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20260709 ミノキシジル

一年前、鏡の前に立って戦慄した。どう考えても額の生え際が後退していて、密度も心許なくなっていて、「俺はハゲる、このままハゲる」と思ってひとり山奥で咽び泣いた夜のことを忘れることはない。そんなときに「ミノキシジル…」という囁きがメキシコの方から聞こえて、その声を頼りにオンラインでクリニックを受信して、毛の生える薬を飲むようになった。それからおおよそ一年が経つ。

▼毛の生える薬というのは本当に毛が生える。実際に生える。その効果は確かに感じられた。前髪をかきあげた時の不安感というのは減少したし、「まあまあ、これくらいなら中学生の頃と変わらないかな?」と思えるくらいの密度感で前髪が復活したことはした。ただそれ以上に、「こんなとこに毛は生えていたんだっけか…」という、多少不可解なところに毛が生えることになった。

▼産毛という産毛がその濃度を増した。「別にここには生えて欲しくないんだよ!!」という、手足の微妙な箇所に太い黒々とした毛が生えるようになった(足の指とか)。毛が生える薬を飲んでも「どこに生えてほしいか」という希望は、2026年時点ではまだ100%叶わないのである。だから体のよくわからない箇所に濃く毛が生えて「なんでだよ!!」と思っている男がここに一人はいる。

▼この症状のことを「多毛症」というらしい。ハゲを気に病んで服用を始めた人間に対してひどく皮肉な病名である。だから、別に生えて欲しくないところには生えて欲しくなくて、生えてほしい生え際にだけその効果を集約してほしい、といってもそんな願いは叶えられないのである。だから顔の産毛がすごいことになって「なんですかこれ、かつてないほどにモジャモジャじゃないですか!!モジャモジャですよ松本さん!!!どうしちゃったんですかーーー!!」といって理容師さんが悲鳴を上げることにもなるのである。

▼ある時期彼自身も薄毛に悩まされていたという、友人に話を聞いたら、その友人は風呂場の大きな鏡を見ながら頭皮に意識をおいてシャンプーすることを心がけることと、ココナッツオイルを髪に塗布することで、その窮地を乗り切ったのだという。「嘘つけ!!」と思う。そんな、心がけ一つで薄毛が心配なくなるなら私だっていくらでも自己暗示をかけてやる、と思う。

▼なんというか、生え際以外から毛が生えたとしてもなんの感慨もないので少し不思議な気持ちがした。あれだけ欲しいと思った毛であっても、生える場所を間違ったらそれはただのムダ毛であって、脱毛の対象になりこそすれ「よくぞ生えてくれた!」といって褒められることはないのである。「生え損だぞ?」と、それらの毛の一本一本に対して思う。私が彼らに感謝することはない。なぜならこちらは頼んでいない、微妙な場所に生えてしまった無駄な毛だからである。悔しかったら前髪の生え際を目指せ、と思う。前髪の生え際をふさふさと埋めてくれてこそ、私は君たちに感謝の気持ちを抱くのである。励め。

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◆おちらしさんWEB(ネビュラエンターゆプライズ)にて、劇団親知らズさんインタビューに答える形で主宰の松本が野外劇の魅力と街と演劇の関係についてお話しさせていただきました。元はコロナ禍の只中で始まった、実はレジリエンスのとても高い戸山公園の野外劇です。ぜひご一読下さい!

​​◆主宰の松本が参加している無隣館インターナショナルについての記事がステージナタリーさんに掲載されました(取材・文 / 山﨑健太さん)。

​​◆【無事終演しました!】2025年の9月に三日間、豊岡のThe Apartmentで『桜の園』ソロ・こごえを上演しました!

◆第9回公演『英雄たち』(2025年5月、戸山公園野外演奏場跡)のレビュー(執筆:山﨑健太さん)が掲載されました。

◆紙背フェローの山口真由さんによる時評でも『英雄たち』を取り上げて頂きました。

◆2024年の年末に『桜の園』ソロ・こごえという作品を上演しました。

◆毎週水曜日に西早稲田近辺で舞台俳優のためのファンダメンタル(基礎トレーニング)を実施しています。

◆2024年5月にはじめての野外劇を上演しました。
平泳ぎ本店/Hiraoyogi Co. 第8回公演
戸山公園野外演劇祭参加作品
『若き日の詩人たちの肖像』
2024年 5月17日(金)ー19日(日)
於:戸山公園(箱根山地区)陸軍戸山学校軍楽隊 野外演奏場跡
【公演詳細】

◆2025年5月に2回目の野外劇を上演しました。
平泳ぎ本店/Hiraoyogi Co.
第9回公演『英雄たち』
作=秋浜 悟史
演出=岩澤 哲野(theater apartment complex libido:)
戸山公園(箱根山地区)野外演奏場跡
2025年5月30日(金)ー6月1日(日)
毎日18:30開演

◆2024年5月、上記公演の実施にあたって平泳ぎ本店は戸山公園で野外劇を上演するための所作台(舞台床面)を製作するための資金調達に取り組み、日本全国の73名の方々から535,000円の応援をいただき無事に成功しました。ありがとうございました!
【平泳ぎ本店 クラウドファンディングについて】
「一枚の舞台の床が、才能のゆりかごに。
野外で自由に演劇を上演できるようにするための所作台をつくりたい。」

◆本日もご清覧頂きありがとうございます。もしなにかしら興味深く感じていただけたら、ハートをタップして頂けると毎日書き続けるはげみになります!

◆私が主宰する劇団、平泳ぎ本店/Hiraoyogi Co . では向こう10年の目標を支えて頂くためのメンバーシップ「かえるのおたま」(月額500円)をはじめました。
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