鉄板料理の楽しみ方
はじめに
熱したプレートへ豚肉を並べると、軽やかな音とともに脂が広がり、表面へ少しずつ焼き色が付いていきます。その隣では、玉ねぎの縁が透き通り、キャベツのかさがゆっくり小さくなっていきます。
焼けたものから皿へ取り、空いた場所へきのこや厚揚げを置く。最後に残った肉汁と野菜のうま味へ麺を加えれば、最初の一皿とは違う焼きそばが出来上がります。
鉄板料理というと、目の前で厚い肉や魚介を焼く専門店の鉄板焼きを思い浮かべるかもしれません。炎を上げたり、二本のへらを素早く動かしたりする華やかな調理は、自宅では難しいようにも見えます。
けれど、家庭で楽しむ鉄板料理の中心は、特別な演出ではありません。広い加熱面へ食材を置き、焼ける音や香りを感じながら、ちょうどよい頃合いで食べることにあります。
豚肉と野菜、お好み焼き、焼きそば、魚介、餃子、焼きおにぎり、パンケーキなど、平らなプレートで作れる料理は豊富です。一人ならフライパン、二人以上なら卓上ホットプレートというように、人数と暮らしに合わせて始められます。
鉄板料理の基本情報
主な楽しみ方 広いプレートやフライパンで、肉、魚介、野菜、麺、生地などを焼き、出来上がったものから味わう
おすすめの頻度 月2回前後
1回の調理時間 約40〜100分
準備と片付けを含む総所要時間 約70〜130分
短時間で楽しむ場合 肉と野菜を少量焼くだけなら約30〜40分から
最初に作りやすいもの 豚肉と野菜の鉄板焼き、焼きそば、厚揚げやきのこの焼き物
主な実施場所 自宅の台所または食卓
最初に必要なもの フライパンまたはホットプレート、包丁、まな板、トング、耐熱皿
あると便利なもの 温度調節機能、ふた、樹脂製のへら、食品用温度計、油はねを拭くペーパー
始めやすさ 手持ちのフライパンでも試せ、専用の鉄板を最初から購入する必要がない
難しく感じやすいところ 食材ごとの火の通り方、プレート上の場所の使い分け、生肉と焼けた食材を混同しないこと
鉄板料理では、調理と食事が同時に進みます。すべてを完成させてから食卓へ運ぶ料理とは違い、焼けたものを味わいながら、次の食材を置いていきます。
その分、食材の準備は加熱前に終えておくことが大切です。肉を焼き始めてから野菜を洗ったり、たれを探したりせず、皿と調味料まで並べておくと落ち着いて楽しめます。
鉄板料理にかかる費用
すでにフライパンを持っているなら、鉄板料理のための初期費用はほとんどかかりません。卓上で料理を囲みたい場合は、人数、収納場所、プレートの種類を確認してホットプレートを選びます。
手持ちのフライパンで始める場合 初期費用はほぼ0円
小型のホットプレート 約4,000〜1万円
二〜四人向けの標準的なホットプレート 約8,000〜2万円
複数の交換プレートが付く製品 約1万〜3万円
単体の鉄製グリドルや厚い鉄板 約3,000〜1万5,000円ほど
二人分の肉と野菜を焼く食材費 約1,000〜2,500円
牛肉や魚介を中心にする場合 約2,000〜5,000円前後
月2回続ける場合の年間追加費用 約1万5,000〜5万円ほど
費用の差が大きくなるのは、道具よりも食材です。豚肉、鶏肉、季節の野菜、厚揚げを中心にすれば手頃に整えられますが、厚切りの牛肉、ほたて、えびなどをそろえると一回の費用は上がります。
最初は高価な食材を多く並べず、肉一種類、野菜三種類、締めの麺という構成で十分です。食材の種類を絞ると、焼く順番や火の通り方も把握しやすくなります。
電気式ホットプレートは使用中に電気代もかかりますが、通常は一回の料理費全体の中で大きな割合を占めるものではありません。ただし、消費電力が大きい製品が多いため、同じテーブルタップへ電子レンジや電気ケトルなどを同時につながないようにします。
交換用プレートが多い製品は料理の幅が広がる一方、収納場所と手入れの手間も増えます。平面プレートだけで作りたい料理が十分に楽しめるかを確かめてから、たこ焼き用や波形のプレートを検討すると無駄がありません。
鉄板料理をおすすめする3つの理由
1.焼き上がる変化を、食卓の近くで楽しめる
鉄板料理では、食材を置いた瞬間の音、表面が乾いていく様子、焼き色が付く香りを近くで感じられます。肉の縁が色付き、きのこの水分が浮かび、玉ねぎが透き通る様子そのものが、食事の楽しみになります。
焼けたものから食べるため、最後まで温かな状態を保ちやすいことも魅力です。厚揚げは表面が香ばしいうちに、魚介は硬くなる前にというように、それぞれの食べ頃を選べます。
ただ食材を一度に焼くのではなく、焼き上がりの変化を見ながら次の一手を決める。その小さな判断が、鉄板料理を単なる炒め物とは違う時間にしてくれます。
2.同じ食材でも、置く場所と焼く時間で仕上がりが変わる
家庭用ホットプレートは、全面がまったく同じ温度になるとは限りません。中央が熱くなりやすい製品もあれば、ヒーターの形に沿って焼け方に差が出るものもあります。
熱い場所では肉へ焼き色を付け、少し穏やかな場所では野菜をゆっくり加熱する。焼けた食材は低温の場所へ移しておく。この使い分けができるようになると、一枚のプレートで複数の料理を進められます。
初回から温度を数字だけで管理する必要はありません。薄切りの玉ねぎを数か所へ置き、色付き方を比べれば、自分のプレートの熱い場所と穏やかな場所が見えてきます。
3.食事をしながら、次の一品へつなげられる
肉と野菜を焼いたあとには、プレートへ少しのうま味と焦げ目が残ります。余分な脂だけを拭き、麺やご飯を加えると、最初の料理とは違う締めを作れます。
焼きそば、炒飯、ガーリックライス、焼きおにぎりなど、最後の一品にも幅があります。食材を最初からすべて使わず、締めに必要なねぎや麺を別に残しておくと、食卓に自然な流れが生まれます。
焼く、食べる、空いた場所へ次を置く。鍋料理にも似た一体感があり、家族や友人と役割を分けながら楽しめます。
鉄板料理と鉄板焼きの違い
「鉄板料理」は、平らな金属製の調理面で作る料理を広く捉えた言葉です。家庭ではホットプレート、鉄板、グリドル、フライパンなどを使い、焼きそばやお好み焼き、肉と野菜の焼き物まで含めて楽しめます。
一方、飲食店でいう「鉄板焼き」は、料理人が客の前で肉や魚介、野菜を焼いて提供する形式を指すことがあります。厚い鉄板、強い熱源、排煙設備がある専門店と、家庭の食卓では設備も火力も異なります。
家庭で専門店の高温調理や炎の演出を再現する必要はありません。アルコールをプレートへ注いで火を付ける、油を煙が出るまで加熱するといった方法は避けます。
家庭の鉄板料理では、温度調節のできる道具を使い、食材の量を欲張らず、焼き頃を見ながら味わうことを中心にします。
フライパン、ホットプレート、鉄板の違い
フライパン
一人から二人分を試すなら、手持ちのフライパンが最も簡単です。予熱が早く、持ち上げて盛りつけや洗浄ができるため、初回の肉野菜焼きや焼きそばに向いています。
一方、食卓で長く保温する用途には向きません。コンロで仕上げて皿へ盛る場合は、鉄板料理の火入れを試す道具として考えます。
卓上ホットプレート
食卓へ置き、焼きながら食べられることが大きな特徴です。温度を調節できる製品が多く、平面プレートなら焼きそば、お好み焼き、餃子、肉や魚介の焼き物まで広く使えます。
本体が大きく、プレートや受け皿の洗浄が必要になるため、収納場所と流し台の大きさを確認します。コードの長さも、食卓の配置へ影響します。
鉄製のグリドルや厚い鉄板
蓄熱性が高く、食材を置いても温度が下がりにくいことが魅力です。肉へ香ばしい焼き色を付けたり、パンや野菜をじっくり焼いたりできます。
製品によっては、使用前の油ならしや使用後の乾燥、防錆の手入れが必要です。重さもあるため、対応するコンロ、持ち運び、収納方法を確認します。
コーティングされたプレート
食材が付きにくく、油を控えめにでき、手入れも比較的簡単です。家庭用ホットプレートに広く使われています。
金属製のへらや刃物で表面を傷つけないよう、製品に対応する樹脂製や木製の道具を使います。熱い状態へ急に冷水をかけることも避け、取扱説明書に従って冷ましてから洗います。
ホットプレートを選ぶときの基準
食べる人数とプレートの広さ
一人から二人なら、出し入れしやすい小型の製品が便利です。三人以上で肉と野菜を同時に焼くなら、プレートの横幅だけでなく、実際に食材を置ける内側の広さを確認します。
大きいほど多く焼けますが、重くなり、洗う場所と収納も必要になります。年に数回しか使わない場合は、料理の量より片付けやすさを優先してもよいでしょう。
温度調節の幅
肉を焼く高温だけでなく、お好み焼きやパンケーキを中温で焼き、完成後に保温できる製品は使い分けやすくなります。
ただし、設定した数字とプレート表面の実際の温度は、予熱時間、室温、食材の量によって変わります。温度表示を目安にしつつ、焼き色や中心の状態も確認します。
ふたの有無
ふたがあると、厚みのある肉、餃子、お好み焼き、野菜の蒸し焼きを作りやすくなります。食材全体へ熱を届け、表面だけ焦げることを防ぎやすくなります。
一方で、ふたを開けると熱い蒸気が出ます。顔を近づけず、自分とは反対側から少しずつ開けます。
プレートの種類
平面プレートは、鉄板料理の基本を幅広く楽しめます。波形や穴あきのプレートは、肉の脂を落としやすいものの、焼きそばや生地料理には使いにくい場合があります。
最初は平面プレートを基準に考えます。焼肉、たこ焼き、鍋料理など、繰り返し作りたいものが決まってから、交換プレートの必要性を判断します。
洗いやすさと収納
プレートが本体から外せるか、受け皿を洗えるか、本体に油が入り込みにくい構造かを確認します。プレートの重さと、流し台へ収まる大きさも大切です。
立てて収納できる製品でも、転倒しない場所が必要です。箱のまま保管する場合は、取り出すたびに負担にならない位置を選びます。
最初の食卓は豚肉と野菜の鉄板焼きから
初めてなら、豚肉、キャベツ、玉ねぎ、きのこ、厚揚げを用意します。火の通りやすさが異なるため、焼く順番とプレート上の場所を使い分ける練習になります。
二人分なら、次のような量が目安です。
・豚ばら肉または豚肩ロース 200〜250グラム
・キャベツ 4分の1個ほど
・玉ねぎ 2分の1個
・きのこ 一袋
・厚揚げ 一枚
・油 少量
・塩、こしょう
・ぽん酢、焼肉のたれ、塩だれなどから一〜二種類
・締め用の焼きそば麺 一〜二玉
・好みでねぎ、にんにく、かつお節
初回は、牛肉、鶏肉、魚介を同時に並べません。加熱時間の近い食材を中心にすると、生焼けの確認へ集中できます。
1.食卓と電源を整える
ホットプレートを、熱に強く安定した平らな場所へ置きます。紙、布、ビニール袋、調味料の容器など、熱で傷むものを周囲から離します。
コードは人が歩く場所を横切らせず、子どもやペットが引っ掛けない位置へ通します。延長コードやテーブルタップを使う場合は定格を確認し、ほかの大きな電力を使う家電と同時に接続しません。
換気扇を回し、必要に応じて窓を少し開けます。風をプレートへ直接当てると温度が不安定になるため、室内の空気が流れる程度にします。
2.すべての食材を先に準備する
キャベツは大きめ、玉ねぎは一センチほどの輪切りやくし切り、きのこは食べやすく分けます。厚揚げは水分と油を軽く拭き、焼きやすい厚さにします。
肉は最後に切り、生の状態を載せる皿へ置きます。生肉の皿、加熱後の料理を取る皿、食べる箸を分けます。
たれは小皿へ取り分け、食材を焼き始める前に食卓へ置きます。大きな容器から直接使わない方が、こぼしたり生肉用の箸を入れたりする失敗を減らせます。
3.予熱して熱の場所を確かめる
ホットプレートを取扱説明書に示された方法で予熱します。油を少量広げ、玉ねぎを数か所へ置くと、焼け方の差を確かめられます。
強い焼き色が付く場所を肉用、穏やかな場所を野菜や保温用にします。全面が十分に温まる前に食材を詰め込むと、水分が出やすくなります。
4.厚揚げと野菜から焼き始める
初回は、生肉が触れる前に厚揚げと一部の野菜を焼きます。厚揚げは動かしすぎず、両面へ焼き色を付けます。
玉ねぎやきのこは水分が出るため、広げて置きます。キャベツは焦げやすい細い葉を高温部分へ長く置かず、食感を残す程度に焼きます。
焼けたものは、清潔なトングで加熱後用の皿へ取ります。保温する場合も、生肉を置く予定の場所へ戻しません。
5.豚肉を少量ずつ焼く
豚肉を一度に重ねず、一枚ずつ広げます。片面の色が変わり、縁へ焼き色が付いてから返します。
豚肉は表面だけでなく中心まで十分に火を通します。薄切りでも折り重なると内側へ熱が届きにくいため、広げて焼きます。
生肉を載せたトングと、焼けた肉を取る道具は分けます。難しい場合は、生肉をすべてプレートへ載せたあと、トングを洗ってから加熱後用として使います。
6.食べながら次の食材を焼く
最初の肉が焼けたら、野菜や厚揚げと一緒に味わいます。プレートを食材で埋め尽くさず、次に焼く場所を残します。
塩とぽん酢、たれときのこなど、組み合わせを変えてみます。すべてへ濃いたれを絡めてから焼くより、食べる直前に選ぶ方が素材による違いを感じやすくなります。
最後は焼きそばへつなげる
肉と野菜を食べ終えたら、プレートへ残った大きな焦げや余分な脂を、専用のへらとペーパーで軽く取り除きます。高温部分へ手を近づけず、箸でペーパーを動かすような不安定な方法は避けます。
焼きそば麺を置き、少量の水を加えてふたをします。麺がほぐれたら残しておいたキャベツやねぎを加え、全体を炒めます。
ソースは最後に少量ずつ加えます。最初の肉やたれの塩分がプレートへ残っているため、通常の焼きそばより薄めから味を見ます。
肉を追加する場合は、締め用に最初から別の生肉を取り分け、冷蔵庫で保管します。食卓へ長時間出しておいた生肉を最後に使わないようにします。
焼きそば以外にも、冷たいご飯、ねぎ、卵を使う炒飯や、薄くしょうゆを塗る焼きおにぎりへつなげられます。最初の料理と締めで味が重ならないよう、たれの量を調整します。
食材ごとの焼き方を知る
牛肉
薄切り肉は短時間で焼けますが、重ねると蒸した状態になります。一枚ずつ広げ、表面の色と脂の変化を見ながら返します。
厚切り肉は、冷たい状態から強火で表面だけを焼くと中心へ熱が届きにくくなります。厚みに合った温度と時間を取り、必要に応じてふたや温度計を使います。
豚肉と鶏肉
豚肉と鶏肉は中心まで十分に加熱します。特に鶏肉は表面へ焼き色が付いても、厚い部分が生のまま残ることがあります。
鶏肉を使うなら、初めは一口大の小さなものか、薄く開いたものを選びます。皮から焼き、余分な脂を拭きながら、中心温度を確認します。
魚
鮭、たら、かじきなど、崩れにくい切り身は鉄板料理に取り入れやすい食材です。表面の水分を拭き、皮のあるものは皮側から焼きます。
何度も返すと身が崩れるため、片面へ焼き色が付くまで待ちます。厚い切り身はふたを使い、中心まで十分に火を通します。
えびやほたて
えびは殻や背わたを適切に処理し、中心が生の状態で食べません。ほたても加熱用の商品は十分に熱を通します。
魚介から水分が出ると焼き色が付きにくいため、表面を清潔なペーパーで軽く拭きます。高温の場所へ少量ずつ置きます。
野菜
玉ねぎ、れんこん、かぼちゃなど火の通りにくい野菜は、厚さをそろえます。必要に応じて電子レンジで短く下加熱し、鉄板では焼き色を付ける程度にすると食べ頃を合わせやすくなります。
もやし、キャベツ、きのこなど水分の多いものを一度に置くと、プレートの温度が下がります。少量ずつ焼き、蒸し焼きにしたい場合だけふたを使います。
火力と水分を使い分ける
鉄板料理で焼き色が付かないときは、温度が低いだけでなく、食材を置きすぎている可能性があります。冷たい食材を一度に載せるとプレートの温度が下がり、肉や野菜から水分が出ます。
焼き色を付けたい食材は少量ずつ置きます。先に焼けたものを皿へ取り、空いた場所で次を焼けば、人数分を一度に完成させなくても構いません。
反対に、お好み焼きや厚い野菜へ中まで火を通すときは、適度な水分とふたを使います。表面へ焼き色を付けたあと温度を下げ、蒸し焼きにすると焦げを防ぎやすくなります。
料理によって、高温で焼く時間と、穏やかに熱を届ける時間を分けます。最初から最後まで最高温度で焼き続ける必要はありません。
お好み焼きと餃子へ広げる
お好み焼き
平面プレートでは、複数枚のお好み焼きを同時に焼けます。初めは小さめの一枚を作り、生地の厚さと返すタイミングを確かめます。
具を多く入れすぎると中心まで火が通りにくくなります。片面へ焼き色が付いたら返し、へらで強く押し続けず、ふたをして内部へ熱を届けます。
豚肉を使う場合は、肉と生地の中心まで十分に加熱します。完成後に生地が湿っている場合は、もう一度返して加熱します。
餃子
餃子を並べて焼き色を付け、水を加えてふたをすれば、一度に多く仕上げられます。冷凍餃子は商品の表示に従い、油や水の必要量を確認します。
ふたを開けると熱い蒸気が出るため、顔を近づけません。水分が飛んだあとは、底が焦げないよう温度を下げます。
生のひき肉から作った餃子は、中心まで十分に加熱します。外側の皮が焼けていても、具が生のことがあります。
洗い方と片付けで次回の使いやすさが変わる
食べ終わっても、プレートはしばらく高温です。電源を切り、プラグを抜き、製品に示された時間を置いて十分に冷まします。
熱いプレートへ冷水をかけると、変形やコーティングの劣化につながることがあります。本体や温度調節器へ水をかけず、取り外せる部分だけを説明書に従って洗います。
こびり付いた汚れは、金属たわしや刃物で削らず、ぬるま湯でふやかします。コーティングされたプレートには、柔らかなスポンジと中性洗剤を使います。
洗ったあとは水分をよく拭き、完全に乾かしてから収納します。電源コードを本体へ強く巻き付けたり、重いプレートで挟んだりしません。
鉄製のプレートは、洗剤使用の可否や油ならしの方法が製品によって異なります。一般的なフッ素加工プレートと同じように扱わず、購入した道具の説明を確認します。
煙とにおいを残しにくくする工夫
鉄板料理では、肉の脂やたれが高温部分へ落ちると煙が出やすくなります。調理を始める前に換気扇を回し、食後もしばらく運転します。
たれに漬けた肉は焦げやすいため、表面の余分なたれを軽く落としてから焼きます。甘いたれは食べる直前に付けるか、焼き上がりの最後に短く絡めます。
プレートへ残った焦げや脂を放置すると、次の食材を焼くときに煙が増えます。加熱中に掃除する場合は、メーカーが認めるへらを使い、熱い脂へ手を近づけません。
カーテンや布製品の近くを避け、食後はテーブルと床へ飛んだ油も拭き取ります。新聞紙など燃えやすいものを熱い本体の下や周囲へ広げないようにします。
煙が気になるからと、浴室や締め切った小さな部屋で使用してはいけません。調理家電は、取扱説明書で指定された屋内の安定した場所で使用します。
家庭で安全に楽しむために
ホットプレートは使用中だけでなく、電源を切ったあともしばらく高温です。子どもやペットが触れないよう、冷えるまで周囲を片付けずに見守ります。
コードを引っ掛けると、本体や熱い食材が落下する危険があります。コードは人が座る場所や歩く動線を避け、無理に延ばしたり家具で挟んだりしません。
家庭用ホットプレートには消費電力の大きい製品があります。延長コードやテーブルタップの容量を超えないようにし、差し込み口のほこり、変色、緩み、コードの傷を確認します。
生肉や生魚を扱うトング、箸、皿は、加熱後の料理用と分けます。肉を載せた皿へ焼けた食材を戻さず、中心部を75℃で1分以上加熱することを基本にします。
ひき肉を使うハンバーグ、餃子、お好み焼きも、表面の焼き色だけで判断しません。厚みのある料理はふたを使い、切った断面や食品用温度計で確認します。
調理済みの肉や魚介、生野菜、たれを室温へ長く置かないようにします。食べる量だけを食卓へ出し、残りは速やかに冷蔵します。
アルコールを高温の鉄板へ直接注ぎ、炎を上げる演出は行いません。換気扇の下でも火災ややけどにつながるおそれがあります。
油へ火が付いた場合は、水をかけません。無理に鍋やプレートを移動させず、安全を確保したうえで適切な消火器具を使用し、危険を感じたら避難して消防へ連絡します。
続けるほど変わる五つの楽しみ方
第1段階 肉と野菜を焼いて食べる
最初は豚肉一種類と野菜三種類ほどを用意し、焼ける順番を見ながら食べます。プレートを埋め尽くさず、生肉用と加熱後用の道具を分けます。
肉へ十分に火を通し、玉ねぎやきのこの食べ頃を見つけられれば十分です。料理を多く作るより、鉄板の熱い場所と穏やかな場所を知ることが最初の目標になります。
第2段階 温度と置く場所を使い分ける
中央では肉へ焼き色を付け、端では野菜をゆっくり焼くなど、プレート上の温度差を利用します。完成したものを保温する場所も決めます。
食材の量、予熱時間、温度設定を少しずつ変えると、自宅の道具で再現しやすい焼き方が見えてきます。
第3段階 生地、麺、魚介へ料理を広げる
お好み焼き、餃子、焼きそば、魚介の蒸し焼きなどを一品ずつ試します。料理によって、高温で焼く場面と、ふたをして熱を届ける場面を使い分けます。
一度に多くの料理を並べず、今日はお好み焼き、次は魚介というようにテーマを絞ると、それぞれの火入れへ集中できます。
第4段階 食卓全体の流れを組み立てる
野菜と厚揚げから始め、次に肉、最後に麺やご飯というように、焼く順番を考えます。食材の量だけでなく、たれ、皿、取り箸、保存する材料まで先に準備します。
焼き手を一人へ固定せず、食材を運ぶ人、焼けたものを分ける人など、自然に役割を交代できる食卓へ整えていきます。
第5段階 季節と人に合わせた鉄板料理を育てる
春は新玉ねぎと魚、夏はなすやとうもろこし、秋はきのこ、冬はお好み焼きや餃子というように、季節から食材を選びます。
家族と囲む日は多種類を少量ずつ、一人の日は小さなプレートで二品だけというように、人数に合わせて変えられます。高価な食材や華やかな演出を目指すより、焼き頃を見ながら温かな一口を囲む時間こそ、鉄板料理を長く続ける楽しさになります。
あわせて楽しみたい関連する趣味
バーベキュー
バーベキューは、屋外のグリルで肉や野菜を焼き、仲間と食事を囲む楽しみ方です。鉄板料理で身につけた食材の切り方、焼く順番、生肉用と加熱後用の器具を分ける考え方は、屋外でも役立ちます。
屋外では風、気温、持ち運べる水、施設の火気ルールが加わります。まず自宅の安定した熱源で焼き方を覚えてから広げると、火の管理へ集中しやすくなります。
日常料理
日常料理は、身近な食材と調理器具を使い、無理なく繰り返せる献立を作る趣味です。鉄板料理も、特別な日の牛肉だけではなく、豚こま切れ肉、厚揚げ、きのこ、残り野菜を使う普段の一皿へ取り入れられます。
食材を一度に入れすぎないこと、火の通りにくいものから調理することを覚えると、通常のフライパン料理にもつながります。
魚料理
魚料理は、魚の種類、身の厚さ、脂に合わせて、焼く、煮る、蒸すといった火入れを楽しむ趣味です。鉄板では、鮭、たら、かじき、えび、ほたてなどを、野菜と一緒に焼いたり蒸し焼きにしたりできます。
最初は下処理済みの切り身を使い、表面の水分を拭くこと、崩れる前に返すこと、中心まで加熱することから覚えられます。
プレートの上に生まれる、小さな食卓の流れ
鉄板料理を始めるために、厚い業務用の鉄板や高価な肉を用意する必要はありません。手持ちのフライパンや小さなホットプレートへ、豚肉、玉ねぎ、きのこを少しずつ置くところから始められます。
次の休日には、肉を一種類、野菜を三種類、締めの麺を一袋だけ用意してみてください。たれと皿を先に並べ、プレートを温めたら、厚揚げや野菜から静かに焼き始めます。
玉ねぎの縁へ色が付き、豚肉から香ばしい音が聞こえたら、焼けたものを温かいうちに味わいます。すべてを急いで完成させなくても、食べ終えた場所へ次の食材を置けば、食卓はゆっくり続いていきます。
最後に残ったうま味へ麺を加えれば、最初の焼き物とは違う一皿が出来上がります。焼くことと食べることが交互に重なる時間の中で、食材の変化を自分の目で確かめられることが、鉄板料理のいちばん素朴で奥深い楽しさです。
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