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【小説】燃えろ氷河〜第1話 終わりのはじまり〜

この物語は、氷河期を乗り越え、熱く生きた3人のエンジニアの物語である。

第一話

2026年3月12日(木)

れんは、3月12日は何の日だろうと、Googleで調べてみたら、勝海舟の誕生日だった。

「そういえば昔、NHKの『龍馬伝』にハマってた頃、勝海舟がカッコよくて好きだったなぁ‥」

昨日3月11日、会社の尊敬する先輩が亡くなったと聞き、かつて先輩の部下だった3人で、有給もらって、滋賀県の長浜にある、先輩の自宅にお線香をあげにいった。

大阪から車で1時間45分、遠いようで、先輩の昔話に花を咲かせいたら、あっという間についてしまった。

たけし先輩は、昨年の夏から行方不明になり、警察が探した結果、9月11日に遺体で見つかった。

遺書などはなく、職場にも、ご家族にも、何も言わずに行方がわからなくなり、そのうちひょっこり帰ってくるだろう、と思っていた矢先、妹さんから亡くなったと聞き、練はしばらく受け入れることができず、スマホを握りしめたまま動けなかった。

交通事故や病気で亡くなった場合とは異なり、先輩のように事件性があると警察が判断した場合、遺体はすぐに遺族に渡されず、自殺か他殺か断定できるまで、ずいぶんと時間がたったらしい。

今日、先輩の自宅に線香をあげに行ったら、先輩は、すでに遺骨になっていた。

遺体の損傷が激しかったため、遺族で相談した結果、すぐに火葬したらしい。

柔道家で、身長も練の173cmより大きかったので、175cmはあったはずだが、両手の手のひらにすっぽり乗るような、無骨でまっしろな骨壺に収まっていた。

お葬式の準備で、忙しそうな妹さんのじゃまにならないよう、香典だけ渡したら、3人で早々に立ち去った。

3人とも、グズグズっと、鼻をすすり、涙をこらえた、練が、「どっか、飯でも食ってく?」と声をかけると、2人が無言で、こくんと首を縦にふる。

たしか、米原の駅前に来来亭があったなぁと、思い出す。出張の帰りに、先輩を自宅まで送った時に、へー先輩の家ってこのへんなんだと、何となく、覚えていた。

まだ、日は沈んでおらず、メシにはちょっとはやいので、せっかくだから琵琶湖でも見ていくかと、長浜城の駐車場に車を停めて、3人で琵琶湖のほとりを歩いた。

夕日がめちゃくちゃきれいだった。

3人はなんとなく、その場で座り込み、夕陽が沈むまで、しばらく真っ赤に燃える太陽をながめていた。

ED曲

「アルビレオ」

(つづく)

第二話

はじまりの終わり

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