工場勤務で気づいた。「仕事ができる人ほど、“すぐに手をつけない”」
仕事を頼まれたら、
すぐに動く。
言われたことを、
すぐに始める。
これは一見すると、
すごく仕事ができる人に見えます。
私も以前は、
「頼まれたらすぐ動く人=仕事が早い人」
だと思っていました。
もちろん、すぐ動くことが大切な場面もあります。
でも現場でいろいろな人を見ていると、
本当に仕事が安定している人ほど、
意外と、
すぐに手をつけないことがあります。
何をしているのか。
ほんの少しだけ、
考えているんです。
「すぐやる」と「何も考えずに始める」は違う
例えば、
「これ、先にやっておいて。」
と言われたとします。
すぐ作業を始める。
一見、素晴らしいですよね。
でも途中で、
「あれ?どこまでやればいいんだろう。」
となる。
確認しに戻る。
また作業する。
今度は、
「必要なものが足りない。」
取りに戻る。
さらに、
「これって今日出荷だっけ?」
また確認する。
結果、
何度も作業が止まります。
一方で、
始める前に30秒だけ確認する人がいます。
何をする?
どこまでやる?
必要なものは?
期限は?
終わったらどこへ持っていく?
そこを確認してから動く。
スタートは30秒遅い。
でも、
そのあとは止まりません。
仕事が早い人は「スタートが早い人」とは限らない
100メートル走なら、
スタートが早い方が有利です。
でも仕事は、
100メートルを一直線に走るようには進みません。
途中で確認が必要だったり。
誰かに渡したり。
別の作業が入ったり。
予定が変わったり。
だから、
最初の数秒を急ぐことより、
途中で止まらないこと
の方が大切な場合があります。
仕事が早い人を見ると、
ものすごく速く動いているように見えないことがあります。
でも気づいたら、
もう終わっている。
無駄な往復が少ない。
やり直しが少ない。
確認漏れが少ない。
だから結果的に早いんですよね。
「これをやる理由」を知っているか
仕事を頼まれたとき、
作業内容だけを聞く人と、
目的まで理解している人では、
途中の判断が変わります。
例えば、
「この在庫を確認して。」
と言われたとします。
言われた数量だけ確認する。
これでも仕事はできます。
でも、
「なぜ確認するんだろう?」
まで分かっていると違います。
今日出荷するから?
帳簿と差異があったから?
棚卸しだから?
次の生産に必要だから?
目的が分かれば、
どこまで確認すればいいかも変わります。
場合によっては、
言われたこと以外にも、
「ここも見た方がいいな。」
と気づけます。
仕事ができる人は、最初の質問が少し違う
何かをお願いしたとき、
すぐ、
「分かりました。」
と言って動く人もいます。
一方で、
「これは今日中ですか?」
「ここまでで大丈夫ですか?」
「終わったら○○に置けばいいですか?」
と確認する人もいます。
質問されると、
「すぐやってくれないのかな。」
と思う人もいるかもしれません。
でも、
最初に必要なことを確認しているだけなら、
むしろ安心できます。
一番困るのは、
分かったつもりで進めて、
最後に、
「違うよ。」
となることです。
10秒の確認を惜しんで、
30分やり直す。
これが一番もったいないですよね。
「分からないまま始めない」は意外と難しい
仕事に慣れてくると、
「たぶんこうだろう。」
で動けるようになります。
経験があるからです。
ほとんどの場合、それで合っています。
でも、
「たぶん」が外れることもあります。
いつもと同じ製品だけど、
今回は条件が違った。
前回と同じ作業だけど、
納期が違った。
同じお客様だけど、
今回だけ指示が違った。
だから、
少しでも条件が違うなら、
一回確認する。
これは慎重すぎるのではなく、
やり直しを減らすための確認
だと思っています。
忙しいときほど、とりあえず始めたくなる
仕事がたくさんある日。
次から次へと依頼が来る。
こういうとき、
「とにかくやらなきゃ。」
となります。
目の前に来た仕事から、
どんどん手をつける。
でも気づいたら、
5個の仕事を少しずつやっていて、
一つも終わっていない。
そんなことがあります。
だから忙しいときほど、
一度だけ整理する。
今日絶対に終わらせるもの。
時間が決まっているもの。
誰かが待っているもの。
あとでもいいもの。
それを見てから始める。
忙しいときに考える時間は、仕事を止める時間ではなく、仕事を速くする時間
なのだと思います。
5分考えて、1時間を守れることもある
改善するときも同じです。
「この作業、時間かかるから変えよう。」
と思って、
すぐ変更する。
でも、
別の工程に影響が出る。
違う人が困る。
結果的に元へ戻す。
そんなこともあります。
だから、
変える前に少し考える。
誰が使っている?
前後の工程は?
品質に影響しない?
安全面は?
変更したことを誰に伝える?
たった5分でも、
先に考えておけば防げることがあります。
行動力は大切です。
でも、
考えずに動くことと、行動が早いことは別物
なんですよね。
「とりあえずやってみる」が正解のときもある
もちろん、
考えてばかりでは仕事は進みません。
完璧な答えが出るまで動かない。
失敗しない方法が見つかるまで始めない。
これでは逆に遅くなります。
だから私は、
「考えてから動く」と
「とりあえずやってみる」
の両方が必要だと思っています。
やり直しに大きな時間がかかる仕事。
安全や品質に関わる仕事。
他の人へ影響する仕事。
こういうものは、始める前に確認する。
逆に、
簡単に戻せる。
小さく試せる。
失敗しても影響が少ない。
そんな改善なら、
一度やってみる。
大切なのは、
何でも慎重になることではなく、どこで考えるべきかを判断すること
なのだと思います。
新人ほど「すぐ動かなきゃ」と思ってしまう
新人の頃って、
先輩から仕事を頼まれると、
早くやらなきゃ。
待たせたら悪い。
質問したら迷惑かな。
と思うことがあります。
だから、
分からないところがあっても、
「はい、分かりました。」
と言ってしまう。
そして途中で困る。
これは本人だけの問題ではありません。
教える側も、
「分からなかったら聞いて。」
だけではなく、
「始める前にここだけ確認してね。」
と伝える。
何を確認すればいいのかまで教える。
そうすると、
質問しやすくなります。
仕事の速さは「終わるまでの時間」で見る
例えば二人います。
Aさんは、
依頼された瞬間に作業開始。
30分作業。
途中で間違いに気づく。
20分やり直す。
合計50分。
Bさんは、
最初に5分確認。
そのあと30分で完了。
合計35分。
スタートだけ見れば、
Aさんの方が圧倒的に早い。
でも仕事として見れば、
Bさんの方が15分早い。
だから、
仕事の速さを「始めるまでの時間」だけで見ない。
終わるまで。
そして、
正しく終わるまで。
ここまで見る必要があると思います。
「一回止まる」ができる人は強い
現場では、
動いている方が仕事をしているように見えます。
立ち止まって考えていると、
何もしていないように見えることもあります。
でも、
30秒止まって、
頭の中で順番を整理する。
必要なものを確認する。
危ないところを考える。
そして動く。
この30秒が、
そのあとの30分を変えることがあります。
だから最近は、
「すぐ動ける人」だけではなく、「必要なときに一回止まれる人」も仕事ができる人
だと思うようになりました。
おわりに
仕事を頼まれた。
すぐやる。
もちろん大切です。
でも、
その前にほんの少しだけ考えてみる。
何をする?
いつまで?
どこまで?
何が必要?
終わったらどうする?
そして、
なぜこの仕事をする?
全部を毎回考える必要はありません。
一つ、二つ確認するだけでもいい。
たった30秒です。
その30秒で、
やり直しが一回減るかもしれない。
確認に戻る回数が減るかもしれない。
ミスを一つ防げるかもしれない。
仕事ができる人は、
誰よりも早く手を動かす人とは限りません。
動く前に少しだけ考えて、動き始めたら止まらない人。
そして結果として、
周りより少ない動きで仕事を終わらせている。
工場で働いていると、
そんな人が本当の意味で「仕事が早い人」なのかもしれないと感じます。
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