気候変動問題の盲点⑭:植林投資モデルは何故破綻したのか?その3
植林が気候変動緩和にとって効果的だと分かっていても、持続可能な事業としての魅力に欠けるために、植林は、人々の善意の寄付に頼っています。
しかし、それを投資対象にする実験をしたビジネスモデルがオーストラリアにありました。
✅植林投資モデルのどこに欠陥があったのか?

じーじは、グレートサザン(GS)モデルは樹木のもつ二酸化炭素吸収効果という社会的価値と経済価値を両立させる新たなビジネスモデルにチャレンジしたという意味では、意義深いものだったと思います。
だけど、残念ながら失敗に終わりました。
時代が20年早かったような気がします。
GSモデルは失敗してしまいましたが、GSが植林した植林木は、新たなオーナーに引き継がれました。
そして何より植林面積の拡大に貢献したことは事実です。
毎年植林投資資金が1口9,000ドル入金されて、毎年1ヘクタールずつ10年間植林する単純なケースで考えてみましょう。
上の表を見ていただくと1年目は2,950ドルの資金が余り、10ヘクタールの植林を完了した10年目に初めて預り金と支出の収支がゼロになります。
10年ローテーションの植林がセカンドローテーションに入るまでの10年間、支出計画どおりにお金を使っていけば、資金がショートするハズのないビジネスモデルでした。
ところが実際には、絵にかいたようにはいきませんでした。それは、収穫保証した年間20㎥/haの生長量を実現することができなかったからでした。
✅林業は会議室だけでやれるものではない⁉

植林木を活用して、製紙原料の木材チップを生産するビジネスであるなら、いかにコストを抑えて、収穫量を最大化する努力をするのが当り前で、現場に出て試行錯誤し、考えながら、施業技術を磨いていかなくてはなりません。
最終製品が、付加価値の低いものであればあるほど、原価を下げて良い品質のものを作ることに情熱が必要です。
ビジネスモデルのモダンさで、あっというまに、資金だけが集まってしまうと、ある意味で集まった資金を投下することが目的化してしまい、単に植えておけば、木は勝手に育ってくれると錯覚してしまったのだと思います。
現場にかける情熱が不足していると、どうなるか?
ヘクタール当りの年間平均生長量をMAI(Mean Annual Increment)と呼びます。そのMAIが、収穫保証の20㎥/haに達することはなく、慌てたとは思います。
しかし、株式上場で得た資金があったので、自社資金で土地を購入して、収穫保証用の植林をすることで、危機の先送りをしてしまったのだと思います。
更に、競合相手との土地価格のつり上げ競争から、土地をリースで借りざるを得なくなったことも、首をしめる結果となりました。
自社で苗を開発しなくては駄目だ、チップ工場も自前のものを持たないと採算に合わない、次から次に、問題が噴出して、上場からわずか10年で破綻してしまったのだと思います。
✅土地価格の高騰が誤算だった⁉

GSモデルで植林対象となったユーカリグロビュラスは、ユーカリの中でも萌芽更新しやすい樹種種でした。
萌芽更新とは、広葉樹を伐採した後の切り株から、休眠していた芽が萌芽して、新たな森を形成していくことを言います。
苗木を植林するファーストローテーションの植林木を伐採した後のきり株から新芽が育って、成木になっていくのであれば、セカンドローテーションの収穫に対する原価は、ただ同然ということになります。
投資家の資金で植林して、10年で投資家に資金を返した後は、土地を購入しておけば、セカンドローテーションの収穫をただ同然で手に入れることができるという思惑は、リースで土地を借りたのでは、思惑どおりにはいきませんでした。
結果は正直です。
『樹木は会議室で育っているんじゃない現場で育つんだ!』
素晴らしい発想のビジネスモデルであったとしても、「樹木は、現場で育っているのだ」「会議室で育っているわけではない」ということだったということです。植林そのものの社会的価値に対する情熱なくして成功なしという教訓だと思います。
次回からは、新な事業植林のビジネスモデルについて考えていきましょう。
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