イラン戦争と東アジアでの日米による中国封じ込め
2026年2月28日にイラン戦争が始まった。深読みする人の中にはこの戦争も中国がターゲットだという人がいる。イラン産原油の8割が迂回して他国産に偽装されて中国に流れていたと。これに対して、中国のエネルギー消費量のなかで石油の比重はそれほど高くなく、調達先も分散されているとして、中国へのイラン戦争の影響は大きくないとの指摘もある。ただそうだとしても、中国がイランの石油を安くであれ買って、イランを経済的に支えていたとはいえる。では今後、中国は、イランに対し今後直接の行動に出るのだろうか。中国は動けない、と私は見る。その要因の一つは東アジアの緊張にある。その状況を作ったのは日本自身である。
たまたまかどうかは不明だが、2月12日、長崎県沖、日本の排他的経済水域内で就労中の中国漁船が、水産庁により拿捕され、中国人船長が一時逮捕拘束される「事件」が生じた。これは東シナ海(中国でいう東海)に中国漁船が活動域を広げていることに対して、日本政府が断固とした姿勢を示した事例として注目された。ただし13日夜に船長は釈放されている。
そして2月18日。東シナ海より北の黄海で演習中の在韓米軍の航空機10機が中国の防空識別圏ADIZに接近。中国側軍機がスクランブル発進する、今一つの「事件」が起きた。これは一つの解釈としては、在韓米軍(USFA)が中国に対して示威的行動をとったようにもみえる。
二つの事件はたまたま起きたのだが、東アジアにおいて、中国をけん制して、その影響力を小さくしたい、日米の思惑が一致していることをうかがわせた。つまり中国を刺激したくない現韓国政府の姿勢の問題を置いておくと、二つの事件は、日本とアメリカが結果としては連携して海と空で、東アジアにおける中国の進出をけん制したようにも理解できる。
(なおこのほか与那国島へ地対空ミサイルを2030年度までに配備する計画が浮上している。配備されると、本当に戦争になれば与那国島が敵ミサイルの標的になるとの意見もある。ただ台湾まで111kmと台湾に近接する与那国島へのミサイル部隊配備が、中国に大きなけん制になることも事実だ。)

昨年からの流れでみると、2025年11月7日に衆議院予算委員会で高市早苗首相により存立危機発言があり、その後、2026年2月8日の衆議院選挙での大勝を経て、高市政権は、日本の防衛費についてGDPの2%という目標をすでに補正予算を含めた2025年度予算で達成している。日本政府の姿勢転換は、国際的には大きく意識されているように見える。各種の世論調査をみると国民の多数派がこの変化を支持していることも注目される(ex. 高市首相の防衛費増額方針に賛成60% 共同通信2025/11/16;.防衛費増額で賛成6割 産経新聞2025/11/24)。
防衛費の必要を国民が納得するようになった背景に、中国の露骨な拡張主義がある。お花畑と批判される、徹底した平和主義は、中国政府の露骨な拡張主義の前で、自らは戦争を仕掛けないが、一定の防衛力は必要という線に後退せざるを得なくなったのではないか。また高市政権の対中強硬姿勢に、国民の支持が高い背景にも中国政府の対日姿勢の問題がある。中国政府が日本に攻撃的であるため、高市政権の対中強硬姿勢が日本国内では好感される関係にある。そして権益を守る姿勢は実際の行動で示す必要がある。それが2月に生じた日米のけん制の意味ではないか。
日本の強硬姿勢を抑えるためには、まず中国がこぶしを下す必要があるのではないか。
以上のように直前に日米が連携して中国をけん制する動きがあったうえで、2月28日のイラン戦争開始になった。すでに日本は防衛力強化に梶を切っている。そして、イラン戦争が開始された。しかし東アジアの情勢は、とくに高市政権の登場で大きく変わり、中国はイランに介入する余裕を失っている。このようにみると高市政権の登場の意味は小さくないのではないか。
WION, Japan to Deploy Surface-to -air Missiles on Yonaguni, 2026/02/26
Times Now World, US-China Clash over Yellow Sea, 2026/02/26
The Geo Network, What Japan Just Did to China's Fleet, 2026/02/20
NTD, Japan Fast-Tracks Military Spending Increase, NTD 2025/12/23
いいなと思ったら応援しよう!
main page: https://note.mu/hiroshifukumitsu
マガジン数は20。「マガジン」に入り「もっと見る」をクリック。mail : fukumitu アットマークseijo.ac.jp