【山とロードの盲点】トレランで追い込んでいるのに、Garminの乳酸閾値がみるみる下がっていった話
1. はじめに(現在の状況とリアルな葛藤)
2月末の大阪マラソンを全力で駆け抜けてから数ヶ月。新緑の季節ということもあり、私はすっかりトレイルランニングの魅力に取り憑かれていました。
しかし、走る中身が変わると同時に、練習量にも変化がありました。マラソン本番に向けて追い込んでいたピーク時に比べ、月間の走行距離は半分以下の「月間100キロ程度」にまで落ち込んでいたのです。
山を走る強度そのものは非常に高く、毎回息を切らし、足並みをすり減らしながら「良いトレーニングができている」という充実感は確かにありました。しかし、私のGarmin(ガーミン)が弾き出したデータは、私の主観とは全く異なる「残酷な現実」を突きつけてきたのです。
2. みるみる下がる乳酸閾値
ここで、私の直近12週間(3月14日〜6月5日)の「ランニング乳酸閾値」のグラフを見てください。

一目瞭然です。
大阪マラソン直後の3月中旬にはキロ3分40秒台前半だった閾値ペース(青い線)が、右肩下がりに綺麗に落ち続け、ついにキロ4分00秒にまで達してしまいました。
逆に、そのペースを維持するために必要な心拍数(赤い線)はジワジワと上昇傾向にありました。つまり、**「以前よりも遅いスピードなのに、心臓は前よりも明らかにキツくなっている」**という状態です。
3. なぜ、山で追い込んでいるのにロードの数値が落ちるのか?
「トレランはあれだけ強烈な負荷がかかるのに、なぜロードの走力(LT値)が維持できないのか?」
この現実に直面し、実直に自分の走りと向き合う中で、いくつかの盲点に気がつきました。結論から言えば、山でのトレーニング効果は非常に高いものの、それは「ロードで一定のスピードを維持する力」とは別物であるということです。
① 「同じリズムを刻み続ける」という刺激の喪失
トレランは斜度や路面が目まぐるしく変わるため、心拍数は上がったり下がったりを繰り返します。一方で、ロードのフルマラソン(特にサブスリークラス)で求められるのは、高い心拍数のまま、狂いのない同じフォームとピッチを20分も30分も、そして数時間も維持し続ける能力です。この「一定のペースで耐える」という引き出しを、私の身体は数ヶ月間完全に使い忘れていました。
② 距離の減少による「乳酸処理能力」のサボり
月間距離が半分になったことで、体内の毛細血管やミトコンドリアの「乳酸をエネルギーに再利用する効率」が少し落ちてしまったと考えられます。
③ アスファルトの反発をもらう感覚の鈍化
土の路面は足に優しい反面、硬いロードからしっかりと反発を貰って推進力に変える「バネ」の動きを鈍らせていました。先日、久しぶりにロードを高強度で走った際、心肺がちぎれそうにキツかったのは、まさに身体がロードの走り方を忘れていた証拠でした。
4. おわりに
今回のデータのドロップを見て、最初は正直に言ってショックを受けました。しかし、データは嘘をつきません。「山を言い訳にして、ロードの地道なスピード持久力練習から逃げていませんか?」と、Garminがそっと教えてくれたのだと、今は真っ直ぐ受け止めています。
幸い、山を走ってきたことで、体幹や登りのタフな筋力という「別の貯金」はできているはずです。
11月の本命レース(当選するかはわかりませんが、一応神戸マラソン)を見据え、ここからは週に1回、少し気が重くてもロードでの短い「閾値ペース走」や「流し」を泥臭く混ぜていこうと思います。数値が落ちたということは、ここからの伸び代がまた綺麗に可視化されるということ。
一喜一憂せず、今の自分の等身大の走力から、また一歩ずつロードの脚を呼び起こしていきます。同じように「最近山ばかりでロードが不安」というランナーの皆さんの、何かの参考になれば幸いです。
