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絶対に相槌を打たない男

課長「わたしは資材課長の石黒だが、きみは販促課の小森谷くんかね?」

小森谷「はい」

課長「きみがいま我が社でウワサの、絶対に相槌を打たない男こと、小森谷くんかね?」

小森谷「ええ、わたしがいま我が社でウワサの、絶対に相槌を打たない男こと、小森谷ですが」

課長「早くも打ってるじゃないか」

小森谷「……ええ、打ってますね」

課長「絶対に相槌を打たないんじゃなかったのかね?」

小森谷「はい、打ちません」

課長「だから、打ってるじゃないか」

小森谷「ええ、打ってますね」

課長「聞いてた話とずいぶん違うな」

小森谷「そうですか?」

課長「もっとこう……」

小森谷「絶対に相槌を打たないのではないかと?」

課長「ああ、そうだ」

小森谷「課長は打ってるじゃありませんか」

課長「わたしは相槌を打ってもいいんだ」

小森谷「課長はよくて、わたしはダメなんですか?」

課長「ダメとは言わないが、ウワサではきみは……」

小森谷「絶対に相槌を打ちたくて打ってるわけではないんです」

課長「つまり、打っているという自覚はあると?」

小森谷「ええ、打ってますから」

課長「絶対に相槌を打ちたくて打ってるわけではないのかね?」

小森谷「ええ、絶対に相槌を打ちたくて打ってるわけではないんです」

課長「では、ウワサは本当だと?」

小森谷「ええ、本当です」

課長「ずっと打ってるな」

小森谷「ええ、ずっと打ってますね」

課長「しかし、絶対に相槌を打ちたくて打ってるわけではないと?」

小森谷「ええ、絶対に相槌を打ちたくて打ってるわけではありません」

課長「……そうか、わかった。時間を取らせてすまなかったね」

小森谷「いえ、こちらこそ。絶対に相槌を打てなくて申し訳ありませんでした」

課長「……絶対に相槌を打ちたくて打ってはいないんだね」

小森谷「ええ、絶対に。では、失礼します」

コツコツコツ……

……

課長「……」

部長「どうだった?」

課長「絶対に相槌を打ちたくて打ってるわけではないそうです」

部長「そうか」

課長「……部長も打ってますね」

(終)

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