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平成31年春場所雑記

平成最後の本場所が終了した。五月からは新元号に代わるので、次の夏場所は新元号下での最初の本場所になるんだね。

その平成最後の本場所で、平成最後の優勝力士となったのは、「やっぱり」白鵬だった。さすがは記録王、こういう節目は見逃さないね。千秋楽の優勝インタビューでは観客巻きこんでの三本締めでキッチリまとめるなど、さすがは大横綱(なんでも文句をつけたがる横綱審議委員会が、また余計なことを言っているようだが)

と、そこで当然誰でも思い浮かぶはずの疑問。

平成最初の優勝力士って、誰だっけ?

身のまわりの数人に訊いてみたところでは、みな一様に「千代の富士でしょ」という反応だった。

残念でした、不正解です

千代の富士は平成元年初場所の優勝は逃がしている。でも、その前後の場所では優勝を飾っているので、印象的には「千代の富士だった」と思ってしまうのかね。

じっさい千代の富士は、昭和最後の年(昭和63年)は夏場所から九州場所まで4連覇を成しとげ、平成元年も6場所のうち3場所を制しているのだから無理もない。でも肝心の(?)元年初場所の優勝は取り逃がしているのだ。

その記念すべき元年初場所を制した力士は誰かというと……

千代の富士の弟弟子の横綱・北勝海。つまり現在の相撲協会理事長である八角親方その人なのだ。

なので、次の夏場所、新元号最初の本場所で優勝すれば、引退後に理事長になれるのだ。たぶん。幕内力士諸君、狙ってくれたまえ。

ちなみに昭和元年の最初の場所で優勝した力士はというと……いない。昭和元年は12月25日から始まったので、当然ながら本場所は開催されなかったのだ。昭和最初の優勝力士は昭和2年初場所を制した横綱・宮城山であった。

白鵬は平成最後の優勝を15戦全勝優勝でハデに飾ったわけだが、おかげで割りを食った形なのが逸ノ城だ。

前頭4枚目の地位で14勝を挙げたのに、手にしたのは殊勲賞だけに終わったのだ。おまけに、優勝した白鵬との直接対決がなかったのだから悔しさ倍増ってもんだろう。まあ、こういったケースはやはり極めてレアなので、これも勲章と思っておこうじゃないか(14勝しながら優勝出来なかった例についてはこちら参照→史上最強の準優勝〔続〕 )

逸ノ城が頑張ったおかげで優勝争いが千秋楽結びまで持ちこまれて盛り上がったんだが、それに劣らず盛り上がったのが、結びの二番前の取り組み。

大関・栃ノ心と関脇・貴景勝の一番だ

14日目までの成績は、負け越したら大関陥落というカド番大関の栃ノ心が7勝7敗。

いっぽう、前々場所13勝で優勝、全場所11勝で大関盗りの貴景勝は9勝6敗。大関昇進には二ケタの10勝が必要なのだ。

ということで、何の因果か天の配剤か、この一番は「勝ったほうが来場所大関、負けたほうは関脇」という入れ替え戦になってしまったのだ。

幕内下位と十両上位、十両下位と幕下上位の「入れ替え戦」は毎場所終盤戦にはよく組まれるが、大関という地位をかけて、しかもここまで条件がハッキリした一番はめずらしい。少なくとも私の記憶にはない。

まさに両者にとって「絶対に負けられない一戦

テレビ解説の舞の海さんが「過酷な取り組みだ」と嘆いていたが、実際その通りで、システム上やむを得ないとはいえ、人情的には回避したい取り組みではあっただろう。まあそのぶん盛り上がったわけだが。

結果は貴景勝が勝利し、来場所の新大関を確実にした一方で、栃ノ心は大関陥落。まさに明暗クッキリ、勝負の厳しさを見せつける形となった。

貴景勝はおめでとう(まだ正式決定ではないが)、栃ノ心は夏場所で10勝すれば大関に復活できるのだから、頑張れ!(大関返り咲きについては、こちら参照→史上最強の大関復活 )

もうひとつ、金字塔が達成された。

十両で志摩ノ海(東十両筆頭)が2場所連続の十両優勝を成し遂げたのだ。

十両で優勝すれば、たいがい次場所には幕内昇進となるため、十両での連続優勝は非常にめずらしい。1909年夏場所に優勝制度が導入されて以来、これまでわずかに20例しかない。志摩の海は21人めということになる。

110年で21人だけ。5年に一度あるかないかの椿事だ(まだ2回以上成し遂げた力士はいない) 現役では、妙義龍(2011年7月-9月)と、栃ノ心(2014年7月-9月)が記録しているが、これはまあ誇っていい記録だろう。

さすがに十両三連覇はいまだかつて誰も成し遂げていない。そりゃそうだ。今回の志摩ノ海も来場所は間違いなく新入幕なので、この大記録へのチャレンジはなし。まあそんな記録よりも新入幕のほうが嬉しいだろうな、おめでとう(正式には新番付発表後だが)

番付下位では、幕下で、あの大横綱・大鵬の孫(関脇・貴闘力の息子)の納谷が幕下優勝目前まで行ったのが目を引いた。

六戦全勝同士の七番相撲で、関取経験のある美ノ海に敗れて優勝こそ逃がしたが、いよいよモノになってきた感ありだ。幕下上位には、横綱・琴桜の孫(関脇・琴の若の息子)である琴鎌谷、横綱・朝青龍の甥である豊昇龍ら注目度の高い有望株が上昇してきており、夏場所は関取の座をめぐる争いも熱くなりそうだ。

そして序二段では、ケガで番付を降下させていた元大関の照ノ富士が七戦全勝。

この地位ならば当然といえば当然なんだろうが、復活の狼煙を上げたといったところか。ただ、全勝同士での優勝決定戦となった千秋楽の土俵では敗れてしまい、序二段優勝を逸してしまった。照ノ富士は出世が早かったわりには下位での優勝が少なく、十両優勝が一度あるだけ(2013年秋場所) 2015年夏場所に幕内優勝しているので「幕内優勝後に序二段優勝」というこれまためったにない記録を逃したことになる。来場所以降に三段目や幕下での栄冠に期待しよう。それよりも、早く幕内上位に戻ってこいよな。

そして、その元大関を序二段優勝決定戦で破ったのが、同じくモンゴル出身で鳥取城北高校の後輩でもある狼雅だ。

あの巨体を誇る元大関を堂々真正面から破ったのだからすごい。この狼雅、昨年秋場所初土俵だが休場して翌九州場所で新序出世。先場所の番付デビューで、まだ4場所目ということになる。先場所も序ノ口で7戦全勝優勝を飾っており、デビュー以来無敗で14連勝だ(現在のところ生涯勝率100%)

この部門の記録保持者は琴天太(後に琴天山)のデビュー以来21連勝で、1986年1月場所から、序ノ口、序二段、三段目でいずれも7戦全勝で優勝し、そのまま無敗で廃業(その後プロレスで世界的スターになった) 狼雅が夏場所三段目で全勝すればこの記録に並ぶことになる。183センチ・135キロの体躯もたくましく、俄然注目株になってきた。このまま、するすると上位に進んでくるのではないだろうか。

2場所連続で優勝を逃がして、もう限界かと思った白鵬が盛り返し、新大関も誕生、幕内上位の若手有望株が足踏み状態の一方で、幕下以下に期待の新鋭が次々と現われている。夏場所も大相撲から目が離せないね。

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