ジャッキー・チェンと勝負する・追撃戦(14)
ジャッキー映画を延々と見続けてきて、6年目に突入。さすがにもう旧作は消費しつくし、残すは最近作ばかり。ここからが、ジャッキー・チェンの現在地である。
なのでここからは、日本公開順に追っていくことにしようと思うが、まあそのへんは成り行きで。
今回は、日本では2017年6月に公開された「レイルロード・タイガー」
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作品順としては、「ドラゴン・ブレイド」に続く作品となる。前作から2年の間をおいてのリリースだ。
ジャッキー映画も、近年はずいぶんナリがでかくなったもんで、この映画なんかもう、ひと昔前だったら文句なしの「超大作」だったろうな。
広大な平原を爆走する列車を舞台にドッカンドッカンする、堂々のトレイン映画。
あれ、考えてみたら、ジャッキーと列車アクションの組みあわせって、ありそうでなかったな。「酔拳2」で停車中の機関車のまわりでのカンフー対決はあったが、それくらいなような気がする。
てなわけで、後半は完全に列車上でのアクションに終始するこの映画、アクションに主眼を置いたという意味では見事にジャッキー映画なのだが、いっぽうでなんか違和感もある。なんだろう。べつにこれが抗日戦争映画だからとかそういうことではない。
日本での宣伝ではまったく触れられていなかったようだが、この映画には原作がある。劉知侠の『鉄道遊撃隊』(1954年)という小説で、実在したともいわれる日中戦争中の抗日ゲリラ隊を描いた作品だ。1956年と1995年に映画化され、1985年と2005年にはテレビドラマ化もされている。今回は3度目の劇場映画化ということだが、それくらい中国語圏ではポピュラーなものらしい。(原作は邦訳刊行されたこともあるが、現在は入手困難)
もっともこの映画では、彼ら(鉄道飛虎隊)は、まだゲリラというよりは、ならず者集団で、鉄道員であるのをいいことに日本軍から列車強盗をしているだけ。ラストのセリフ(彼らはずっと闘い続けた)から考えても、これは長く続く『鉄道遊撃隊』の序章を映画化したものだろう。
ハリウッドを主とする娯楽戦争映画では、主人公は「志の低い軍人」か「志の高い一般人」になるのが常道。前者が「ならず者部隊系」、後者が「抵抗組織系」といったところか。
「志の高い軍人」はいわゆる歴史再現ドラマとしての、わりに真面目な戦争映画になる。大部分の超大作戦争映画などがこれ。
それらに対して、「志の低い一般人」はドラマになりにくいのか、あんまりない気がするが、この映画はもろにそれ。ジャッキー率いる「飛虎隊」は、日本軍を標的にしてはいるが、そう真剣に戦争勝利を目指してはいない。だから、わりと悲壮感は少ないのだ。
結果的にかもしれないが、これがジャッキー映画らしさにつながっていると思う。けっこう明るいオハナシになっているのだ、題材のわりには。
このへんは、同じジャッキー映画でも、「志の高い軍人」映画だった「1911」とくらべれば、その違いは一目瞭然だろう。
やっぱりジャッキーには笑っていてもらいたいからなあ。
で、それにもかかわらず「ジャッキー映画らしくない」と感じた部分があったのはなぜか?
これも感覚でしかないのだろうが、それでもいえるのは、アクションの質の問題だろう。
いやべつに、質の高い低いの問題ではない。その点は前記したように、文句なしに高品質だ。
そのカギは、この映画のアクションのほとんどが銃撃戦だということだ。もちろん格闘戦もあることはあるが、強い印象を持つのは壮絶なガンアクション。
ジャッキー映画のアクションの基礎は、いつの場合でもカンフーファイトだった。殴り合い、蹴り合い、ドツキ合い。
たしかにこのストーリーで、壮絶なカンフーファイトを組みこむのは無理があるだろうし、そもそもジャッキー演じる主人公も拳法の達人だったりはしない。だから承知のうえなんだろうが、そのへんが微妙に違和感を残した気がする。
いやいやこれも、ジャッキー・チェンの現在地のひとつなんだろう。もはやカンフースターだけではないジャッキーにとって、こうした「アクション映画」もまた守備範囲のうちなんだよということなんだろうかね。
原題は「鉄道飛虎(铁道飞虎)」 英題「Railroad Tigers」 中国では2016年12月23日、アメリカでは2017年1月6日、日本では2017年6月16日の公開。



