ごとに小物を分けられます。透明な箱や、中身を書いたラベルがあると探しやすくなります。
細いワイヤー
植物や小物を着脱できる形で固定できます。切り口でけがをしないよう、端を内側へ曲げます。
クリップ
紙、布、写真、小さな飾りを、接着せず取り替えられます。
小型の踏み台
高い場所へ飾る場合に使います。椅子や箱を代用せず、床へ安定して置けるものを選びます。
最初は買わなくてよいもの
大きな収納棚、業務用の工具、多数の電飾、季節ごとの専用食器、部屋全体を覆う装飾は必要ありません。
始めたばかりの段階では、どの場所をよく飾り、どの素材が扱いやすいか分かりません。一年ほど使い方を見てから、足りないものを選びます。
物を増やさずに楽しむための工夫
季節の飾り付けで悩みやすいのは、作ることより、飾り終えたものの収納です。
収納を後から考えるのではなく、最初から「しまえる量」を趣味の範囲にします。
土台を共通にする
花瓶、トレー、フレーム、かご、リース台など、季節を問わず使える土台を決めます。替えるのは、中へ入れる植物、布、紙、小物だけにします。
透明な花瓶なら、春は花、夏は涼しげな葉、秋は実、冬は枝ものへ変えられます。
平らに収納できる飾りを選ぶ
紙のガーランド、布、手ぬぐい、カードなどは、平らに重ねて保管できます。立体的な置物ばかりを集めるより、収納空間を抑えられます。
紙飾りは湿気や折れを避け、薄い箱やファイルへ入れます。
箱の大きさを上限にする
「春夏で一箱、秋冬で一箱」というように、収納箱の数を決めます。箱に入らなくなったら、新しく買う前に、壊れているものや使わなくなったものを見直します。
思い出がある飾りまで無理に減らす必要はありません。よく使うもの、残したいもの、写真だけ残すものを分けます。
一つの飾りを長く使う
行事当日だけ使える飾りより、前後の季節にもなじむものを選びます。
かぼちゃそのものではなく、秋色の器を選ぶ。クリスマス柄ではなく、常緑の枝や木の星を選ぶ。正月飾りの一部に、冬の花や白い布を組み合わせる。
短期間の行事用品を少なくすると、入替えの回数も抑えられます。
壁や家具を傷めないために
貼ってはがせると表示された用品でも、すべての壁紙、塗装、木材へ安全とは限りません。
古い壁紙、紙素材、砂壁、表面が弱った塗装、湿気の多い場所では、粘着剤によってはがれや変色が起きることがあります。目立たない場所で試し、製品の使用期間と外し方を確認します。
飾りの重さだけでなく、扉の開閉、風、カーテン、人が触れることによる力も考えます。軽いリースでも、頻繁に揺れる場所ではフックへ負担がかかります。
粘着用品を外すときは、飾りを先に取り、説明どおりの方向へゆっくり動かします。急に引っ張ったり、壁から垂直にはがしたりしません。
家具の上へ飾る場合は、色移りや水滴にも注意します。生花の器、湿った枝、金属製品は、トレーや受け皿の上へ置きます。
火、電飾、高い場所の安全
季節の飾りには、紙、布、乾燥した植物、木など、燃えやすい素材が多く使われます。見た目を優先し、熱源や火の近くへ置かないことが大切です。
ろうそくを使う場合
火をつけたろうそくの周囲へ、紙、布、ドライフラワー、かご、木の枝などを置きません。上の棚や壁飾りへ炎が近づかない位置を選びます。
短い時間でも、火をつけたまま部屋を離れたり、眠ったりしません。風、エアコン、窓の開閉で炎が揺れる場所も避けます。
季節の灯りを楽しむことが目的なら、電池式キャンドルを使う方法もあります。本物の炎とは見え方が異なりますが、紙飾りや植物と組み合わせやすくなります。
電飾を使う場合
室内用・屋外用の表示、電源方式、接続できる数、使用時間を確認します。コードへ傷、変色、熱、緩みがある製品は使用を続けません。
延長コードやテーブルタップへ複数の電気製品をまとめて接続せず、定められた容量を守ります。コードを家具で挟んだり、敷物の下へ隠したり、強く束ねたまま使ったりしません。
充電式やUSB式の製品は、付属品または指定された電源用品を使います。使用後や外出時は電源を切り、長期間飾ったままにする場合も定期的に状態を確認します。
高い場所へ飾る場合
椅子、机、収納箱へ乗らず、安定した踏み台を使います。床に紙、ひも、工具が散らかった状態で上りません。
踏み台は平らな床へ置き、身体を大きく横へ伸ばさず、位置を変えるたびに一度下ります。重い飾りや長いガーランドは、一人で無理に取り付けないようにします。
子どもやペットがいる場合
小さな飾り、磁石、ボタン、電池、ひも、細いワイヤーは、誤飲や絡まりにつながることがあります。手や口が届かない高さへ置くだけでなく、落下しても届かない位置を選びます。
植物には、触れたり食べたりすると身体へ影響する種類があります。生花や枝を飾る場合は、家庭の状況に合う植物か確認します。
壊れやすいガラスや陶器も、通り道や家具の端へ置きません。
片付けまでを一回の楽しみにする
飾りを外す日は、趣味が終わる日ではありません。
どの飾りをよく見たか。
どの場所では邪魔になったか。
来年も使いたいものは何か。
修理や手入れが必要なものはあるか。
一つずつ確認しながら片付けると、次の季節の飾り方が見えてきます。
布や衣類は、汚れと洗濯表示を確認します。植物素材は、湿気、虫、かびがないかを見てから収納します。電飾は電池を外し、コードを強く折り曲げず、製品ごとにまとめます。
飾りの写真を一枚印刷するか、箱へ小さなメモを入れておくと、翌年の準備が楽になります。
「玄関は花瓶一つで十分だった」「食卓の飾りは低いほうが使いやすかった」という気づきも残しておきます。
片付けが簡単な飾りほど、翌年も気軽に出せます。
続けるほど変わる五つの楽しみ方
ここで紹介する五つは、飾りの豪華さや技術を比べる段階ではありません。小さな一角を繰り返し整える人も、手作りへ広げる人も、自分に合う場所を行き来しながら楽しめます。
第1段階 一か所へ季節のものを一つ置く
玄関へ花を一輪飾る、棚の上へ小さな置物を置くところから始めます。
最初は組み合わせよりも、普段の景色に季節のものが一つ加わった変化を味わいます。十五分ほどで終わる飾りでも、十分に部屋の印象は変わります。
第2段階 色、高さ、余白を整える
敷き布を加える、高いものと低いものを組み合わせる、物同士の間を少し空けるなど、配置を考えます。
物を増やすのではなく、向きや間隔を変えるだけで、まとまりが生まれることに気づきます。同じ飾りを前年とは違う場所へ置く楽しみも出てきます。
第3段階 手作りと使い回しを加える
紙のガーランド、小さなリース、布飾りなどを作り、購入した小物と組み合わせます。
共通の土台へ季節ごとの素材を付け替える方法も覚えます。新しいものを増やすだけでなく、今あるものを別の形で使うことが楽しみになります。
第4段階 家の中へ小さな季節の流れを作る
玄関、食卓、窓辺など、二〜三か所へ同じ色や素材を少しずつ使います。
すべてを同じ飾りにするのではなく、玄関には枝、食卓には同じ色の布、窓辺には小さな紙飾りというように、ゆるくつなげます。
住まい全体を大きく変えず、歩く場所ごとに季節が少しずつ見えるようになります。
第5段階 毎年の記録と家の定番へ育てる
同じ飾りを毎年出し、配置や組み合わせだけを変えます。家族が作ったもの、旅先で選んだもの、長く使っている器などが、その家らしい季節の景色へ育っていきます。
写真と短い記録を残せば、前年との違いや、暮らしの変化も見えてきます。
新しい飾りを増やさなくても、「今年もこれを出す時期になった」と感じられるものが一つあれば、季節の飾り付けは長く続いていきます。
あわせて楽しみたい関連する趣味
フラワーアレンジメント
フラワーアレンジメントは、季節の花や葉を選び、器の中で向きや高さを整える趣味です。飾り付けの中心へ生花を一つ置きたいとき、花を多く使わずにまとまりを作る考え方が役立ちます。
毎回大きな作品を作らなくても、花一種類と葉ものだけで、その時期らしい一角を整えられます。
ドライフラワー
ドライフラワーは、生花や葉を乾燥させ、花束、スワッグ、リースなどへ仕立てる趣味です。飾っていた花を乾かし、次の季節にも使うことで、植物との時間を少し長くできます。
鮮やかな生花とは違う、落ち着いた色や乾いた質感は、秋や冬の室内装飾にもよくなじみます。
消しゴムはんこ
消しゴムはんこは、小さな図案を彫り、紙や布へ繰り返し押せる趣味です。葉、花、星、雪、月などの図案を一つ作れば、季節のカード、タグ、ガーランド、収納箱のラベルにも使えます。
飾りを大きく増やさず、紙の色やインクだけを替えて季節感を出したい人にも相性のよい楽しみ方です。
小さな一角から、家の中に季節を迎える
季節の飾り付けを始めるために、広い部屋も、大きな収納も、特別な技術も必要ありません。
棚の上を一度空にする。
ほこりを拭く。
花瓶を一つ置く。
今の季節を思わせる色を添える。
それだけでも、見慣れた場所の空気は少し変わります。
最初は、何を置けばよいか分からず、物足りなく感じるかもしれません。けれど、飾り付けでは、空いている場所も景色の一部です。
たくさん並べるより、花の向きや布の見える幅を少し変え、離れた場所から眺めてみる。その小さな調整の中に、自分が心地よいと感じる暮らしの形が見えてきます。
次の休日は、家の中でよく目に入る棚を一か所だけ選んでみる。今あるものを一度下ろし、器、布、植物、小物の中から一つだけ戻してみる。
いつもの場所へ小さな季節を迎える時間は、そこから始まります。
休日のよりみち帖では、気軽に試せるものから、少しずつ時間をかけて深めていくものまで、さまざまな趣味やレジャーを紹介しています。「次の休日は何をしよう」と迷ったとき、新しい楽しみを見つける小さなきっかけになれたらうれしいです。これからも思わず試してみたくなる趣味を丁寧に紹介していきますので、ぜひフォローして、次の記事も覗いてみてください。
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