【法律マメ知識】譲渡税とは?(今回のケースに特化したやさしい解説)
― 取得価額が不明の土地を売ると「ほぼ丸ごと課税」になる理由
今回の案件では、
任意売却で土地が売れ、その代金を債務整理のために「貸付」として使う形になっています。
ここで問題になるのが 譲渡税(譲渡所得税) です。
◆ ひとことで言うと?
譲渡税=不動産を売って出た利益に対する税金。
・売った金額
・買った金額(取得費)
・売るためにかかった費用
これで「利益」を計算します。
◆ 今回のケースで最大の問題点
今回の土地は古く、
当時の契約書・領収書・登記簿上の金額が残っていない。
つまり――
✔ 取得価額が証明できない
→ 「実際はもっと高く買っていても、証拠がない」
税務の世界では証拠がなければ認められないため、
原則として次の処理になります:
◆ ◆ 取得価額が不明の場合のルール
所得税法施行令170条(みなし取得費) により、
取得費は“売却価格の5%”とみなされる。
たとえば、
土地が 1億円で売れた場合:
本来の取得費:わからない
認められる取得費: 500万円のみ
結果、
9,500万円が「利益」とみなされる ことになります。
◆ だから税金が“ほぼ丸ごと”かかる
譲渡税(長期所有)のおおよその税率は 約20%(所得税+住民税)。
先ほどの例なら:
9,500万円 × 約20% = 約1,900万円の税金
取得費不明は「税金が跳ね上がる」典型例です。
◆ 任意売却でも課税されるの?
はい。
任意売却は“売れた金額の全部が借金返済に消える”ように見えても、
税務上は普通の売却と同じ扱いです。
今回のように、
売却代金が残る
その残金を「貸付」として扱う
元本返済の形になる
結果、利益が生じた状態になる
こうなると 課税対象になります。
◆ 今回のケース特有の深刻ポイント
✔ 1. 古い土地で資料が残っていない
取得費の証明ができない。
✔ 2. 共有地のため過去資料が散逸
契約書・領収書・売買契約の控えが存在しない。
✔ 3. そのままでは「みなし取得費(5%)」適用
→ 課税額が非常に高くなる。
✔ 4. だから“取得価額推定意見書”が必要
土地鑑定士・税理士による
「当時の取得価額を推定する専門家意見書」 で
取得費を実質的に引き上げ、
課税額を下げる必要がある。
これが今回の “税務の壁” の正体。
📜 根拠法令・参考資料
所得税法33条・38条(譲渡所得と取得費の基本)
租税特別措置法31条の4
+ 租税特別措置法通達31の4-1(概算取得費=売却価額の5%の特例)国税庁タックスアンサー
No.3202「譲渡所得の計算のしかた(分離課税)」
No.3258「取得費が分からないとき」
No.3270「相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期」
◆ まとめ(今回のケース専用)
譲渡税は“利益”に対してかかる
取得価額が不明だと 売却価格の5%しか認められない
実質、売却額のほとんどが利益扱い → 高額課税
任意売却でも同じ扱い(借金返済に消えても課税される)
今回は取得価額推定意見書が必須
これを使うと取得費を引き上げ、税額を下げられる可能性がある
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