岩手旅行記2025 #5(終) 飛行機こわい(そのままの意味で)
小学生の頃に初めて乗せられて以来、少なくない数飛行機のお世話になってきているが、わたしは未だにあの乗り物を信用しきれていない。空気の流れだとか揚力だとか、しくみについては散々説明された。けれどどうにも、見るたびごとに、あの翼が細すぎるような気がするのだ。例えばわたしが飛行機というものを全く知らない状態で、自分の信頼しているAIに「空を飛ぶ乗り物を教えて」と言ったとして、ぽんとAIが飛行機の画像を出してきたら、今までどんなに利用に問題がなかったとしても「AI壊れちゃった」と判断すると思う。
旅のしめくくりにはいつもお土産を買う。文学フリマ岩手にお邪魔をするのはもう3回目だから慣れたもので、「あのときあそこであれを買っておけば良かった!」ということがおこる心配はほとんどない。どこに何を売っているのかだいたい把握しているからだ。実家などに送るウニは初日に手配済み。気の置けない友人たちに送るお菓子や雑貨はちょこまかと道中で買い、ホテルでパッケージ、手紙(これも道中で買ったもの)をつけてコンビニから配送済み。会社の同僚たちへのお土産は量が多くてかさばるからこの最終日。前日まで大沢温泉に泊まっていたが、お土産を買いそろえに再び盛岡まで足をのばした。駅直結のショッピングモールがあって岩手名物にはこと欠かないし、駅と空港を直結するバスがあるから移動も楽ちん。うっかり食べ損ねた名物もたいていはここで食べられる。
買ったお土産の話は別の記事でするとして、買い物した後、バスの待ち時間に駅前の喫茶店「カプチーノ詩季」に寄った。創業1982年の老舗喫茶店だそうだ。40年以上前に「カプチーノ」の名前をつけるだなんて随分モダンだ。
昭和生まれの喫茶店らしく、店は外から見えにくい構造をしていて(外側、例えば道路から店の中がガラス越しに見える、という店の構造は例えばスターバックスだとか、海外から来た比較的新しい建物の流行だと個人的には感じます)、レトロ感漂う店内にぴかぴかに磨かれたエスプレッソマシーンがあるのがなんだか不思議な感じがする。カウンター席で注文したホットサンドとエスプレッソを待っていると、お店の方がお客さんの連れてきたお子さんの話をしていたり、「これから行くよ」と電話のあった老婦人の来訪の確認に店頭の様子をうかがったりしていた。本当に長くやってきた、街の喫茶店なんだなあ、と旅人としてはお邪魔させていただいてありがたいような申し訳ないような不思議な気持ちになる。

帰りは花巻空港から飛行機。整備機械のトラブルか何かで1時間ほど出発が遅れた。もう家に帰ってお風呂に入って眠るくらいしか用事はないのだから、遅れることを聞かされてものほほんとしたものである。待合室で通信講座の課題(1月半分、ホテルと空港で見事に終わらせました。えらい)をやっているとあっという間に案内時間だ。
「旅行、楽しかったなあ」
日が傾いてきた花巻空港の滑走路を感傷に浸りながら眺める。高度が上がると花巻の街が小さくなっていく。ピンポーンとチャイムがなってアナウンスが流れた。
「お急ぎのところご迷惑をおかけして申し訳ございません」
出発時刻の遅れを謝罪するアナウンスである。少なくともわたしはお急ぎでもご迷惑でもない。気楽なものだ。アナウンスはまだ続く。
「本機は現在名古屋にできるだけ早く向かっております」
別にいいよ!
声が出そうになった。映画だったらそんな台詞は事故の前触れでしかない。ゲームだったら墜落したあと無人島でサバイバルだ。窓のブラインドを閉じた。寝ようと思った。こちとらそもそも飛行機が飛ぶことすら信用しきれていないのです。

旅疲れだ。幸い、すぐに眠りに落ちた。大抵の人はそう予想するように、飛行機も無事に名古屋についた。最初にたてた目標は大方全部やり終えた。(マルカンビル大食堂の詳細や盛岡の本、それにお土産のことなんかはまた別の記事にしようと思っています)。書ききれなかったことはいろいろあるけれど、無事に名古屋に着いたから、この旅行記はこれでおしまいです。
ありがとう、また来るね、文学フリマ岩手!
岩手旅行記2025 #5(終)
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