【育児日記】ワンオペの孤独と職場復帰の恐怖。自己肯定感の低かった私が、あるエッセイを読んで子育てと育休からワーママへの一歩を踏み出すまで。自己紹介の人
溶けない氷を抱えて
午前3時。遮光カーテンの隙間から
街灯の光がうっすらと部屋に差し込む。
隣で規則正しく響く夫の寝息を
私はまるで遠い国の音のように聞いていた。
「ふえぇ……」
小さな、でも確かな命の主張。
6か月になった娘は、最近夜泣きの
バリエーションが増えた気がする。
重い体を引きずりながら
私は暗がりで哺乳瓶を探した。
「……ねえ、うるさい。明日早いんだけど」
隣のベッドから
布団が擦れる音と一緒に冷たい声が飛んでくる。
彼は一度も目を開けない。
「仕事があるから」という免罪符は
いつからこんなに無敵になったんだろう。
私の24時間営業には
昼休みも退勤のチャイムも存在しないのに。
結局、娘を抱き上げてリビングへ向かう。
冷え切ったフローリングの感覚が
今の私の心細さをそのまま映しているようだった。
1人のはずなのに、1人になれない場所
朝、夫を送り出した後
リビングは静かな戦場だ。
鏡を覗く余裕なんてない。
ふと窓ガラスに映った自分は髪がパサパサ。
目の下には消えないクマがある。
独身の頃
あんなに時間をかけていたスキンケアも
今はオールインワンジェルを
顔に叩き込むのが精一杯だ。
離乳食を一口食べさせるたびに、床に広がっていくお粥。
洗濯機を回し忘れたことに気づく、あの小さな絶望感。
泣き止まない娘をあやしながら、立ち往生して冷めきったカップ麺をすする昼下がり。
そして、気づくと窓の外は暗くなっている。
玄関で物音がした。
「今日、ずっと家にいたんでしょ? 部屋、散らかってるよ」
夜、帰宅した夫の第一声がこれだった。
ゴミ出し一つしたことがない彼にとって
育児は「家で子供と遊んでいるだけ」の
のんびりした時間にしか見えていないらしい。
「ごめんね、今日はちょっと娘がぐずっちゃって……」
謝る必要なんてないはずなのに
言葉が勝手に出てくる。
私はママとしてちゃんとやれているんだろうか。
SNSで見かける「キラキラしたママ」たちは
もっと器用に
もっと完璧に
ママをこなしているんじゃないだろうか?
遠ざかる「私」の居場所
カレンダーの
育休明けの日付に引かれた赤い線。
それが近づくたびに胸の奥がギュッと苦しくなる。
あと数か月。。。
正直、怖い。
今の私はExcelの操作方法も
敬語の使い方さえも、どこか遠い記憶の中に
置いてきてしまった気がする。
もし会議中に保育園から電話がかかってきたら?
急な欠勤で、職場の同僚に「またか」と溜息をつかれたら?
「私、戻っても居場所なんてないのかもな……」
誰に届くでもない独り言が
冷めたコーヒーの湯気と一緒に消えていく。
「自分を好きでいること」が、こんなに難しいなんて知らなかった。
画面の向こう、不器用な「味方」
深夜、ようやく娘が寝静まったあとのリビング。
テレビをつける気力もない。そんな毎日。
私はソファの隅っこで
スマホの明かりを頼りにnoteを開く。
おすすめ欄に流れてくるのは
丁寧な暮らしや、効率的な育児ハック。
今の私には眩しすぎて直視できないものばかり。
指先で画面を弾き飛ばそうとしたとき
ふと一つのタイトルが目に止まった。
それは、あるエッセイストさんの記事だった。
効率の悪い、愛おしい日常
その人は、お世辞にも
「仕事ができるエリート」や
「完璧なママ」には見えない。
むしろ、スーパーのレジで小銭をぶちまけたり
大事な日に限って靴下に穴が開いていたりする。
スマートさとは程遠い、ある意味で地味な日常。
でも、その人の綴る言葉は
不思議と私の強張った心を解いていった。
「今日は、煮魚を焦がしました。でも、焦げた部分を削って食べたら、なんだか香ばしくて美味しかったんです」
そんな、どうしようもない失敗を
笑い飛ばすでもなく、ただ静かに受け入れている。
効率や正解ばかりを求められる今の私にとって
その「要領の悪さ」は
何よりも優しい救いのように感じられた。
鏡に映らない、私の価値
夫からは「手際が悪い」とため息をつかれ
自分でも「もっと上手くやれるはず」と
自分を責めてばかりいた。
でも、その人のnoteを読んでいる間だけは
「ああ、完璧じゃなくても、生きていていいんだ」
と、心の底から思える。
特別な才能があるわけじゃない。
劇的な逆転劇があるわけでもない。
ただ、毎日を精一杯、時には転びながら歩いている。
その地味な歩みの中にこそ
本当の強さがあるのかもしれない。
画面を閉じたあと、暗いリビングで一息つく。
少しだけ、胸の奥の冷たい塊が溶けた気がした。
明日もまた、お粥をぶちまけられるかもしれないけれど。
それでも、少しだけ前を向いて歩けるような
そんな静かな夜だった。
五百円の勇気、あるいは「私」を取り戻すための代償
そのエッセイストさんが
新しく有料記事を投稿した。
タイトルは、今の私を透かして見ているような、静かで優しいものだった。
画面をスクロールすると
途中でふっと文字が消え
「この記事は有料です」という無機質な文字が現れる。
価格は500円。 ワンコインだ。どうしよう?
以前の私なら、カフェでラテを一杯頼む感覚で、迷わず決済ボタンを押していただろう。
でも、今の私は
そのボタンの前で指を止めてしまった。
隠し持った「罪悪感」という重石
(……私、今、稼いでないのに)
胸の奥で、冷たい声が響く。
育休手当は出ているけれど
それは「家族のため」のお金であって
私のわがままに使っていいものじゃない。
そんな思い込みがいつの間にか私を支配していた。
もし夫に知られたらなんて言われるだろう。
「家事も完璧じゃないのに、遊ぶお金はあるんだね」
「そんな暇があるなら、もっと効率よく動けば?」
実際には言われていなくても
彼の背中を見ているだけで
脳内で勝手に厳しい言葉が再生される。
私は、自分のために500円を使うことさえ許されない、そんな存在になってしまったんだろうか?
ママである前に、一人の人間として「知りたい」と願うことさえ、贅沢なんだろうか?
震える指で選んだ、一筋の光
「……いいよ。これくらい」
自分に言い聞かせるように呟いて
私は決済ボタンをタップした。
スマートフォンの画面が切り替わり
隠されていた言葉たちが一気に溢れ出してくる。
そこには、相変わらずの「要領の悪さ」と
それを抱えたまま生きていくことへの
静かな肯定が綴られていた。地味ですらある。
「正解を選べなくても、選んだ道を正解にしていけばいい」
「立ち止まっている時間は、停滞ではなく、根を張る時間」
一文字ずつ、乾いた砂に水が染み込むように
言葉が心に入ってくる。
涙が、ポタポタとスマホの画面に落ちた。
500円で買ったのは、単なる文章じゃない。
「私は、私のままでいていいんだ」という
誰にも奪えない許可証だった。
溶け始めた自己否定
読み終えたとき
不思議と夫に対する恐怖や
自分への苛立ちが少しだけ遠のいていた。
彼に認められなくても
世の中の「完璧なママ」になれなくても
私は私のペースで、この不器用な日常を愛していい。
画面を閉じて、深く息を吐く。
まだ部屋は散らかっているし、明日の朝も早い。
けれど、心の中に小さくて温かい
「自分だけの居場所」ができたような気がした。
画面の端っこから、誰かの夜を灯せるように
読み終えたあとの画面をそっと閉じる。
心の中に、ずっと忘れていた
「小さな熱」が宿っているのを感じた。
「……書いてみたい」
誰に届くわけでもないけれど
この震える指先で、私の言葉を紡いでみたい。
今まで、SNSやネットの世界は
キラキラした成功者や完璧なママたちが主役の
遠い異国のような場所だと思っていた。
でも、あのエッセイストさんが
教えてくれたのは、もっと地味で、不器用で
どうしようもない日常の愛おしさだった。
キラキラじゃなくて、等身大の「私」でいい
私が書きたいのは、効率的なライフハックでも
輝かしいキャリアの積み上げ方でもない。
お粥をぶちまけられて立ち尽くした、情けないお昼休み。
夫の言葉に言い返せなくて、一人で飲み込んだ涙の味。
それでも、娘の寝顔を見ていると少しだけ救われる、そんな矛盾だらけの毎日。
格好良くなくていい。
要領が悪くたっていい。
かつての私が、あの人の文章に
「ここにいてもいいんだよ」と肩を叩かれたように。
今、この世界のどこかで
暗いリビングでスマホを握りしめながら
自分を責めている誰かがいるかもしれない。
その誰かに向かって
「私も同じですよ」と
そっと隣に座るような記事を書いていきたい。
職場復帰という、新しい扉の前で
カレンダーの赤い線は、もう怖くない。
職場に戻れば、また失敗もするだろうし
風当たりに心が折れそうになる日もくるだろう。
でも、今の私には「書くこと」という
自分だけの居場所がある。
どんなにボロボロになった日も、
れを言葉に変換して誰かと分かち合えるなら
それはもう単なる不幸ではない気がするのだ。
「よし」
小さく呟いて
私はnoteの「投稿」ボタンではなく
まずは「下書き」の真っ白な画面を開いた。
自己肯定感なんて
まだすぐには上がらないかもしれない。
けれど、この一行目を書く私の指は
さっきよりもずっと自由だ。
窓の外では、うっすらと夜が明けようとしている。
新しい朝が、少しだけ優しく見えた。
あとがき
はい。女性版で新シリーズです。
昨日までの40代男性氷河期世代のモデルは
私も含めた複数の人がモデルでした。
今回の記事は。。。
とある一人の人物がモデルとなっています。
エイミは完全に想像(妄想)の産物でしたが
このお話の女性は実在しております。
まぁ、とはいっても
書いてるのはGeminiなんですけどね。
あとその女性はここまで髪が長くないのですけど
上手くイラスト生成が出来ませんでした。
写真から作れば良かったのかな?
ということで、次回もご期待ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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いつも記事を読んでくれて、ありがとうございます。みなさんからのチップは、今後の情報発信の大きなモチベーションです。私の活力の源である水草水槽の維持費に使います。もっと役立つ情報をお届けできるように頑張ります。