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こんなことが起きるかも

南シナ海とかでいろいろ揉めているようですね。中国の南沙諸島での埋め立て工事が緊張のもととか。尖閣諸島でもそうですが、軍隊(もしくはそれに近いもの)同士が接近したり離れたりという状態は、なんか冷や冷やしますね。

政府のエライ人や専門家は「リスクは低い」とか言ってそうですし、実際はそうなんでしょうが、そんなみなさんに、私はいつもこの3本の映画を見ることをおすすめしたいと思います。

それは「博士の異常な愛情」(1964年)、「未知への飛行」(1964年)、「駆逐艦ベッドフォード作戦」(1965年)の3本。製作年度が接近しているのも、3本ともモノクロ映画なのも、けっして偶然ではないかも。

この中でいちばん有名なのが「博士の異常な愛情」でしょう。監督のスタンリー・キューブリックがこの後「2001年宇宙の旅」とかで出世したせいですかね。

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原題で、登場人物の名前でもある「DR. STRANGELOVE」をよくもこう訳せたものだと感心しますが、劇場公開時のタイトルは「博士の異常な愛情または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」というもので、まあフツーの映画じゃないことはわかりますね(長いほうも原題通りなのです)。

米軍基地の指揮官が勝手にソ連への核攻撃を指令。事態に気づいた政府や軍上層部は攻撃指令撤回をはかりますが、核爆弾を搭載した長距離爆撃機はじわじわとソ連に迫り……「ピンクパンサー」のピーター・セラーズが主演のせいか、映画紹介のサイトなんかではコメディに分類されていることが多いですが、とんでもない、とても恐ろしい映画です。ブラックユーモアなのは確かですがね。

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未知への飛行」のストーリーも、じつは「博士の異常な愛情」とほぼ同じ。こちらは発狂した指揮官ではなく、コンピューターのエラーから攻撃指令が出てしまいます。事態収拾のために、アメリカ大統領がとる「悪魔の選択」とは何か?

製作年も同じなので「博士の異常な愛情」とよく較べられてしまうのですが、あちらよりもハッタリが少なく地味なせいか(主演はヘンリー・フォンダなのでけっしてマイナーな作品ではないですが)日本公開はずーっと遅れて1984年でした。でもラストの怖さは、あちらよりもかなりリアルです。

駆逐艦ベッドフォード作戦」は、前の2作品にくらべると、さらに地味ですが、緊迫感はこちらのほうがあります。

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大西洋を航海中にソ連の潜水艦を感知した駆逐艦。艦長(リチャード・ウィドマーク)は執念深く潜水艦を追跡しますが、最後には……こちらのほうが、よりリアル。ラストに発生するヒューマンエラーが破滅の引き金を引くのですが、これ日常生活でもありそうなことだけに、とても怖いです。

「偶発核戦争」という言葉があります。国同士が宣戦布告を交わして戦闘に入る戦争と違って、たまたま起きた事故や、国の意志とは無関係な人々の行為によって戦争が起きてしまうことは、人類の歴史上たびたびありましたが、第2次世界大戦後の核兵器の時代になって、それが単なる局地戦で終わらず、一気に全人類の破滅にまでつながる……そんな事態を描こうとしたのが、この3作です。

もちろん、人類もまるっきりのバカではないので、そうした偶発事故が起きないように念入りにセーフティーをかけているですが、この3本の映画では、いずれもそのセーフティーが、じつにつまらないことで外れてしまうのです。どの事態も、現実に起きそうで、しかも防げそうもないものであることは、これらの映画が作られた、冷戦真っ只中の時代から半世紀以上が過ぎた現在でも、まったく変わっていません。

戦争をやりたいと思う人間は、頭のネジが狂っている者以外、ほとんどいないでしょう。でも、やりたくなくても起きてしまうのが、戦争の本質かもしれません。戦争のきっかけなんてものは、ほんのちょっとしたこと。それで戦争が起きるとしたら、全力でその「ちょっとしたこと」が起きそうな状況そのものを避けるべきだと思うのですが。今の世の中はそういう方向には向いていないようですね。もっとも歴史上、人類がそっちを向いていた時代なんて、かつてないわけですが。

まあそんなカタい話は別にして、この3作品、いずれも超一級品のサスペンス映画です。あなたが政府や防衛省のエライ人でなくても、一度は見ておいて損はない映画ですよ。

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