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虐待認定と20名定員への賭け ― 未熟な経営者が泥沼で足掻いた記録

【前回までのあらすじ】

「虐待認定」という最悪の事態。行政からの指導と、周囲の信頼という板挟みの中で、私は「体裁を整えて逃げる」のではなく「全てを根本から洗い直す」という茨の道を選びました。

地獄の入り口で、私が最初に下した決断とは。そして、なぜ私は「収益性を捨ててまで」今の道を選んだのか。その具体的な行動の記録です。

赤字経営の始まり。体裁か、それとも再生か


虐待認定を受けてから、誰も正解を教えてくれない中で、若造だった私が何をすべきか。 ここで私には、人生の分かれ道が訪れました。

一つは「体裁だけを整えて、その場をやり過ごす」こと。
会社運営という観点で見れば、これが最も賢い正解だったかもしれません。

もう一つは「全てを根本から洗い出し、整備し直す」こと。
私は後者を選びました。 結果、その後の数年間は赤字経営となり、常に「翌月には資金が尽きる」というギリギリの綱渡りをすることになりました。

170cm、60kgの痩せ型だった私の体重が、半年で12kgも減った苦しみの始まりです。

虐待の現場を、迷わず閉鎖する

まず何よりも先に、虐待の現場となった事業所の閉鎖を決めました。

私の目が行き届かなかったことで職員が疲弊し、いざこざが起きた。その事実は消せません。しかし、辞めずについてきてくれた職員を切り捨てることも、利用者に迷惑をかけることもできませんでした。

ここで大きな壁となったのが「定員」の問題です。

ほとんどの事業所は、収益性を重視して「10名定員」で運営しています。

制度上には「20名定員」という枠組みも存在しますが、定員を増やせば単価が極端に下がるため、経営として成り立たせるのが非常に難しい。

そのため、どの事業所も選ぼうとしない選択肢なのです。

しかし私は、あえてその「20名定員」への切り替えを断行しました。

収益性など二の次です。利用者を路頭に迷わせることなく、私の目が届く場所で全員を引き受ける。
その一点のためだけに、経営的に極めて不利な道を選びました。

その上で、他に場所を移すべきか、うちで何ができるかを模索し続ける、終わりなき日々が始まりました。

「甘い」と一蹴された改善案

まずは県に対して書面で改善案を提出しました。 思いつく限りの対策を全部書き出し、必死の思いで提出しましたが、後に開かれた委員会で「甘い」と一蹴されました。

その通りでした。当時の私は、本当に追い詰められ、頭が全く回っていなかったのだと思います。

第三者を招き入れた「虐待防止委員会」

現在では義務化されている「虐待防止委員会」を、私はその当時から立ち上げました。 ここには第三者に加わってもらいました。

伝手のなかった私を救ってくれたのは、当時親身になってくれた方々でした。

メンバーは市議会議員、育成会会長、民生委員、成年後見人を務める社労士、同業他社の代表、そして市役所の職員。

これだけのメンバーを招き、2ヶ月に一度の委員会を開催することにしました。役割はただ一つ。進展状況を報告し、改善の全工程を全て見てもらうことです。

誠実さと、要領の悪さ

他の事業所の事例を見ていると、保護者会など開かずに、関係者だけで密やかに問題を処理しているところがほとんどでした。

委員会なんてものは、最初から立ち上げる気もないのでしょう。

正直、私のやり方はあまりに要領が悪すぎます。

人付き合いが苦手な私は、メンバーと事前に根回しや事前調整をして委員会をスムーズに進めるような「政治」もできませんでした。

ただひたすらに、会社という組織を根本から整備したかった。

「政治」が出来なかったのは、結果的には良かったのかもしれません。

今思えば、その泥臭いプロセスそのものが、私という経営者の「背骨」を作ってくれたのだと感じています。

すべての始まり

私が慢心し、すべてを破壊するきっかけとなった「あの頃」については、こちらの記事に綴っています。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

次回は委員会をスタートさせ、社内の整備をするそんな泥沼な日々を書き連ねていきたいと思います。

逆恨みだろうが虐待だと言われるような環境を作ったことは、本当に恥ずかしい、私の苦い過去の全貌です。しなくていい苦労だと思います。

それでも、これから先の成長過程と、吐き気がするほど辛かったあの日々の記録を、すべてさらけ出します。

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