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折り紙は、最先端の「宇宙工学」だった ― ものづくりが好きな君へ

先日、SNSである女性から、こんな言葉をいただきました。「中学1年生の孫が、折り紙とものづくりが大好きで、飛行機や空飛ぶものに夢中なんです」。

私はなんと素晴らしいモノに夢中なんだと驚きで声を上げてしまいました。なぜなら——折り紙は、いま世界の宇宙開発を支える、れっきとした最先端技術だからです。今日はその話を、折り紙好きの君に、そしてかつて折り紙好きだったすべての大人に贈ります。

「小さくたたんで、宇宙でパッと広げる」という魔法

ロケットの中は、とても狭い。でも宇宙で使う道具には、大きく広げたいものがたくさんあります。たとえば、電気をつくる太陽電池パネル。これをどうやって小さくたたんで運び、宇宙でうまく広げるか——これは長年、技術者たちの頭を悩ませてきた難問でした。

その答えの一つが、日本人が生み出した「ミウラ折り」です。考えたのは、天文学者の三浦公亮(みうら こうりょう)さん。1970年代に、平らな面を平行四辺形のしわで折りたたむ方法を編み出しました。すごいのは、対角を引っぱるだけで一気に全体が開き、押せばまた一瞬でたためること。1995年には、日本の宇宙実験機(スペース・フライヤー・ユニット)の太陽電池パネルとして、実際に宇宙で使われました。

折り紙が、宇宙を飛んだのです。

巨大な望遠鏡も、折り紙でたたまれていた

もっと驚く例があります。2021年に打ち上げられた、人類最強の宇宙望遠鏡「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」。この望遠鏡には、太陽の熱をさえぎるテニスコートほどの大きさの「日よけ」がついています。

そんな巨大なもの、どうやってロケットに入れたと思いますか? 答えは——12回も折りたたんで収納し、宇宙でゆっくり広げたのです。さらに、直径6.5mの主鏡も、18枚の六角形のパーツを折りたたんで運び、宇宙で開きました。

世界最先端の天文台は、巨大な「折り紙」だったわけです。

日本の"おもちゃ技術"も月へ

そしてもう一つ、日本のものづくりの底力を。2024年に月へ降りた日本の探査機SLIMには、野球ボールほどの小さな変形ロボット「SORA-Q」が積まれていました。これは、おもちゃメーカー(タカラトミー)などと一緒に作ったもの。月面で球体から左右に開いて走り出し、その姿を世界に届けました。

「小さく、軽く、賢く変形する」——折り紙の心は、おもちゃの技術とも、宇宙とも、まっすぐつながっています。

折り紙は、体の中にも入っていく

ここからは、救急外科医である私のいちばん好きな話です。

折り紙は、宇宙だけでなく人間の体の中でも活躍しはじめています。たとえば「折り紙ステント」。血管が細くなった場所を内側から広げる医療器具を、形状記憶の金属の箔で折り紙のようにたたみ、小さくして血管に入れ、体内で広げるという研究が進んでいます。

気づいたでしょうか。「小さくたたんで運び、必要な場所でパッと広げる」——これは、宇宙の太陽電池パネルと、体の中のステントで、まったく同じ発想なんです。宇宙のための技術が、いつか人の命を救う器具になる。私が宇宙医学に惹かれる理由が、この「折り紙」一つにも詰まっています。

ものづくりが好きな君へ

折り紙が得意な君。飛行機や空飛ぶものが好きな君。

その「どうなってるんだろう?」「どう折れば強くなるんだろう?」という気持ちは、宇宙を飛ぶ太陽電池パネルを設計する人や、人の体を治す器具を作る人と、まったく同じ入り口に立っています。今、君が机の上で折っているその一枚は、未来の宇宙船や、未来の医療につながっているかもしれない。

私には、これから宇宙を目指したい夢があります。だから、未来をつくる君たちと、こうして同じ「折り紙」の話でワクワクできるのが、本当に嬉しいんです。

なぜ、今この話をするのか

宇宙開発というと、巨大なロケットや莫大なお金の話に聞こえがちです。でも、その根っこには「折り紙」のような、誰もが子どもの頃に触れた素朴な知恵があります。難しそうに見えるものの入り口は、実はすぐそばにある。

宇宙を見上げる目と、患者さんを診る目で、これからも「身近なのに、すごい」を見つけてお届けします。次に折り紙を折るとき、ほんの少し、宇宙とつながっている感覚を楽しんでもらえたら——そんな願いを込めて。


出典

#宇宙開発 #折り紙 #ミウラ折り #宇宙医学 #ものづくり #宇宙教育

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