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【じーじは見た!】前編:安全第一は嘘なのか? ~ データブック 国際労働比較2025を見てみた! ~

Z世代応援団、未来世代応援のじーじです!

安全よりも大事なことがあるかのような日本企業や市民団体の行動原理。安全第一精神はどこに行ってしまったのでしょうか?

そんなことを思って調べていたところ「データブック 国際労働比較 2025」(労働政策研究・研修機構)という284頁のデータ集を見つけました。

これを見て日本の「労働」と「安全」について考えてみることにしましょう。


1️⃣ データブック 国際労働比較 2025について

はしがきにこんな記述があります。

『データブック国際労働比較』は、日本と諸外国の労働面の実態についてわかりやすいよう に編集した国際比較統計集です。1996年の創刊以降、労働問題に関心を持つ皆様に幅広く活用 していただけるよう、刊行を続けてまいりました。

データブック 国際労働比較 2025より引用①

30年の歴史ある統計集なんですよね。
目次を見ておくと次のとおりデータが整理されています。

1.経済・ 経営
2.人口・ 労働力人口
3.就業構造
4.失業・ 失業保険・ 雇用調整
5.賃金・ 労働費用
6.労働時間・ 労働時間制度
7.労働組合・ 労使関係・労働災害
8.教育・ 職業能力開発
9.勤労者生活・ 福祉

全9章の構成でデータを整理してくれています。
その中からまずは「安全」をテーマにして、第7章の「労働組合・ 労使関係・労働災害」を確認してみましょう。

2️⃣ 労働災害の多寡は、経営姿勢そのもの

皆さんは、米国と言えば合理的利己の道徳の下で強欲な経営者が労働者を食い物にして一人大儲けしている、一方で、日本企業は従業員を大切にしているという印象操作をされていませんか?

実は、労働者の安全を犠牲にしてでも収益に拘っている国はむしろ日本なのです。安全第一は標語であって、収益第一の儲け至上主義という経営姿勢でやってきたのは実は日本なのです。

しかし、その結果、残念ながら30年無成長で賃金の上がらない社会を作ってしまいました。

安全面の成績でも米国とは逆の傾向をデータは示しています。

表1:データブック 国際労働比較 2025より抜粋①

1) 日本の「度数率」は、100万延べ実労働時間当たりの労働災害による死傷者数で、災害発生の頻度を表す。本表においては、休業1日以及び身体の一部又は機能を失う労働災害による死傷者数に限定している。 度数率=(労働災害による死傷者数/延べ実労働時間数)×1,000,000
2) 調査産業計は建設業(総合工事業)を除く。2008年より医療・福祉(一部の業種に限る)を含み、複合サービス事業(郵便局に限 る)を除く。また、鉱山保安法の適用を受ける鉱山、国営の事業所を除く。2011年より農業、2018年より漁業を含む。
3) 総合工事業に属し、工事の種類が河川土木工事業、水力発電施設等新設事業、鉄道又は軌道新設事業、地下鉄建設事業、橋りょう 建設事業、ずい道新設事業、道路新設事業、その他の土木工事業、舗装工事業、建築工事業、その他の建築事業であるもの。
4) アメリカの「度数率」は、フルタイム換算した労働者100人の年間延労働時間(20万労働時間=100人×40時間×50週)当たりの傷病者数(死亡者数は含まない)の比率。 度数率=(負傷者数/延べ労働時間数)×200,000
5) 調査対象は1人以上(ただし、農業生産のみ11人以上)の労働者を雇用している事業所が対象。

データブック 国際労働比較 2025より引用②表1の解説

統計手法が違うので数字そのものよりも労働者の災害が増えているのか、減ってきているのか(数字が大きくなっていれば災害が増えている)のトレンドに注目してください。

    ※日本  米国
2005年  1.95  5.2  
2010年  1.61  4.0
2015年  1.61  3.3
2019年  1.80  2.9
2020年  1.95  3.3
2021年  2.09  3.1
2022年  2.06  3.2
2023年  2.14  2.7
※日本は2)の100人以上、米国は4)の1000人以上の値

見てのとおり、「日本は悪なってるやん」「米国は過去20年で半減しとるやん。安全面でも良くなっとるやん」ということなのです。

表1を拡大して数字を確認してもらうと分かるのですが、米国は大企業も中小企業も数値がさほど変わらないのに対して、日本は中小企業の労働者の災害度数率が大企業よりも圧倒的に高い傾向が歴然です。つまり下請けの犠牲の下で大企業が潤ってきたのは収益だけでなく、安全も同じなのです。

日本でも大企業は非財務の情報開示を求められ始め、こういった災害度数率の開示も始まっていますが、下請けで使っている事業者の情報開示も求めるべきですね。

全国仮設安全事業協同組合のデータで建設業における死亡災害数をドイツ、イギリスと比較したものがありました。👇

日本、ドイツ、イギリスの建設業労働災害死亡者数の比較より抜粋

これで見ると「安全第一」は、日本では単なる標語でしかないことが理解できますよね。
野党は、どうしてこうした点を国会で追及しないんでしょうかねえ?

3️⃣ 労働災害と労働組合組織率は関係しているのか?

組合が弱いから安全配慮が進まないのか?
そういった問題意識から労働組合組織率の国際比較をやっています。

グラフ1:データブック 国際労働比較 2025より抜粋①

韓国が組合組織率、組合員数ともに増加傾向にあるものの、労災の数も負傷者数共に減っておらず、安全第一と組合組織率との相関は見えませんでした。

主要国の労働組合組織率の変化をみると、ほとんどの国で過去20年余りにわたって低下傾向にある。相対的に組織率の高い国ほど、急速な低下を経験しており、例えばイギリスでは、2000年の29.8%から2023年 には22.4%と7.0ポイント低下日本では、同じ期間に21.5%から16.3%へと5.2ポイント低下している。また、 ドイツでは、2000年の24.5%から2019年には16.3%と8.2ポイント低下している。

データブック 国際労働比較 2025より引用③グラフ1の解説

安全面では、組合組織率との相関は認められませんでしたが、賃金上昇の日韓の差には組合組織率の増減は関係があるのかもしれません。組合までもが賃金第一、安全はその後になっているのでしょうか?

後編では、その他の労働環境の国際比較をしてみましょう。

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