アニマル力士まかりとおる

そんなわけで、岩崎あらため「翔猿」の十両昇進を記念して「アニマル力士あらわる」をお送りしたわけですが、当然のことながら、動物四股名は、猿、犬、猫、熊、鹿だけではありません。

ということで、今回は日本人にはなじみ深い十二支の動物を四股名に冠した力士たちを、一気にご紹介しましょう(犬と猿は前回を見てね)

十二支のトップを飾るのは「鼠」です。

いきなりで何なんですが、調べたかぎりでは「鼠」のつく四股名はないんですよ。ちょっと意外。手取り力士の「鼠小僧」とか、いかにも実在してそうな気がしてたんですが。

次の「牛」はちゃんといました。第53代横綱・琴桜みたいに「猛牛」とあだ名されてたりするのは別にしても、以下のような四股名を発見しました。

牛島、牛田、牛島(うしま)、牛桜、牛黄(ごおう)、牛若丸(3人)、牛進山、鉄牛、臥牛山(2人)、我牛山、小牛田山、星天牛、などなど。

臥牛山は昭和初期の「ふしうしやま」と現役の「がぎゅうざん」(最高位・三段目)と読み方が違うのが2人おります。

ただ気になるのは、どうも関取昇進を果たした「牛」はいないらしいこと。やはり「牛歩の歩み」で昇進が遅くなるせいでしょうか。現役の牛くん、頑張れ!

強さイメージ抜群の「虎」は、もう山ほどいます。いちおう羅列してみると、こうです。

虎受、虎鉄、虎勇、虎風、虎灘、虎勇、虎渡、安虎、荒虎(3人)、巌虎、大虎、影虎、霧虎、琴虎(前後3人いてみんな佐渡ヶ嶽部屋)、島虎、高虎、猛虎、武虎、栃虎、早虎、秀虎、白虎、雷虎(2人)、龍虎、竜虎、若虎(3人)、天虎山、白虎嶽、白虎丸、猛虎浪、雷虎山、虎鮫龍、虎太郎、虎勝錦、虎家谷、虎ヶ嶽、虎の山、虎伏山、などなどなど。

私の世代的には、何といっても小結まで出世し、のちにタレントに転身して成功した江戸っ子力士・龍虎【こちら参照】が印象深い。ちなみに同名っぽく見える竜虎は今年になって初土俵を踏んだばかりの新人だが、なんと本名であります(本名・川上竜虎) ほかに現役は白虎丸、荒虎、琴虎、白虎、若虎あたり。

「兎」はかわいすぎるだろうと思うが、ちゃんといるんですね。

1993年初土俵で幕内まで出世した若兎馬と、現役の諒兎馬(あきとば)の2人だけ。諒兎馬も、幕内まで行けるか?

次は「龍」だが、これはご勘弁。多過ぎて手に負えません。ざっと検索して数えても600人もいるんだからね。そのわりに歴代横綱では、雲龍、朝青龍、鶴竜の3人しかいないのも、謎だな。

お次は「蛇」

いそうもないかなと思うと、これがちゃんといるんですね。そう、「大蛇(おろち)」がつく四股名がけっこうあるからだ。

大蛇石、大蛇岩、大蛇海、大蛇海、大蛇潟(6人)、大蛇川、大蛇島、大蛇嶽、大蛇洋(2人)、大蛇浪、大蛇森、大蛇山(3人)、蛇ノ目、白蛇、などなど。

ちなみに現役の蛇力士は、いません。

「馬」も、けっこういますよ。現役の横綱・日馬富士がそうですからね。日馬富士は前名の「安馬」も馬ツキだったな。こちらも羅列すると、こんなに。

青馬、荒馬(12人)、有馬(4人)、神馬、駿馬、翔馬、相馬(3人)、対馬、對馬、天馬、藤馬、西馬、白馬、羽馬、竜馬、龍馬、馬頭、馬場(4人)、馬目、荒馬強、有馬海、有馬潟、有馬洋、有馬山、勝馬山、神馬山、霧馬山、鞍馬山、群馬錦、相馬潟、相馬山(2人)、高馬山、但馬山、對馬洋、対馬灘、對馬洋、対馬花、白馬山(2人)、白馬山、白馬龍、前馬州、美馬錦、龍馬山、などなど。

よく使う地名に「有馬」「対馬」「相馬」があることもあって人数が増えた感じ。「馬場」はみな本名のようですが、もちろんジャイアント馬場ではない

やさしいイメージの「羊」はどうだ?

羊蹄山が3人いるだけ。たしか北海道にそんな名前の山があったから、そこからかなと思いましたが、どの力士も古くて出身地不明。

「猿」は前回を参照

「鶏」 鳥なら何でもと思ったけど、鷲や鷹、隼などの猛禽類は多そうだしキリがないので、ここは本来のニワトリに絞りましょう。

と思ったら、なんと昭和14年初土俵で序二段までの金鶏山がただ一人のニワトリ力士らしい(たぶん) これももっといるかと思ったんですがね。

「犬」も前回参照

最後が「猪」 強そうなイメージがありますが「猪突猛進」では単純過ぎて相撲には向かないのか、意外と少ないですね。

猪飼、猪越、猪口、猪シ(いのしし)、猪辺、猪本、など。

うーん、猪シ(明治時代。最高位・十両)以外は、みんな本名くさいな。いまなら敢えて燃える闘魂の「猪木」を名乗る手もあるんだが。全国の猪木さん、今がチャンスですよ(なんの?)

というわけで十二支の動物をひとめぐりしたわけですが、こうして見ると、どうも動物四股名、あんまり出世ネームではないみたいだね。

その点、架空生物ではあるが、出世間違いなしの動物四股名があります。

それが「麒麟」 キリンといっても首の長いあいつではなく、キリンビールのラベルに描いてある、あの架空動物。

といってもこの「麒麟」は、四股名にはそう古くから使われていたわけではなさそうで、初登場は1958年に初土俵を踏んだ麒麟児が最初。そして1967年初土俵の2代目・麒麟児(初代の弟弟子)がおり、さらに初代が改名した大麒麟、そしてその弟子の玉麒麟若麒麟と、麒麟力士は大相撲史上に4人しかいないのです。

そして、その4人がいずれも関取になっているんだから、大した出世ネームだと思いますよ。親方衆、どうだね使ってみちゃあ。琴麒麟、貴麒麟、朝麒麟、出羽麒麟、水戸麒麟、麒麟富士……どこの部屋にも相性ピッタリ(笑)

ただし要注意。

現在も北陣親方として健在の二代目・麒麟児を別にした、残りの3人の「麒麟」はいずれもトラブルメイカーなのです。初代・麒麟児ことのちの大麒麟は横綱になり損ねたうえ、親方となってからも大規模な後継者争いを演じ、さらにその弟子である玉麒麟、若麒麟はいずれもトラブルで角界を去ってプロレスに転じてます。【このへんの事情はこちらに詳しい→「大麒麟の二枚舌」】麒麟を名乗ると、トラブルに巻き込まれる?

とはいえ、プロレスラーに転じた2人、玉麒麟は田上明となって三冠統一選手権などのチャンピオンを戴冠してプロレスリング・ノアの社長にまでなり、若麒麟は鈴川真一となってIGF→NEWのエースに君臨しているんですから、やっぱり出世ネームなのかな。

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