わずか残るシミのために国宝認定されない陶器の最高傑作のような
私の部署に篠田くん(仮名)という男性がいる。
この篠田くんという男、とてもハイスペックだ。
40代前半というそろそろ人生の悲哀も滲ませ始めるお年頃だが、そんな湿気くさいフレーバーは微塵もない。とても若々しい。
藤木直人にサララっとお塩を振ったようなキリリ甘いマスク、身長176cm、大学時代は水泳部に所属していたらしく、その面影が残る手足が長い体躯は、確かになんだかしなやかなだ。
身に纏う服飾も嫌味がなく、主にtomorrowlandで調達するらしいジャケットやスーツをこざっぱり着ている。「椎名さん」などと呼ばれて目が合った時などは、男の私でも妙な汁がわずか漏れ出てしまうことも少なくない。
仕事もそつなくこなす。人柄もすこぶる良い。指示や説明をする時はもちろん、基本口調や物言いが穏やかで傲慢偏屈といった色合いとは無縁のスマートさ。それでいて要所はしっかり歯切れが良いので、社内での評価評判、加えて女子層からのウケも大変よろしいのだ。代々木上原で奥様と高校卒業間近のお嬢さんと3人暮らし。
もうなんだかシルキーモイスチャーDOVEみたいな男である。
もうほぼ非の打ち所がない、そんな篠田くんなのだが、以前みなが集った歓送迎会以来、食事の時の咀嚼音が爆裂過ぎる事に関しては、近づけぬ部内のサンクチュリアとして今もなお息づいている。
「例の2階の倉庫在庫なんですけど」
クチャクチャクチャ… クチャ…
「あはは、ほんと高木さんには参るなあ」
クチャクチャクチャクチャクチャ… チャ…
神はいたずら
篠田よそこぉーーーっ!?
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覗いてくれてありがとう。毎日笑顔で健やかに。
