百花繚乱 女子プロレス
先日、等々力競技場のサッカーJリーグ川崎フロンターレの試合会場での企画でプロレスの試合が行なわれたことは紹介したが、そのなかで開催されたディアナ女子の試合後に、こんなことがあった。
同団体のエースで代表の井上京子が、翌日行なわれる自団体の試合の告知をリング上から行なった際に、メインカードにジャガー横田が出場することを告げたとたん、観客からどよめきが上がったのだ。
会場を埋めた観客のほとんどはプロレスに詳しくない、いわば一見(いちげん)さん。その人々に反応を起こさせたのが、大ベテランのジャガー横田の名前だったのだ。
いまから30年ほども前、クラッシュギャルズ全盛時代に女子プロレスは大変なブームを迎えていた(当時は全日本女子1団体しかなかった)わけだが、ジャガーは彼女らの一世代上。売出期のクラッシュの前にデビル雅美とともに立ちはだかったのが彼女だった。
当時はテレビの地上波で(まだ衛星波はなかったもんね)プライムタイムに女子プロレスが毎週放送されていたのだから、その知名度は今のレスラーたちの比ではない。
当時隆盛を誇った全日本女子は、やがて90年代の後半に分裂する(井上京子はその当時のエース格だ) それより少し前からオポジションとして対抗していたジャパン女子も分裂しており、新世紀を迎えるころから女子プロレスは多団体時代に突入していたのだ。
その後の2005年に全日本女子が解散し、以後の女子プロレスは、インディ団体が無数に立ち並ぶ群雄割拠の時代に入って、現在に至る。これが大雑把に言った日本の女子プロレス近代史でである。
分裂、細分化した結果として、女子プロレスラーの数は圧倒的に増えた。
そしてその分、一つ一つの団体、一人一人のレスラーの知名度は、小さくなってしまった。プロレスに詳しくない(日常的に接していない)観客に「ジャガー横田」の名前が大きく響いたのは、そんな現状の象徴であろう、
現在の女子プロレスの両横綱といえば、たぶん里村明衣子(仙台女子)と紫雷イオ(スターダム)であろうが、残念ながらジャガー横田を上回る知名度があるとは思えない。昨年アメリカのWWEに移籍して日本の女子プロレスを去った華名(現在はASUKA)にしても同じ。
彼女らの力量はジャガー横田に比して決して劣るものではないにもかかわらずだ。
日本の女子プロレスには、まだまだ素晴らしい技術やルックス、センスを持った女子レスラーがたくさんいる。それは25歳定年制を敷いていた全日本女子単独の女子プロレスでは成し得なかったことだろう。
だが、彼女らはこのままでは埋没してしまう。いやすでに素晴らしい力量を持ちながら、世間からスポットを浴びることなく選手生活を終えた選手も多い。
先の等々力での試合で私を魅了したディアナのSareee選手もその一人だし、同じ日に覆面マニアの試合で男子に伍して奮戦したバンクーバーキャットもしかり。最近復帰した世志琥(SEAdLINNNG)や美闘陽子(スターダム)、男子系のDDTで活躍しているため女子プロレスにはあまり絡まないが赤井沙希もいる。
彼女らにスポットを当て、その奮闘に報いるにはどうするか。女子プロレスにかかわる人々、スタッフやマスコミなどは一度真剣に考えてみるべきだろう。
サムライTV、週刊プロレス、東京スポーツ、デイリースポーツ、あるいはニコニコ動画といったマスコミ各社が共同で、全団体参加のオールスター戦でもぶち上げてみてはどうだろうか?
じつは日本の女子プロレスは、力道山がプロレスを持ち込んだのより以前の1948年にすでに興行を打った記録があり、その後いくつかの紆余曲折を経て日本に根づいている。すでに半世紀以上の歴史がある「文化」なのだ。ぜひともこの火を絶やさぬようにしたいものだ。
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