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第1回:音楽を諦めたわけじゃない。26歳、私が「IT未経験」で飛び込んだ理由

はじめまして、グイグイと申します。
今回は、僕がIT業界に足を踏み入れた最初のきっかけについて、お話させてください。


26歳。東京・吉祥寺の音楽スタジオで、僕はサウンドエンジニアとして働いていました。高校時代にバンドを始めて以来、ずっと憧れていた音楽の仕事。

専門学校を卒業して音楽業界に足を踏み入れたのが21歳の頃だから、もう4年ほど経っていたでしょうか。ライブハウスでのPA、スタジオでのレコーディング…。仕事は本当に楽しくて、充実していましたね。
時には、ライブ中に感動して、涙することもありました。僕にとって、音楽の仕事はまさに天職だと信じて疑いませんでした。

「好き」だけじゃ食えない。264万円という現実

でも、現実はいつもシンプルじゃない。
毎月手にするのは、茶封筒に入った手取り22万円。年収にすれば264万円です。正直な話、僕より明らかに適当に仕事をしている先輩が、年功序列というだけで僕より多く給料をもらっていることには、かなりのモヤモヤがありました。まあ、そういう世界なんだ、と自分を納得させてはいたのですが。
当時、学生時代から付き合っている彼女との結婚も、ぼんやりと頭の中にありました。

でも、年収264万円では、東京近郊で家族を養っていくなんて、どう考えても無理ゲーです。生活費、家賃、食費…リアルな数字が頭をよぎるたびに、憧れだけでは乗り越えられない壁の存在を痛感しました。

そして、音楽の仕事自体も、実はかなりハードでした。基本的には毎日11時に出社して、終わるのは日付が変わる頃、24時なんてザラ。毎日13時間労働が当たり前

特にライブのPAの仕事が入る繁忙期は、文字通り寝る間もありませんでした。朝早くに家を出て会場入り、機材をセッティングしてリハーサル、そして夜の本番。

講演が終わってスタジオに戻るのは、大抵22時過ぎ。そこから翌日の現場の準備をするわけですから、1週間から2週間、連続で2時間、3時間睡眠というのも日常茶飯事でした。体力的な辛さも、じわじわと感じ始めていた頃でした。

この業界の先輩方は、経験を積んだら独立してフリーのサウンドエンジニアになる人がほとんどでした。僕も漠然とそんな道を考えていたけれど、この狭い世界でまっとうな収入を得られるのは、本当にごく一握り。門が狭い上に、稼げるのはさらに難しいという、二重のハードモードだったんです。

葛藤と、背中を押した意外な存在

「このままでいいのか?」という自問自答を繰り返す中で、転職という二文字が頭をよぎるようになりました。もちろん怖くなかったわけではありません。高校生の頃からずっと憧れて、やっとの思いで就いた音楽の仕事。せっかくここまで来たのに、本当に手放していいのだろうか、という気持ちも強くありました。

そんな葛藤を抱えていたある日、ふと手にした漫画がありました。福本伸行先生の「最強伝説黒沢」。主人公の黒沢が、冴えない中年ながらも、もがきながら必死に生きる姿を見て、なぜか心の奥底に火が付いたんです。

「俺だって、このままくすぶっている場合じゃない。せっかくまだ若いんだから、違う世界にだってチャレンジしてみるべきじゃないか!やってみろよ!」

黒沢の頑張る姿が、まるで自分の背中を力強く押してくれたように感じました。

「もう一度、モノづくりを」IT業界への転身

25歳を過ぎた頃から、「このままでいいのか?」という自問自答が本格的になってきました。まだ他の業界にチャレンジできる年齢だ、という焦りにも似た感覚。もし新しい場所で3年~4年やってみて「これは違うな」と思ったら、また音楽業界に戻ってくればいいか、なんて軽い気持ちで考えていたフシもあります。

そんな時、僕の目に留まったのが「IT業界」でした。 当時(2007年頃)のIT業界は、とにかく人手不足の真っ只中。あちこちで「デスマーチ」なんて言葉が飛び交い、未経験でも「働ける奴はウェルカム!」という、まるで水を得た魚…いや、飢えた魚の群れのような雰囲気でしたね。

僕は転職エージェントの門を叩き、「何かモノづくりができる業界がいいです」と漠然と伝えました。そして、紹介されたのが、全く未知のITの世界だったんです。

音楽を諦めたわけじゃない。むしろ、自分のスキルで新しい「何か」を作り出す喜びを、違う場所で追い求めたくなったのかもしれません。そして、何よりも「ちゃんとした生活」を手に入れるために、僕は大きな一歩を踏み出すことを決意しました。

このIT業界での挑戦が、僕の人生をどう変えていくのか。次回からは、その具体的な奮闘の日々をお話ししていきます。ぜひ、お楽しみに!」

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