淋しくなったら電話をかけて
「読書は覚悟のいるもの」
川上未映子がそう言っていた意味が、この本を読んで少しわかった気がした。4月のはじめ、なんとなく新刊コーナーに置かれたこの本を手に取った時には、まさか途中で読むのをやめたくなるなんて思いもしなかったからだ。
この本には6つの短編が収録されているのだが、まあ全てが気持ち悪いといってもいいほど不気味さが滲みでいている。
1本目の「青かける青」は病室からの手紙という形で綴られた7ページほどのものなのだが、これをどういう風な気持ちで読むのが正解なのか全くわからなかった。これを書いた本人というより、読まされた僕は一体何なんだろうかという、生理的な嫌悪感があった。それに続く「あなたの鼻がもう少し高ければ」のちょっとポップでグロテスクなギャップがより一層それを引き立てている感じがする。
3本目の「花瓶」もそれに通ずる。死期が近く病床で思考を巡らせる老婆の心のうちが非常に気持ちが悪い。老人のオナニーを見せつけられているような感覚だ。
この3本を1時間かけて続け様に読んだ僕は一旦本を閉じた。ゆうて70ページくらい、いつもなら20分ほどでサラリと読めるのだけど、次のページに行きたくないという気持ちが強かった。
ホラーやスプラッタ映画が苦手な人はこういう気持ちなんだろうか。
そう思って一旦この本は封印することにした。
そして今日、再びこの本を開いた。
あの時の気持ち悪さなんかは既に喉元を過ぎていて、はやく続き読んで次にいかなきゃなくらいの気持ちだった。
それが大きな間違いだった。
4本目の「淋しくなったら電話をかけて」がもう良くない。
内容はもちろんネタバレになるので書かないが、書いてある全てが自分のことではないのに、実際に自分自身に起きているかのような気持ちになった。
読み終えた時には心臓がバクバクしていて、自分のスマートホンでSNSを開き、自分がそういったことをしていないと確認を取ったくらいだ。
そのまま5本目の「ブルー・インク」も読んだが、あまりにも前編のインパクトが強過ぎて、ちょっとしたホラーにしか感じられなかった。いや、面白かったのだけれども。
まだ6本目は読めていない。多分読まないと思う。
あと、当分カレーは食べたくないなと思った。
