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バックパックキャンプの楽しみ方

背中の荷物を下ろし、地面へ置く。

歩いている間は少し重く感じていたバックパックの中から、テント、寝袋、マット、食事、明かりを一つずつ取り出していくと、何もなかった場所に一晩分の生活が現れます。椅子や大きなテーブルがなくても、マットへ腰を下ろして湯を沸かせば、そこが今日の居場所になります。

「一泊分の荷物を、本当に背負って歩けるのかな」
「軽い道具を一式そろえないと始められないのだろうか」
「普通のキャンプと、どこが違うのかな」

バックパックキャンプは、宿泊に必要な道具をバックパックへ収め、徒歩や公共交通機関でキャンプ地へ向かう楽しみ方です。山中を長く歩くテント泊だけを指すわけではなく、駅や駐車場から歩いて入る管理キャンプ場でも始められます。

車へ荷物を積めないため、持っていくものには一つずつ理由が必要です。何を持ち、何を置いていくかを考える時間から、すでにキャンプは始まっています。


バックパックキャンプの基本情報

設営・食事・撤収などの活動時間 約170分から

短く試す場合 日帰りで約4〜6時間

宿泊と移動を含む総所要時間 一泊二日で約20〜30時間

想定頻度 月1回程度

主な場所 徒歩で入場できる管理キャンプ場、林間・高原・湖畔のキャンプ施設

一人での実施 可能だが、初回は管理人のいる施設や同行者のいる計画が安心

複数人での実施 道具を一部共有しながら歩ける

施設への依存 水、トイレ、安全な幕営場所を利用するため、初回は管理施設への依存が高い

天候の影響 雨、風、雷、暑さ、冷え込みに大きく左右される

約170分は、テントを張り、寝床を整え、食事をつくり、翌日に撤収するための作業時間です。そこへキャンプ地までの徒歩移動、休憩、睡眠が加わるため、一回の予定には一泊二日を見ておきます。

初めてなら、駅や駐車場から平坦な道を10〜30分ほど歩く管理キャンプ場が選びやすいでしょう。山道を何時間も歩くテント泊は、日帰りハイキングや登山で荷物を背負うことに慣れてから進む別の段階です。

バックパックキャンプの費用

借用品やレンタルで試す初回費用 約8,000〜2万円

道具を購入する場合の初期費用 約6万〜15万円

標準的な初期費用 約8万〜10万円

一回の費用 約4,000〜1万円+交通費

月1回続ける場合の年間費用 約7万〜15万円+交通費

初期費用の中心は、バックパック、テント、寝袋、マット、照明、雨具です。すでに登山用の服や寝具を持っている、テントを同行者と共有する、キャンプ場でレンタルする場合は費用を抑えられます。

入力の約1万1,000円は、手持ち品と借用品を多く利用する最小構成に近い金額です。宿泊装備を一から購入する場合は、テント一張りだけでも数万円になるため、すべてを同じ予算内へ収めるのは難しくなります。

軽量な道具は、素材や構造に工夫が必要な分、価格が高くなる傾向があります。最初から最軽量の製品を追わず、寝袋とマットは予定する気温へ対応できること、テントは一人で設営できること、バックパックは身体へ合うことを優先します。

一回の費用には、キャンプ場利用料、食材、燃料、入浴、交通費がかかります。月1回続ける場合は、遠い場所へ毎回出かけるより、公共交通機関で行きやすい近場をいくつか持っておくと、費用と移動の負担を抑えやすくなります。

3つのおすすめ

1.必要なものが、自分の背中の重さで分かります

車を使うキャンプでは、迷った道具をひとまず積んでいくこともできます。バックパックキャンプでは、一つ増やすたびに背中の重さが変わるため、本当に使うものかを自然に考えるようになります。

大きなテーブルを持たず、マットを座る場所にも使う。食器を何枚も持たず、一つの器で食事を済ませる。厚い本ではなく、短く読める一冊を選ぶ。道具を減らすことが、我慢ではなく過ごし方の工夫へ変わっていきます。

一度目に使わなかったものを次は外し、足りなかったものだけを加える。回数を重ねるほど、バックパックの中身が自分のキャンプに合う形へ整っていきます。

出発前に並んでいた道具が、帰宅後には「必要だったもの」と「なくても困らなかったもの」に分かれる。その小さな発見が、次の計画を立てる楽しさになります。

2.車を離れた先に、自分で運んだ居場所を作れます

バックパックを背負って歩き始めると、駐車場や駅から少しずつ生活の音が遠ざかります。舗装路から土の道へ入り、木立の間を抜けてキャンプ地へ着くと、移動そのものが滞在の一部になります。

到着した場所には、まだ椅子も寝床もありません。バックパックを開き、テントを張り、マットを広げ、明かりを取り出す。その一つひとつを自分で運んできたからこそ、小さな空間にもはっきりとした手応えがあります。

遠くまで歩かなければ価値がないわけではありません。徒歩15分のキャンプ場でも、自分の背中だけで一晩分を運び終えれば、車から荷物を下ろすキャンプとは違う達成感があります。

翌朝、荷物をすべて収め、何もなかった状態へ戻すところまでが一回です。自分で生活を持ち込み、自分で持ち帰る。その簡潔な流れが、バックパックキャンプの気持ちよさです。

3.歩く道と泊まる時間が、一つの旅になります

キャンプ場に泊まることだけが目的ではなく、そこへ向かう道も楽しみの一部です。駅から小さな商店へ立ち寄り、夕食を一品買う。川沿いの道を歩き、途中の景色を眺める。翌朝は別の道を通って帰る。移動と宿泊を一つの行程として組み立てられます。

荷物を背負っていると、普段なら気にしない坂や路面にも目が向きます。歩きやすい道、休みやすい場所、水を補給できる場所を調べることで、地図の見え方も変わります。

慣れてくると、同じキャンプ場でも季節や経路を変えて訪ねられます。春は桜の道を歩き、秋は落ち葉の林を抜ける。同じ寝床へ向かう一泊でも、歩いた道によって違う記憶が残ります。

初めてのキャンプ場では、歩く距離より戻りやすさを確認する

初回の場所は、長い距離を歩けるかではなく、困ったときに戻れるかで選びます。管理人がいて、受付からサイトまでの道が分かりやすく、水場とトイレが近いキャンプ場が安心です。

確認したいのは、駅や駐車場からの距離だけではありません。

道の傾斜と路面

荷物を背負った場合の所要時間

チェックイン前後の交通手段

携帯電話の電波と緊急連絡先

飲料水を補給できる場所

テントサイトの地面と水はけ

火気、食材、ごみの扱い

悪天候時の休業・キャンセル条件

地図上では短く見えても、急な坂、砂利道、階段が続けば負担は大きくなります。初回は日没の三時間ほど前までに到着でき、忘れ物や体調不良があれば駅や車へ戻れる計画にします。

「人がいない静かな場所」や「無料で泊まれそうな河原」を入口にしないことも大切です。テントの設営が認められている管理キャンプ場を予約し、土地と施設のルールに従います。

最初のバックパックは、容量より背負った感触で選ぶ

テント泊の荷物を一つへ収める場合、50〜60L前後のバックパックが候補になります。暖かい季節の近距離キャンプで道具を共有できれば、もう少し小さな容量へ収まることもありますが、初心者が無理に小さくまとめると、雨具や防寒着を削りやすくなります。

店頭では空の状態だけでなく、実際に近い重さを入れて背負います。腰ベルトが腰骨を包み、肩だけへ重さが集中しないか、背面の長さが身体に合っているかを確認します。

パッキングでは、寝袋のように軽くて大きいものを底へ入れ、重い食料や調理器具は背中に近い中央付近へ置きます。雨具、救急用品、ヘッドライトなど、途中で使う可能性があるものは取り出しやすい場所へ収めます。

バックパックの生地が雨へ対応していても、荷物が完全に濡れないとは限りません。内側に防水袋を使い、寝袋、着替え、電子機器は個別に守ります。

軽さだけでなく、背負ったまま歩けること、必要な安全用品を入れられること、毎回同じ場所へ道具を戻せることが、最初の一つを選ぶ基準になります。

初めての一泊は、歩く距離を短くして試す

出発前

一週間ほど前に、自宅の床へすべての道具を並べます。バックパックへ詰め、実際に背負って30分ほど歩き、肩や腰へ痛みが出ないか確認します。

キャンプ場名、移動経路、到着予定、帰宅予定を身近な人へ伝えます。前日と当日は天気、最低気温、風、雷の可能性を確認し、雨や強風が予想される場合は延期します。

食事は、湯を沸かすだけ、温めるだけの一品にします。調理道具と水を増やしすぎず、現地で確実に飲料水を得られるか確認します。

キャンプ場まで歩く

歩き始めは速く進まず、バックパックの肩ベルトと腰ベルトを整えます。違和感があれば我慢せず、早い段階で荷物の位置を直します。

休憩ではバックパックを下ろし、水分を取ります。到着時間を縮めることより、設営する余力を残して歩くことを優先します。

到着後

受付を済ませたら、食事や休憩より先にテントと寝床を整えます。雨具、防寒着、ヘッドライトは、暗くなってから探さずに済む場所へ置きます。

設営後は、トイレ、水場、管理棟、帰路を明るいうちに確認します。食事は早めに終え、食材とごみを施設指定の方法で保管します。

翌朝

起きたら天候と体調を確認し、簡単な朝食を取ります。テントの結露や汚れを拭き、忘れ物とごみがないか確認して撤収します。

帰りの荷物は、食料が減った分だけ少し軽くなります。ただし、濡れたテントは重くなるため、無理に袋へ押し込まず、帰宅後に必ず広げて乾燥させます。

最初に必要なもの

最低限必要なもの

身体に合うバックパック、テント、寝袋、マット、ヘッドライト、雨具、防寒着、飲料水、食料、救急用品、スマートフォン、予備電源が基本です。火気を使う場合は、施設が認めた器具、燃料、消火用の水も用意します。

あると便利なもの

小さな座布団、トレッキングポール、パックカバー、スタッフバッグ、耳栓、帽子、手袋、タオル、虫よけがあると、移動と滞在を整えやすくなります。

続けるなら用意したいもの

軽く収納しやすいテント、予定する気温に合う寝袋、断熱性と収納性のバランスがよいマットへ少しずつ替えます。道具を軽くする前に、使わなかったものを持たない方法も試します。

後回しにできるもの

キャンプ用の椅子、大きなテーブル、焚き火台、薪割り道具、多数の調理器具、重いカメラ機材は、最初から必要ありません。座る場所はマット、食事は一つの器で代用できます。

安全に楽しむために

バックパックキャンプでは、宿泊装備を背負った状態で歩きます。重さへ慣れていない初回は短い経路を選び、肩、腰、膝、足裏へ痛みが出たら、予定を縮めて戻ります。

雨と風が重なると、気温が極端に低くなくても身体の熱を奪われます。雨具と着替えを濡らさないようにし、設営中に冷え始めた場合は、濡れた服を替えて温かい場所へ移ります。雷が予想される日や、強風でテントを安全に張れない日は中止します。

テント内や閉じた前室では、ガスこんろ、炭、焚き火、燃料式ランタン、暖房器具を使いません。調理は施設が認めた屋外の換気がよい場所で行い、火から離れず、使用後は確実に消火します。

水場があっても、そのまま飲用できるとは限りません。管理された飲料水を利用し、沢や湖の水を自己判断で飲まないようにします。

食材、ごみ、調理器具を外へ出したまま眠ると、野生動物を引き寄せることがあります。密閉して指定場所へ保管し、食べ残しを地面へ捨てません。

スマートフォンは、電波が届かない、低温で電池が減る、故障するといったことがあります。紙や保存済みの地図、予備電源を持ち、行き先と帰宅予定を身近な人へ伝えます。

続けるほど変わる五つの楽しみ方

1.自宅で荷物を背負って歩く

必要な道具をバックパックへ詰め、近所を30分ほど歩きます。身体への当たり方、取り出しにくいもの、入れすぎたものを確認します。

2.徒歩で入れる管理キャンプ場へ行く

平坦で短い経路を選び、一泊分を自分で運びます。距離を伸ばすより、明るいうちに設営し、無事に撤収して帰ることを目標にします。

3.自分の荷物を整える

使わなかった道具を外し、足りなかったものを見直します。重さを量り、睡眠、安全、食事のどこへ荷物を使いたいか考えます。

4.歩く道と季節を広げる

日帰りハイキングで経験を積み、少し長い経路や高低差のある場所へ進みます。気温、風、水場、交通を調べ、対応できる条件だけを選びます。

5.自分の一泊を記録する

荷物の重さ、歩いた距離、費用、最低気温、使わなかった物、眠りやすさを残します。同じ場所を季節ごとに訪ねたり、初心者へ安全な入口を伝えたりすると、一泊が自分の定番へ育っていきます。

五つは上達の順位ではありません。短い距離の同じキャンプ場を繰り返すことも、食事や焚き火を増やさず、歩くことと眠ることだけを楽しむ形も自然です。

あわせて楽しみたい関連する趣味

キャンプ

キャンプでは、車や複数人で多めの道具を運び、屋外に生活空間を作る楽しさを味わえます。まず設備の整った場所で設営、食事、宿泊、撤収を経験してから、荷物を背負う形へ進みたい人にも向いています。


ハイキング

ハイキングは、整備された自然歩道や高原の道を、自分の体力に合わせて歩く趣味です。日帰りの荷物で歩くことに慣れ、靴、雨具、休憩、行動食の使い方を確かめる準備になります。


登山

登山では、高低差のある道や長い行程を歩き、天候、体力、装備を判断します。山中のテント場へ向かうバックパックキャンプへ広げたい場合は、まず日帰り登山の経験を重ねることが大切です。

翌朝、寝袋をたたみ、マットの空気を抜き、テントを小さく収めていく。

昨日は一晩分の生活が詰まっていた場所から、少しずつ道具が消えていきます。最後にバックパックを背負うと、食べた分だけ荷物は軽くなり、代わりに歩いた道と夜の景色が残ります。

今日できる最初の一歩は、道具を買うことではありません。一泊に必要だと思うものを自宅の床へ並べ、手持ちのバックパックへどこまで収まるか試してみることです。

入りきらなかったものを見つめながら、一つだけ置いていく。その選択から、自分で運べる小さな旅が始まります。


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