気候変動問題の盲点⑫:植林投資モデルは何故破綻したのか?その1
事業として植林を行うと針葉樹の場合であれば、1サイクルが50年といった年金財団等の投資対象にぴったりの分野だと思うのです。先駆者のグレートサザンの破綻から学ばなくてはなりません。
✅植えて、育ってて、切ったら植える⁉

この図は、主に製材用の原木を育てるサイクルを表わしたものです。
大きく分けると、4つの段階があります。
まず、最初は地拵え(じごしらえ)をして肥料をやり、苗を植える植林工程です。
田植え機のように、機械で植える訳にはいきませんので植林には人手が必要です。
植えた後には、植えた苗の生長を助けるための下刈りと呼ばれる、他の種類の木の芽を摘み取る作業や除草作業をして苗木の初期生長を助けます。
そして間伐です。
初期に植えた木が生長して樹冠から光が森に入らなくなったら、本数を間引いて樹冠から太陽の光を取り入れます。
この光が、土壌の有機物堆積を助け、間引かれた後に残った木の生長を助けます。太い立派な製材用材を育てるためには、間伐を二度行います。
そして最後が、主伐と呼ばれる皆伐です。
日本が戦後に植えた杉や檜(ヒノキ)は、もうとうに50歳を超える樹齢の立派な木に育っています。
つまり、杉や檜は50年から60年サイクルの植林で回す「植える→育てる→間引く→伐採する→また植える→」のサイクルの2ndローテーションが始まっている事業植林です。
植えてから、これほど長期間、お金に換えられない投資が植林なのです。だから、植林は孫に残す財産と言われます。
このサイクルを10年に縮めて、早生広葉樹のユーカリ植林を投資対象にしたビジネスモデルを思いついたのがジョンヤングさんでした。
✅豪州政府の植林減税も起爆剤になった⁉

グレートサザンモデルができた背景には、気候変動問題がありました。
京都議定書において、資源国であるオーストラリアは、90年比マイナス6%の日本やマイナス7%の米国、マイナス8%のEUに比べると随分緩いプラス8パーセント、つまり温室効果ガスを90年比8%増やしてもいいですよという目標の割り当てでした。
ところが、米国の離脱に歩調を合わせて、結局、当時のジョンハワード政権は、京都議定書の第一約束期間を批准しませんでした。
批准はしなかった資源国オーストラリアですが、植林を奨励し、植林投資に対する減税措置を取りました。
13,500ドルの手元現金の内、9,000ドルの税金を支払わなければならない個人投資家に植林に投資をするなら50%を減税するという政策が植林への投資を促しました。
通常であれば、4,500ドルしか手元に残らないのに、9,000ドルを元手に植林へ投資ができるのです。
しかも、この個人投資家にとっては、仮に10年後に元本の9,000ドルしか戻ってこなくても植林に投資をしなければ、税金を納めた後の手元資金4,500ドルを年利7%で運用しなければ、10年後に9,000ドルは得られない訳ですから、植林への個人投資を促しました。
だから、環境に貢献しているという社会貢献への満足感もあって元本の9,000ドルを少しでも上回れば良しとするかという気持ちもあってグレートサザンモデルは、順調に資金を集めていきました。
✅順調な滑り出しだったのに何故破綻?

グレートサザンは、投資家にユーカリ植林への投資資金を集めるに際して、10年後の収穫量を保証しました。ヘクタール当り年間生長量20㎥、10年後収穫量200㎥/haでした。
ただし、10年後に伐採した原木の買取価格は市況価格とし、利回り保証はしませんでした。さて、どうして、このモデルは僅か10年で破綻してしまったのでしょうか?
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