『もうひとつのデビュー』~ピアノの音がない世界 (50p完成版)
小さいころから音楽が好きだったが、別の道を選んだ青年の話をします。
19世紀前半、リヴィウという街で生まれ育ったティトゥスは、ワルシャワの学校へ行くために、親元を離れて寄宿舎へ入ります。
そこにはショパン少年がいて、ふたりはとても仲良くなります。

少年時代は終わり、ショパンは音楽家としてデビューします。
ティトゥスは、ずっとこの街でショパンの音を聴いていたかった。
しかし、両親を亡くしたティトゥスは、広大な領地を継がなければなりません。街を離れ、ひとり、家族のいない田舎へ向かった彼は何を思ったのか?
ショパンの伝記では親友として名が知れ渡っているのに、彼がどんな人だったか知る人はほとんどいない。
これは、自分の人生を生きようとした、ひとりの青年の物語です。
全50p。『ビューアを開く』からお読みください。
あとがき

この場面は、馬で行った長い距離を、徒歩でとぼとぼと帰る。夕方遅く、すでに月や星が出ているイメージで描いていたのですが……。
ティトゥスが母を亡くしたのは1829年7月2日。その後領地へ向かいます。
ポーランドは日本より緯度が高い。白夜ではありませんが、7月の日没は9時ごろなんですね。なかなか星が見える夜空にならない。
それを知って、あわてて夜の闇を消しました。
それから、井戸の水を飲む場面。最初は日本の神社にあるような滑車つるべ落としの井戸と、細い竹製のひしゃくを描いていたんですよ。
細い…竹製の…ひしゃく…
なんか違和感があるぞ…。東欧にも竹ってあるのかな???

背景や小道具を、自分の日常感覚のまま描こうとすると、違っているものが多くて軽くパニックでした。自分の常識を信じてはいかん。
シュラフタはいつも長袖?夏服はないの?
あの長い袖は、結局なんのためにあるの?
帽子の鳥の羽根は、乗馬中に飛んでいったりしないのだろうか?
もともと、19世紀のショパンの手紙が好きで、細部を知りたい見たい!という趣旨で始めたマンガです。わからないところはちょっとずつ調べるしかない。特に、農村の資料は少なくて苦労しました。そこまでやらなくてもいいだろう、という効率主義との戦い。noteに最初にアップしてから、ずいぶん時間が経ってしまいましたが、なんとか完成です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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本作『もうひとつのデビュー』
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