『生きるということ 新装版』
『自由からの逃走』に引き続き、エーリッヒ・フロムの本書を読みました。「フロム先生、相変わらず、難しいッス!」
『愛するということ』と同じく、シンプルな装丁でいいですね。内容もシンプルと言えばシンプルかもしれません。難しくはあるのですが。
タイトルだけ見ると、「人間が生きる目的とはなにか?」みたいな内容を想像してしまいそうですが、ちょっと違います。元々のタイトルは、
『To Have or To Be?』
なんです。つまり、
「持つこと」か「あること」か?
ということですね。・・・どゆこと?
一緒に学びましょう!💪
Well-being

読みながら、まっさきに思い浮かんだ言葉が「Well-being」(ウェルビーイング)です。
ここ5年くらいでよく聞かれるようになった言葉なので、ご存知のかたも多いのではないでしょうか?
はっきりとした定義は調べてもよくわからなかったのですが、ざっくりと言うと、
身体的、精神的、そして社会的にすべてが満たされた良好な状態
のようですね。
本書(旧版)の発行は1977年とだいぶ昔なので、本書にこの言葉が出てくるわけではないのですが、当然本書の影響を受けている言葉と思われます。
「持つこと」から「あること」へ

本書は、「持つこと」と「あること」って、そもそもなんだ? という話から、その比較、そして、
「あること」へシフトしていこう
という提言が書かれているものになります。
「持つこと」としては、物、自己中心主義、利己心、貪欲、という言葉を聞けばなんとなくイメージはつきますよね。
「あること」としては、経験、能動的、実践による成長、という言葉で表現されていきます。
能動的という言葉も、さらに掘り下げて生産的能動性などとも説明されていたりします。
私たちがなんとなく「能動的」だと思っているものは、実はフロムの定義としては能動的ではなかったりして、よい気づきになると思います。
「持つこと」vs「あること」

私たちが普段やっていることについて、比較がなされています。
✅学習
✅想起
✅会話
✅読書
✅権威
✅知識
✅信念
✅愛
どんな違いがあるか、気になりませんか?
他には、花に関する芭蕉の俳句と、イギリス詩人のアルフレッド・テニスンの詩を比較するという話もおもしろかったです。
芭蕉が「ある」寄り、テニスンが「持つ」寄りの内容なのがはっきりわかります。
ちなみに、ゲーテの『ファウスト』は、持つこととあることの間の葛藤の劇的な記述だと絶賛されていました。
『ファウスト』の話は他の本でもちょいちょい出てきて、「流石にこれは読まなきゃな」と思って購入しました。しばらく積読になりそうですが💦
本書に出てくる他の人たちとしては、マルクスやフロイトなどのお馴染みの人たちに加えて、マイスター・エックハルトが主に登場します。
時に支配されるな

私がアウトプットする際に取り入れている「図解」がつかえそうな内容があまり思いつかなかったので、図解向きの話題をひとつ💦
それは、時間に対する「持つこと」と「あること」の違いです。

「新しい社会」と「新しい人間」

本書では、「あること」にシフトするために、具体的に「こうすればいいんじゃあない?」ということにも触れられています。
ぶっちゃけ、「新しい社会」については今の世界を見てもまったく現実味がありません。フロムもわかったうえで書いている様子です。
「新しい人間」の21の資質については、個人でできることなので参考になります。「これはいいな」と思えば、目指すことはできるのです。
少し紹介しましょう。
(1) 十全に「ある」ために、あらゆる「持つ」形態を進んで放棄しようとする意志。
(5) 貯蓄し、搾取することからでなく、与え、分かち合うことから来る喜び。
(7) 食欲、憎しみ、幻想をできるかぎり減らすように努めること。
(9) 愛の能力を、批判的で感傷的でない思考の能力とともに、発達させること。
(11) 自己および同胞の十全の成長を、生の至高の目的とすること。
(16) 自己を知っていること。自分が知っている自己だけでなく、自分の知らない自己をも。
どうでしょう? ここではわかりやすい項目を取り上げましたが、おそらく21項目の全部が全部「それいいね!」とはならないと思いました。
世界の「あること」

限りない成長は、限りある世界にはそぐわない
という話が、シューマッハーの『スモール イズ ビューティフル』の中に書かれているという紹介がありました。
私が大切にしている価値観のひとつに「成長」があります。ですが、「成長すればいいってもんじゃあないよ!」ということですね。
本書の「あること」の掘り下げとして、『スモール イズ ビューティフル』を今読んでいるところです。
フロムも、世界のあり方についてはどうしたものかと悩んでいる様子がよく見えます。
人類の生存のための計画を立てるために、何も真剣になされていない
という言葉がありました。くり返しですが、本書の発行は1977年です。そのころから世界が悪化しているように感じるのは私だけではないはずです。
『DIE WITH ZERO』

本書を読みながら思い出した本がこれです。

有名なので、読まれた人も多いと思います。実は私は読んでいませんでした。正直、興味がなかったのですね。
ですが、
本書で学んだ「持つこと」と「あること」。これを頭に置きながら読んだらおもしろいのでは? と思ったんです。
もちろん購入済みなので、『スモール イズ ビューティフル』(ぶ厚いので時間かかりそう…)の次に読んでみようと思っています!

まとめ

本書の中で、こんな問いがありました。
もし持っているものが失われたとしたら
その時の私は何者だろう?
本書で提言されるような「あること」全振り人間になったとして、果たして本当に幸せなのだろうか?
今の私は、疑問に感じてしまいます。それはまだ私が「持つこと」に支配されているからなのでしょうか?(お金は必要です!)
ただ、少しずつ、「あること」にシフトしていく方向には生きていくのだろうなという感覚も同時にあります。
もしみなさんが、「持つことに偏っているかも…」そんな疑問を感じたなら、一度本書を手にとってみませんか?
本日の学びはここまで。読んでいただき、ありがとうございます!
また来てください。👋
読書期間 2025/09/09-2025/09/20
初版発行 2020/09/10
<ご購入はこちらからどうぞ(楽天アフィリエイト)>

<関連記事>
<この記事を書いている「高橋ひろあき」とは?>
いいなと思ったら応援しよう!
最後までお読みいただき、本当にありがとうございます!
楽しく、読みやすいnoteになるように今後もがんばっていきます。