気候変動問題の盲点⑬:植林投資モデルは何故破綻したのか?その2
植林が気候変動緩和にとって効果的だと分かっていても、持続可能な事業としての魅力に欠けるために、植林は、人々の善意の寄付に頼っています。
しかし、それを投資対象にする実験をしたビジネスモデルがオーストラリアにありました。
✅投資家の資金はどう使われたか?

1口9,000ドルで集めた植林投資資金の10年間の使い方は、大体この図のとおりでした。
まず、植林用の土地をヘクタール当り3,000ドルで購入しました。
荒地になっていた土地や牧草地であったものを手放す農家の方も多く、最初は土地購入に何の問題もありませんでした。
上記の図を見ても分かるように、初年度に植林まで完了したとしても、資金は3,000ドル余っており、次の土地購入に使えました。
上場を果たすと上場で得た資金で更に土地購入を増やして収穫保証用に備えた自社植林も実施しました。
初年度に植林をした後は、初期生長を助ける施業を2~3年目に行い、後は林地管理をして10年目を待ちます。
日本人が森林というと急峻な山をイメージしますが、オーストラリアの森林は平たいところに樹木が広がっているので、日本の森林とは全くイメージが違います。
10年目の伐採には、ハーベスターという機械を使います。ハーベスターで木を伐採している動画を是非この機会に見てください。
林業のイメージが、変わると思いますよ。
✅競争相手が次から次に参入
さて、話を戻しましょう。
最初は、順調に購入できていた土地が、なかなか思った価格で購入できなくなっていきました。
GSモデルに、特許があるわけではなく、このビジネスモデルを真似て、どんどんユーカリ植林を実施する競争相手が増えていきました。
すると徐々に、土地をヘクタール3,000ドルでは購入できなくなりました。土地購入をあきらめたGSは、農家から土地をリース借りして植林面積を拡大していきました。
✅結局投下した資金が回収できない事態に!

さて、GSモデルで、投資家から集めた投下資金はいくらに化けたのでしょうか?
破綻したことを既に紹介してありますから、上手くいかなかったことは、みなさんすでにご存知のとおりです。
GSモデルによるユーカリ植林が始まった2000年当時、オーストラリアから製紙原料用の木材チップを輸出していた国は、日本だけでした。
その後、目覚ましい経済発展を遂げる中国もチップ輸出先に加わりましたので、GSモデルは、まんざら需要増の予測が甘かったわけではないのです。
しかし、製紙原料にしかならないユーカリ植林に無理があったのかもしれません。投下資金が9,000ドルで、収穫量保証が200㎥ですので、45ドル/㎥が立木(りゅうぼくと読みます)原価になります。
つまり、10年後の相場が45ドルよりも高く買ってもらえる環境なら、元本よりも多く投資家に戻せる訳ですが、そこに至る前に事業は破綻してしまいました。
日本では立木買いの製紙原料用広葉樹に45ドルもは出せません。ただ、伐採コストやチッピングコストが安いオーストラリアなら最初から無理な想定ではなかったと思います。残念な結果になったのは、コストの掛けかたに問題があったと思います。
次回、それを確認して先に進みましょう。ちょっと専門的で難しいかったと思いますが、お付き合いください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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