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令和7年・夏場所雑記

可能性は充分あるとは思っていたが、やはりこの快進撃には驚いた。

大の里が2場所連続優勝を達成して、横綱昇進を手にした(正式には28日の番付編成会議と理事会で決定)

なにはともあれ、おめでとう。今年は3月場所の豊昇龍に続いて2人目の新横綱誕生。昨年のいまごろは照ノ富士の1人横綱だったのだから、大相撲の歴史が激しく動いたことになる。

気の早いマスコミやファンからは「大豊時代」の幕開けだ、みたいな声も聞こえてくるが、そうすんなりいくだろうか。

たしかに千秋楽、大の里の全勝優勝を阻止した横綱・豊昇龍の相撲からは、先行したものの意地、先輩横綱の自負みたいなものが溢れ出ていて、今後の大の里との競り合いに大いなる期待をもたせてくれた。栃若時代の昔から、柏鵬時代、北玉時代、輪湖時代、曙貴時代と大相撲には東西対立の輝かしい系譜があるのだが、「大豊時代」がそれに続く時代を築く可能性は大いにある。

でもそれを黙って見ている手はないよな、琴櫻くん。

昨年九州場所で初優勝して、豊昇龍や大の里を綱盗りレースでリードしたはずだったのに、あれよあれよと逆転されて、今場所もまったく見せ場なし。来場所は大関に一人取り残されてしまう。この正月までは、琴櫻時代がくるものと思われていたのに。

このまま大関の座に安住してしまっては、じっちゃんの名が泣くぞ。たしかに先代はずいぶん大関に長居していたが、いくら尊敬する祖父だからといって、そこまで見習うことはない。巻き返して「大豊時代」に割りこんでほしい。

番付の東西に横綱が揃うのはめでたい(白鵬と照ノ富士が並んだ令和3年秋場所以来だから22場所ぶりのことになる)が、その一方で大関は琴櫻のみの片肺飛行となる。

じつは私は、今場所後にも大栄翔には大関昇進のチャンスがあると思っていた。序盤を5連勝、中盤に連敗もあって星を落とした時点で逸機となったかと思われたが、12日目まで3敗をキープして残り3日。ここからの相手が豊昇龍、大の里、琴櫻だから、これを3連破すれば大いにチャンスありと思ったが、さすがにそうはいかず。しかし千秋楽に琴櫻に勝って10勝5敗としてチャンスを残した。先場所と今場所の合計は20勝だから、来場所13勝すればもちろん、幸運にも2人になった横綱陣を破りでもすれば、それ以下でもチャンスはある。期待しよう。

大栄翔だけではない。関脇で11勝を挙げた霧島、小結で12勝の若隆景も、来場所はチャンスを迎える。2人の先場所からの合計は、霧島が19勝、若隆景が21勝。大栄翔とほぼ同等のチャンスがあることになる。この3人がたぶん関脇に並ぶのだから、名古屋場所は関脇陣が主役になるかもしれない。

さてそこで困るのが、来場所の小結だ。

若隆景が12勝したので、さすがに小結留め置きはないだろう。一方の小結・高安は負け越した(6勝9敗)ので平幕降下が濃厚。つまりは小結の座が2つとも空席になるだろうが、前頭筆頭から5枚目までの10人はことごとく負け越し。

そうなると三役昇進のチャンスは、東6枚目で10勝5敗の欧勝馬にめぐってくる。勝ち越し5点は通常ならば届かないが、今回はスンナリ新小結昇進とならざるを得ない。

問題はもう1人。7枚目の伯桜鵬が8勝7敗、ともに8枚目の阿武剋金峰山、9枚目の安青錦が11勝。ただし番付下位の安青錦は大関とも当たっていて敢闘賞も受賞している。このなかから誰かが小結昇進となるわけだろうが、さあどうなるか? 番付発表が待ち遠しいね。

来場所の小結と平幕上位には、期待の若手がズラリと並ぶことになる。さらには十両から、十両2場所連続優勝の草野、準優勝の若碇が幕内に殴りこんでくる。とくに草野には、大の里が急上昇してきたのと似た勢いとムードを感じる。新入幕で大爆発を見せてくれるかもしれない。

今場所は入門以来初めて、出場した場所で負け越した尊富士、そして平幕降下でまた負け越してしまった王鵬も盛り返してくるだろう。さらに、今場所新十両で快進撃しながら無念の途中休場となった三田、いずれこの男も上昇してくるだろう。年内には幕内進撃は間違いなさそう。

気がつけば、期待の星だった熱海富士湘南乃海がすっかり霞んできた。もちろん彼らの巻き返しもあるだろう。今年後半はかなり熱い展開になりそうだ。まだまだすんなりと「大豊時代」というわけにはいかないのかもしれない。

大の里のスピード出世ぶりや記録、今後の見通しについては稿を改める。いろいろ面白い切り口があるからね。

さて、本欄の「春場所ニューカマー」シリーズで10年間にわたって見続けてきた、北勝富士が引退した。先月の最新回で心配していたのだが、やはり「体」が限界にきていたようだ。平成27年春場所入門組の関取では、最初の引退力士となる。残念だが、本人は悔いなしといっているし、やり切ったのだろう。ただ外野から見守ってきたこちらとしては、もう一花咲かせて欲しかった。

力士生活通算61場所(786回出場)で、生涯戦績424勝368敗44休、幕内戦績(693回出場/在位49場所)360勝338敗37休、準優勝2回、技能賞2回、敢闘賞1回、金星7個は立派な成績だ。いっぽうで最高位は小結止まり、それも通算4場所でいずれも負け越し、一度も地位を維持できなかったのは残念だった。番付には運不運もあるので仕方ないが、せめて大関候補と呼ばれるくらいの足跡は残したかった。

同期のライバル・御嶽海も今場所は初の十両陥落で心配したが、勝ち越して幕内復帰を確実にした。もう一人の同期・宇良は今場所も奇手・伝えぞりを決めるなど土俵を湧かしている。同じ場所で入門(新弟子検査)した霧島の現況は上記したとおりだ。

北勝富士は今後は大山親方として八角部屋で後進の指導にあたるという。今度は良い弟子を育て、後進育成レースではトップに立つような活躍を望みたい。

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