静かな部長にも、政治力はいる― 戦わないための外交と、窮地で前に出る覚悟 ―
今日は8月15日。
終戦の日。
遠くから盆踊りのお囃子が聞こえてきて、
夏もそろそろ終わりだなあ、なんて思っていた。
そんな中で、少し平和について考えた。
もちろん、戦争と会社を同じものとして語るつもりはない。
ただ、戦争を避けるために外交が欠かせないように、
組織を預かる立場にも「外交」は必要なんじゃないか。
ふと、そんなことを思った。
国と国なら、
普段から対話する。
お互いの事情を知る。
利害を調整する。
信頼関係をつくる。
何か起きてから慌てて話し合うのではなく、
何も起きていない時から関係をつくっておく。
そして、外交だけではない。
国を預かる人には、
そこで暮らす人たちを少しでも豊かにしていく役割もある。
あれ?
これ、部長も同じじゃないか。
そんなことを考えた。
⸻
自分は昔から、社内政治や立ち回りが得意な方ではない。
上の人との距離を縮めるのがうまい人。
会議で存在感を出すのがうまい人。
誰に何を話せば物事が動くのか、よく分かっている人。
社内に人脈をつくるのがうまい人。
そういう人を見ると、
「うまいなあ」
と思う。
以前は、そんな立ち回りを少し冷めた目で見ていたこともあった。
でも、部長になってから考えが少し変わった。
部長には政治力が必要だ。
ここから逃げてはいけないと思うようになった。
正しいことを言っているだけでは、組織は動かない。
他部門と交渉する。
上位者に理解してもらう。
必要な人を巻き込む。
人や予算を取ってくる。
時にはこちらが頭を下げる。
相手が困っていれば助ける。
そして、自分たちが困った時には助けてもらう。
これも部長の仕事なんだと思う。
むしろ役職が上がるほど、
自分で手を動かすことより、
自分の組織が力を発揮できる環境をつくること
の方が大事になっていく。
⸻
そして、こういう外交は、
何か問題が起きてから始めても遅い。
日頃から話しておく。
相手が何を考えているのか知っておく。
こちらの考えも伝えておく。
困っていたら助ける。
小さな信用を、少しずつ貯めておく。
窮地になって突然、
「助けてください」
と言っても、なかなか人は動いてくれない。
だから普段から外交しておく。
これは社内政治というより、
部長としての仕事なんだろうなと思っている。
⸻
ただ。
政治力があることと、
立ち回りが上手いことは、
少し違うようにも思う。
大事なのは、
その政治力を何のために使うのか。
自分の評価を上げるためなのか。
責任を負わないためなのか。
面倒な仕事を誰かへ流すためなのか。
それとも、
仕事を前へ進めるためなのか。
組織を守るためなのか。
部下が力を発揮できる環境をつくるためなのか。
必要なものを外から取ってくるためなのか。
同じ「立ち回り」に見えても、
使っている方向はずいぶん違う。
⸻
長く会社にいると、いろいろな場面を見る。
会議では立派なことを言っていたのに、
難しい問題になった途端、
いつの間にか責任を持つ人が別になっている。
そんなこともある。
自分は責任から逃げて、部下に押し付ける。
そして、できない部下と決めつけレッテルを貼る。
自分は責任から逃げて、部下に押し付ける。
そして、「できない部下」と決めつけ、レッテルを貼る。
こういう部長は、人を潰す。
そして、組織も壊していく。
過去に、そんなことを感じたことがある。
逆に、
普段はそれほど目立たないのに、
いざという時には前に出る人もいる。
「これは自分が引き受けます」
と言える人。
どちらが本当に強いのか。
もちろん、何でも自分で抱え込めばいいわけじゃない。
管理職は、人に任せる仕事でもある。
部下に判断してもらう。
任せる。
時には失敗もする。
でも、
「担当者がやったことなので」
で終わらせてはいけないと思っている。
任せたのは自分。
最後の責任は自分にある。
そこからは逃げない。
⸻
だから自分は、
政治力と責任はセット
なんじゃないかと思っている。
政治力があって、仕事を動かせる。
周囲を巻き込める。
必要なものを取ってこられる。
そのうえで、
最後に責任を引き受ける。
そして結果を出す。
そこまでできて、
初めて強い管理職なんじゃないかなと思う。
⸻
静かな部長というと、
優しい人。
穏やかな人。
部下の話をよく聞く人。
そんなイメージになるかもしれない。
もちろん、それも大切。
でも、
静かなことと、弱いことは違う。
これは自分の中ではかなり大事なところだ。
普段から大声を出す必要はない。
何でも自分が前に出る必要もない。
細かいことには、
少しくらい飄々としていたい。
でも、
部下が窮地に立った時。
組織が理不尽な状況に置かれた時。
ここだけは譲れない、という場面。
そんな時には前に出る。
必要なら上とも交渉する。
他部門にも頭を下げる。
言うべきことは言う。
使える人脈は使う。
そして、最後は結果を出す。
そのために、
日頃から外交しておく。
⸻
考えてみれば、
強い国というのも、
いつも戦っている国ではないのかもしれない。
できるだけ戦わずに済むように外交し、
それでも守らなければならないものは守る。
そして、そこで暮らす人たちを豊かにしていく。
部長も似ている気がする。
自分の組織で働く人たちが、
成長できる。
ちゃんと評価される。
いい仕事ができる。
無駄に疲弊しない。
困った時には守ってもらえる。
そして少しでも、
「この組織で働けてよかった」
と思える。
そんな環境をつくること。
それも、部長の仕事なんじゃないかなと思う。
「みんなが幸せになる組織」
言葉にすると、ずいぶん大きいけどね。
できることからでいい。
自分の預かっている範囲から、少しずつ良くしていきたい。
⸻
普段は飄々と。
はぐれ雲みたいに、のらりくらり。
木偶の坊と呼ばれたい。
でも、いざという時には頼りになる。
政治から逃げない。
責任からも逃げない。
そして最後は、ちゃんと結果を出す。
そんな部長でいたい。
8月15日。
遠くのお囃子を聞きながら、
そんなことを考えた。
ぼちぼちいこう🌱
