リーダーの人間的成長が組織を変える:人事戦略としての人材マネジメント再構築ー高橋俊介氏
Aoba-BBTの番組:高橋俊介氏の「マネジャー・リーダーのための組織人材マネジメント」講座の第6回「リーダーとしての自らの成長」を拝聴しました。この講座は全6回シリーズの最終回でした。組織内で人材が育成される環境と、リーダー自身の人間的成長は、密接に同期する関係にあるという考えが、本講義の根幹をなしています。メンバー一人ひとりが成長し、それを率いるリーダーもまた成長していく組織を実現するためには、いくつかの重要な条件が存在すると議論されています。内容を確認の上で考察を進めてみたいと思います。
人が育ち、リーダーも成長する組織の基盤
第1に、「個人に焦点を当てた人間尊重の風土と人への関心」が挙げられます。成果や数字を追求する中でも、それを生み出す「人」そのものに深い関心を持ち、個々の価値観や人間性を尊重する姿勢が不可欠です。メンバーが一個人として尊厳を持って扱われていると感じられる組織文化が、成長の土壌となります。
第2に、「気づきや腹落ちを通しての仕事観や仕事への取り組み姿勢の形成」が重要視されます。単なるお題目ではなく、自らの仕事が持つ社会的な意味や価値を、心からの納得感(腹落ち)を持って理解することが求められます。特に、リモートワークなどが普及し、かつてのような対面でのコミュニケーションが減少しがちな現代において、リーダー自身が明確な仕事観を持ち、それを効果的に伝え、メンバーの共感を呼ぶ工夫が一層重要になります。
第3に、「高い視座や広い視野を持ったキャリア自立の意識の形成」が促されます。これには、若手社員を中期経営計画の議論に参加させる(丸井の事例のように、論文選考で参加者を選ぶなど)といった「経営参画」の機会提供や、経営指標などをオープンにする取り組みが含まれます。
さらに、社外の活動などを通じて多様な刺激(越境の刺激)に触れる機会を提供し、個々人が自身の意見や考え(持論)を形成し、それを表現する場を設けることも、自律的なキャリア意識を育む上で有効です。

リーダー自身の人間的成長を促す要素
リーダー自身の成長においても、いくつかの重要な観点が提示されていました。
まず、「人間観の形成」です。リーダーが個人や特定のグループをどのように認識しているか(人間観)は、組織の現実に直接的な影響を与えます。例えば、あるスーパーの店長が「パートのおばちゃんはこの程度の仕事しかできない」という無意識の思い込みを持っていた結果、実際にパート従業員が低い意欲で働く状況を生み出してしまった事例が紹介されています。これは、「人はそのように扱えばそのようになる」という原則を示唆しており、リーダーの人間観が鏡のように組織や部下に反映されることを物語っています。
人間は自身の仮説に合う事実のみを強く記憶する傾向(認知の歪み)があるため、特定の属性(例:血液型)に対する固定観念(ステレオタイプ)を持ちやすいものです。これを避けるためには、人材開発会議などで多様な意見に耳を傾け、自身の見方が偏っていないか常に検証し、人物評価を固定化させない努力が必要です。何よりも「事実に対して謙虚である」姿勢が、リーダーの基本として求められます。
次に、「適切なリーダーシップスタイルの選択」の重要性が強調されます。組織の特性や状況、そして部下の状態に応じて、リーダーシップのスタイルは柔軟に変化させる必要があります。権限や情報がトップに集中し、現場の仕事が単純化されている組織では、叱咤激励型のリーダーシップが機能する場面もあるかもしれませんが、それが万能ではありません。
特に、医師や弁護士、コンサルタントのような専門性の高いプロフェッショナル組織や、研究所などでは、メンバー自身が考え決定することを支援する「内省型リーダーシップ」やコーチングが中心となります。NHKの「ドクターG」のような番組でのカンファレンスは、まさにこの内省型リーダーシップの典型例と言えるでしょう。
リーダーシップスタイルを選択する上で特に注意すべきなのは、部下の「意欲(コミットメント)」と「能力」のマトリクスです。例えば、「意欲はあるが能力が不足している」部下に対して、叱咤激励を行うことは最も避けるべきアプローチであり、メンタルヘルスを損なう原因となりかねません。この場合は、能力開発支援が優先されるべきです。逆に、能力はあるが意欲が低い部下には叱咤激励が有効な場合もあり、能力も意欲も高い部下には権限委譲が適しています。
さらに現代では、部門間の壁を越えた協力や、外部組織との連携が不可欠な場面が増えています。総合商社や総合電機のようなコングロマリットが縦割りの弊害を乗り越え総合力を発揮するため、あるいは新しい技術(EV、自動運転ソフトウェアなど)を取り込むために外部と協働する際には、「横のリーダーシップ」が極めて重要になります。
これは、直接的な上下関係がない相手とも協力関係を築き、目標達成に向けて人々を巻き込んでいく力です。他部門との調整や交渉に長けた女性リーダーの事例や、ワーキングマザーが育児と仕事の両立のために自然と身につける「巻き込む力」が、この横のリーダーシップの好例として挙げられています。横のリーダーシップを発揮するには、相手の話をよく聞き、その人の「コアバリュー(根底にある価値観)」を理解し、その価値観に響く言葉でコミュニケーションをとる能力が求められます。あるNPOのリーダーが、病院内に終末医療病棟を設置するために、看護師長、外科部長、患者サービス部長それぞれの問題意識や価値観(看護師の地位向上、研究成果、人道主義)に合わせて説得方法を変えた事例が示唆的です。
リーダーは、自身の経験から身につけた特定のスタイルに固執するのではなく、置かれた状況と自分自身を客観視(メタ認知)し、複数の引き出しの中から最適なスタイルを選択・実行する習慣を持つことが肝要です。
そして、「自身の客観視」の習慣化が繰り返し説かれます。自身の内的な動機(例:パワー動機)が、無意識のうちにコミュニケーションスタイル(例:高圧的な言い方)に影響を与えていることを自覚する必要があります。特にリーダーという立場は、意図せずとも部下が意見しにくい雰囲気(権威勾配)を生み出してしまう危険性を孕んでいます。視界不良時に機長が副操縦士の警告を無視して離陸し、事故に至った航空機事故の事例は、権威勾配の恐ろしさを物語っています。このような状況を防ぐには、心理的安全性を確保する意識が不可欠です。
また、「アンガーマネジメント」も重要であり、カッとなった時に反射的に行動するのではなく、感情のピーク(3~5秒)をやり過ごす技術を身につけることが推奨されます。怒りを客観的に分析する(例:10段階でレベル分けする)などの方法で、一歩引いて自身を見つめる習慣が、衝動的な言動を防ぎます。これは、感情労働(看護師など、自身の感情をコントロールしつつ他者の感情に働きかける仕事)に従事する人々にとっても、ストレスを軽減するために重要なスキルです。同僚との事例共有や対話が、感情的ストレスの緩和に役立つことも指摘されています。
「意図的な習慣化」も、リーダーの成長に不可欠な要素です。人は、自身の内的動機に合わない行動(例:主張欲が低い人が意見を言う)を避ける傾向がありますが、リーダーとしては必要最低限のレベルまで意識的に努力し、習慣化する必要があります。逆に、強い動機が悪い側面(例:復元動機が強い人が、他者にも同じ打たれ強さを求めて過度に厳しく接する)として現れないよう、自己制御する習慣も同様に重要です。
部下が自分と同じ動機を持っているとは限らないことを認識しなければ、パワハラなどに繋がる可能性があります。これらの変容は、「無意識的無能(できていないことに気づいていない)」から「意識的無能(できていないと自覚する)」、「意識的有能(意識すればできる)」、そして最終的に「無意識的有能(意識せずとも自然にできる)」へと、段階的に進める必要があります。このプロセスには、他者からのフィードバック(特に耳の痛いことを言ってくれる家族や親友などの意見)が極めて重要です。若いうちは自己効力感を高めるために得意な動機を活用することが優先されますが、ミドル層になるにつれて、動機の使いすぎを制御し、動機にないことを習得していくバランスが求められます。
最後に、「リベラルアーツ(教養)を通じた深い学び」の重要性が説かれます。ユヴァル・ノア・ハラリの「サピエンス全史」を例に挙げ、狩猟採集社会から農耕社会への移行が、人類に「未来への不安」と「計画・管理による予測可能性の追求」をもたらした経緯を解説しています。産業社会はこの「計画と実行の分離」を推し進め生産性を向上させましたが、変化の激しい現代の情報社会においては、このパラダイムが必ずしも有効とは言えなくなっています。むしろ、過剰な計画や分析に固執することが、変化への適応を妨げている可能性すらあります。
このような現代社会の本質的な課題を捉えるためには、歴史、人類学、社会学といったリベラルアーツの学びが有効です。これは、正解のない問いに対して、事実(ファクト)に基づきながら自身の考え(持論)を深めていく「持論形成型の学び」であり、多様な背景を持つ人々と議論を交わす中で、自身の視野の狭さや新たな選択肢に気づくことができます。リーダーこそ、このような深い学びを習慣化することが望まれます。
総括としての自己変革への促し
本講義シリーズ全体を通して、リーダーは自身の日常的なコミュニケーション、マネジメント、リーダーシップのあり方を客観的に評価し、自身の課題(スキル、思考・行動特性)を明確に認識することが求められています。同時に、これまで意識的に実行してきたことの中で、今後も継続・強化すべき自身の強みや有効なアプローチについても再確認することが重要です。これらの内省を通じて得られた気づきを、具体的なスキル習得や思考・行動の変容へと繋げていくことこそが、リーダー自身の継続的な成長、ひいては組織全体の発展に不可欠であると、本講義は締めくくられていました。
企業人事戦略におけるリーダー成長の核心:組織文化、人材開発、学習戦略への多角的アプローチ
今回取り上げられた、「リーダーとしての自らの成長」というテーマは、現代の企業人事部門にとって、組織の持続的成長と人材価値の最大化を図る上で、極めて示唆に富む内容を含んでいます。リーダー個人の人間的成熟と、従業員が自律的に育つ組織環境の構築が不可分であるという視点は、人事戦略全体を貫くべき基本思想と言えるでしょう。本稿では、この講義内容を企業人事の視点から深く掘り下げ、具体的な戦略への展開可能性を探ります。
1. 人材育成の基盤となる組織文化の戦略的構築
従業員の成長を促進する組織文化は、自然発生的に生まれるものではなく、人事部門が意図的に設計し、醸成していくべきものです。講義で強調された以下の三つの要素は、そのための具体的な施策を検討する上で不可欠な指針となります。
「人間尊重」の徹底と「人への関心」の浸透
多くの組織が成果や業績を重視する中で、それらを生み出す「人」そのものへの深い関心と尊重を組織文化の中心に据えることの重要性が説かれています 。これは単なる理念に留まらず、従業員一人ひとりが持つ多様な価値観を認め、その尊厳を守る具体的な行動として現れるべきです 。例えば、スーパーの店長が「パートのおばちゃんはこの程度」という無意識の偏見を持つことで、実際に従業員の意欲を削いでしまう事例は、リーダーの人間観が組織に与える影響の大きさを物語っています 。
人事としては、この「人間尊重」を組織のコアバリューとして明確に位置づけ、採用、オンボーディング、評価制度(プロセスや多面評価の重視)、リーダーシップ研修、社内コミュニケーションなど、あらゆる人事施策に一貫して反映させる必要があります 。
「仕事の意義」の共有と「腹落ち」の促進
従業員が自らの仕事に対して、表面的な理解を超えた深い納得感(腹落ち)を持ち、その社会的意義を実感できることは、エンゲージメントと主体的な貢献意欲を引き出す上で決定的に重要です 。かつてのアフターファイブの飲み会のような非公式な場での熱い議論が、仕事観の共有に寄与していた側面もありましたが、働き方の多様化(リモートワークの普及など)により、そうした機会は減少しがちです 。
人事部門は、経営層からのパーパスやビジョンの発信支援、社内報やイントラネットでの成功事例・貢献事例の共有、部門横断での対話セッションの企画、リーダー向けのストーリーテリング研修などを通じて、従業員が自身の仕事と組織全体の目的との繋がりを実感できるよう、積極的に働きかける必要があります 。
「キャリア自律」を支える環境と機会の提供
従業員が自律的にキャリアを展望し、必要なスキルや経験を獲得していけるよう支援することは、変化の激しい時代における人材戦略の要諦です。講義では、若手社員を中期経営計画策定のような上位の意思決定プロセスに関与させる(丸井の事例 )、「オープンブックマネジメント」のように経営情報を可能な範囲で共有する 、などの具体的なアプローチが示唆されています。
さらに、人事としては、社内公募制度の充実、部門横断プロジェクトへの参加推奨、副業・兼業の支援、外部研修や異業種交流(「越境学習」 )への派遣、従業員が自身の専門性や考えを発信・共有できるプラットフォーム(「持論形成支援」 )の整備などを通じて、従業員が主体的に学び、視野を広げ、キャリアを切り拓くための機会を戦略的に提供していくことが求められます 。
2. リーダーシップ開発とタレントマネジメントの高度化
リーダー自身の成長に関する深い洞察は、人事部門が展開するリーダーシップ開発プログラムやタレントマネジメントのあり方そのものを見直す契機を与えます。
リーダーの「人間観」と「認知バイアス」への対応
リーダーが持つ無意識の思い込みや偏見(人間観、認知バイアス)は、部下やチームのパフォーマンス、ひいては組織全体の健全性に深刻な影響を及ぼしかねません 。「血液型A型の人は几帳面」といったステレオタイプ的な見方 や、一度付いた評価を覆しにくい「人物評価の固定化」 は、その典型です。人事部門は、リーダー自身がこうした自身の認知の歪みに気づき、それを客観視・修正できるよう、アセスメントツール(例:潜在連想テスト)、360度フィードバック、アンコンシャスバイアス研修などを積極的に導入・活用すべきです 。これにより、より公正で客観的な人材評価、ポテンシャル人材の発掘、効果的なサクセッションプランニングが可能となります 。何よりも「事実に謙虚である」姿勢をリーダーに求める文化を醸成することが重要です 。
状況適応的な「リーダーシップスタイル」の習得
現代の複雑な組織環境においては、画一的なリーダーシップは通用しません。組織特性、業務内容、そして部下の意欲と能力の状況(シチュエーショナルリーダーシップ )に応じて、指示、支援、委任、コーチングといった多様なスタイルを柔軟に使い分ける能力(メタ認知)がリーダーには不可欠です 。特に、専門性の高いプロフェッショナル組織(医師、研究者など)では、内省を促すコーチング型(内省型リーダーシップ )が有効であり、「意欲はあるが能力不足」の部下に叱咤激励することが逆効果である点は、研修などで強く認識させるべき重要なポイントです 。さらに、部門間の連携や外部組織との協働が常態化する中で、「横のリーダーシップ」の重要性は飛躍的に高まっています 。
これは、公式な権限関係がない相手をも巻き込み、共通の目標達成に導く能力であり、他者のコアバリューを理解し、キーパーソンを見極め、納得感のあるコミュニケーションを行うスキルなどが含まれます 。NPOリーダーやワーキングマザーの事例 が示すように、多様な経験がこの能力を育むことも示唆されています。人事としては、リーダーシップ研修のカリキュラムにこれらの多様なスタイル(特に横のリーダーシップ)の理解と実践演習を組み込み、コンピテンシーモデルにも明確に位置づける必要があります。
「自己客観視」能力の強化と「行動変容」の促進
リーダーが自身の感情や内発的動機が周囲に与える影響を客観的に理解し、それを適切にコントロールする能力は、健全な職場環境の維持に不可欠です。高圧的な言動に繋がりやすい「パワー動機」の暴走 や、部下が意見を言いにくくなる「権威勾配」 (航空機事故の事例 に見られるような深刻な結果を招きうる)といった罠にリーダーが陥らないよう、人事として注意喚起とトレーニングを行う必要があります。アンガーマネジメント(感情のピークをやり過ごす技術など )のスキル習得支援や、心理的安全性の重要性に関する啓発も重要です。
また、リーダーが自身の強い動機の負の側面を抑制し、逆に自身の動機にない(苦手な)行動(例:傾聴、自己主張 )についても意識的に取り組み、「習慣化」によって最低限のレベルを担保するプロセス(無意識的無能→意識的無能→意識的有能→無意識的有能 )を支援することも人事の役割です。これには、信頼できる他者からのフィードバック(特に耳の痛い指摘 )を受け入れる文化の醸成や、コーチング、メンタリング制度の活用が有効です。
3. 学習・能力開発戦略の革新
効果的なリーダー育成のためには、従来のスキル研修に加え、より本質的な思考力や適応力を養うための新たな学習アプローチを取り入れる必要があります。
「越境学習」の戦略的活用
従業員を意図的に自社のコンフォートゾーンの外(例:異なる業界の中小企業への派遣 )に送り出す「越境学習」は、既存の常識や専門用語が通用しない環境での経験を通じて、多様な価値観への理解、適応力、そして「横のリーダーシップ」を効果的に育成する機会となります 。人事部門は、こうしたプログラムを単発の施策としてではなく、人材育成戦略の中に体系的に位置づけ、その効果測定と改善を図っていくべきです。
「リベラルアーツ」による本質的思考力の涵養
歴史(「サピエンス全史」の例 )、哲学、社会学などのリベラルアーツ(教養)は、VUCAと呼ばれる予測困難な時代において、物事の本質を見抜き、複雑な事象を多角的に捉え、固定観念にとらわれない柔軟な思考力を養う上で極めて有効です 。農耕社会以降の人類が追求してきた「計画と実行の分離」による管理・予測可能性の向上が、現代社会では必ずしも最適解ではないかもしれない、といった根源的な問いに向き合う経験は、リーダーの意思決定の質を高めます 。
人事としては、リーダー層向けの研修プログラムや自己啓発支援の中に、リベラルアーツに触れる機会を積極的に組み込むことを検討すべきです。これは、正解のない問いに対して事実に基づき自身の考え(持論)を構築し、他者との対話を通じてそれを深化させる「持論形成型の学び」 を促進することにも繋がります。
「ピア・ラーニング」コミュニティの活性化
リーダー同士が、日々のマネジメントにおける成功体験や失敗談、悩み、あるいは感情的なストレスなどを共有し、互いに学び合い、支え合う場(ピア・ラーニング)は、知識やスキルの移転だけでなく、精神的な負担の軽減や孤立感の解消にも大きく貢献します (特に感情労働が求められる職種において有効 )。人事部門は、リーダー向けのコミュニティ・オブ・プラクティス(実践共同体)の立ち上げ支援、事例共有会の定期開催、メンター制度の導入などを通じて、リーダー間の水平的な学びと支援のネットワーク構築を積極的に後押しすべきでしょう。
まとめ:人事部門が果たすべき役割
今回の講義が示すリーダーの成長プロセスは、人事部門に対して、従来型の研修提供や制度運用といった個別施策の枠を超え、組織文化、人材マネジメントシステム、学習戦略を有機的に連携させ、リーダーの人間的な成長を全方位的に支援するという、より高度で戦略的な役割を要請しています。リーダー一人ひとりが自己客観視を深め、多様な経験を通じて学び、行動を変容させていく旅路を、人事としていかに効果的に伴走し、促進できるか。その成否が、これからの時代における組織の競争力と持続可能性を大きく左右するといえるでしょう。

「リーダーとメンバーの成長が同期する組織」の姿のイメージです。
左側には、メンバーたちが生き生きと学び合い、育ち合う場面が広がっており、研修に参加する人、ミーティングに臨む人、チームで議論する姿などが、個々の主体的な成長を象徴しています。その表情やしぐさには多様性があり、組織の中に「人間尊重」の風土が根付いていることが伝わってきます。
中央には、DNAの螺旋を想起させる「ダブルヘリックス状の樹」が見え、一方の枝はチームの発展、もう一方はリーダー自身の成長を表現しています。この二つが絡み合いながら高く伸びる姿は、「相互成長」という本質的なメッセージを視覚的に強く訴えます。根元が深く張っている様子は、信頼や共感といった土台の重要性を象徴しています。
右側では、リーダーが読書や内省、フィードバックの受容、戦略セッションのファシリテーションなどに取り組む姿が見られます。自身の成長を通じて組織を導こうとする意思が感じられます。背景には透明なガラスや橋、鏡などのメタファーが使われており、自己客観視や横断的なリーダーシップの重要性を示唆しています。
温かみのある色調と柔らかい光が、心理的安全性や感情知性に満ちた理想的な組織文化を表現されています。
