OTUBONE - ユニークな彼女たち - / #無茶ブリお題道場
( #ショートショート 本文1006文字)
O T U B O N E
遥か昔、日本の宮廷で暮らす皇族や貴族たちを支える重要な役割を持った女性たち、それが『お局』だった。
時は流れ、現代の日本では、オフィスにて職場の文化や業務を教える経験豊かなベテラン女性社員たちのことを『お局』と呼んでいた。
これはそんな彼女たちの物語である。
*
花子は新入社員。配属されたところは全員が女性社員という大奥のような部署だった。
職場の案内をしてくれたのは紀子だった。
「ここは楽しいところよ。みんな仲良くて優しいの。わからないことがあったら、何でも聞いてね」
「よろしくお願いします」
花子は胸をなでおろした。カースト制度みたいなのがあって虐められるのではないかと恐れていたのである。
「質問、いいですか」と花子は続けた。
「こちらにはお局様っておられないんですか」
紀子の顔に緊張が走った。周りを見回しながら小声で続ける。
「いるわ。最近1人辞めたから2人」
やっぱりいるのか。花子は気が重くなった。
「あの、どよんとした空気を纏っている人が闇子さん。通称『ドツボね』様。最近、愛犬が亡くなって闇が濃くなったので『ゼツボね』様にランクアップ予定。彼女の闇に引きこまれて死にたくならないようね」
(怖っ!)
「闇子さんのお母様が、通称『ジツボね』様。最近退職されて職場が明るくなったわ」
(闇は遺伝するのか)
「で、あのケタケタ笑ってる人がてっぺんに君臨する幸子さん。じゃ、挨拶に行くわよ」
(えっ! 予備知識ないんですけど……)
「幸子さん。新入社員を紹介するわ」
「花子です。よろしくお願いします」
「よろしくね。花子さんに話しかけられちゃった。うぷぷぷ、あははは……」
涙を流しながら机を叩き始めた幸子さんに一礼して二人は席を離れた。予備知識はいらなかった。幸子さんは人畜無害の通称『タツボね』様。笑いのツボが無限にあるらしい。
紀子さんも実はお局様だとあとから別の先輩に聞いた。『ノツボね』様。どういう意味かは自分で調べてほしい。たしかに紀子さんって独特の香水だったわ。
花子の会社生活は始まったばかり。ユニークで楽しそうな職場。
「よし! 私もりっぱな『お局』様になるぞ」と決意を新たにした花子だった。


はれるや( ´ ▽ ` )ノ。です。
こちらの企画に参加します。
シンスケさん、よろしくお願いします。
主宰: #シンスケさん
企画: #無茶ブリお題道場 第2回
お題: #OTUBONE
それでは、このへんで。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。

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