せーの…ハッスル! ハッスル!
相変わらずチョコチョコとローカルなテレビ番組を楽しんでいるのだが、最近のお気に入りのひとつが、tvk(テレビ神奈川)の「中島卓偉のお城へ行こう!せーの、キャッスル!キャッスル!」という番組。
城好きのミュージシャンである中島卓偉が、全国のお城、城跡を訪ね歩き、それらをゆるゆると紹介するだけの15分番組。詳しくはまた別に書くが、なんとなく面白いのだ。
私の琴線に触れたのは、この番組のやけに長いタイトルの後半部分。
「せーの、キャッスル!キャッスル!」
これだけでグッと来た人は、仲間だね。
はい、これの元ネタは、2000年代の後半にプロレス界を震撼させた、あの「ハッスル!」なのである。中島卓偉くんが決めるポーズも、あのハッスル・ポーズとまったく同じだし。
「ハッスル!」とは、200年代中ごろからスタートし、世間一般も巻きこんで広がり、一時はプロレス界の天下を取るかと思われたイベント。
その特徴は、極端なギミックを駆使し、独自の世界観を作り上げることだった。ええと、誤解を招くかもしれないが、ギミックとは要するにお芝居のこと。レスラーが特定のキャラクターを演じて、それに即したストーリーを「演じる」ことだ。
もちろんプロレスにとって、ギミックはもともと不可分のもの。現在でも、世界最大のプロレス団体であるWWEはこれを多用しているし、ある意味で「ハッスル!」に酷似しているメキシコ系の「ルチャ・アンダーグラウンド」なども勃興しているなど、まったく廃れていない。現在の日本では、DDTがこの分野の最大手だ。
「ファイティング・オペラ」を自称し、「日本のプロレスを根こそぎ破壊する」と謳ったこれは、一部のプロレスファンに支持され、また多くの一般層にアピールした。ある意味「環状線の外側」にも届いたプロレスだったと言えよう。異論はあるだろうが。
高田モンスター軍とハッスル軍の抗争という基本デザインに沿って、多種多様なキャラクターが設定され、それを多くのレスラーたちが演じた(敢えて「演じた」と言っておこう) これをリング上でリードしたのが、橋本真也、小川直也、川田利明、安生洋二、高田延彦といった、それまではプロレス界でも「武闘派」ともいうべき面々だったのは意外だった。
後楽園ホールの全日本プロレスの興行に「ハッスル!」から高田延彦こと高田総統が乗り込んできたときには、会場で見ていて、鳥肌が立つ思いだった(そんなこともあったんだよ) 普通のプロレスではまったく夢に終わった川田対高田というカードが、「ハッスル!」ではいともあっさりと実現したのだから。まあちゃんとした試合はなかったが。
私がいたく感心したのは、タレントのインリン・オブ・ジョイトイが演じた「インリン様」と、レイザーラモンのHG、RGで、彼らは非レスラーながら見事に「プロレス」をやってのけ、ちょっとした感動すら与えたものだ。これは誇っていいと思うよ。
こうして大いに人気を得て勢いのあった「ハッスル!」だったが、親会社ともいえるDSEが反社会的勢力とのかかわりから崩壊し、一気に勢いを失っってやがて消滅した。本格的旗揚げの2004年から2009年まで、5年間の短命だったわけだ(その後残党的なイベントはあったものの)
そんなわけで時代の仇花のような「ハッスル!」 参加したレスラーたちにはちょっと黒歴史っぽくなっているかもしれないが、ちゃんと大きな遺産を残している。
本人はあまり口にしないが、新日本プロレスでIWGPジュニア戦線をリードするKUSHIDAは、「ハッスル!」がデビュー。ハッスル軍の若手からスタートしたのだから、あれからずいぶん遠くに来たもんだ。
今年になって全日本プロレスの三冠王者になったゼウスも「ハッスル!」出身だ。もともとは大阪プロレスでデビューしたが、「ハッスル!」でブレイクし、崩壊後は全日本に上がるようになった。三冠奪取以前にもチャンピオンカーニバルを制したし、こちらもずいぶん遠くに来たよな。
「ハッスル!」離脱後に急逝した橋本をはじめ、主要メンバーのほとんどがすでにリングから遠ざかっている現状を考えれば、こうした当時の若手がいまでも活躍しているのは、立派に「ハッスル!」の遺産といえよう。
もうひとつ、私にとってはこれが大きな遺産(笑)
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名曲「ハッスル音頭」 あの小川直也の熱唱を楽しめるのはこれだけだ。
そんなわけだから、tvkのローカル番組で「せーの、キャッスル!キャッスル!」に遭遇した私が、あまりの懐かしさにKOされたのも無理はないのである。
この際だから、中島卓偉くんにはぜひとも「キャッスル音頭」を歌っていただきたいものである。
あと、どこかのリングで、誰か「ハッスル!」同窓会でも企画せんかね。まあ、関係者を説得して集めるのはタイヘンだろうけど。

