デジタルスキル標準における「データサイエンティスト」の定義を正しく理解する(その5) ~ 「デザイン」の重要性
はじめに
どの企業にもDX人材が必須と言われて久しいです。企業はDX人材、特に「データサイエンティスト」を社内に確保しましょうと言われています。ただ、
「データサイエンティスト」とは何か
としっかり定義されているでしょうか? そこで、全7回にわたってIPAのデジタルスキル標準を読み込みながら、データサイエンティストについて解説をしていく連載を書いていきます。
※2025年12月加筆:「完全版」公開について
なお、2025年12年にこの連載を集約、加筆したものを発表しております。こちらも是非ご覧ください。
※以下、当時公開のまま記載
デジタルスキル標準における「デザイン」の意味
前回の記事で、「データビジネスストラテジスト」ではデザイン系スキルが求められると示しました。今回はこの点について解説します。
まず、各ロールに求められるスキルのうち、「ビジネス変革」カテゴリーのスキルは、「戦略・マネジメント・システム」「ビジネスモデル・プロセス」「デザイン」の3つのサブカテゴリーから成りますが、「デザイン」は以下のように定義されています。
(デザイン)個別の製品・サービスに関するDX推進のプロセスを進めることに軸足を置いたスキル
顧客視点で個別の取組み(特に新規事業開発)を進めるうえでのプロセスごとにスキルを定義している
https://www.ipa.go.jp/jinzai/skill-standard/dss/about.html
このように、定義の部分に「意匠・見栄え」については特に明記されていません。それもそのはずで、実はそもそも
「デザイン」という言葉は「意匠・見栄え」だけを指すわけではない
からです。
市場や技術、社会が大きく変化し、企業を取り巻く問題が複雑化していることを背景に、「デザイン」に期待される役割も変化しています。すなわち、デザインには、個々の製品などの造形を美しいもの、使いやすいものにする役割のみならず、製品やサービスを利用する人々の体験全体を心地よいもの、魅力的なものにする役割、さらには、ビジネスモデルや組織・コミュニティなどのエコシステムを望ましいもの、生き生きとしたものにする役割も求められるようになりつつあります。今やデザインは、人を起点とする価値創造・問題解決の手段として捉えるべきものだと言えるでしょう。
https://www.ipa.go.jp/jinzai/skill-standard/dss/about.html
こちらは、デザインスキル標準の「デザイナー」の章からの引用ですが、もとも経済産業省の「デザイン政策ハンドブック2020」にも同様の記載があるようです。
Wikipediaによると、
デザイン(英語: design、中: 設計)は目的設定・計画策定・仕様表現からなる一連のプロセスである。すなわち人・ユーザー・社会にとって価値ある目的を見出し、それを達成できるモノゴトを計画し、他者が理解できる仕様として表現する、この一連の行為をデザインという。
(中略)
すなわち人・動物・コンピュータといった主体が、特定環境・制約・要件下での目的達成を意図して、様々な要素(還元していくと基本要素にたどり着く)の組み合わせによる作品・システム・プロセスといったデザイン対象の仕様を、仕様書・計画・想像図・模型・対象そのものといった形で生み出すことをデザインという。
とあります。要するに「価値そのものを見出し、価値実現方法を見出し、価値を他者が理解できるように表現するという一連の行為」であるとすると、デザインとは表現の部分だけでなく、その前の工程、つまり日本語でいうところの「設計」の意味合いも持っていると言えます。
つまり、デザインとは、人を起点とした価値創造・問題解決の手段であって、ここでいうデザインのスキルというのは「顧客視点でDX推進するためのスキル」と言い換えることができるでしょう。

デジタルスキル標準における「デザイナー」のスキル
ちなみに、デジタルスキル標準における「デザイナー」も、3種類のロールがあり、それぞれ「デザイン」する範囲が異なります。

「サービスデザイナー」は個別案件の課題特定、価値定義、ビジネスモデルからビジネスプロセスやUXまでデザイン(設計)を行うと書かれており、広くデザイナーと書かれがちな「UX/UIデザイナー」「グラフィックデザイナー」とは明らかに異なる役割であると明確に定義されております。
当然ですが、データビジネスストラテジストに求められるスキルは前者であり、それも知識を有するだけではなく、一定の実践力までが必要となるとされています。
さて、次回以降は、データサイエンティストの別のロールについて解説していこうと思います。
(つづく)
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