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触っても、いいんですか


こんな風に考えてしまう事は頭がおかしいのか、
いやいや、瞬時にそんな二択を思い起こす脳のポテンシャルを喜ぶべきか。

ホームでの乗車待ちの列、隣りのお嬢さんがビニールから取り出したマスクが風に飛び、私の靴の上に落下した。


ぬ… ぬおうっ…


反射的に取って差し上げるのが普通だろう。

んがっ、


悪魔と天使が瞬時に舞い降りる。

マスク。その口元に密着する物だ。
見知らぬクソじじいが軽率に手で触れた事で、
「んなんキモくてできるかいっ!」と、せっかくの新品マスクを破棄せざる得なくなるのではなかろうか。

どうする、拾うのか拾わないのか

仮に拾って差し上げる場合、出来るだけ触れる面積を最小限に抑えるよう配慮、無意識に人差し指と親指でハシをつまんでいたであろう。

んがああっ、


それはそれでだ。
なにやら汚いものを仕方なくつまんでやった、そんな風に見えやしないだろうか。であれば逆効果、失礼極まりない。

こんな一連の思考が、落ちてからお嬢さんが自ら拾うまでのおそらく2秒程度、わずかその間にトルネードの如く渦巻いた。

その後彼女がそのマスクをしたのかどうか。自分がそこまで見ていたかどうかも覚えていない。

いまこうして思い起こせば、このオッさん黙って突っ立ってて、なんで取ってくんねえの、と心で思っていたかもしれん。取ってよっ、と。


ぬおおおうぅ…




    ♦︎              ♦︎              ♦︎             ♦︎


あ、また来ちゃいましたね ウフフ



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