素の生成AIを使いこなせる人は、全体の5%だと思う
こんにちは、現役IT執行役員のグイグイです⚡️
生成AIを1年ほど社内で推進してきて、かなりはっきり見えたことがあります。
素の生成AIを使いこなせる人は、ほとんどいない。
ここで言う「素の生成AI」とは、ChatGPTやGemini、Claudeのように、ユーザーが自由に入力して使うタイプのAIです。
読んでいるあなたは、どうでしょうか。
• 自分の業務課題を、AIに具体的に言語化して渡せる
• AIの出力に対して「ここが違う」「ここが足りない」と判断できる
• AIを使って、自分だけでなく他の人の仕事も変えられる
3つ全部できていたら、あなたは確実に5%に入っています。
文章の下書きや要約、ちょっとした調査くらいなら多くの人が使えます。でも上の3つになると、一気に難しくなる。業務課題を見つけ、AIに問いを投げ、出力を評価し、実際の改善につなげる。そこまで使える人は、体感で5%もいない。
これはガチの数字です。私の会社は30人規模ですが、素の生成AIを本当の意味で使いこなしているのは、今のところ私1人だけです。30分の1。そのくらいの感覚です。
これは、生成AIの性能が低いという話ではありません。むしろ逆です。性能はこの1年でかなり上がっています。それでも、使いこなせる人はなかなか増えない。
なぜか。
生成AIのアウトプットは、使う人間に大きく依存するからです。
「使える環境」と「使いこなせること」は別物だった
私の会社では、Google Workspaceに組み込まれたGeminiを導入しました。
セキュリティと管理面を考慮し、社内では会社として管理できる範囲のAIを中心に使う方針です。個人が勝手に外部サービスを使う話ではなく、業務利用しやすい環境を整えたうえでの導入です。
私自身、活用事例を作り、使い方を整理し、教育用ドキュメントも整備しました。それでも1年経って痛感したのは、
「使える環境があること」と「使いこなせること」は、まったく別物だ
ということです。
Geminiを使える環境はある。活用例もある。教育資料もある。それでも、同じレベルで使いこなせる人は、ほぼ出てきませんでした。
生成AIの差は、人間の差として出る
生成AIは賢いです。ただし、AIが出す答えは、使う人間に大きく左右されます。
その人が、自分の仕事をどれだけ理解しているか。業務の背景、制約、目的、リスクをどこまで把握しているか。「もっと良くできる」と日常的に考えているか。
ここが浅いと、AIへの指示も浅くなります。
たとえば、同じ資料をAIに渡すとして。
「この資料を要約して」
と聞く人と、
「この資料を、現場メンバーが誤解しそうな点・上司が意思決定に使う点・後続工程でリスクになりそうな点に分けて整理して」
と聞ける人では、返ってくる内容がまったく変わります。
後者ができるのは、プロンプトがうまいからではありません。そもそも、仕事の論点が見えているからです。どこで誤解が起きるか、誰が何を判断したいか、後続工程で何が問題になるか。それが見えているから、具体的な問いを投げられる。
生成AIのアウトプットの差に見えているものは、実はかなりの部分で人間側の仕事理解の差です。
AIに投げるべき「問い」を持っているか
生成AIを使いこなせない理由は、操作が難しいからではありません。もっと手前にあります。
AIに投げるべき問いを、そもそも持っていない。
何が問題なのか。何を改善したいのか。誰にとって価値があるのか。どこにリスクがあるのか。
これが見えていないと、AIには浅い質問しか投げられません。
逆に、自分の仕事を自分事として捉えている人は、こういう違和感を日常的に持っています。
この作業、毎回ここで詰まる
新人はここを誤解しやすい
お客様は本当はここを不安に思っている
この設計のままだと後工程で揉めそう
AIは、その違和感を整理し、言語化し、別の観点を加えてくれます。でも、最初の違和感そのものは、人間側にないと出てきません。
生成AIは、仕事ができない人を突然できる人に変える魔法の道具ではない。むしろ、その人が普段どれだけ仕事を自分事として捉えているかを可視化する道具に近いと思っています。
素の生成AIは、実は上級者向けの道具だった
ChatGPTやGeminiは、一見すると誰でも使えるように見えます。画面を開いて文字を入力するだけ。プログラミングも、専門的な設定も不要。
だから誰でも使えるように見える。でも、実際はそう簡単ではありません。
理由は、自由度が高すぎるからです。
何を聞いてもいい。どう使ってもいい。この自由は、使いこなせる人にとっては最高です。でも多くの人にとっては「何を聞けばいいかわからない」になります。
自由であることは、使う側にすべて委ねられているということです。問いを持っていない人には使いにくい。課題意識がない人には使いにくい。出力の良し悪しを判断できない人には使いにくい。
これはExcelに近いと思っています。Excelはものすごく自由度が高い。でも全員が高度に使いこなせるわけではないから、会計ソフト、勤怠管理ツール、CRMが存在します。「Excelがあれば業務サービスはいらない」とはならなかった。
生成AIも同じです。むしろ、素の生成AIを使いこなせる人が少ないからこそ、AIを内蔵したサービスや業務ツールの価値は高まる。
AIは裏側に隠して、型にする
これからのAI普及で重要なのは、素の生成AIをそのまま全員に使わせることではありません。
生成AIを裏側に隠して、誰でも使える「型」として提供することです。
たとえば、
案件状況を入力したら、リスクを洗い出す
議事録を入れたら、決定事項・宿題・未決事項に整理する
設計書を入れたら、レビュー観点に沿ってチェックする
問い合わせ内容を入れたら、返信案を作る
ユーザーはプロンプトを考えなくていい。業務上必要な情報を入力するだけ。その裏側に、プロンプト・判断軸・出力形式・チェック観点をあらかじめ仕込んでおく。
これが、AIを業務に定着させるための現実的な方法だと思っています。
これから価値が出る人
単にAIを使える人ではありません。
業務を理解し、課題を見つけ、AIの力を引き出し、それを他の人でも使える型に落とせる人。
業務理解がある。課題意識がある。AIの特性もわかる。それを仕組みに落とせる。
AIを使う人ではなく、AIを業務の型に翻訳できる人です。
まとめると
素の生成AIを使いこなせる人は、想像以上に少ない。
使える環境を整えても、研修をしても、プロンプト集を配っても、それだけでは不十分です。本当に必要なのは、AIを業務の中に埋め込み、誰でも使える型に変換することです。
生成AIは、もともと仕事を深く考えている人の力を増幅する道具です。そして、素の生成AIを使いこなせる人は、AIの未来を少し早く見てしまった人たちなのかもしれない。
でも、その未来をそのまま他人に渡しても、ほとんどの人は使えません。
だから必要なのは、未来を業務の型に翻訳する人です。
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