積極的に語らないが、誰でも語れる環境がある社会
私は両親ともに韓国人のため韓国国籍として産まれ、少し前に日本国籍に帰化をした。行政書士の仕事をしており、韓国人の相続案件も多々手掛けてきた。
近ごろ、「日本人ファースト」という言葉をよく見かけるようになった。
これは日本国籍を取得していれば日本人に入っているのだろうか?
ルーツが日本にある人も含まれているのだろうか?
そんなことを考えながら、仕事でお会いした日本の片隅で必死に生きてきたご高齢の韓国人のご依頼を思い出す。
書類はこの住所に送ってくださいと伝えると、「コンビニからFAXがいい」という。
サインが必要だというと、「字が汚いので書いてください」と言われる。
しばらくして、この方はおそらく字の読み書きができないことを隠しているのだと気づいた。
その時から、自分の住所と氏名をシールにして、「私への郵便はこれを貼ってレターパックで送ってください」と渡すようにした。
韓国人だからと言って差別されないよう、字が読めないから騙されないよう、この方なりに染み付いた防衛策だったのだと思う。
そんな方たちが「日本人ファースト」という強い言葉で怯えることがないために何ができるのか。
学生時代、鶴橋で生まれ育った大阪の友人は「自分が帰化したらこういった人がいたことがなかったことになってしまうので日本国籍に帰化する気はない」と言っていた。
それもできることだと思う。
しかし、韓国語も話せず、財産も交友関係も仕事も日本にしかなく、サッカーはどっちを応援するの?と聞かれたら、SAMURAI BLUE一択であれば日本国籍を取得するのは必然の流れだ。
そんな中、周りを見渡せば日本でもミックスやダブル(かつてハーフと言われていた)の次世代の方たちも古来の日本名ではなく、出自がわかる氏名の日本国籍で政治やメディア、スポーツで活躍している。
また、半生を語るなど過去について深堀するYouTubeなどの番組も増え、家系図を作る需要も増えており、出自についての関心が高まってきている。例えばNHKの「ファミリーヒストリー」がSNSで話題となることが多い。
差別を防止するため、企業での採用の場面で出自を聞くことはできないが、自分が語ってもいいと思う場面で話せる環境を維持すること、そして誰でも語りたければ語り、多様性を面白がる世界にしていきたい。
私は今後も戦後の苦労をしてきたご高齢の方々のお困りごとの味方になっていくつもりだ。
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